現在、山種美術館では「【開館55周年記念特別展】速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演―」が開催されています(~11月7日(日曜)まで)。山種美術館は、山種証券(現SMBC日興証券)創業者である山﨑種二が個人で蒐集したコレクションをもとに、1966(昭和41)年に開館した日本画専門の美術館です。そのコレクションのなかでも今回展示されている、速水御舟の≪名樹散椿≫は国の重要文化財に指定された貴重な作品です。
速水御舟は明治末期から昭和初期にかけて、40年という短い生涯を流星のごとく駆け抜けた日本画家です。≪名樹散椿≫は横山大観らが参加した1930(昭和3)年のローマ日本美術展覧会に出品された作品で、1977(昭和52)年には、昭和以降の作品として初めて重要文化財に指定された日本絵画史に残る貴重な作品です。本作品に描かれているのは、京都市北区にある昆陽山地蔵院(通称椿寺)に咲いていた樹齢400年という「五色八重散椿」を題材にしています。
この「五色八重散椿」は、秀吉が北野大茶会の折に地蔵院をその一荘とした縁から、この寺に献木したといわれています。初代は1983年に枯れてしまいましたが、樹齢約120年の二世が現在も花を咲かせています。「五色八重散椿」は一本の木に白、桃、紅色などさまざまな色の花を咲き分け、椿のなかでは珍しく花弁が一枚ずつはらりと散るのが特徴で珍重されています。
速水御舟の≪名樹散椿≫も、白、桃、紅色、絞りなど花を精緻に描き分け、艶やかに椿の木を描いています。地面にはらはらと散った花びらは、翠苔との対比で美しく繊細に描かれています。
さらに「五色八重散椿」を引き立てているのは、背景に用いられた「撒(ま)きつぶし」といわれる技法です。金箔を細かくした金砂子を何度も隙間なく振り撒いて描かれた背景は、金箔でも金泥でもない光沢を抑えた独特の美しさがあり、そのしっとりとした金の上品な輝きが、品格と絢爛豪華さを具えた珠玉の名作にしています。
このたび、共同印刷の高級複製画の技術を高く評価していただいた山種美術館より特別な許可をいただき、同館の全面協力のもと≪名樹散椿≫の高級複製画を制作しました。作品を確認しながら厳密な色彩の調整を行い、撒きつぶしの背景に合わせて調合した金色を職人技によりシルクスクリーンで2度刷りすることで作品のイメージに限りなく近づけました。このようにして手間と時間をかけて制作した高級複製画「名樹散椿」は、山種美術館のお墨付きをいただいた証明として、同館の承認印と限定番号が入れられた奥付シールが貼付されています。高級複製画「名樹散椿」は、今回の展覧会の会期中は1階エントランスで展示、販売しております。※本展覧会は終了しております。(2021/11/15更新)
山種美術館「【開館55周年記念特別展】速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演―」の詳細は以下をご覧ください。
https://www.yamatane-museum.jp/
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