日本美術院ゆかりの地～五浦を訪れて～

28 June 2023

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少し前になりますが、茨城県北茨城市にある五浦(いづら)へ行ってきました。五浦周辺はジオサイト※に指定され、断崖絶壁の海岸線が続く地形に荒波が打ち寄せる風光明媚な観光地です。
※地球の活動が分かる地質や地形がある場所

この地は、近代日本画をリードした日本美術院の聖地といっても過言ではありません。創設者の岡倉天心をはじめ、その中心メンバーの横山大家、菱田春草、下村観山、木村武山が家族と共に五浦に移り住んで制作に励み、近代美術史に輝かしい一ページを刻んだ場所です。当社では日本美術院が主催する「院展」の全作品集の制作や、美術院同人の複製画を数多く手がけていることもあり、いつかは訪れてみたいと思っていました。

五浦海岸の景色を愛した岡倉天心は、自邸から続く海に突き出た断崖の上に、赤い六角堂を建立しました。実際に現地を訪れてみると、まさに崖ギリギリの場所に建てられていて、大変驚きます。目の前まで迫る海の眺めが素晴らしく、天心がこの地を愛した理由が分かる気がしました。残念ながらこの六角堂は、東日本大震災の津波によって土台のみを残し流失してしまいましたが、その後茨城大学が中心となって修復作業を進め、2012年4月に創建当時の姿に再建されました。

周辺には天心の偉業を伝える「天心記念五浦美術館」があります。目の前に太平洋が広がるこちらの美術館は、やはり眺めも最高でゆったりとした時間を過ごすことができます。現在「再興第107回院展茨城五浦展」が開催中です(2023年7月17日まで)。五浦での院展は実に5年ぶりとのことで、日本美術院ゆかりの地で鑑賞する「院展」は特別なものとなりそうです。
2天心美術館.jpg

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