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18 March 2020

【アートのある生活】Vol.1
共同印刷株式会社代表取締役社長 藤森康彰インタビュー(前編)


こんにちは。今回は、「アートのある生活」をテーマとした特別インタビュー企画の第1弾をお送りします(全3回予定)。

当社の高級複製画を購入くださるお客さまはシニア層が多く、なかには経営者の方もいらっしゃいます。本企画では、そうした方々の「美術との付き合い方」をインタビュー形式でご紹介します。若い年代の方々にも、人生の先輩方の目線を共有いただける内容ですので、ぜひお楽しみください。

第1回のゲストは、当社、共同印刷株式会社の代表取締役社長、藤森康彰です。
慌ただしい日々のなか、少し気持ちや目線を変えるきっかけになれば幸いです。


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インタビュアー(アート&カルチャー事業企画担当 以下、AC)
 本日は「アートのある生活」をテーマに、藤森社長が日ごろどのようなアートに触れたり、関わったりしていらっしゃるのか、公私の面からお伺いします。よろしくお願いします。
早速ですが、藤森社長は当社の美術商品をいくつも購入されています。それは「絵が好き」だからでしょうか。

藤森社長(以下、藤森)
 あまり難しいことは考えず、単純に「きれいなものはきれい」、「 良いものは 良い」ということです。そのように感じる対象は、人間でも動物でも風景でもなんでも構いませんが、そうした世界を切り取ったものが絵なのかな、と思っています。ですので、絵は抽象的なものより写実的なものが好きですね。

AC  昔から絵を購入されているのですか。

藤森 それほど昔から購入はしてい たわけではありませんが、興味はありました。私が入社したころ、当社では自社商品「アートレリーフ※1」の研究開発が最盛期でした。理系出身ということもあり、アートレリーフには技術的な興味があって、その延長線上で絵とは割合近いところにいました。

AC  最初は「絵が好き」ということではなかったのですね。

藤森 当時は絵を観ることが好きというよりも、技術者として「これを忠実に再現できるのか」、「原画からどうやって型取りしようか」 みたいなことを考えていましたね。

AC アートレリーフは洋画が多いですよね。

藤森 そうですね。確か最初に買ったアートレリーフはゴッホの「ひまわり」でした。実際に触れてみることで、「なるほど、こんな風に盛り上がっているんだな」とゴッホのごつごつとした絵具の調子を感じたりしていました。

AC  ゴッホの「ひまわり※2」については、本年2月に当社彩美版🄬でも発売しました。

藤森 そうですね。懐かしいなぁと思いました。

※1 当社は1960年より油絵を立体的に複製する技術の開発を始めました。1965年に完成した商品「アートレリーフ」は質感(絵具の凹凸など)の再現で注目を集め、室内装飾としてはもちろん、「触れる絵画」として学校教材にも使われました。
※2 「ひまわり」アートレリーフはゴッホ美術館(またはフィラデルフィア美術館)所蔵、「ひまわり」彩美版🄬はロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の作品です。


―アートを生活に取り入れる―

AC  お求めになったものは時々かけ替えますか。

藤森 はい、主に妻がですが。季節をベースに、気分でかけ替えていると思います。絵が変わるたびに部屋の雰囲気がものすごく変わるので、絵の力ってすごいなとしみじみ感じます。

AC  基本的にはご自身用に購入されるのですか。

藤森 そうです。人に贈ったこともありますが、好みがわからないと贈るのは結構難しいですね。

AC  購入する時は、奥さまとカタログを見られたり絵を観に行かれたりするのですか。

藤森 妻と一緒に選ぶわけではなく、私が直感的に買っています。当社の複製画は「これが家にあったらいいな」と思ったときに買いますし、百貨店の展示即売会も、たまたま通りがかって 気に入るものを見かけたら衝動的に買う、といった具合 です。値段を聞いて「やっぱりやめようか...」ということもありますが。絵は出会いみたいなものですから、わざわざ探しには行きませんね。

AC  ジャンルはさまざまですか。

藤森 そうですね。 作家よりも見た印象で決めています。日本画の大家といわれる作家の絵 というよりは、あまり知られていない作家の作品のほうが多いと思います。また、いい緑だな、いい青だな、と、色には結構反応しているかもしれません。

AC  感覚的に買われるのですね。

藤森 そうですね。「家に合いそうだな」、「こういう絵を飾りたいな」と思って選んで います。

AC  お気に入りの作品はありますか。

藤森 レオンテラシマ作の「PARIS MORNING」という絵が気に入っています。パリの街を俯瞰したような大きめの版画です。見た瞬間に「欲しい!」と衝動買いしました。飾ると部屋がパッと明るくなる作品です。

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ご自宅の様子 ©Leon Terashima Office
 また、社長室に飾ってある鯉の絵(寄り添う二匹の鯉の作品)には特別な思い入れがあります。常務になって個室が与えられたときに自宅から持ってきた絵で、元々は親のものでした。二匹の鯉が親のように見えて。常務となった私を両親に見ていてほしいという思いがあって持ってきて、それ以来ずっと会社の個室に飾っています。

AC  絵というより、お守りのようですね。

藤森 そうですね。これだけは、部屋に合う合わないは関係なく、親と常に一緒にいるという気持ちで置いています。
 本画ももちろん好きです。毎年春になると飾る中島千波先生の桜の作品がありますが、購入したときに本画はやはり良いなと感じました。また、ずっと家に飾っている絵には、ヨーロッパのどこかの街を描いた版画もあります。いずれは子どもたちが受け継ぐのでしょうが、今はまだ自分で楽しんでいます。
最近購入した当社の複製画3枚も、寝室とリビングに飾っていますよ。

AC  ありがとうございます。雰囲気は変わりましたか。

藤森 変わりましたね。壁や周りにあるものは同じなのに、本当に雰囲気がガラッと変わりました。


―アートと心身の良好な関係性とは―

AC  そうした変化によってご自身が影響を受けるというか、心持ちが変わったりするものでしょうか。

藤森 明らかに変わりますね。私は、好きなものを見たときは免疫力が上がると思っています。一日仕事をしていると 気が張ることも多いですが、家に帰ってソファに座り、ホッと一息ついたときに目の前に絵があると、見ているだけで疲れがスーと抜けていくんです。絵にはそういう力がありますね。安らぎや落ち着き、高揚感、満足感、そうした豊かな気持ちが得られ、自分が心地よく癒されます。

AC  それは描かれたモチーフなのか色なのか...なぜなのでしょうか。

藤森 なんでしょうね。風景画を見ると、「この街に行ったら、他にこんな街並みがあるかもしれない...」というような想像をしますし、中島千波先生の桜を見ると、「散り間際の桜の時期にあそこへ行ったな...」と思い出を振り返ることがあります。そうした瞬間は、頭のなかで絵のことしか考えておらず、仕事のストレスなどから解放されます。これが絵ではなく家電などだとどうしても何か考えてしまいますし、テレビでニュースを見たとしても、頭のなかでは会社のことを引きずってしまいます。

絵が持っている力なのでしょうね。絵には匂いも音もありませんが、色や絵柄...そうしたものが頭のなかをクリアにしてくれます。仕事のことでずっと働き続けている脳が、絵を見ることで解放されていったん休む。たぶんそれが心地 良いのだと思います。

後編へ続く。次回配信予定日は3月19日(木)です。)


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