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19 March 2020

【アートのある生活】Vol.1
共同印刷株式会社代表取締役社長 藤森康彰インタビュー(後編)


こんにちは。さて本日は、当社、共同印刷株式会社の社長・藤森康彰をゲストに迎えた特別インタビュー、「アートのある生活」の後編をお送りします。
前編では、当社社長・藤森がどのようにアートを日常生活に取り入れているかを中心にご紹介しました。後編、話はアートをベースに会社における人の育成に及んでいきます―


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―美的・知的感覚を育成するとは―

藤森社長(以下、藤森)
 一番公私ともに忙しいのは30・40代ではないでしょうか。子育てがある方もいるでしょうし、会社では中間管理職で上下からいろいろ言われて、実務もやらなければならない...。そういう時にこそ、絵のようなものがあると良いと思います。ただ自身を思い返しても、その年代では気分的に絵を受け入れるだけの余裕はなかったように思います。当社の絵の購入層はシニア層が多いと聞きましたが、多くのことを経験しながら年齢を重ねるなかで、そういう世界(絵)にすっと入っていけるようになっていくのかもしれませんね。

インタビュアー(アート&カルチャー事業企画担当 以下、AC)
 30・40代の頃から、そうした体験や切り替えの習慣が身についているといいですね。

藤森 私は、社員には「豊か」であってほしいと思っています。今は働き方改革を推進していますし、一昔前のように朝から晩まで仕事をして、家に帰っても仕事...ではなく、もう少し自分個人といったところで、満たされる世界を作ってもらいたいです。物理的な面もあるでしょうが、精神的な面での豊かさは、人間に力を与えてくれるのではないかと思います。

知的、美的などの感性的な部分に刺激を与えて満たすことで、ストレスから解放されたり、次のやる気につながったりなどという相乗効果がある。そうした気持ちになった瞬間に「ゆとり」が生まれるのだと思います。ゆとりがあると、人と和やかに対話ができ、その交わりがより人間を豊かにしてくれるという、いい循環に入っていく気がします。

AC  当社は創業120周年を機に、「関わるすべてと共に良い関係を築く」という想いを込めたコーポレートブランド「TOMOWEL(トモウェル)」を生み出しました。
実現に向け、社員の日々の心構えを示した「TOMOWEL ACTION」の一つに、「知的美的感覚を育む」というテーマがあります。個人的には、この感覚を養うことで当社が提供する制作物がより優れたものになる、という直接的な目的が込められていると捉えていましたが、お話を伺って、少し違うのかなと思いました。

藤森 もう少し根本的なところ、「人生」というか、生きる上での基本的なところに「豊かさ」を作り上げていくことが、結果的に生活や仕事などの日常的な部分によい影響を与えるのだと思います。
先程お話したような、精神的な満足度や安定感、豊かさなどが日々の生活のどこかにないと、人間は疲れてギスギスしてしまい、顔つきにも表れると思います。豊かな人間はやはりいい顔をしています。ですから、豊かさを形成する時間は意識的に作ったほうがいいと思います。

難しいことは考えず、単純に「この絵は良いな」と思うだけでもいいのではないでしょうか。ですが、そうしたことは自分で動機づけしないと難しい。忙しいと絵を観る暇なんてない...となってしまいます。一枚絵を買う、絵を飾る、そこから入っていくのでもいいと思います。



―豊かな人が集まる会社に―

藤森 年間で100名くらいの社長とお会いしますが、「経営で何を大事にしていますか」と伺うと、ほぼ全員が「会社は人」とおっしゃいます。人を大事にする、社員を育成する。最後はこれに尽きるのだと。
人には感情があり、感性で生きています。ですから、そこにいる人間が「豊か」であるために...というところに戻っていくわけです。

絵、音楽、小説...こうしたもので空腹は満たされません。ではなぜみんな絵を観るのか、本を読むのか―。それは、そこを入り口にして想像力がかき立てられ、精神的に満たされるからなのでしょうね。それによって自然と癒されたり、心が豊かになったりする。そうした面が芸術の良いところなのだと思います。

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ご自宅の様子(菱田春草「渡舟」岩絵具方式複製画)

AC  最近読んだ本に、絵を観るのは全身運動だと書いてありましたが、お話を伺って、本当にそうだなと改めて思いました。

藤森 私は引退したら絵を描こうかと思っているんです。今は全くそうした余裕はありませんが、キャンバスと水彩絵の具をもって旅に出たいなと思っています。その前に習わないといけませんが...。

AC  とても素敵ですね。どのような絵を描かれるのか拝見してみたいです。 本日は貴重なお話をありがとうございました。



―インタビュー後記―
アートや美術鑑賞...といわれると、堅苦しいイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。ですが、今回のお話から、五感に訴えかけてくる、自分が「心地良いもの」を捉えることで心が豊かになり、それは自分の心身にとってもよいことだ、というストレートなメッセージをいただいたように思いました。
インタビューの日、家に帰って子どもを寝かしつけバタバタとした一日が終わりひと息ついたとき、伺ったお話を思い出して、この壁に絵があったらいいなあ...と思ったのでした。(H)



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