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20 April 2023

横山大観記念館で歌舞伎座の新緞帳「霊峰飛鶴」の製作資料を記念展示


美術趣味をご覧いただきまして、ありがとうございます。

歌舞伎座では、今年の3月から歌舞伎座の新開場十周年を記念して、新緞帳「霊峰飛鶴(れいほうひかく)」が掲飾されています。この新緞帳「霊峰飛鶴」は、明治、大正、昭和を通じて活躍した日本画の巨匠、横山大観の「霊峰飛鶴」をもとに、株式会社川島織物セルコンが製織したものです。川島織物セルコンは今年、創業180周年を迎えた歴史あるファブリックメーカーで、帯や祭礼幕などの製作で培った染や織の知見や高い技法を生かして、緞帳などの美術工芸織物の創作と開発にも取り組んでいます。また川島織物セルコンが製作した美術工芸織物の原画類・試織などの約16万点に及ぶコレクションは、京都市左京区にある国内最古の企業博物館、「川島織物文化館」に保存されており、事前予約制で見学ができます。
「川島織物文化館」のホームページ↓
https://www.kawashimaselkon.co.jp/bunkakan/use/

公益財団法人横山大観記念館では、現在「歌舞伎座新開場10周年記念」の展示を行っています。今回の展示は、「霊峰飛鶴」の所蔵元である横山大観記念館に、川島織物セルコンが緞帳製織の際に使用した材料などを提供して実現した貴重な機会です。新緞帳「霊峰飛鶴」の製織過程を示したパネルと、実際に使われた資料や材料などが展示されており、緞帳の製織方法がとてもわかりやすく学べます。特に原画の色を再現するため、染められた糸をさらに組み合わせ作った複雑な色の糸は、その色数に圧倒されます。そうしてできた膨大な色の糸を、どこに使うのか細かく示した織下絵の通りに緞帳を製織していくのですが、これには知識と技術と根気が本当に必要なのだと感心します。

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新緞帳「霊峰飛鶴」のイメージ
【ご注意ください】ここに掲載している写真はすべて、横山大観記念館の特別な許可を得て撮影・掲載しております。
館内ではカメラ・VIDEO・携帯電話などの使用を禁止しています。


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織下絵:原画の輪郭や色の諧調を描線で写し取った緞帳の設計図。

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染色された糸:原画に忠実な色に染められた経糸。全500色以上の緯糸を準備。違う色の糸を組み合わせてさらに、複雑で多彩な色の糸を作っていく。それぞれの糸には番号が振られて、どの部分に使われるか細かく指示される。

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配色設計:縮小図で全体の色調を設計し、原寸図に細部まで糸種と織組織を指示。

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試作された鶴の部分。

担当の方が苦労されたのは歌舞伎座の舞台に、この巨大な緞帳を掲飾した際だそうです。

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鉦鼓洞に展示されている「霊峰飛鶴」の原画。

現在、横山大観記念館は構造壁、床、造作などの改修が行われ、とてもきれいな状態になりました。客間であった鉦鼓洞(しょうこどう)には「霊峰飛鶴」の原画も展示されていますので、「霊峰飛鶴」の原画と緞帳の製作工程を併せて見られるまたとない機会です。また、横山大観記念館では高級複製画「霊峰飛鶴」が展示販売されていますので、ぜひご覧ください。
公益財団 横山大観記念館↓
https://taikan.tokyo/

【ご注意ください】館内ではカメラ・VIDEO・携帯電話などの使用を禁止しています。


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横山大観記念館「歌舞伎座新開場10周年記念」の展示の横で高級複製画「霊峰飛鶴」が展示販売されています。


高級複製画「霊峰飛鶴」のご案内
「霊峰飛鶴」は金色の端光を背景に名峰富士の前に鶴が群れをなし飛翔する吉祥画。それは国の平安を記念し清浄さに満ちた日本を思い続けた横山大観が遂に到達した理想の姿です。この澄み切った境地をみる晩年の傑作は、1967年に国際観光記念切手にもなりました。原画を所蔵している横山大観記念館の正式許諾と監修を受け、検印証紙が貼付された高級複製画「霊峰飛鶴」は、以下からもご覧いただけます。↓
https://bijutsu-shumi.com/items/att014-itm005.html


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