September 23, 2016

アメリカの休日

 
 秋の風情がなかなか顔を見せない残暑厳しい9月初旬、少し気分を変えてみようと、近年話題のジョンソンタウンを初めて訪れてみました。

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 場所は埼玉県入間市。国道463号をひたすら西へ走ると、彩の森入間公園の向かいに白い木造の建物群が現れました。青い看板にJOHNSON TOWNの文字。そして星条旗がなびいています。敷地に入っていくと、三角屋根に横張りの板壁、そしてポーチがついたアメリカの家屋そのものが立ち並んでいます。ノスタルジックなアメリカ映画や古き良き時代を描いたアート作品などで目にした家々の現物が目の前にあり、違うとわかっていても異国の空間に迷い込み、その空気を吸っているような錯覚を覚えます。カフェや手作り雑貨等たくさん並ぶお店がそのイメージを倍加させ、ディスプレイされた商品やレトロな看板が明るい楽しさ、愛らしさを訴えかけてきます。家と家の間に高い塀のない開放的な空間。そうでありながら静かに暮らす人々の日常が保たれているとのこと。

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 約2.5haに60棟ものアメリカ風建築が並ぶこの地区は、国土交通省主催の平成27年度都市景観大賞の都市景観部門で大賞を受賞しました。1945年、戦後GHQが入間基地にあった陸軍航空士官学校を接収してジョンソン基地とし、朝鮮戦争勃発時には民間にも米軍ハウスをつくるよう要請。たくさんのハウスが建てられたものの、基地返還後は老朽化・荒廃化しました。しかし民間会社により「進駐軍ハウス」は改修・保全され、それを模した新たな「平成ハウス」も設計・建築され、インフラ・植樹整備、コミュニティ支援等多岐にわたり地区の再生・活性化が図られました。アメリカ風の自由で文化的な空気に惹かれ生活する家族で活気に満ちた風土が培われ、文化遺産としても見直されているということです。

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 時間がたつのも忘れてゆるゆる散策。港町でもリゾート地でもない埼玉県の何気ない場所に目いっぱい「本物」の異国の風情が?という感覚的ギャップにわくわくするインパクトを受けた日でした。変わり映えのしない日常風景に飽きたとき、是非また気軽に行けるアメリカで休日を過ごしたいと思いました。


 
■ジョンソンタウン

埼玉県入間市東町1-6-12   
TEL 04-2962-4450(ジョンソンタウン管理事務所)
店舗のみ見学可

September 16, 2016

坐ることを拒否する椅子に拒否された話


 東京の青山、表参道には美術書が豊富な青山ブックセンターや、ワタリウム美術館のショップなどがある。また美術館やギャラリーもある。昨日まで続いた雨模様も今日は久方ぶりに晴れたので、青山、表参道の散策を楽しむことにした。

 先ずは表参道の路地を入った所にある「岡本太郎記念館」から始める。ここは芸術家、岡本太郎が自宅兼アトリエとして暮らしていた場所である。門を入ってすぐ横に、カフェ「a Piece of Cake」があるので人心地を付くことにする。注文したパンケーキセットは、メープルシロップ、大きめのバター、ジャム、そしてたっぷりのホイップクリームが添えられている。大きく開放的なガラス窓からは、庭の眺めが良い。ふと建物の上の方を見ると、「太陽の塔」が2階のバルコニーから庭を覗いている。

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パンケーキにはa Piece of Cakeの焼き印

 記念館の扉にある足裏の形の把手をつかんで中に入と、館内には岡本太郎の等身大の人形や、さまざまな立体、平面作品が展示されている。美術館に来たというよりは、太郎さんの家に遊びに来たという感覚である。制作に使用したアトリエが残されていて、巨大なキャンバスがいくつも棚にしまわれている。イーゼルに立てかけられた作品や、机に並べられた絵筆を見ていると、今でも岡本太郎の息づかいを感じるよう。2階の企画展「岡本太郎の沖縄」(~2016年10月30日まで)では、岡本太郎が返還前の沖縄を撮影した写真が展示されている。

 こちらの記念館の小さな庭はとても居心地がよい。うっそうと植物が茂った庭には、精霊のような不思議な作品が点在している。そして小さな広場には「坐ることを拒否する椅子」が並べてある。この椅子は座面が丸く凸型になっており、そこに目や口が凸凹と付いているので、とても落ち着いて坐れない。この椅子が坐ることを拒否することに、断固拒否して無理無理坐ってみた。立ち上がってみると、お尻が濡れている。昨日降った雨が、座面の窪みに溜まっていたようである。美術館の作品というものは、黙っておとなしく鑑賞者に見られて居るモノであるが、岡本太郎が生み出したアート達は違う。彼らも何かを仕掛けて来るから油断がならない。いい年をした大人が濡れたお尻を抱えたままでは、青山、表参道をうろつくこともままならない。始めたばかりであるが、ほうほうの体で帰途についた。



September 9, 2016

山から海へ~鎌倉アルプス


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

 先日、アルプスを登ってきました。と言っても、標高3,000mを超える日本アルプスではく、鎌倉アルプスへ行ってきました。鎌倉にアルプス?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、都内近郊の日帰りハイキングコースとして人気で、雑誌などで取りあげられることも多いのです。

 スタートは北鎌倉駅より徒歩約15分「建長寺」となります。「建長寺」は北条時頼が創建したお寺で、鎌倉五山第一位と日本では最も古い禅寺です。見所が多いお寺ではありますが、今回は境内を足早に突き進むことにします。すると、人気も無くなり半増坊への参道が現れます。ここから始まる、急な階段を一気に登りきると見晴台に到着です。(写真1)

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写真1 建長寺 半僧坊への参道


 見晴台からは、先ほどいた建長寺が小さく見えます。奥には鎌倉の街並みと、さらに相模湾が見渡せます。こうして眺めると、鎌倉の街が三方を山に囲まれ、さらに前方は海という特徴的な地形を確認することができます。まさに天然の要害です。源頼朝が鎌倉に幕府を開いた理由が分かります。(写真2)

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写真2 見晴台からの眺望


 この見晴台を抜けると、いよいよ本格的な山道が始まります。結構な急斜面や岩場もありますので、基本的には登山靴で臨みたい所です。足元に気をつけながら、しばらく進んでいくと鎌倉アルプスの最高峰、標高159mの太平山山頂に辿り着きます。

 ハイキングコースのゴールは瑞泉寺となっていましたが、余力があったので、このまま八幡宮を抜けて由比ヶ浜まで向かうことにしました。八幡宮前から伸びる若宮大路は、改修されてから初めて歩きます。(写真3)

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写真3 若宮大路


 由比ヶ浜に到着して海水に触れると、山の上から海まで歩いてきたという達成感に浸ることができました。山から海へ鎌倉を縦走する今回のコース。思いのほかハードですが、自然と鎌倉の街並みを存分に楽しむことのできる贅沢なコースです。動きやすい格好で出かけてみてはいかがでしょうか。


September 2, 2016

残暑お見舞い申し上げます


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 9月に入りましたがまだまだ残暑が厳しい日が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。天候に左右され体調を崩しがちな陽気ですが、どうかお体をご自愛くださいませ。

 暑さで寝苦しかった夜が、ここのところ朝晩と少し冷え込み始め、鈴虫でしょうか虫の鳴き声を耳にします。蝉の鳴き声から秋の気配を感じる今日この頃でございます。

 今回は、秋の情緒が感じられる彩美版®をご紹介いたします。





彩美版®
酒井抱一 《月に兎》
販売価格 90,000円+税


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<仕様体裁>
原画 松岡美術館所蔵
技法 彩美版®
用紙 特製絹本
証明 原画所蔵者検印入り証書を貼付
画寸 天地80cm×左右35cm
軸寸 天地172.9cm×左右51cm
表装 三段表装
箱  柾目桐箱、タトウ付
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。




【今日の谷根千+上野界隈】

上野公園の東京都美術館では「再興第101回再興院展」東京展が開催中です。


再興第101回日本美術院展(再興院展

■会期:2016年9月1日(木)~9月16日(金)
■時間:9:30~17:30(入場は16:30まで)
    ※最終日16日の入場は13:30まで、閉会は14:30
■休館:9月5日(月)
■料金:一般900円(700円)※( )内は団体料金(10名以上)
    70歳以上の方700円
    学生以下・障害者手帳をお持ちの方と付添(1名) 無料


August 26, 2016

海が見えるレトロな電車「江ノ電」


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。気付けば8月も下旬。夜には虫の鳴き声も聴こえてきて、秋の気配が近づいてきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。残暑お見舞い申し上げます。

 さて、私は先日、テレビや映画でもお馴染みの鎌倉レトロ電車「江ノ島電鉄」に乗ってきました。地元民に限らず多くの観光客にも愛されている通称"江ノ電"は、1902年(明治35年)に開業。鎌倉駅から藤沢駅までの10キロを結ぶ(約34分)、車内から美しい海や自然の景色を眺めることのできるレトロな電車です。

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 写真は、私が「鎌倉高校前駅」で途中下車したときに撮影したものです。ちょうど夕暮れ時で、「江ノ電が走る踏切」、「穏やかに波打つ海辺」、「江の島の夕陽」をとても綺麗に撮影することができました。

 ローカル鉄道にもかかわらず、年間乗客は1,700万人にも達するとのこと。また江ノ電の駅のうち「極楽寺駅」と「鎌倉高校前駅」は『関東の駅100選』にも選定されています。その情景の美しさはもちろん、電車に揺られ"非日常を感じさせてくれる優しいひと時"が、人々を惹き付けてやまない江ノ電の魅力なのだと感じました。

 暑い夏が過ぎゆく今日この頃、きっと皆さまの心身も少しお疲れなのではと思います。そんなときは都会の喧騒を離れ、何も考えず江ノ電の心地よさに身を委ね、心癒されてみてはいかがでしょうか。


August 19, 2016

始まりの秋を探して


 いわゆる月遅れのお盆の時期(8月13日~16日)には、多くの方が夏休みを取り、帰省や家族旅行に出かけられたことでしょう。現代の感覚ですと8月は夏のイメージだと思いますが、日本古来の伝統に従えば、秋の始まる季節です。実際、二十四節季の「立秋」が8月7日(2016年の場合)ですから8月は概ね秋と言って過言ないでしょう。お盆(盂蘭盆会うらぼんえ)にしても伝統的には秋の行事とされ、俳句では秋を表わす季語とされています。そうであれば、「夏休み」と言い慣わされたお盆のお休みは、本来「秋休み」というべきなのかもしれません。

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 閑話休題。季節が巡るこの時期、訪れたばかりの秋の気配を探して田園の細道を辿る自転車の小旅行に出かけてきました。照りつける太陽の光の、身を焦がすような熱さを嫌い、しばらく足が遠のいていましたが、久しぶりに走る谷津(やつ)沿いの小路は、通い慣れているはずなのに新鮮な魅力に溢れていました。

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 谷津とは、北総地方に広く見られる台地に挟まれた細長い低湿地の地形で、江戸期まで存在した広大な内海のなごりです。古くから開墾され主に稲田(谷津田)として用いられています。谷津のほぼ中央付近には小川が流れ、台地と谷津の境目を地形に沿って曲がりくねる古道(谷津路)が走っています。谷津路沿いの台地側には点々と農村集落があり、集落の境目あたりには古い石の野仏が祭られています。いずれの仏様も今なお大切に御守りされていることが一目でわかります。

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 小川の土手など谷津田の周辺には葛や蘆、荻、野アザミなどの秋草が繁茂し、沢山のシオカラトンボが飛び回っていました。それはまるで、酒井抱一(1761~1829)が描いた《秋草図》を彷彿とさせる光景でした。

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 この日は雲間から青空が少し覗くといった曇り勝ちの天候で真夏に比べれば暑さも和らぎ、過ごしやすい一日でした。走りながら仰ぎ見れば、秋らしい巻雲が翩翻と空に浮かび、谷津田の上を数羽の白鷺が悠然と飛翔していました。重く頭を垂れて豊かに実った黄金色の稲穂は、今更ながら「豊穣の秋」という言葉を思い起こさせてくれました。お盆明けには稲刈りが行われるそうです。帰り道、農家の庭先で見つけたのは栗の木。まだ青いけれど大きな毬(いが)がたわわに実っていました。

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 秋が更に深まれば、小川沿いの谷津路は無数の昆虫たちに覆われます。それはあたかも虫たちの謝肉祭の如く、生命の最後の焔を輝かせ踊り続けるのです。その頃には、小川に沿って繁茂する荻の美しい銀色の穂波が風にそよぎ、はるか彼方まで続く光景が見られることでしょう。

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彩美版®、限定200部
上村松園 《初秋》 軸装・額装
販売価格(各)120,000円+税


<仕様体裁>
原画 古川美術館(名古屋)所蔵
監修 上村 淳之(日本画家・日本芸術院会員)
解説 古川美術館 学芸課
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り
用紙 特殊絹本
限定 200部
証明 監修者承認印・限定番号入り証書を貼付
発行 共同印刷株式会社




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■額装仕様
額装 特注木製額金泥仕上げ、しぐれ袖織りマット、アクリル付き
画寸 縦43.5cm×横53.0cm
額寸 縦63.0cm×横72.5cm
重量 約4.5kg



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shoen_shoshu_kiribox.jpg■軸装仕様
箱書 上村松園(シルクスクリーン印刷)
表装 三段表装
材料 天地:利休茶色無地
   中廻:浅葱鼠色地流水文緞子
   風帯・一文字:白茶色地唐花唐草文金襴
   軸先:新牙
   箱:柾目桐箱、タトウ付き
画寸 縦43.5cm×横53.0cm 
軸寸 縦139.0cm×横72.2cm






【監修 上村淳之(うえむらあつし)】

1933年上村松篁の子として京都に生まれる。
松園を祖母に親子三代続いての画業に進む。
現在、日本芸術院会員。京都市立芸術大学名誉教授。
上村家三代の作品を展示する松伯美術館の館長も務める。
2013年には文化功労者として顕彰された。



【古川美術館のご紹介】

 古川美術館は、初代館長古川為三郎が長年にわたって収集し大切にしてきた美術品を、「私蔵することなく広く皆様に楽しんでいただきたい」という想いからその寄付を受け、平成3年11月に開館しました。
 所蔵品は2,800点にのぼり、美人画、花鳥画などの近代日本画を中心として、油彩画、陶磁器、工芸品、また西洋中世の彩飾写本など、多岐にわたります。現在は所蔵品を中心とした企画展示を行うとともに、美術講演会やワークショップなど、幅広い活動をしています。
 また、分館として初代館長が愛した数寄屋建築の居宅を、平成7年より公開、様々な企画を開催しています。

名古屋市千種区池下町2丁目50番地
ホームページ:http://www.furukawa-museum.or.jp/
お問い合わせ:052-763-1991


※古川美術館についてはこちらの過去記事もご参照ください。
なお記事中でご紹介した企画展は、既に終了しております。開催中及び今後開催の展覧会につきましては美術館のホームページにてご確認くだるようお願い申し上げます。


夏の出張、西から北へ美術館めぐり(2015年7月24日)
古川美術館vol.1 「大観・玉堂・龍子 三巨匠展」(2007年11月28日)
古川美術館vol.2 「茶の湯 インテリアデザイナー内田繁の世界」(2007年11月30日)
古川美術館vol.3 "おもてなしの心"(2007年12月3日)


August 5, 2016

九州で「東山魁夷展」を見る


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。8月に入り暑さも佳境に入りました、連日の30度超えで、筆者も体調管理に四苦八苦しております。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。熱中症にも十分お気をつけ下さい。

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 さて私は先日、福岡太宰府にある九州国立博物館で「東山魁夷 自然と人、そして町」展を鑑賞してまいりました。会場に着いて先ず何よりも驚いたのは博物館のユニークな形状。波打つ屋根に総ガラス貼りの先鋭的なデザインです。真横から見ると鳥の頭のようなところが入口になっており、中に入るとそこは吹き抜けの心地よいアトリウム空間となっております。圧倒されました。見事です。設計は福岡県久留米市出身の菊竹清訓(1928-2011)。黒川紀章らとメタボリズムを先導したモダニズムの建築家です。今はなき上野不忍池ほとりの奇想のホテル(ホテルCOSIMA)の設計者といえば、東京にお住まいの方で思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは樅の木の形状の高層ホテルで当時流行りのガンダムを思わせる斬新すぎる建造物でした・・・

 閑話休題。2012年の北海道・宮城県巡回展以来の大レトロスペクティブと位置付けられる本展覧会は、東山魁夷(1908-1999)の画業の変遷を代表作でたどるとともに、東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺御影堂障壁画全68面」を特別展示するという必見の展覧会です。制作に10年を要したという画伯入魂の唐招提寺の障壁画は、ほぼ70メートルにも及ぶという長大なものであり、唐招提寺の開祖、鑑真和上の苦難の足跡になぞらえ中国や日本の壮大な自然を、抒情と幻想を内に秘めた静謐な風景として見事に描き切っています。地元奈良でも一年に数日間しか公開されないという記念碑的な作品群を、間近に鑑賞できるのはまことに貴重な機会といえましょう。国民的画家と謳われた東山魁夷の名作がずらりと並ぶ充実の展覧会には九州だけでも15万人の来場者が見込まれているとのこと。真夏の暑い盛りではありますが、皆さまも東山芸術の神髄に触れこころ豊かな気分に浸ってみてはいかがでしょうか。

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 そして実は共同印刷が制作した東山作品の複製絵画が地元福岡の弊社代理店の協力の下、会場出口で販売されております。展覧会メイン・ビジュアルの「緑響く」や「行く秋」「静映」などの彩美版®プレミアム作品が出口右横の販売スペースに飾られ、東山芸術の感動を胸にした大勢のお客様にお立ち寄りいただいております。弊社の彩美版®プレミアムは東山魁夷の美しい風景をさらに魅力的に鑑賞していただける新感覚の美術工芸技法です。ご興味のある方は展覧会場に足をお運びの際、是非ご覧になってみて下さい。



【特別展「東山魁夷 自然と人、そして町」】

会場 九州国立博物館
   福岡県太宰府市石坂4-7-2
会期 2016年8月28日(日)まで。月曜休館(祝日を除く)
時間 9:30~17:00
※巡回展:2016年9月17日(土)-10月30日(日) 広島県立美術館






【弊社新作のご案内】

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東山魁夷 マスターピース コレクション™
東山魁夷 《 行く秋 》

販売価格 500,000円+税
限定350部発行



<仕様体裁>
監修 東山すみ
解説 松本 猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
原画 長野県信濃美術館 東山魁夷館所蔵
技法 彩美版®プレミアム
額縁 特注銀泥木製額プラチナカラー ハンドメイド浮き出し加工
画寸 天地45.9×左右65.2㎝(15号)
額寸 天地63.9×左右83.2×厚さ3.7㎝
重量 約5.3㎏
発行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


July 29, 2016

「『尋常小学算術』と多田北烏」を読んで


 いつも美術趣味をご覧頂きありがとうございます。

 手前みそですが、印刷愛がわいた本をご紹介いたします。

 今回、タイトルにあります本「『尋常小学算術』と多田北烏-学びはじめの算数教科書のデザイン-(発行:風間書房2014年2月)」にて、昭和の美しい教科書と多田北烏ついて知り、印刷というひとつの表現技法にとても愛着がわいてしまいました!

 多田北烏(ただ ほくう)は、資料が少ないゆえにあまり情報を知られていない存在ではありますが、美術出版の先駆者として昭和に活躍した美術家でした。
 北烏がデザイナーでありアートディレクターを務めた教科書、「尋常小学算術」は、1935年から1940年(昭和10年から昭和15年)にかけて使われた
低学年向けの初めての児童用教科書で国語に続いて初めてカラー印刷されたものだそうです。

 とにかくこちらの美しい画像をご覧ください。

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(画像4点 巻頭のカラー資料より転載)


 画像にある通り、とても教科書とは思えないほど情緒的なのです。

 なぜこのように美しいのか。

 弟子の風間四郎の言葉によると(当時の共同印刷の製版者)
 「印刷で効果が上がる原画、印刷しやすい原画」を目指したからだということです。

「挿絵画家として著名になっても、なおタブロー画家として認められようと、苦悶した画家も多かった。北烏が個人所有となるタブローよりも、庶民の生活を彩る美術、労働者との共同意識を重視したのは、当時としては特異な態度であったが、その原点となる背景は後述することにする。」(p.92より抜粋)

 とあるように、北烏は、単なる原画作家ではなく、印刷方法の原理を理解し、方法を指示したり、画家と印刷技術者との共同の芸術としてとらえていたという事でした。
 印刷で表現しきれないものは初めから描かなかった、ということです。
 まるで浮世絵版画の絵師のようです。
 戦前、デザイナーにとって印刷はまさしく表現だったことがうかがえる内容でした。

 また北烏の芸術観は現代美術の範囲に及んでいます。
 「元来私は従来の絵の具のみが絵画の永久な表現形式では決してない、将来吾々の感度がいよいよ高まり益々複雑になって来ると、更に更に変った形式が発明され、要求されて来ると思いますが、そうした場合の一形式として、此の物で描くという方法が盛んになるかと思うのです。
 例えば音で描く、光で描く、物で描く、これはまだ少し漠然としていますが空間に描く、或いは言葉で描く、或いはこれ等のものを綜合して描く、というようなものです。」(p.94より抜粋)

 この時代、北烏が語っている芸術論にも感銘を受けました!



<出典>

『尋常小学算術』と多田北烏
-学びはじめの算数教科書のデザイン-

著者: 上垣渉、阿部紀子 著
発行: 風間書房(2014/02/20)
定価: 本体7,000円+税
ISBN: 978-4-7599-2020-8


※本稿中の引用・転載につきましては、著者様と発行元様の御許可をいただいております。
謝して御礼申し上げます。


July 25, 2016

神楽坂界隈で川合玉堂を思う


 こんにちは。なかなか梅雨の明けない関東ですが、暑い夏はもうすぐですね。
 今週末は神楽坂のお祭りです。今年は7月27日から二日間がほおずき市、29日からの二日間が阿波踊りの日程で、毘沙門天を中心に一年のうちでも大変賑やかな数日間を迎えます。


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 ちょっと散歩に出かければ、あちこちでお祭りの準備をしており、こちらもウキウキした気分になってきます。


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 さてそんな神楽坂界隈は、かつて矢来町(やらいちょう)といえば鏑木清方 、若宮町(わかみやちょう)といえば川合玉堂のことを指し、他にも新小川町は藤田嗣治誕生の地であったりと、近代日本画の巨匠たちにもゆかりの地であったりします。
 川合玉堂は自然の中に暮らす人々の生活を数多く描き、個人的には晩年の住まいもあった奥多摩の人、というイメージが強いのですが、実は東京・牛込若宮町(現在の新宿区若宮町)に画業70年のおよそ半分以上となる40年余りも暮らしていました。
 周囲は、歌舞伎の中村吉衛門をはじめ由緒ある家が並ぶ屋敷町だったそうですが、この界隈は現在でも、賑わう神楽坂にほど近いところにありながら、大変静かな高級住宅地となっています。
 長流閣と呼ばれた玉堂邸は、東京大空襲で焼失してしまいましたが、とても立派なお屋敷だったようで、《行く春》や《紅白梅》、《彩雨》などの名作もここで描かれたのかと思うと、もし残っていれば...と残念です。

 日本画家ゆかりの神楽坂界隈、この週末はお祭りと散策にお出かけされてはいかがでしょうか。



彩美版®
川合玉堂 《三保富嶽之図》 軸装・額装
販売価格(各) 90,000円+税

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<仕様体裁>
 技 法 彩美版®
 用 紙 特製絹本
 監修及び原画所蔵 玉堂美術館
 証 明 監修者検印入り証紙を貼付
 解 説 小澤萬里子(玉堂美術館館長)
【額装】
 額 縁 赤松材使用特製木製額(国産、ハンドメイド)
 画 寸 天地28.2×左右45.2cm
 額 寸 天地44.1×左右69cm
 重 量 約2.2kg
 付属品 黄布袋、吊紐
【軸装】
 表 装 三段表装(国産、ハンドメイド)
 画 寸 天地28.4×左右45.3cm
 軸 寸 天地117.9×左右64.6cm
 収 納 柾目桐箱、タトウ入り

July 15, 2016

ひとときの造形美


 5月にご紹介したさきたま古墳公園に続き、7月の梅雨の晴れ間に、同じ行田市の「古代蓮の里」を訪れました。

 日曜日の朝8時前に着いたのですが、公園の通常駐車場はいっぱいで、隣の臨時駐車場に案内されました。園内に入ると、極めて静かなのに既にたくさんの人々がカメラを手に集まっています。私自身初めて見る、ピンクの蓮の花が一面に咲き誇る壮観な蓮池でした。蓮の開花時間は午前6時頃からで、7時~9時頃が満開だそうです。いずれの花も大きく美しい彩りで端正な姿を誇示していました。

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 ただ、よく見ると、つぼみの状態もあれば、散りかけている花もあります。大して蓮に関心を持っていなかった私は、古代蓮会館の展示を観覧して初めて蓮の花の命が4日間であると知りました。何日目の花なのかによって、開花の状態が変わっているということでした。自然が作るひとときの美。そして連綿とつながっていく命のサイクル。殊に行田蓮と呼ばれる古代蓮は、原始的な形態をもつ1400~3000年前の蓮と言われ、偶然現代に蘇り命を宿し続けています。

 思いがけず蓮に魅了されたのですが、真にここを訪れた目的は、先ほどの古代蓮会館の展望台に上がることです。そこへ上がるにも整理券が配られ、1時間ほど館内を観て待ちました。ようやくエレベーターに乗り展望台へ到着。人々は一角を見下ろして皆感嘆の声をあげています。昨年ギネスに登録された世界一大きい田んぼアートの2016年版が見ごろを迎えたのです。

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 水田をキャンバスに、様々な種類の稲を絵具として、巨大なドラゴンが目を惹く絵柄が描かれていました。今年30周年を迎える人気ゲームシリーズ「ドラゴンクエスト」がテーマで、「勇者・ドラゴン・スライム」それに「古代蓮」を加えたオリジナルデザインとなっています。色彩はまだこれから濃くなっていくそうですが、前年の写真に比べ、鮮やかな黄色が一層目立ち、カラフルな印象を受けます。

 田植えは一般体験・ボランティア合わせ延べ約1500人が参加し、6月に2日間で行われたとのこと。館内に展示されている、細かい升目に緻密に引かれた作画のラインとおびただしい数のポイントの設計図を見ると頭が痛くなりそうでした。

 地上で見ると色の模様はわかるものの、具象性は認識できません。結構な重労働だったのではと、ますます作業の苦労と疲労に感情移入してしまいました。しかし計算通り絵柄が現れた時の喜びは、作業した皆さんにとって極上のものなのでしょう。

 田んぼアートの見ごろは7月中旬~10月中旬(色彩のピークは7月中旬~8月中旬)です。こちらも限られた命の造形。自然とのコラボレーションによるひとときのアートです。ぼんやりと万物の無常を意識した暑い一日でした。



【古代蓮の里】

住所 埼玉県行田市小針2375番地1
電話 048-559-0770

○公園は年間終日開園・休業日なし
○古代蓮会館
営業時間:通常期 9時~16時30分
     6月下旬~8月上旬 7時~16時30分
休業日: 通常期 月曜日(祝日は営業)、
     祝日の翌日(土・日曜日の場合は営業)
     6月下旬~8月上旬 なし
入場料: 大人(高校生以上) 個人400円(団体320円)
     子供(小・中学生) 個人200円(団体160円)


プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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