October 20, 2017

ささやかな癒しの場所

暑さと寒さが競い合うような煮え切らない気候が続く中、久しぶりにカフェギャラリーを訪ねてみたくなり、かねてより気になっていた、さいたま市見沼にある古民家タイプのカフェに行ってみることにしました。


国道から一般道に入り、見沼の田んぼが連なる情景の中、あぜ道のように細い道を入っていくと車がいくつも止まっている行き止まりの場所に辿り着きました。café&gallery 温々(ぬくぬく)というお店です。建物は170年前の古い納屋を改築し、カフェとギャラリーのスペースに生まれ変わらせたもので、お店自体既に二十数年の歴史があるそうです。

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店内はちょうどお昼時ということもあり、食事と歓談を愉しむ人々で賑わっていました。豊かな雑木林に面した全面ガラス窓、古い造りを活かした梁がむき出しの天井、様々な陶器が置かれた棚、ガラス器や種々のお土産が置かれたスペースなど、こんな田んぼの中で?と思うほど、お洒落な印象の内装で、賑わいを見ても人気スポットであることを伺わせます。

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2週間ごとに展示替えするというギャラリースペースも土壁風の味わいがある、落ち着いた雰囲気です。この日は「しもゆきこ木版画展」が開催されていました。寺田寅彦の短文集「柿の種」をテーマにした作品ですが、しも先生はかつて「まんが日本昔ばなし」の作画をされ、その飄々とした温もりが木版画にも息づいています。ご本人も在廊し、毎年今頃にここで作品展を行っており、もう20年以上になるということでした。
私はカウンター席に座り、ヘルシーさが際立つ雑穀米善とコーヒー(まろやか)をいただきました。帰り際、この不思議な場の雰囲気をまた味わいたいと感じ、繰り返しいらっしゃるお客さんも多いのだろうと思いました。

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帰り道の途中に「市民の森・見沼グリーンセンター」という公園があるようで、何の予備知識もないまま、ちょっと立ち寄ってみました。駐車場は満車状態で意外な人気に戸惑いながら何とか駐めて、園内を散策しました。結構広いようで、全体を見て回ることはできませんでしたが、広々としたのどかな芝生広場、会議室や農産物直売所などのある本館等に特徴があるのだと思いつつ、温室らしき建物は改修中で廃墟状態、その近くのリス飼育舎もこじんまりしてトホホという印象でした。
しかし東へ歩いていくと「子リスのトトちゃん」の像が建つ「りすの家」という施設があり、どんなものかと、小さな子を連れた家族たちに混じって入ってみました。すると思いがけずこの空間に気持ちが惹き込まれました。

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中は大きなネットで囲われた野外のフィールドで、順路を歩いていきますが、リスたちが遊べるように木材や草花が配置され、所々に屋根付きの小さな餌場が置かれています。何匹ものリスたちは自由に生き生きと駆け回り、檻などで隔てられることなく目の前で眺めることができます。足元を横切ったりするので、踏んでしまわないか不安ですが。(触ることは禁じられています。)結構長い時間見て回り、帰路に就くことにしました。
「カフェギャラリー・温々」も和みの場所ではありましたが、間近に見るリスたちの仕草に、よりぬくぬくした癒しを感じてしまうのは予想外でした。


■café&gallery 温々(ぬくぬく)
 さいたま市見沼区丸ケ崎1856   TEL 048-686-3620
 営業時間10時30分~20時(満月の日~21時)
 満月の日は17:00より通常のメニューにないアルコールアラカルトあり。
 定休日 月曜(祝祭日の場合は翌日)
■市民の森・見沼グリーンセンター
 さいたま市北区見沼2-94   TEL 048-664-5915
 開門時間 市民の森:4月から9月 8時30分~18時  10月から3月 8時30分~17時
         りすの家:10時~16時
 定休日 市民の森 年末年始
       りすの家 月曜(祝祭日の場合は翌日) 

October 12, 2017

芸術の秋と、東山魁夷「行く秋」

いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

現在、千代田区北の丸公園にある東京国立近代美術館で所蔵作品展「MOMATコレクション」(~11月5日まで)が開催されています。この展覧会は同美術館の幅広い収蔵作品の魅力が一堂に集まり、とても見応えがあります。中でも見どころは、同館で多数所蔵している東山魁夷の作品17点を同時に展示している事です。人気の作家なので貸し出しが多く、まとめて展示される機会はなかなかないようです。風景画家として立つことを決意した「残照」、教科書などにも出てなじみ深い「道」など、素晴らしい作品が壁面を彩ります。秋の深まり行くこれからの季節、皇居の散策なども含め見に行かれてはいかがでしょうか。
さて秋と東山魁夷と言えば、当社にも素晴らしい作品がございます。東山魁夷 マスターピース コレクションTM「行く秋」です。画面全体、黄葉に彩られた輝くような秋の景色。東山魁夷はこの作品についてこう述べています。
「秋深い林の中を落葉を踏んで歩く。
楓の黄葉が地上に織り上げた金色のタペストリー。
行く秋は淋しいと誰が言ったのか。
私が見出したのは、荘重で華麗な自然の生命の燃焼である。」
魁夷の自然に対する気迫ある姿勢が感じ取れます。

残念ながら本作品は「MOMATコレクション」には展示されていませんので、当社の商品画像でお楽しみください。なお2018年1月2日からは、八王子にある東京富士美術館で「東京富士美術館開館35周年記念 東山魁夷展─長野県信濃美術館東山魁夷館所蔵品による」が開催されます。同展覧会では、現在改修中の長野県信濃美術館 東山魁夷館の所蔵作品が多数展示されます。是非この機会に足をお運びになってはいかがでしょうか。


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東山魁夷 マスターピース コレクションTM 「行く秋」
原画所蔵:長野県信濃美術館 東山魁夷館
監修:東山すみ
販売価格 500,000円+税
<仕様体裁>
技法:彩美版®プレミアム
限定部数:350部
額縁:特注銀泥プラチナカラー木製額・ハンドメイド浮き出し加工
画寸法:459×652mm
額寸法:636×832mm
重量:約5.3Kg
高精度プリントに高級アクリルガラスを貼合したモダンな仕様です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
共同印刷株式会社 アート&カルチャー部
お電話03-3817-2290(土日祝は除く平日10:00~17:00)

October 5, 2017

山奥の巨大要塞


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トロリーバスに揺られながら向かうと、山奥に突如現れる巨大な建造物に圧倒されました。日本最大級のダムであり、放水シーンで有名な「黒部ダム」は、まさにコンクリートの塊。その全容はさながら、要塞のようでした。

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黒部ダムは北アルプスの山間部に、昭和31年から建設が始まり、当時の金額で513億の巨費が投じられ、延べ1,000万人もの人手により、7年の歳月を経て完成しました。高さ186mは日本一を誇り、そのスケールの大きさと困難さから「世紀の大工事」と語り継がれています。中でも破砕帯との格闘は石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」に描かれた事でも有名です。そして今年は「破砕帯突破60周年」を迎え、現地では当時の工事について記念展示がされています。

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破砕帯とは、岩盤の中で岩が細かく砕け、その隙間に地下水を大量に含んだ地層をいいます。ダム建設のためにトンネル工事は不可避でした。そして、順調に工程が進む中この「破砕帯」にぶつかってしまったのです。破砕帯の長さは、約80メートル程しかありませんでしたが、次から次へと溢れ出てくる水の影響で、工事は困難を極めました。トンネル工事の最難関箇所と言われ、多数の死者がでました。しかし、この破砕帯を突破しなければダムは完成しません。現場作業員は、持てる知識と知恵・経験を結集し、7ヶ月の苦闘の末に突破したのです

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そして現在、観光地として賑わうことになった黒部ダムの最大の見所は、日本一を誇る高さからの「放水」でしょう。「ゴーッ」という水しぶきをあげながら、毎秒10トン以上の水が一気に放水されている様子は圧巻です。天気の良い日は、水しぶきで虹がかかることもあるそうです。


September 29, 2017

感謝の気持ちを忘れずに。。。

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台風一過で空気が秋の気配に変わり、少しづつ涼しさが深まってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。この様な陽気で体を冷やしたりして風邪をひいたりとしがちですが、どうかお体をご自愛くださいませ。

 
秋のお彼岸に入り入りました。お墓参りをしてご先祖様達の墓前に心静かに手を合わせると、なぜか心がやすらかになれます。お花やお線香、お供えと先祖を敬い、故人を偲ぶ気持ちは、とても大切なことだと思います。また、こういった場で家族間のコミュニケートをはかるのもとても良い機会なのではないでしょうか。普段なかなか都合がつかず足が遠のいてしまいがちですが、私も時間を見つけてお墓参りに行こうと思います。ご先祖様を敬い、家族に感謝して、あたたかい気持ちを大事にしていきたいものです。

 今回は、私のお気に入りの逸品をご紹介いたします。



版画 伊藤髟耳 《家族》
販売価格 150,000円+税


日本美術院同人の伊藤髟耳(ほうじ)先生にお願いして、再興第87回院展作品集の表紙画をもとに版画を制作していただきました。
ほんの短い、ささやかな言葉のやりとりの中のに芽生えるあたたかな気持ちを、身近にいる「家族」に感じ、手で創られる郷土土人形のぬくもりを、手の中で感じ取られたそうです。
ひとつひとつ先生御自身が丁寧に手彩色を入れて下さいました。
伊藤先生のお人柄を反映し、暖かく穏やかな気持ちにさせてくれるまさに「特別な」作品です。


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<仕様体裁>
技法 彩美版(R)、シルクスクリーン、画家自身による手彩色(岩絵具、金泥)
用紙 版画用紙
限定 100部(作者直筆サイン、落款印入り)
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
画寸 天地35.5×左右37cm
額寸 天地55.5×左右55.7cm
重量 約2.5kg




September 22, 2017

秋の気配が暮らしを彩ってまいりました


 爽涼の候、澄んだ青空に心洗われ、少しずつ早まる日暮れとともに虫の音が心地よい季節がやってまいりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 この季節の移ろいは、日増しに五感が優れてくるような気配すら感じます。

  【 視 覚 】
    【 触 覚 】
      【 嗅 覚 】
        【 味 覚 】
          【 聴 覚 】

...と文学的なことを言っておきながら、結局のところ私が気づく事と言えば、身近なスーパーの果物売場の盛り沢山さ、食欲をそそるとても色鮮やかなこと。

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 まさに、「天高く馬肥ゆる秋(空は澄み渡って晴れ、馬が食欲を増し、肥えてたくましくなる秋)」ですね。

 さて、果物は古代から豊穣のシンボルとして、また愛情のしるしとして美術のさまざまな場面で描かれてきました。静物画のモチーフとしても時代や国を超えて多くの作品に描かれており、身近なものとして親しまれてきました。

 19世紀末、セザンヌは「静物画のモチーフは果物がよい」として、リンゴを好んで描いたそうです。リンゴの形や重さといった「物質としての存在感」を表現するために、テーブルクロスや花瓶などを同じ画面上に置き、果物の瑞々しさと無機質な素材とを描き分けるなど絶妙なバランスを配し、その制作姿勢は後の画家たちへ大きな影響を与えました。

 また、印象派の画家たちは、果物を描くことで、キャンバスを通じて自然界の光を屋内に持ち込むといった願いを抱いていたとも言われています。

 そこはかとなく秋の気配が感じられる今日この頃、文学的・芸術的な思考を巡らせながらも、皆さまの日常にある秋色=ご近所にあるスーパーの果物売場を散策し、五感で楽しく味わって頂ければ幸いです。

September 15, 2017

ローカル線で行く芸術の里、中房総いちはらの旅


 「ローカル線」という言葉にノスタルジーを感じるのは私一人ではないでしょう。多くの人にとって鉄道は、忘れ得ぬさまざまな想い出の場面にその背景として登場することでしょう。想い出が一杯詰まった鉄路とローカル線はイメージのなかで重ね合わされそれが郷愁として意識されるのでしょうか。故郷のローカル線はある意味人生そのものと言えるかもしれませんね。
 地方のローカル線は合理化のため次々と廃線となっています。私が幼いころ通学に利用していた片田舎の鉄道もはるか以前に廃されバスに取って代わりました。私の故郷の鉄路は既に想い出の中にしか存在しません。もう一度乗ってみたいと願ってもそれは叶わないのです。しかし、今も営業を続けるローカル線の旅を通じ、疑似的ではありますがその思いを叶えることは可能でしょう。鉄道ファンならずともローカル線に魅力を感じるのは、こうしたことも理由のひとつかもしれません。夏も終わりの週末、私は東京近郊のローカル線・小湊鐵道を利用した小旅行に出かけてきました。写真を交えて簡単にご紹介させていただきます。


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小湊鐵道五井機関区


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五井駅


 房総半島すなわち千葉県のほぼ中央部に位置する市原市内を南北に貫く小湊鐵道は、関東地方のローカル線の代表格と言えるでしょう。近年、沿線の風景の美しさや鉄道施設のノスタルジックな魅力に加え首都圏から日帰り可能な利便性が評価されマスコミに取り上げられることが多くなり、知名度も高まっています。創業は1917年(大正6年)ですから、今年100年を迎えました。
 東京湾沿岸部にありJR内房線と接続する五井駅を起点とし、山間部の上総中野駅を終点とする片道39.1kmの路線は、養老川と併行するように走り、車窓から眺める美しく穏やかな田園風景はこの路線の魅力のひとつです。ことに養老渓谷の眺めはそのハイライトと言えるでしょう。小湊鐵道の魅力は多くの表現者の心を捉え、写真や映像作品に取り上げられています。また、鉄道をテーマにした作品で知られる日本美術院同人の小田野尚之画伯はしばしば小湊鐵道に取材した作品を発表されています。(第66回春の院展「定刻着」ほか)


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月崎駅


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緑のトンネル


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トロッコ列車


 同鉄道は全線単線で電化されておらず、基本的には気動車(ディーゼル車)の1両または2両編成で運行されています。このほか開業当時使用していた蒸気機関車そっくりに仕立てられたディーゼル機関車が牽引する観光むけの里山トロッコ列車が平日上り下り各2本、土日祝日各3本運行されています。開業は1925年(大正14年)、まず五井~里見間での運行が始まり、終点上総中野までの全線が開通したのは1928年(昭和3年)です。当初計画では、日蓮上人ゆかりの誕生寺がある外房の小湊まで延伸する予定でした。小湊鐵道という社名はその名残です。駅舎など多数の施設が開業当初からのもので、簡素な造りながら古典的美しさを保っています。2016年(平成28年)、文部科学省文化審議会により同社の22施設を国の登録有形文化財へ登録する答申がなされ、今年5月に正式登録となりました。


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登録有形文化財案内板


 小湊鐵道沿線の観光としては養老渓谷と養老温泉が代表的ですが、近年では市原市が主催する中房総国際芸術祭「いちはらアート×ミックス」という現代アートのイベントが注目されています。この芸術祭は、東京近郊のベッドタウンとして開発が進み人口が急増する市北部と対照的に緑豊かな自然や里山が残る一方深刻な過疎化が進行する市南部地域の活性化をアートの力を借りて行うべくスタートしました。いわゆるアートによる「まちおこし」のひとつと言えます。第1回は2014に開催され、今年第2回目が4月から5月にかけて開催されました。特徴のひとつは、小湊鐵道沿線に点在する、廃校となった小中学校校舎や里山そのものを作品展示会場とすることです。人々が暮らす地域ごとにアートの拠点を構え、文化活動によるまちづくりを行うことがうたわれています。また、個々の地域を貫く地域の交通の要である小湊鐵道の活用ももうひとつの重要なポイントとされています。地域間の移動手段であるばかりでなく、駅舎などの施設そのものも活用されています。
 上記の通り今年のイベントは5月に終了してしまいましたが、そこかしこにイベントの活気の名残のようなものが感じられました。途中下車した月崎駅には、木村崇人氏による作品「森ラジオ ステーション」がありました。小湊鐵道でかつて使われていた詰所小屋を植物で覆い、いささか陳腐な表現ではありますが、「となりのトトロ」などジブリアニメのワンシーンを彷彿とさせる幻想的空間を具現化しています。


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木村崇人「森ラジオ ステーション」


 月崎駅から五井方面に三駅戻った高滝駅の近くには、養老川をダムで堰き止めた高滝湖がありその湖畔に市原湖畔美術館が建っています。「いちはらアート×ミックス」開催にあわせて既存の展示施設「水と彫刻の丘」(1995年開館)をリノベーションし2013年再オープンしたもので、数少ない公立現代美術館のひとつとして知られます。「いちはらアート×ミックス」の主要会場のひとつであるほか、年5回ほどの企画展を開催しています。現在は音楽の一ジャンルで、若者に人気のラップ・ミュージックを取り上げた「ラップ・ミュージアム展」を開催中です。


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高滝湖と市原湖畔美術館


 ラップ・ミュージックをご存じない方のために、かいつまんでご説明しますと、一般的な音楽が音階による旋律(メロディ)を主体とするところ、韻を踏む歌詞とリズムが最も重要な構成要素であるところに特徴があります。リズムに合わせて詩を朗読するイメージと言えば少しはご理解いただけるかもしれませんね、私は正直なところラップそのものには余り興味がなく、予備知識も持ち合わせていなかったのですが、音楽をテーマにしたアート展示がいかなるものか興味がもたれて覗いてみました。拙い私の文章で読者の皆様にご理解いただけるかどうかわかりませんが、特殊な電子装置を用いたリズムと言葉の緊密な関連性をビジュアル的に表わす展示を通し、作者それぞれのユニークなリズムと韻を踏む歌詞の連鎖が、あたかも和歌のように、練り上げられた計算に基づく美しい精緻な構造を形作っていることを知りました。また日本のラップ・ミュージックが既に30年近い歴史を持つことにも驚きました。少なくともこの企画展は私にとって、多少なりともラップを理解する手掛かりとなり、少なからぬ興味を持つきっかけとなったことは確かです。喰わず嫌いよりまずはチャレンジですね。


 ご紹介してきました小湊鐵道とその沿線ですが、実はこれからの季節、秋がお勧めです。田園地帯の黄金色の実りや紅葉の美しさは千葉県内でも一、二を争う魅力です。ことに、養老渓谷の紅葉はお勧めです。
JR東京駅から五井駅(JR内房線)まで片道約1時間、小湊鐵道・五井駅から終点・上総中野までは1時間余り。上総中野駅でいすみ鉄道に乗りかえれば、外房の大原まで抜けることができます。この秋、ローカル線の旅に出かけてみませんか。


※小湊鐵道やいすみ鉄道は一日の運行本数が少ないため、事前に時刻表をよくお確かめの上お出かけください。




【市原湖畔美術館】
<基本情報>
所在:千葉県市原市不入75-1
電話:0436-98-1525
開館:(平日)10:00 - 17:00
(土・祝前日)9:30 - 19:00
  (日・祝)9:30 - 18:00
休館:月曜(祝日の場合は、翌平日)、年末年始


<開催中の企画展>
ラップ・ミュージアム RAP MUSEUM
開催期間:8月11日~9月24日
入場料:料金:一般800(700)円
 大高生・シニア(65歳以上)600(500)円。
 ()内は20 名以上の団体料金。
 中学生以下・障害者手帳をお持ちの方とその介添者(1 名)は無料。

September 7, 2017

●芸術の秋-到来

いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。9月に入り日も短くなってきて、幾分秋めいてまいりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて上野の東京都美術館では今年も恒例の「再興第102回 院展」が開催されております。
皆さまご存知の通り「院展」とは「日本美術院展覧会」、公益財団法人日本美術院が主催運営する歴史ある日本画の公募展です。

日本美術院は明治31年(1898年)に日本近代絵画の創始者・岡倉天心が主導し、横山大観、下村観山、菱田春草らの若き弟子たちにより設立されました。時代の先覚者として日本美術院の掲げた高邁な理想は、近代日本画の成立と発展に大きな役割を果たしました。

時運に恵まれず、一時経済的に困窮し雌伏の時代を過ごしましたが、岡倉天心没後の翌年、今から百年ほど前の大正3年(1914年)に、師の意志を継ぐべく横山大観らが中心となり、日本美術院が再興されました。さらにその年の秋には記念すべき「再興第一回展覧会」が開かれました。

以後、再興院展は毎年一回秋期に作品を公募し展覧会を開き続けております。102回を迎える本年も理事長の田渕俊夫画伯をはじめとした同人(どうにん)の先生方32名の力強い作品と、厳しい審査を経て選ばれた270名近くのフレッシュな入選作が一同に会し、充実した内容の展覧会をご覧いただくことができます。日本画の大家から期待の若手作家まで、その最新作が一同に並ぶことで、最新の日本画の創造力、革新性をうかがい知ることもできます。

「再興第102回 院展」は例年通り、来年の6月まで日本全国を巡回いたします。日本画壇の中心となり、常に美術界を先導してきた伝統ある「院展」に皆様もぜひ足をお運び下さい。


【展覧会情報】
「再興第102回 院展」
会場 東京都美術館
会期 9月17日(日)まで
時間 9:30~16:30 (最終日は正午入場まで)

※以後全国巡回9~18年6月 京都、大阪、島根(東)、山形、名古屋、
岡山、広島、宇都宮、横浜、北九州、島根(西)、福井



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そして一方、竹橋の東京国立近代美術館では常設展・MOMATコレクションにおいていよいよ東山魁夷特集が行われます。来年に予定されている魁夷生誕110周年の記念展が今から待ち遠しいところですが、ファンの渇望を癒す絶好の企画といえましょう。

ご存知のように東京国立近代美術館には魁夷より直接寄贈されたキラ星のような名作が多数所蔵されております。風景画家として立つことを決意した「残照」、画家として世間に広く人認知された「道」をはじめ、「秋翳」「冬華」「晩照」「青響」などその名作の数々は実に枚挙に暇がありません。人気作家ゆえ作品が他館に貸し出されることも多く、今回のように本制作の所蔵作品17点が一堂に会する展示は非常に稀な機会とのことであります。

芸術の秋の到来を迎え、皆さまもどうぞご案内の貴重な展示に足をお運びいただき、≪国民的画家≫と称賛を受ける東山芸術の真髄をぜひ心よりご堪能下さい。



【展覧会情報】
MOMATコレクション「東山魁夷特集」
会場 東京国立近代美術館
会期 9月12日~11月5日まで
時間 10:00~17:00 (金曜・土曜は20時まで)

September 1, 2017

【新作のご紹介】彩美版® ゴッホ「夾竹桃」


いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

ヒマワリも首を垂れるほどの炎暑の日々を越え、8月ももう終わりとなる暮夏の時期、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度彩美版®にて、ポスト印象派巨匠ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「夾竹桃(きょうちくとう)」
の販売を開始いたします。

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37歳で生涯を終えたゴッホが、画家を志したのは27歳、本格的に絵を描いていた時期は非常に短かったといえます。
「夾竹桃」は、1888年、ゴッホ35歳の時、ゴーギャンら印象派の画家たちとの共同生活を夢見た南仏の地、アルルにて描かれました。
少年時代より花を愛していたゴッホですが、アルル時代、花を題材にした作品は意外にも少なく、その意味で本作は非常に稀少な作品といえます。

ゴッホにとって夾竹桃の花は愛や希望を象徴するかのような特別な花だったことが様々な書簡から推測されます。


「夾竹桃、ああ、それは愛を語り、
ピュヴィ・ド・シャバンヌが描いた、
海辺に女性たちがいるレスボス島のように美しい」


ゴッホが弟テオへ宛てた手紙の中で、こんなにも華麗に形容されております。

今年はメトロポリタン美術館所蔵「夾竹桃」が日本に初来日し、各地展覧会で鑑賞することができます!
また秋には、ゴッホの手紙をテーマにゴッホの絵画に描かれた登場人物などが動画でみられる「油絵アニメ」が映画館で公開されるようですので楽しみです。

"ゴッホ"、改めて大注目です!!!
ゴッホの力強いタッチと南仏の日差しが感じられる鮮やかな色彩を、ぜひ当社彩美版®でお楽しみください。


ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 《 夾竹桃 》
Vincent VAN GOGH / Les Lauriers Roses
販売価格 115,000円+税

額寸法 557×660㎜ 約3.5キロ
監修 千足 伸之
気品ある木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド仕上げ)に収め、
200部限定でご用意しております。

ぜひお気軽にお問い合わせください。
共同印刷株式会社
アート&カルチャー部
03-3817-2290

August 25, 2017

身近なもののけ伝説



 強い日差しとどんよりした雨雲が不規則に入れ替わる怪しい天候の続く中、桶川市にある、さいたま文学館で開催中の「さいたまの妖怪」という企画展を観に行きました。(7月22日(土)から9月10日(日)まで開催)

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 展示会では、古くは平安時代の今昔物語の記載や鎌倉時代の絵巻物などに描かれた妖怪図をはじめ、江戸時代も葛飾北斎「北斎漫画」の鬼のスケッチや河鍋暁斎の百鬼夜行をモチーフにした「百鬼書談」、利根川図誌の生々しい「河童」の図などが紹介されています。 
 妖怪とは、古来、理解できない現象や病気、災難などに人々が遭遇した時、「神」「仏」のみならず、「妖怪」「鬼」「異形」などの仕業とし、畏怖、不安、恐怖を具象化したものと考えられます。それらはその地方の風土、郷土生活と密着し、民話や伝説として語り継がれてきました。
 会場で多くの原画が展示された埼玉県在住のイラストレーター、池原昭治氏の描く昔ばなしの世界は、埼玉に伝わる妖怪伝承を温かく、親しみを込めて、(時に怖ろしく)表現しています。それを観て、あらためて自分の住む地域の近隣に伝わる伝承に興味を持ちました。そこで私の身近に見聞きする伝説の地を確認してみました。




<見沼の竜神伝説>
 現在のさいたま市見沼田んぼは江戸時代中頃まで巨大な沼でした。そこには竜神が住んでいたと言われ、いくつもの伝説が残っています。代表的なのはその沼の干拓工事を行った井沢弥惣兵衛にまつわる以下のような伝承です。
 
 見沼に住む竜神は美女の姿で弥惣兵衛に干拓工事を延期するよう請うたが、聞き入れず工事を進めると、災難が続き、弥惣兵衛自身も病床につく。竜神の美女は願いを聞けば病を治すと言い、毎夜訪れる。弥惣兵衛は快方に向かったが、家臣が覗いてみると美女は大蛇の姿で弥惣兵衛の体をなめまわしていた。恐れた弥惣兵衛はこっそり居を移し、工事は順調に進み、竜神は沼を去った。

 現在の見沼は、水田や畑が雄大に広がる情景に代表される場所となっています。さいたま市のマスコットキャラクターも「つなが竜 ヌゥ」といいます。

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<白幡沼の巨人伝説>
 白幡沼は、現在さいたま市南区のJR武蔵浦和駅の近く、高台にある白幡中学の麓にあります。ここは、雨の日に巨人が足を滑らせて転び、その時に拳をついたところに水が溜まってできた沼と言われ、かつては「拳が池」または「こぶし沼」と呼ばれたそうです。
 たくさんの葦が茂る静かで落ち着いた場所ですが、訪れた日は白鷺が優美な姿を見せ、カメラを向ける一団体がいらっしゃいました。
 なお、同じ南区に太田窪(だいたくぼ)という場所があり、この地名は日本各地に伝わる巨人伝説「大多(ダイタ)ぼっち(巨人)」~ダイダラボッチ~に由来すると言われています。

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<志木の河童伝説>
 さいたま市のすぐ隣の志木市は、3本の川に囲まれ水との関わりが深く、河童にまつわる伝説がいくつもあります。市内の宝幢寺には柳瀬川の河童伝説があり、柳田国男の『山島民譚集』にも紹介されています。

 昔、柳瀬川に住む河童はたびたび馬や人を襲っていたが、ある日、寺に飼われていた馬を川に引きずり込もうとし、暴れた馬に踏まれて衰弱していた。村人達が、悪さをしてきたその河童を焼き殺そうとするが、寺の和尚は哀れに思い、人々に命乞いをして助け、河童も、今後は人や馬に危害を加えないと誓い泣きながら川に帰って行った。翌朝、和尚の寝ている枕元に大きな鮒が2匹置いてあり、それ以来人や馬が襲われることはなかった。

 なお、市内には愛称のついた20体以上の河童の像があり、志木市商工会では「カッピー」、(公財)志木市文化スポーツ振興公社は「カパル」というカッパキャラを立て、市全体で河童と親しんでいます。

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 足を伸ばせば、まだまだたくさんの伝承の地があります。そういう視点で各地を見ると何気ない場所にも浪漫が感じられ、空想が広がります。




■さいたま文学館
埼玉県桶川市若宮1-5-9   TEL 048-789-1515
展示室営業時間 10時~17時30分
定休日 月曜(祝日の場合開館)、館内整理日
展示室料金 一般210円、学生・生徒100円、(団体20人以上は割引あり)

August 16, 2017

「石の街」宇都宮の多彩な魅力。

 餃子で有名な宇都宮は、石の街としても知られている。その石とは宇都宮市大谷の付近から採掘される「大谷石」である。軽く、加工がしやすく、耐火性があるこの石は古くから建材として使われてきた。著名な建築家、フランク・ロイド・ライトが設計した「旧帝国ホテル ライト館」にもこの石が用いられている。この石を産出する石の里「大谷」に、大谷石資料館がある。ここの地下には巨大な採掘場跡があり、その大きさは2万平方メートル、深さは30mにもなる。暑い日差しから逃れるには打って付けの場所で、外気が30℃近くても、地下は10℃ぐらいしかなく、ひんやりと肌寒いぐらい。巨大な地下神殿のような幻想的な闇の世界が広がっていて、今までに体験していなかった別世界を堪能できる。ちなみに資料館に併設されているカフェのジェラードは大変美味しかった。また、この地域全体が大谷石の展示場のようで、高さ27mもの平和観音や奇岩の崖が連なる大谷景観公園など、楽しいスポットが集まっている。

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やわらかい色合いの大谷石でできた宇都宮美術館のアプローチと緑の中庭

 この大谷石を建築に取り入れた美術館が、近くにある宇都宮美術館である。館内へと続くアプローチに大谷石を用いて、現代的な直線で構成されたデザインの中に、大谷石の持つざらついた手触りや、温かみのある色合いを生かしている。昨年、2016年に開館20周年を迎えたこの美術館は、緑豊かな森に囲まれた丘に建っている。この美術館はマグリットやシャガールなど20世紀の美術品を収集しているが、一方で19世紀〜20世紀のポスターやインテリアなどのデザイン作品も多く収集していることでも特徴がある。高い壁面に囲まれた展示会場の合間からは、大きなガラス窓を通して外の緑の樹々が見える。併設されたレストランも大きなガラス窓で囲まれた開放感あるスペースになっており、森に抱かれて過ごすランチは、美味しい食事と最高のリラックスタイムをもたらせてくれる。緑豊かな自然環境の中での憩いの場、そして芸術文化活動の拠点施設として、という理念を体現している、すばらしい美術館であった。
 なお、宇都宮はバーの街としても有名であり。日が暮れたらそちらの方にも訪れてみたい。かように宇都宮は様々な顔を持った魅力ある街である。 


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