February 17, 2017

美しき七宝の世界へ



お天気が良い日が続く東京です。
今週は、気になっていた東京都庭園美術館で開催中の「並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性 展」を見学してまいりました。


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現在は庭園美術館となっている旧朝香宮邸


明治時代に輸出用の美術工芸として人気を博した七宝(しっぽう)。今回の展覧会では、その中でも繊細な有線七宝により頂点を極めた並河靖之の作品を紹介しています。 正直なところ、一口に七宝というとブローチなどで使われる一昔前の工芸品・・・というイメージが漂い、その魅力をつかみかねていましたが、本展を見てその技術の高さ、美しさに魅了されました。


有線七宝、どのように制作されるかご存知ですか?有線七宝を制作するには、ざっと下記のような工程があります。


①あらかじめ下図を制作し、この絵柄を、主に銅を主体とする胎(たい)と呼ばれる素地に写す。
②銀を薄くリボン状に伸ばしたものを、下図の線に沿ってリボンの幅にあたる部分で壁を作るように乗せていく。
③これを一旦焼き付けた後、壁と壁の間を埋めるように釉薬を乗せていく。
④焼き付け、最後に研磨をして完成。


一言でいうと簡単ですが本展の作品をみると、その神経が行き届いた作業の細やかさ、色彩感覚の豊かさ、作品として完成させる技術の高さには驚くばかりのものがあります。
あまりの細かい作業に時計のような精密機械が作られる様子を思い出しました。
小さいものでは棗のようなものから大皿まで、美しく繊細な作品の数々は、展示室となる旧朝香宮邸のアールデコ調の部屋に置かれることで、より映えるように感じられました。


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お天気が良かったので見学後はお庭を散策しました。
梅の花が咲いて春を迎える良い匂いがしました。
庭園美術館はこれからの季節、お散歩と兼ねてのお出かけにもお勧めです!


2017年1月14日(土)~4月9日(日)
並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性-
東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
www.teien-art-museum.ne.jp

February 10, 2017

「全国カレンダー展」雑記


 今回はカレンダーのお話です。

 68回目を迎える「全国カレンダー展」が、1月14日(土)~1月18日(水)に、ゲートシティ大崎で開催されました。同時に「全国カタログ展」も同じ会場で開催、併せて見ごたえある展示会となっていました。(一社)日本印刷産業連合会とフジサンケイビジネスアイ主催の全国カレンダー展は、回数で分かる通り歴史あるコンテスト・展示会です。展示されているのは様々な会社や団体が発行する企業・販促カレンダーを中心に、個人購入の販売カレンダーも含め多様です。応募数の減少傾向は否めませんが、今回は600点程で、その中から選ばれた400点程が展示され、さらに選び抜かれた69点が入賞の栄誉を受けました。

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 印刷会社からの出品が多く、弊社も毎年いくつもの得意先企業のカレンダー製作に携わり、出品させていただいています。カレンダー展の長い伝統にも密接に関わってきました。現在企業カレンダーは、かつての異常な豪華さはないものの、依然企業の顔としての役割は担っており、特に近年はコーポレートコミュニケーション(企業の広報活動)ツールとして再認識されている側面があります。

 コンテスト入賞作品は当然こうした企業文化を伝える意義深いものが多く、グレードの高い仕様で製品化されていますが、受賞の脚光を浴びていなくても、企業としてのアイデンティティを表現する意図が伝わり、面白く見入ったものも多くありました。
 例えば自動車の修理・整備を行う某会社のカレンダーは、「武骨なカッコよさ」を表現すべく、コンクリート壁のようなセメントの板を地に、表紙はタイヤの跡のみが走り、本文各月は大胆にデフォルメされた欧州車のイラストが描かれたデザイン。個人的に気に入ったテイストでした。

 某ミシンメーカーのカレンダーは、そのミシンで作成したキルティングなどのソーイングアート作品を紹介。自社製品の可能性や楽しみを伝える役割を果たしています。
 また、自然風景写真はカレンダーとして最も人気の高いモチーフですが、それだけにたくさんの企業で作られており、その中でどう差別化し特徴を出せるかが問題です。某電気メーカーは「流れ」をコンセプトに川のシリーズを設定し、川の風景と動物を捉えた「川 と命」をテーマに写真選定。他社とは一味異なる統一感を持った構成に上がっていました。
 装飾品という形をとりながら、さり気なくお客様に長期にわたってメッセージを伝える・・・企業カレンダーにはそういう穏やかな訴求力があり、アート性と企業のアピールを如何にスマートに両立させるかがポイントです。

 他社製作のカレンダーにスペースを割きましたが、最後に弊社の入賞カレンダーもご紹介いたします。日本商工会議所会頭賞及び金賞を受賞した清水建設(株)は、グラフィックデザイナー・上條喬久氏に依頼して制作を続けている、WINDSCAPE MINDSCAPEシリーズ。絵柄は一貫して建設をイメージした窓から見る心象風景を表現。今回は平面分割でできたシンプルな形を質感ある色彩で描いたアート作品です。紙製のリングを使用したスケッチブック風のスタイルです。

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清水建設株式会社

 
 銀賞に輝いた(株)資生堂の2017資生堂ビルカレンダーは、グラフィックデザイナー・仲條正義氏のタイポグラフィカレンダーで、仲條氏のオリジナル制作のタイプフェイスで構成。B1サイズ・1枚タイプのカレンダーで、好みで選べるように表裏異なる色で作られています。暦配列の既成概念を崩し、それを判読する楽しさがあり、数字だけでデザインされた洒落たインテリアポスターとして飾れます。資生堂の先鋭的な企業文化をイメージさせます。

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株式会社 資生堂


 展示会場で、小さな男の子と彼を抱っこしたお父さんがカレンダーを1枚1枚めくりながら歓声を上げていました。見ていたのは筆者が担当した(公財)東日本鉄道文化財団の鉄道博物館カレンダー(奨励賞受賞)。同館所蔵の歴史を刻む数々の列車の模型を撮影して構成し、各写真に列車のもつ特色を暗示する落書きのような線画イラストを愛らしく絡めています。こうして感嘆を持って見てもらえるんだと、心が温まりうれしくなりました。

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公益財団法人東日本鉄道文化財団(鉄道博物館)

February 3, 2017

【新作のご紹介】彩美版® 前田青邨《 桃花(とうか) 》


――― 特別許可の原画撮りおろしによる制作。
日本美術院同人・今井珠泉画伯による監修のもと鮮やかに再現 ―――



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この度当社は、文化勲章受章日本画家・前田青邨による「桃花(とうか)」を彩美版®にて発売いたしました。(限定300部)


1961年に制作された本作《桃花》は、東京・名古屋・京都・大阪・金沢の美術倶楽部が主催した「五都展」への出品作、
金地に絢爛に咲き誇る紅白の桃の花が美しく、力強さあふれる重量感と上品なたたずまいを兼ね備えた大変にぎやかな作品です。

青邨画伯といえば、代表作《洞窟の頼朝》(重要文化財)など武者絵をイメージされる方も多いと思いますが、本作は画伯の特徴的な垂らし込みの表現を余すところなく堪能できる傑作です。
この度は特別な許可のもと原画を撮りおろし、制作が実現いたしました。


本作の監修者、青邨画伯の愛弟子でいらっしゃる今井珠泉画伯によりますと、
『前田先生の垂らし込みは琳派の垂らし込みをさらに突き進めた、宗達、光琳、の垂らし込みとは違う、「質を描き分ける」垂らし込み』
(特別付録・「今井珠泉先生が語る「桃花」の美しさの秘密とは」より一部抜粋)
だといいます。

垂らし込みの技法で枝、布、花瓶、花それぞれの質感を、これだけ描き分けているというのは驚きだ、とのことです。
このように《桃花》は、計算し尽され巧みに用いられた「垂らし込み」の表現を随所にみることができる稀有な作品です。


また解説を執筆された平塚市美術館館長・草薙奈津子氏は、
『この絵は桃を描いたもの。桃と言うとピンクを思い出しますが、これは紅白の桃花。しかも赤い桃が白い桃より多いので、強い印象を受けます。でもそれは花のせいばかりではないようです。
青邨独特の枝ぶりもそうですが、赤絵の花瓶、下に敷かれた絞り模様のクロス、共に中国のものでしょう。皆、花の強さを強調するのに格好の材なのです。画家はこの画面を生み出すために、ただ技術的なことだけでなく、そんなことにも心を配ったのです。そうやって堅牢な作品が生み出されてきたのです。』
(付録・解説書より一部抜粋)
と語ります。


前田青邨画伯の感性と技術が生み出した作品の凄みを、ぜひお手元でお楽しみください。


彩美版®「桃花」には、多彩な活躍をされる平塚市美術館館長・草薙奈津子氏執筆による解説書と、より本作の魅力についてお楽しみいただけるインタビュー冊子、特別付録「今井珠泉先生が語る「桃花」の美しさの秘密とは」が付属されています。



前田 青邨(まえだ せいそん 1885~1977)
1885年、岐阜県中津川市に誕生。1901年に上京、尾崎紅葉の紹介で日本画家・梶田半古に学ぶ。1914年、日本美術院同人に推挙。1920年、延暦寺より伝教大師絵伝「根本中堂落慶供養図」を委嘱される。1930年、「洞窟の頼朝」で第一回朝日賞受賞。1951年に東京藝術大学教授に就任、1955年に文化勲章を受章。1961年、「桃花」を制作。活躍は幅広く、法隆寺金堂壁画再現事業の総監修や高松塚古墳壁画模写の総監督も務めた。1974年、ローマ教皇庁の依頼で「細川ガラシャ夫人像」を完成、バチカン美術館に納める。



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【仕様体裁】

本体価格 200,000円+税
技法:彩美版®、シルクスクリーン手刷り、本金泥使用
限定:300部(額装)
画寸:天地53.0cm×左右41.2cm
額寸:天地77.8cm×左右66.0cm
用紙:版画用紙
額縁:国産特注木製額(アルダー天然無垢材ワックス仕上げ)、金モール織りマット、アクリル付き
重量:約4.85kg
証明:著作権者承認印、限定番号入証紙を貼付
発行:共同印刷株式会社

※彩美版は共同印刷株式会社の登録商標です。
※当社が独自に開発したセキュリティシールを証明書に貼付しています。スマートフォンなどで、作品が共同印刷(KP)の発行する真正な複製画であることが判定できます。


詳細につきましては、当社ホームページのお問合せより、またはお電話、FAXにてお問合せください。

お問合せ:
共同印刷株式会社 アート&カルチャー部 
TEL 03-3817-2290 FAX 03-3817-2288

January 27, 2017

仙人の住んだところ、豊島区千早周辺の隠れ家的なスポットを訪ねて。

  東京は豊島区、要町駅からほどなくの千早という地区の住宅街に、熊谷守一の美術館がある。静かな街並を歩いて行くと、突然コンクリート打ちっ放し3階建ての美術館が現れる。正面の大きな壁面には、輪郭を彫り込んで描いたアリ達がおり、その脇に「クマガイモリカズ」とクギで書いたような文字が彫ってある。何とも温かで、この美術館の画家を想わせる素敵な壁画が訪れる人を出迎えてくれる。館内の展示スペースはあまり広くはないが、落ち着いていて、ゆっくりと作品が鑑賞できる。1階は油絵を中心に、掛軸、ブロンズなどが並び、画家が生前使用していた品々も展示されている。2階は墨絵や書を中心に展示。現在3階では熊谷守一の版画が展示されている(〜2017年2月12日まで)。
  熊谷守一は1880年(明治13年)に岐阜県で生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学)西洋画科選科に入学する。二科会などで活動をし、1932年に今の美術館のある、この千早の地に移り住んだ。晩年、文化勲章の受賞が内定をしたが、これを辞退してしまう。その理由の一つは「これ以上、人が来ては困る」という事であった。「画壇の仙人」とも呼ばれた画家は、草木が生い茂り虫や鳥たちが訪れるお気に入りの自宅で、家族と過ごし、傑作を生み出して行く。そしてこの美術館は熊谷守一が住んでいた自宅の跡地に建てられた。
  建物の1階には喫茶室がある。ここには守一のご令嬢で画家の榧(かや)さんの作品も展示してある。以前、北アルプスの燕岳に登って燕山荘に泊まった時に、榧さんの作品が飾られているのを見た記憶が蘇って来た。


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来訪者を迎えてくれる熊谷守一美術館の壁画。


  さて仙境を後にして、池袋方面へ向かう。立教大学の手前の住宅街に、これまたひっそりとチョコレートで有名な「テオブロマ ビス」がある。こちらのショップには店内にカフェスペースがあり、また外のテラスでもランチをいただく事ができる。陽気が良ければテラスでいただくランチのパニーニはとても美味しいが、大寒のころではちょっと厳しい。人気商品、小箱シリーズのチョコレート「ジャリ」を買って帰る。「ジャリ」は、外側のコーティングがカリカリッとした食感で、まさに砂利道を歩く感触。代々木公園を散歩していたときに見つけた砂利を再現して作ったというから、うなずける。


January 20, 2017

ぶらり鎌倉材木座海岸へ


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


 皆様は鎌倉観光といえば何を思い浮かべるでしょうか?「大仏」「鶴岡八幡宮」「建長寺」「小町通り」など、沢山の見所があります。どこも比較的足を運びやすく、いつ何時に訪れても、多くの人で賑わっています。そのような中、先日私は「材木座海岸」周辺を散策してきました。位置は鎌倉の南東部、ヨットハーバーで有名な逗子マリーナがすぐ隣にあります。初めての鎌倉観光でこの場所を選択する人は少ないかもしれません。鎌倉駅からは少し遠く、アクセスがしにくい場所です。バスも出ていますが、皆様ご存知の通り鎌倉はシーズンによっては大渋滞しますので、鎌倉の街並みを見ながらブラリ散歩の旅をお薦めします。


 材木座海岸という地名は、鎌倉時代に材木取引の場として設置された座があったことに由来しています。また、この海岸では鎌倉時代、宋との貿易港で日本最古の築港でもある和賀江島(わかえじま)があった所で、今でも鎌倉時代の陶片などが発見されたりします。西側にある滑川を挟んでその先の由比ヶ浜まで続く海岸は、昨年大ヒットした映画「シン・ゴジラ」でまさにゴジラが上陸した場所として話題となりました。


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 こちらの海岸から一本内側に入ると「光明寺」があります。光明寺は寛元元年(西暦1243年)に、時の執権北条経時の帰依を受けた浄土宋代三代祖然阿良忠上人により創建されました。現在の本堂は元禄11年(1698年)建立で、国の重要文化財に指定されています。また、ひときわ大きな山門は鎌倉に現存する最大の山門で、見所のひとつとなっています。


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 海岸の国道134号線沿いには、昨年7月に複合施設「材木座テラス」がオープンしました。湘南といえば夏ですが、「年間を通してビーチライフを1日中楽しむ」というのがコンセプトのようです。お洒落なカフェや雑貨店などが入っており、ゆっくり過ごすことができます。私は3階にあるレストランに立ち寄ってみました。お店のスペースの半分近くがテラス席という非常に開放的な造りで、目の前に広がる海を存分に感じることができました。


 材木座エリアは観光客も比較的少なく、非常に静かな場所となっています。のんびり散歩がてら訪れてみてはいかがでしょうか。


January 13, 2017

【新作版画】森田りえ子《お雛あそび》のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。


 寒中お見舞いを申し上げます。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 小寒に入り、いっそうの寒さが加わり「寒の入り」を迎えました。これから冬本番となりますが、どうかお体をご自愛くださいませ。


 さてこの度当社は、日本画家・森田りえ子画伯によるオリジナル版画「お雛あそび」を発売いたしました。エディションは限定100部です。
 ひな祭りは、3月3日の「上巳(じょうし)の節句」「桃の節句」とも呼ばれ、女児のある家で、その幸福と成長を祈って行われる行事です。この作品は本金箔地に凛としたお顔の男雛と女雛が立ち、かたわらに子供を守る狗筥(いぬばこ)が置かれています。そして満開の桃の花がふりそそぎ、雅で和やかな世界が伺えます。


 華やかさと穏やかさに溢れたこの版画は、森田画伯の貴重な作品(オリジナル版画)の一つに数えられるもので京都の老舗版画工房で制作されました。版式はシルクスクリーン(セリグラフ)です。鳥の子和紙に本金箔を手張りし、47版47色を重ねて、鮮やかで微細な色彩表現を実現しました。杉の木目の美しさを引き立たせた浮造り(うづくり)仕上げと近江織金襴の筋回しを施し、作品の世界を華やかに演出しております。


 作品一枚一枚に画伯直筆のサインが入り印章が捺印されます。オリジナル版画として特別に制作された希少性の高い逸品を、是非お手元でお楽しみください。






オリジナル版画
森田りえ子 《お雛あそび 》
限定 100部制作
価格 320,000円+税


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<仕様体裁>
■版画
作者 森田りえ子
題名 お雛あそび
制作 2016年
画寸 425×294㎜
限定 100部
版式 シルクスクリーン
版数 47版47色
用紙 鳥の子和紙、手張り本金箔
署名 作者直筆サイン、印章
工房 K.T.M.printers


■装丁
額縁 杉材浮造り仕上、近江織金襴筋廻し、アクリル付き
額寸 626×480㎜
重量 約2.6㎏


■解説
草薙奈津子(平塚市美術館館長)


■発行
共同印刷株式会社


・本金箔は手張りのため一枚一枚の風合いが異なり、仕上がりは均一ではありません。
・当社が独自に開発したセキュリティーシールを奥付に貼付しています。スマートフォンなどで、作品が当社(KP)が発行する真正な作品であることを判定できます。

January 5, 2017

酉年によせて-バードウォッチングの勧め


 皆様、明けましておめでとうございます。
 本年もよろしく本ブログをご愛顧のほどお願い申し上げますとともに、今年一年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
 さて今年は酉年ということで、鳥に因んだ小話をさせていただきます。


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隅田川のユリカモメ


 以前あることを調べるため、明治16年に作成された小石川の地図を眺めておりましたら、今当社が建つ場所に大きな池のようなものがあることに気づきました。当社が初めて小石川に社屋を構えたのは明治31年(1898)ですから、それ以前のことです。
 特徴のあるその形を以前どこかで見たことがあるように思い暫し考えたところ、千葉県市川市新浜(にいはま)にある宮内庁の御猟場(新浜鴨場)の元溜(もとだまり)と呼ばれる池に酷似していることを思い出しました。すなわち、当社の敷地内にかつて鴨の猟場があったのです。


 江戸時代以来、明治期までの小石川地区は、ほぼ現在の千川通りにあたる場所を流れていた谷端川(やばたがわ/別名「礫川」)を挟んで両側に水田が広がっていました。大型の渡鳥が飛来し越冬する場所であったことから、将軍家の鴨場や鶴場が設けられたとのことです。今では想像できないほど自然豊かな田園地帯だったのです。その面影は小石川植物園に残っています。


 鶴はさておき、鴨は今でも毎年東京に渡ってきます。例えば当社の近くで言えば上野の不忍池は渡り鳥の観察地(探鳥地)として知られています。渡ってくる鴨の種類は年によりその数の割合が異なりますが、近年はアニメの人気キャラクター、ダフィー・ダッグに良く似たキンクロハジロが優勢のようです。その姿ですが、比較的小柄で腹部を除くほぼ全体が黒い羽で覆われており、後頭部には冠羽と呼ばれる飾りのような羽があります。眼の色は黒い羽によく映える黄色。むくむくとして愛らしいその姿は一度観たら忘れられません。


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不忍池のキンクロハジロ


 酉年の今年、バードウォッチングを体験してみてはいかがでしょうか。道具はひとまず倍率7倍前後の双眼鏡と鳥類図鑑があれば十分です。初心者の方には比較的観察が容易な、海辺の鳥たち(鴨や鴫、千鳥、カモメなど)がお勧めです。鳥を観察するところ、探鳥地はもちろんお近くの鳥が観られる場所でよいのですが、東京湾周辺であれば、施設が充実している大田区の東京都立東京港野鳥公園や千葉県習志野市の谷津干潟自然観察センターがお勧めです。どちらも専門のレンジャーが常駐しています。また、高倍率の望遠鏡(フィールドスコープ)が設置されていますので、手ぶらで楽しむことも可能です。


 あなたもキュートな鳥たちの魅力にはまってみませんか。


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野島崎灯台上空を舞うトビ




【東京都立東京港野鳥公園】
東京都大田区東海3-1
電話:03-3799-5031
アクセス:東京モノレール「流通センター」より徒歩15分
入園料:中学生150円、高校生以上370円、65歳以上180円、小学生以下無料
開園時間:2月~10月 9:00~17:00(入園は16:30まで)
     11月~1月 9:00~16:30(入園は16:00まで)
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日または都民の日の場合、翌火曜日休園)
    年末年始


【谷津干潟自然観察センター】
※谷津干潟はラムサール条約登録湿地です。
千葉県習志野市秋津5-1-1
電話:047-454-8416
アクセス:JR京葉線「南船橋駅」または「新習志野駅」より徒歩20分
入館料:高校生以上大人300円、65歳以上150円、中学生以下無料
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は次の平日)、年末年始


※詳細は各施設へお問い合わせください。




【1月10日追記】
1月8日(日)に谷津干潟でバードウォッチングをしてきました。最初は曇り、途中から強い雨となり視界は終始あまり良くありませんでしたが、1時間半ほどの滞在で以下10種の鳥を観ることができました。


ハマシギ、セイタカシギ、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ
オオバン、ユリカモメ、ハクセキレイ、ムクドリ、メジロ
※使用機材:双眼鏡(8×30※)※倍率×対物レンズの口径






-画家の夢見る世界への誘い-
彩美版® 上村淳之 《四季花鳥図》
販売価格 160,000円+税


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※背景の銀色をシルクスクリーンで再現しています。


【仕様体裁】
原画 近畿日本鉄道株式会社所蔵 松伯美術館委託
監修 上村淳之、松伯美術館
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
限定 300部 
画寸 天地25.2cm×左右65cm
額寸 天地41.4cm×左右81cm
重量 約2.3kg
用紙 版画用紙
額縁 特製木製銀泥額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
証明 監修者の承認印押印証紙を額裏に貼付
発行 共同印刷株式会社



※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


December 22, 2016

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)生誕三百年記念作品のご案内


 今年も残すところあとわずか。あっという間の一年でした。
 寒さも一段と厳しくなってまいりましたので、皆さまどうぞくれぐれもお気を付け下さい。


 2016年は伊藤若冲の生誕三百年を記念し、各地で記念展がとり行われております。中でもこの春、上野の東京都美術館で開催された展覧会は、代表作《釈迦三尊像》三幅(相国寺蔵)及び《動植綵絵(どうしょくさいえ)》三十幅(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)が特別出品されたこともあって大盛況で幕を閉じました。この《釈迦三尊像》と《動植綵絵》は、若冲自ら相国寺に寄進した作品群ですが、明治維新後《動植綵絵》は相国寺から皇室に献上され今に至ります。両者が東京で一堂に会するのは史上初めてだったとのことです。


 引き続きこの秋、若冲が生涯を過ごした京の地、京都市美術館でも若冲展が開催され人気を博しました。勢いは衰えることなく12月に入り京都国立博物館で「特別陳列 生誕300年伊藤若冲」が、そして若冲と縁の深い相国寺の承天閣美術館では「生誕300年記念 伊藤若冲展[後期]」が行われています。両美術館ともに、それ以前に開催された若冲展では見られなかつた貴重な作品が多数展示されており大変な話題を呼んでおります。


 おかげさまで弊社発行の若冲生誕三百年記念作品《日出鳳凰図》も好評をいただき、なんと今年の弊社年間売上数のベスト1位に輝きました。これもひとえに皆様のおかげと深く感謝する次第です。特筆すべきは軸装のご注文のお客様が圧倒的に多かったことで、掛軸作品に対するお客様の潜在的ニーズがあるということも再認識いたしました。


 《日出鳳凰図》は若き若冲の気概あふれる傑作です。旭日と鳳凰に焦点を絞った大胆な構図が青年期の若冲の比類なき才能を感じさせ、その定評ある細密な描写が作品の完成度の高さを証明します。酉年の新しい年を迎えるにあたり、慶祝の日にふさわしい華やかで独創的な吉祥画といえましょう。




彩美版®
伊藤若冲 《日出鳳凰図》
販売価格 110,000円+税


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<仕様体裁>
原画 米国・ボストン美術館所蔵
解説 河野元昭(美術史家、東京大学名誉教授)
技法 彩美版®
用紙 特製絹本
表装 三段表装(本表装)
画寸 94.0×33.0㎝
軸寸 183.0×52.5㎝
箱  柾目桐箱、タトウ付
※ご希望により額装のご注文も承ります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。




お客さまからは、画中の署名と印章の読み方についてお問い合わせをいただくことが多く、この場を借りて簡単にご説明をさせていただきます。


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署名は居士(こじ)、藤(伊「藤」)、汝鈞(若冲の名「じょきん」)画と記されています。
署名の下には印が上下二段に捺されており、上の白文方印は「藤汝鈞印」(左回りに)、下の朱文法印は「若冲」(号)が刻印されております。


作品への興味とご理解を深めていただき、本作をご愛蔵いただければ幸いです。
末筆ですが、皆さまどうぞ良いお年をお迎え下さい。

December 16, 2016

絶景!「天下の秀峰 金時山」と金太郎


先日、箱根山の北西部に位置する金時山(別名・猪鼻嶽)に登って参りました。
富士山ビュースポットといえばここ、この日は特に快晴で美しい景色を眺めることができました。

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ashinoko.jpg【山頂から眺める富士山と芦ノ湖】

また金時山は、金太郎伝説の山としてファンにとっては聖地となる山です。
金太郎は、平安中期の武将、源頼光に見込まれ頼光四天王のひとりとして活躍した坂田金時が実在のモデルとされているのは有名です。

皆様は金太郎をモティーフとしたゆるキャラの存在をご存知でしょうか?

神奈川県の、「かながわキンタロウ」、神奈川県南足柄市の「よいしょの金太郎」、
そしてなんと岡山県勝央町から「きんとくん」(と、くまパチ)など。
各々キャラクターが個性的です。
それぞれライバル視しているとかいないとか...

さて金時山では頂上手前、あと少しで登頂というところで岩場の急なのぼりが続きますが、
ちょうど登山者を癒すように金太郎像が迎えてくれます。

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(犬連れ登山も多く自力で登る小型犬には勇気づけられました。)

とても小さな像です。
「菱形の腹掛け」がとても可愛らしいです。
金太郎たらしめているアイテムといえば、「まさかり」や「クマ」はきっても切れないものだと思っていましたが、あったりなかったり...必ずしもそうではないようです。
金太郎は「菱形の腹掛け」がマストアイテムのようです。

ゆるきゃらのような愛すべきゆるさと親近感をすべての「金太郎」に感じます。
それだけ日本人の心の深くに染みついているのでしょうか。一年を通してそばに置いておきたいくらいです。
日本画においてもこの金太郎モチーフは愛され、題材として取り上げられています。
当ブログでも何度か東山魁夷先生の金太郎をご紹介させて頂いておりましたが、
とりわけ「歴史画」を描かれる守屋多々志先生は金太郎を題材に何点も描かれています。
こちらは当社の彩美版®でもお楽しみいただけます。
金太郎のように元気に年末まで過ごしていきたいものです!


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守屋多々志 《金太郎》
販売価格(軸・額共通) 90,000円+税

<仕様・体裁>
原画 第34回春の院展出品作品(1979制作)
解説 川瀬邦聡(大垣市守屋多々志美術館学芸員)
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り
用紙 和紙

■軸装仕様
表装 三段表装
材料 天地 利久無地
   中廻 濃茶地横段文緞子
   風帯・一文字 牙地小花唐草文金襴
   軸先 新牙
   箱  柾目桐箱・タトウ付
画寸 天地36.5㎝×左右45.0㎝
軸寸 天地125.5㎝×左右63.0㎝

■額装仕様
額縁 木製金泥仕上げ、アクリル付
画寸 天地35.9㎝×左右44.5㎝
額寸 天地54.1㎝×左右62.8㎝
重量 約3.3kg

December 9, 2016

横山大観旧宅及び庭園が国史跡・名勝へ


 当部では半世紀以上も複製画事業に取り組んでおりますが、その初期の頃から長きにわたり大変お世話になっております『横山大観記念館』につきまして、此度の喜ばしいお知らせをこの場を借りて改めてご連絡させて頂きます。


 東京都は上野池之端に佇む『横山大観記念館』。横山大観画伯のご自宅兼画室及び庭園は、貴重な文化財であることから、今年2016年11月に「横山大観旧宅及び庭園」として国の史跡・名勝の両方に指定される運びとなりました。


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画像提供:横山大観記念館


木造二階建ての数寄屋風日本家屋。文化庁文化審議会による指定答申では、
① 横山大観画伯が自ら指示して造営(デザイン)している点。
② 横山大観画伯の思想・感性が大きく反映されている点。
③ 実際に創作が行われた場であり、その素材となったものも多くあると考えられる点。
などが評価されたそうです。


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画像提供:横山大観記念館


これもひとえに、この旧宅及び庭園を「記念館」として一般公開し、保存・維持に努められた『横山大観記念館』理事長である横山隆様をはじめ、関係者の皆さまのご尽力による、近代美術界への多大なる賜物と存じます。


【横山大観記念館のご紹介】

kinenkan_maingate.jpg住 所 東京都台東区池之端1-4-24
電 話 03-3821-1017

休館日 毎週月~水
長期休館 夏期休館、冬期休館あり
開館時間 10:00~16:00(入館は閉館30分前まで)
入館料 大人 550円
    団体割引(20名様以上)450円
    小学生 200円
    障がい者料金 大人450円、子人100円
    年間パスポート 1,500円

最寄駅 東京メトロ千代田線「湯島」から徒歩7分
     東京メトロ銀座線「上野広小路」、都営大江戸線「上野御徒町」から徒歩12分
     JR「上野」「御徒町駅」から徒歩15分
     京成線「京成上野」から徒歩15分

ホームページ http://members2.jcom.home.ne.jp/taikan/




 当部商品・横山大観画伯「霊峰飛鶴」をご紹介いたします。我々も微力ながら、この貴重な文化財産の益々の発展を祈念し、今後も事業展開に努めてまいる所存です。




彩美版®
彩美版 横山大観 《霊峰飛鶴》
販売価格 120,000円+税


 昭和28年(1953年)に横山大観画伯の澄み切った境地が描かれた吉祥作品。金泥で刷かれた瑞光を背景に、富士の前に鶴が群れをなし飛翔しています。


<仕様体裁>
◆共通仕様
監修 公益財団法人横山大観記念館
原画 公益財団法人横山大観記念館所蔵
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り(本金泥使用)
用紙 特製絹本
限定 950部(軸装、額装の合計)
証明 監修者検印入り証書を貼付

◆軸装仕様
画寸 天地39.5cm×左右52.5cm
軸寸 天地135cm×左右72.1cm
表装 三段表装
箱  柾目桐箱、タトウ付
 
◆額装仕様
画寸 天地39.2cm×左右52.8cm
額寸 天地58.7cm×左右72cm
重量 約3.6kg
額縁 特製木製金泥仕上げ、アクリル付(国産、ハンドメイド)


※「彩美版」は共同印刷株式会社の登録商標です。


横山大観《霊峰飛鶴》(軸装)


横山大観《霊峰飛鶴》(額装)


<関連記事> 横山大観記念館にて

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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