May 26, 2017

新作モネ「睡蓮の池」のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。


 炒りたてのほうじ茶の香ばしい香りに誘われて、近所のお茶屋さんをのぞくと、「新茶」の入荷を知らせるポスターや幟を目にする様になりました。また、新茶の季節と共に、夏の気配が日に日に感じられ、強い陽射しに汗ばむ頃となってきました。急な気温上昇で真夏日・猛暑日になる事もあり体調を崩しがちですが、皆様どうぞ体をご自愛くださいませ。


 さて弊社ではこの度、印象派の巨匠、クロード・モネ「睡蓮の池」複製画の販売を開始いたします。モネが描いた日本の橋が架かる睡蓮の池。モネが移り住んだフランス・ジヴェルニーの地に造成した「水の庭」を描いた最初の連作のひとつでもあります。あふれる光と自然の息吹に満ち、緑きらめく美しい睡蓮の庭。陽光と深い緑が揺らめき水面へ反射が巧みに描かれています。豊かな色彩やモネの筆遣い、原画の持つ鼓動までをも「彩美版®」にて再現いたしました。


 気品ある木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド仕上げ)に収め、200部限定でご用意しております。


 モネが愛したジヴェルニーの風景を、是非お手元でお楽しみください。




クロード・モネ 《 睡蓮の橋 》
Claude Monet / LE BASSIN DES NYMPHÉAS
販売価格 115,000円+税
限定200部発行


睡蓮の池 .jpg

ⓒ The Metoropolitan Museum of Art
Image source:Art Resource,NY/PPS通信社



※画像をクリックすると大きく見られます。


■仕様体裁
原 画 メトロポリタン美術館
H.O.ハヴメイヤー・コレクション
監 修 高橋明也(美術史家/三菱一号館美術館館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地53.0×左右42.1㎝
額 寸 天地66.0×左右51.1㎝×厚み3.0㎝
重 量 4.0㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。

May 19, 2017

暖かな陽射しの五月 ~日比谷公園より~


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。


 気候良く、暖かかな陽射しが心地よい今日この頃。私は季節の移ろいを確かめに、日比谷公園に足を運んでみました。日比谷公園は都心に位置する有名な公園で、日本を代表する都市公園のひとつ。歴史も古く、野外音楽堂や日比谷公会堂などの施設も有しており、園内は多くの人で賑わっており、公園の中央にある大きな噴水が出迎えてくれました。

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日比谷公園「噴水広場」の噴水


 噴水とは、文字通り「水を噴出するもの」とされますが、改めて世界を見渡してみると、著名な公園には必ずと言って良いほど噴水のある広場があることに気付かされます。ラスベガスの噴水ショーや、シンガポールのマーライオン、イタリアのスペイン広場、ドイツブリュッセルの小便小僧など。ただ単純に水を上に噴き上げるだけの噴水もあれば、二段噴水~三段噴水など複数の噴水で迫力ある景観もあり、また夜になるとライトアップが美しい噴水、音楽に合わせて踊る噴水など、多種多様な姿で、ときに楽しく、ときに優しく癒してくれる存在ですね。
 また、公園のいたるところでは季節の花々が咲いており、特に黄色のバラが目を惹き、緑と噴水を背景にした情景がとても印象的でした。

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黄色のバラ


 もうすぐ梅雨の季節が始まります。せっかくの晴れた日は外へ出て、季節の移り変わりを楽しめればと思います。


May 12, 2017

行く春


 春から夏へと季節の移り目を迎えました。今年は春らしい日が短く、冬からいきなり夏になったかのような印象すらあります。
 私ごとですが、三月から四月にかけては冬に逆戻りしたような寒さに震え、厚手のウール・ジャケットを着こんでいました。日中は温かくても朝晩冷え込むため、着るものに迷う日が多かったように記憶しています。今や、日によっては30度近くまで上がる暑さに耐えられず、麻ジャケットのクールビズスタイルで過ごしています。
 タイトルの「行く春」は去りゆく春を惜しむ想いが込められた俳句の季語ですが、今年に限って言えば「いつ春?」が私の本音です。





 閑話休題、私は連休最後の一日、趣味のバードウォッチングを楽しむため千葉県習志野市の谷津干潟を訪れました。かつて東京湾(江戸湾)にはそこここに広大な干潟があり、豊かな海の幸を育んでいました。そのほとんどが60、70年代いわゆる高度経済成長期に埋め立てられ、工場地帯へと変わっていきました。谷津干潟は、隣接する船橋沖の三番瀬とともに東京湾に残る最後の干潟のひとつです。1993年に保護すべき貴重な湿地としてラムサール条約に登録されました。

 今頃の谷津干潟の主役は、シギやチドリの仲間です。その多くはシベリアなど北の繁殖地と中国南部から東南アジアにかけての南の越冬地との渡りの途中、一時的に日本に立ち寄る「旅鳥(たびどり)」です。ちょうど満潮となる時間帯でしたが、津田沼高等学校に隣接する南東側の岸壁近くの杭や浅瀬に集まったシギやチドリの群を間近に観察することができました。なかでも鮮やかな赤茶色の翼に、歌舞伎の隈取を想わせる白黒模様の顔が印象的なキョウジョシギや、やや小柄で首から胸にかけてオレンジの羽根が目立つメダイチドリが印象的でした。そこから少し歩いた北東の岸近くでは、下向きの弧を描く細く長い嘴が特徴的なチュウシャクシギが干潟を突いてカニを捕えるところを観ることが出来ました。

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キョウジョシギ   ※画像をクリックすると大きな画像で見ることが出来ます。(以下同じ)


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メダイチドリ


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チュウシャクシギ

 さきほども申し上げた通り、これらの鳥たちは南から北へ帰る渡りの途中、我が国でしばし翼を休める旅鳥です。キョウジョシギやメダイチドリはムクドリよりやや小さい20㎝前後の大きさです。チュウシャクシギはだいぶ大きく40㎝余りありますが、それでも多くのカモ類より一回り二回りも小さな体です。彼らが挑む、数千kmから1万km以上にも及ぶ命を懸けた旅路を想うと、深い感動を覚えずにはいられません。





 今からおよそ330年前、元禄2年(1689)の春、松尾芭蕉(1644~1694)は深川の芭蕉庵を引き払い、弟子の曾良とともにおくの細道の旅に出立しました。深川から舟に乗り千住で陸に上がって見送りの親しい人々と別れる際に詠んだのが、有名な次の一句です。去りゆく春を惜しむ想いを表現したものと言われます。


 行く春や鳥啼き魚の目は泪
 ゆくはるや、とりなきうおのめはなみだ


 おくの細道への旅立ちの日は、新暦の5月16日にあたります。まさに今頃のことだったのですね。芭蕉はこの折の心境を「上野谷中の花の梢又いつかはと心ぼそく」と吐露しています。すなわち「上野や谷中の桜を再び観ることができるのはいつだろうか」と心細く思ったということです。生きて帰れる保証もないおよそ5か月間、600里(約2,400km)にも及ぶ長い旅路です。自ら望んだこととは言え、老境(とは言ってもまだ40代!)の芭蕉には、相応の覚悟があったことでしょう。「行く春や」の句には、そうした気持ちが重ねられているように感じられます。





 若い時分には、過ぎ去った春はまた必ずまた巡って来るものと信じ、身近な老人たちの警句に耳を傾けることなく安閑と過ごしてきました。しかし年を重ねた今、人生に必ずまたということは無いのだというシンプルな真実を認めざるを得ません。「今を生きる」ことを大事にしていきたいと思います。







関連記事:鳥帰る春 -谷津干潟にて(2017年3月3日)


April 27, 2017

●回帰する時間、心の旅 ―東山魁夷―


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。

 弊社ではこの度、東山魁夷マスターピース コレクションTMの第5弾として『白馬の森』の一斉販売を開始いたしました。本作品は本紙にアクリルガラスを直接貼り合わせることで、作品全体に清らかな透明感と深い奥行き感を与える、新感覚の美術工芸作品です。

 『白馬の森』は、連作「白い馬の見える風景」の中の一作で魁夷屈指の名作です。

 「ある時、一頭の白い馬が、私の風景の中に、ためらいながら、小さく姿を見せた。すると、その年(1972年)に描いた18点の風景の全てに、小さな白い馬が現れたのである。」

 画家の分身ともいえる白馬を、魁夷は戦前のドイツ留学直後の苦悩と不安に揺れ動いていた時期に一度描き上げました。それからおよそ30年後、ゆかりの深いドイツを再訪した魁夷は帰国後、魂の赴くままにまた再び白馬を描きます。戦前と戦後、直線的な時間と回帰する時間が画家の中で融け合い、やすらぎを求める気持ちと平和への切ない祈りが、一頭の白馬に奇蹟のように結実します。幻想的な森の奥深くから精霊のように浮かび上がる白馬は、常に見る者の心を深く捉えて離しません。

 『白馬の森』を完成し、画家は歴史的超大作、唐招提寺障壁画に着手します。この作品には障壁画完成までの長い道のりを思い、決意と精進を誓う魁夷の心の祈りも込められているのかもしれません。

 東山魁夷の神秘的な空間芸術を皆さまも是非お手元でお楽しみ下さい。


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【東山魁夷 マスターピース コレクションTM 『 白馬の森 』】
販売価格 500,000円+税
限定500部発行

■仕様体裁
監 修 東山すみ
技 法 彩美版®プレミアム
額 縁 特注銀浮き出し加工木製額(シルバーフレーム/背面メタリック梨地)
画 寸 天地44.3×左右65.2㎝(15号)
額 寸 天地62.2×左右83.1×厚さ3.7㎝
重 量 約4.9㎏
原画所蔵 長野県信濃美術館 東山魁夷館
解 説 松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


 茨城県水戸市の茨城県近代美術館で人気を博した「東山魁夷 唐招提寺障壁画展」が、4月22日(土)より愛知県豊田市の豊田市美術館で開催されております。唐招提寺御影堂では現在修繕工事が行われており、そのため通常は非公開となっている障壁画が美術館で特別展示されています。東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺障壁画御影堂全68面」に、貴重なスケッチや下絵などで美術史に残る名作の全貌が紹介されています。制作に10年を要した作品の、構想から完成に至るまでの足跡を念入りにたどる、必見の催しといえましょう。

 皆さまも初夏のおだやかな陽気に誘われて、東山芸術の真髄に触れ、こころ豊かな気分に浸ってみてはいかがでしょうか。

 そして実は共同印刷で制作した東山作品の複製絵画が、展覧会場で特別販売されております。新作『白馬の森』や人気の『緑響く』『行く秋』『静映』などの彩美版®プレミアム作品が販売スペースに飾られ、会場で東山芸術の感動を胸にした多くのお客様にご覧いただいています。共同印刷の彩美版®プレミアムは東山魁夷の美しい風景を、さらに魅力的に鑑賞していただける新感覚の美術工芸技法です。展覧会場にいらっしゃった際は、ぜひ展示コーナーまで足をお運び下さい。


【展覧会情報】
「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」

会場 豊田市美術館
愛知県豊田市小阪本町8-5-1
会期 2017年6月11日(日)まで
月曜休館(5月1日除く)
時間 10:00~17:30


 昨今、お客さまから額裏の証明書に貼付されたセキュリティシールについて、お問い合わせをいただくことも多く、改めてこの場を借りてご説明をさせていただきます。

 共同印刷株式会社が独自に開発したセキュリティシールが、作品の真贋の判定を行います。お試しにお手持ちのスマートフォンなどで「彩」美版の銀色シールをフラッシュを焚いて撮影して下さい。KP(KYODO PRINTING)の文字が確認できましたら、その作品は真正な共同印刷発行の美術作品です。

 さあ、GWももう間近。皆さまどうぞ良い休日をお過ごし下さい。


セキュリティシール.JPG

April 21, 2017

色褪せない芸術『岩田ガラス』とおすすめ展覧会『生誕100年 長沢節展』


いつも美術趣味をご覧いただきましてありがとうございます。

先日のブログ、彩美版®新作・小倉遊亀筆「初夏の花」はご覧いただけましたか。
透(すき)のボディに白砡(しろぎょく)が潔く、ツツジの伸びやかさを一層強調しているかのような存在感のあるこのガラス花器が、岩田久利(ひさとし)氏の手になるものであることはご存知でしたでしょうか。


本日は、「初夏の花」画中のガラス花器制作者、ガラス芸術家・岩田久利先生についてです。
遊亀が陶磁器を愛好していたことはよく知られていますが、1980年「耀」、1980年「椿」など遊亀の静物画には特徴的なガラス花器がたびたび登場します。
これらはみな遊亀がコレクションしていた、岩田久利氏によるガラス芸術です。


今回の彩美版®「初夏の花」制作を機に、久利氏の二女でいらっしゃる岩田マリさんとお会いする機会に恵まれ、たくさんの作品を拝見することができました。
そこでこれまで持っていたガラスのイメージがくつがえされてしまいました。
また、マリさんより貴重なお話がうかがえましたのでご紹介いたします。


ガラスは、食器、窓や蛍光灯などの工業製品も含めると、私たちの生活にとても身近な素材です。一般的にガラスにイメージするものといえば、「透明」「割れやすい」「冷たい」「静」などが想起されることと思います。
しかし、久利氏の父・藤七氏よりはじまる岩田家のガラス芸術は、それだけではないガラスの多面的な魅力を教えてくれます。
その魅力の真髄は、真逆にも「鮮やかな色(透明・不透明あり)」「重厚感(何層にもなり厚みがある)」「躍動感」でした。
(さらに制作時に直面するガラスの特徴、「柔らかさ」「熱さ(環境も含む)」についてはガラスを扱う困難さ、どのようにしてガラス芸術が生みだされるかに至る大事な特徴なではありますが、ここでは語りきれません。)


岩田家のガラス芸術の歴史を簡単にですがご紹介します。(以下敬称略)


■日本の色ガラス芸術のパイオニア 父・岩田藤七
(明治26年・1893年生まれ)

明治大正時代、板ガラスなど実用製品が躍進の一途を辿っていたガラス工業界。それに比べ、"ガラス工芸"は江戸時代以降途絶え不毛の時代を迎えます。
数十年の空白期の後、藤七は、現代ガラスのパイオニアとして色ガラスによる宙吹きの作品を作り始めます。
日本においては古来より陶器の作品が好まれ、茶道の影響もあり高いレベルの作品とされている中で、藤七はガラスの作品を日本の美術界にアートとして認められるよう努力を続け、近代ガラス工芸を日本の美術界に位置付けるに至ります。


代表作「貝」は、藤七ならではの大胆な気質だからこそなせる技だったといいます。
作品は今も日生劇場、ホテルオークラのオークバー(現在はリニューアル工事中)、メトロポリタン美術館(NY)、国立近代美術館などで観ることができます。


■「ガラス芸術」へ高めた功績者・岩田久利
(大正14年・1925年生まれ)

父・藤七の長男として生まれ幼い頃よりガラスに携わります。
久利は東京美術学校工芸部図案科卒業、その他、科学的基礎やガラス組成についても学び、藤七の築いたものをさらに極めていきます。
久利の作品は、端正・優美、高い技術に裏付けされた理知的な作品といわれ、初期の緻密な作風にはじまり、50歳代にはこれでもかと技術を凝らした根気のいる作品を、60歳代からは、線が細くなっていく身体とは対照的に壮大な自然をモチーフに力強い作風へと昇華します。


久利氏の作品は、幾何学模様のミニマムでモダンなデザイン的なものもあれば、ごつごつした大地や岩を髣髴とさせるプリィミティブなものまで多彩な創造性が魅力的でもあります。

iwataglass.jpg岩田久利作 〈第十回日展出品作〉 制作:昭和29年

1960年代には、家庭における食器、照明などのガラス製品が普及します。
特に岩田ガラスが生みだしたガラス照明は、一世を風靡します。金赤(ガラスの金赤は可愛らしいピンク色)でフリルをまとったガラス照明は結婚式の引き出物として多くつかわれていた、とのこと。
もしかしたら皆さまのご自宅にあるかもしれません。


今なお新しさが感じられる、岩田久利氏の作品を下記よりホームページにてご覧ください!


岩田家のガラス芸術
HP : http://www.iwataglassart.com


■岩田久利氏の長女でいらっしゃる、ガラス芸術家・イワタルリ氏の個展のご案内です。

イワタルリ展 
開催場所 SAVOIR VIVRE サボア・ヴィーブル 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F
開催日時 2017年6月23日(金)から7月2日(日)まで
詳細につきましてはホームページにてご確認ください。
HP : SAVOIR VIVRE



【オススメ展覧会のご案内】

岩田ガラスの会社ロゴ、包装紙をデザインしたのが、「スタイル画」デッサンの名手・長沢節(せつ)氏でした。
久利氏は、画家、文芸家、俳優などジャンルを超えたお付き合いがあったといいます。
東京文京区弥生美術館にて、今年4月23日で閉校するセツ・モードセミナー公式の、最後の展覧会として下記展覧会が開催されています。
ファッションイラストレーターの先駆けであった節の〈スタイル画〉は鉛筆のほか毛筆で描かれた作品もあります。毛筆書に慣れ親しんだ世代だからこそ為し得るものなのでしょうか、「セツ美学」あふれる流麗なイラストは必見です!



IWATAlogo.jpg左上:岩田ガラス・ロゴ(長沢節)
setsu.jpg右下:岩田ガラス・包装紙(画:長沢節)


『生誕100年 長沢節展』- デッサンの名手、セツ・モードセミナーのカリスマ校長 - 

長沢節は1917年生まれ、文化学院卒、20歳で挿し絵画家としてデビュー。
太平洋戦争前より池袋近く要町の芸術家村・通称「池袋モンパルナス」に暮らす。
終戦後アメリカ兵より流れてきたヴォーグやハーパス・バザーを参考にみようみまねで洋服を描く。節の描くファッショナブルな女性像は〈スタイル画〉と呼ばれファッション界もリードする存在となる。
1954年より美術学校セツ・モードセミナーを主宰。(設立当初は「長沢節スタイル画教室」)
卒業生は、金子国義、山本耀司、安野モヨ子など。



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左上:C.ディオール「マリ・クレール」1998年6月号 掲載原画
右下:女性デッサン 1960年代


■開催要項■
会場:弥生美術館 1~2階会場
住所:東京都文京区弥生2-4-3
会期:2017年4月1日(金)~6月25日(日)
休館日:毎週月曜日 ただし、5月1日(月)は臨時開館
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般900円(800円) 大高生800円(700円) 中小生400円(300円)
※竹下夢二美術館と併せての料金。()内は20名様以上の団体割引料金
TEL:03(3812)0012 FAX:03(3812)0699
HP : http://www.yayoi-yumeji-museum.jp

April 12, 2017

桜に思う、いろいろ。


寒暖の差が激しい今年の春ですが、桜の季節もそろそろ満開から葉桜に移りつつあります。
共同印刷の近くの名所と言えば、間違いなく播磨坂の桜並木でしょう。
登り下りの道路を挟んで3本ある歩行者用道路に沿って坂の上から下まで植えられた桜は、満開になると本当に見応えがあります。

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入社してはや十数年。それでも毎年この季節の桜並木を通るときは新入社員と同じように新しい季節の空気を感じ、前向きな気分になれます。
そして若い葉が混ざり始めた桜の木は何となく美味しそうな色合いで、桜餅を思い出してしまうのは私だけでしょうか。

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自転車で外堀通りの桜を観に行きました。こちらも満開で見ごろを迎えています。
先日見たときはどんより空の中で、一緒にいた3才の子供の目には暗い桜の木々がお化けのように写るようで「黒い、怖い。」と終始言われ続けました。


画家の目に写る桜はどんな風でしょうか。
現代日本画家で桜花図の第一人者でもある中島千波先生の桜はというと...
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中島千波「千歳櫻」

樹齢700年を超える福島県の名樹「千歳櫻」を描いた作品です。柔らかな花びら一枚一枚が重なり合いながら画面いっぱいに咲き誇る姿には、華やかながらも堂々とした名樹の風格が漂います。

近代日本画の巨匠、小倉遊亀の桜は...
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小倉遊亀「爛漫」

力強い幹と満開の桜の優しい色合いに、女性らしい柔らかさと同時に芯の強さののようなものを感じます。遊亀はこの作品を母校の奈良女子大学に集う学生の前途を思い、大学講堂の緞帳原画として制作しました。


ちなみに暖かい日を狙って播磨坂でお花見ランチの帰り、先輩が道沿いのケーキ屋さんでプチケーキを買ってくれました。「花より団子」を地でいく今年の春でもあります。
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※掲載画像の中島千波「千歳櫻」、小倉遊亀「爛漫」はいずれも当社商品です。
 作品に関するお問い合わせは、共同印刷アート&カルチャー部(TEL:03-3817-2290)まで

April 7, 2017

正統を極め、異端に戯れる


 今、華々しく脚光を浴びる幕末~明治の絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい / 1831-1889)。折しも現在渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで展覧会「これぞ暁斎!」が開催され、あらためてその画力の天才ぶりを多くの人に見せつけています。正直、私は暁斎について知っているつもりでいながら、それはほんの一部に過ぎないとここ最近知らされました。

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河鍋暁斎記念美術館

 私の住むさいたま市のすぐ隣の蕨市に、公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館があります。ずっと以前から知ってはいたものの、暁斎のイメージが妖怪や魑魅魍魎を得意とするどこかおどろおどろしい画風の異端画家という印象で、臆病な私は何となく足が向きませんでした。しかしマスコミで紹介される暁斎作品を目にする機会が重なり、見方が偏っていたと気づかされました。温かく穏やかな休日に思い立ち、初めて記念美術館を訪れてみました。

 暁斎の曾孫である河鍋楠美館長が1977年に創設した美術館で、今年 40周年となります。住宅地の中にさり気なくあり、自宅を改装したアットホームな気さくさが何故か暁斎らしいと思えてしまいました。展示室は3つあり、第1、第2展示室で2か月毎に内容を変えた企画展を開催しています。この日は「暁斎・暁翠 旅と風景」という展覧会で、第1展示室は墨絵を中心とした旅の風景スケッチが、のどかに楽しそうに描かれ、娘の暁翠(1868-1935)の作品とともに並んでいました。

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第1展示室

 第2展示室には数々の鮮やかな錦絵の展示。東京の名所絵や東海道中の双六など人気が高かったと推測する作品が並んでいました。あまり知らなかったのですが、別の絵師との合作も多く、例えば三代広重が風景を描き、その中にたくさんの人物を暁斎が描いたりしています。第1、第2展示室を通じ暁斎が基本を重視した作家であり、端正な作品も多く描いていたことがわかります。第3展示室は肉筆着色作品の複写が展示され、力強さと緻密さを備えた画力を感じ取れました。

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第2展示室

 暁斎は日本の美術史上から忘れられた時期が続いたといいます。純粋に観賞用の絵画だけでなく、庶民に受ける風刺画や漫画も注文に応じて拒まず描いており、それが異端視された要因にあるのかもしれません。しかし浮世絵の歌川国芳に入門し、のちに狩野派を習得し、さらに流派に捉われず多様な画法を学び、幅広い分野の画題を独自の視点で表現、その芸術は、正統を含むいずれの分野も極めた一級のものでした。特に海外で高く評価され、国外に多くの完成品があります。渋谷の大規模な展覧会も英国在住のゴールドマン氏のコレクションで、暁斎の多彩な才能を知ることができます。今の私が想う暁斎の魅力は、猫や蛙を始めとする擬人化された動物の可愛らしさや、群衆の争いを愉快に描くスラップスティック・コメディの世界など、ユーモラスな世相のカリカチュアライズですが、その着想を描出する、修練を積んだ技術に裏打ちされたエスキースの巧さに圧倒されます。

 記念美術館は肉筆、版画の完成品以外に下絵・画稿類の豊富な所蔵が特徴的で、暁斎の創作過程や力量を伺い知ることができます。テーマを変えて展示される折々に、散歩がてらぶらりと訪れ、静かに過ごすのにも良い場所です。



■公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館

住 所 埼玉県蕨市南町4-36-4  TEL 048-441-9780
開 館 10時~16時
定休日 木曜 毎月26日~末日 年末年始 
入場料 一般320円、中・高・大学生210円、小学生以下105円
団体20名以上割引有・要予約、かえる友の会会員は210円、美術館友の会会員は無料
※特別展開催時は別料金


March 31, 2017

迷路の町と朝倉彫塑館

 文化勲章を彫刻家として初めて受賞した朝倉文夫(1883〜1964年)。東京は台東区谷中にある朝倉文夫のアトリエ兼住まい(朝倉文夫自身の設計)は現在、朝倉彫塑館として彼の作品と建物の見学ができる。2008年には敷地全体が国の名勝に指定された人気のスポットである。彫塑館の入口から見る黒塗りの鉄筋コンクリートの壁は厳めしいが、館内は一変して竹や真綿を使った明るい色彩になる。室内には大きなガラス窓から注ぐ陽光と、モダンなデザインの照明、曲線を生かした有機的な壁面などで暖かく柔らかさを感じる。高さ8.5メートルの大きなアトリエには人物がメインに展示してあるが、中でも「墓守」は私の好きな作品である。朝倉は自作についてあまり語らなかったそうであるが、「墓守」については「家のものが将棋を指すのを見て無心に笑っているところをとらえた」と残している。朝倉がトルストイに例えた墓守の姿は、西洋美術であれば矍鑠(かくしゃく)と威厳に満ちた彫刻になろ。しかし、この老人像の髭の下から前歯が2本のぞいて笑った口や、足袋を履いた足、そして全体を包むぬとぬととした肌触りなどがいかにも日本的であり身近に感じる。

若葉の芽吹きもちらほら、朝倉彫塑館。
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 アトリエを通り抜け中庭に面した木造住居欄に入る。中庭にはそのほとんどを占める様に池がある。池には大きくて平たい石があり、何でも真鶴の海石と伝えられているらしい。寝転んで昼寝をしたら、さぞや気持ちよさそうである。各部屋はこの池をぐるりと巡る様に升形に配置されている。天井まで届く書棚が並んだ書斎、出窓に半円のソファーがある応接室などを巡り、階段を上がって2階、3階と進む。さらにオリーブの木が葉を茂らせている屋上に出る。屋上にはかつて大根やトマトなどを育てた園芸実習の場があったそうだ。この空中庭園からは、谷中、千駄木、根津が気持ちよく見渡せる。最後の部屋はもと東洋蘭の温室で、今はネコ達の彫刻の部屋になっている。朝倉はネコが良い、深い愛情がこもっている。朝倉は学費が払えないで美術をあきらめざるを得ない者たちを塾に向かえたそうである。その懐の深さが感じられる素敵な彫塑館であった。
 さて、この界隈は古くからの家々が軒を連ねる細い道が交差して、一歩路地に入るとほとんど迷路である。迷子になる不安を覚えながら道を進んでいくと、大きなガラス窓に囲まれたモダンなお店に出た。彫塑館の裏手にあるチョコレート専門店「ショコラティエ イナムラ ショウゾウ」である。シンプルな装飾の店内は明るく、喫茶コーナーは人でいっぱいの人気店である。素材にこだわったパウンドケーキのクラシックショコラを購入する。このチョコレートレートケーキは、しっとりとして濃厚な味わいであった。谷中の町は新旧が入り交じった楽しさがある。

March 24, 2017

ギャラリー「都道府県の花」 ―皇居をめぐる花の輪


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


 先日、皇居周辺を散策してきました。皇居の周りは約5キロで、その距離感と信号がなく止まらずに一周できるので、日本でもっとも人気のあるジョギングコースとしても親しまれています。当日もたくさんのランナーの方々が走っていました。


 皆様は、この周回コースの歩道100メートル毎に都道府県の花のプレート(石板)が埋め込まれていることはご存知でしょうか(正確には47都道府県と2つの花の輪と千代田区のプレートの計50枚)。このプレートは通称「花の輪タイル」と言うのだそうです。スタートは皇居正門のある二重橋にあります。北海道の道花「はまなす」が彫られたプレートより、反時計回りに南下し、最後に沖縄県の県花「デイゴ」で一周します。と言われても、自分の住んでいる所の花も知らない方が多いのではないでしょうか。かくいう私も知りませんでしたので、この際一周して47都道府県全てのプレートを確認することにしました。


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花の輪タイル (左)北海道・はまなす (右)沖縄・デイゴ


 一周を5キロと考えると長い道のりとお思いでしょうが、いざ歩き始めれば100メートル毎に次々とプレートが現れるので、写真を撮りながら歩いていると、思いのほか忙しいことになってしまいました。さながら、ギャラリー「都道府県の花」です。プレートを逃さないように下ばかり見ていると、皇居周辺の景色をゆっくり楽しむことができないという、大変悩ましい状況です。それでも、少し寄り道をして千鳥ヶ淵緑道に入ってみると、3月上旬頃に咲く大寒桜が咲いていました。その実、千鳥ヶ淵の桜はその大部分がソメイヨシノで、今では東京屈指の桜の名所となり、多くの方々に親しまれています。間もなく迎えるシーズンにはライトアップもされますので、夜遅くまで楽しめます。


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千鳥ヶ淵の大寒桜


 さて、無事に47都道府県すべてのプレートの写真を撮り、お陰様で自分の県花も確認することができました。プレートを追いかけながら、歩いているとあっという間の一周です。こちらのプレート、ランナーの中には1km毎のラップを計ることや、居場所の確認に使われている方もいるそうです。確かに何県のプレートは何々門の所にあるなどと覚えておけば便利ですね。


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花の輪案内板


 少しずつ陽気も暖かくなり、東京では桜の開花宣言が出されました。お花見も兼ねて、スタンプラリー感覚で皇居一周を歩いてみることをお薦めします。全てのプレートを確認することができれば、きっと達成感を得られることでしょう。


March 16, 2017

新作・小倉遊亀「初夏の花」のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。
 朝夕と寒暖差ある今日この頃毎、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 それでも日中は日差しが段々と暖かく感じられる様になりました。初夏の様な少し汗ばむ日もありましたが、うららかな陽気に誘われて桃や桜などの花が咲き始め鳥の囀りが響き、冬が明けてだんだんと春の訪れを感じられる季節になりました。

 さてこの度当社は、日本画家・小倉遊亀の「初夏の花」複製画の販売を開始いたしました。エディションは限定200部です。

 鮮やかな橙色のテーブル、満開に咲き誇るミツバツツジの桃色、ゴツゴツとした味わい深い三宝柑の黄色。華やかなミツバツツジのが生けられた躍動感があり華麗なガラス花器は、ガラス芸術家・岩田久利氏の作品です。同じ芸術家として遊亀は、久利氏の自らの芸術に厳格で真摯に取り組む姿勢に対し共感し、懇意にしていたといいます。それぞれに配された彩りの会話を楽しむような感じで深く観察して筆をとっていたのでしょうか。

 彩り溢れいきいきとした輝きが描かれた作品の鼓動を、当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。




彩美版®
小倉遊亀 《初夏の花 》
販売価格 190,000円+税


小倉遊亀_初夏の花.jpg


<仕様体裁>
監修 有限会社 鉄樹
原画 名都美術館 所蔵
解説 鬼頭美奈子(名都美術館 主任学芸員)
限定 200部
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り、プラチナ泥使用
用紙 版画用紙
額縁 特注木製額純銀箔仕上げ、交織つむぎマット、アクリル付き
証明 著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
画寸 天地45.5×左右38.4㎝
額寸 天地65.6×左右58.5㎝
重量 3.7㎏
発行 共同印刷株式会社


※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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