July 28, 2017

豪雨被災地の皆さまへ、心よりお見舞い申し上げます


 ようやく梅雨が明けたものの、災害レベルの豪雨に心を痛める毎日です。この度の九州北部、東北北部の豪雨災害、被害を受けられた地域の皆さま、関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 恨むべきは突然の豪雨でありますが、古くより農耕に携わる生活をしてきた日本人にとって、雨は切っても切れない存在です。雨にまつわる言葉の数々からは、古人がどのように雨と接してきたかを伺い知ることもできます。以下、穏やかな言葉をまとめました。

・ 霧雨(きりさめ)...霧のように細かい雨。
・ 時雨(しぐれ)...降ったり止んだりする雨。
・ 村雨(むらさめ)...急に降りだして短時間で止むような雨。
・ 瑞雨(ずいう)...穀物を育む雨の意。
・ 慈雨(じう)...恵みの雨の意。
・ 甘雨(かんう)...草木を潤す雨の意。


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庭のトマト


 また、雨のあとには、天に美しい虹が映えるときがあります。

 以下の作品は、女性初の文化勲章受章者で、美人画の巨匠として知られる上村松園の名作《虹を見る》(原画は京都国立近代美術館所蔵)です。右隻には雨上がりの夕べ、振袖姿の姉に抱かれた愛らしい赤ちゃんが、天空に微かに映える虹を見上げて微笑む姿が印象的な構図で描かれています。

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松園_虹を見る(右隻).jpg
上村松園《虹を見る》(当社彩美版®より)


 このような雨あがりの情景を、穏やかに慈しみたいものです。

 被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

July 21, 2017

夏の到来

 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 一年の前半が終わり、七月に入り本格的な夏を迎えて来ました。そして先日、各地の梅雨明けしたとみられる発表が出されました。それでもまだまだ蒸し暑くて鬱々とした気分になりがちですが、皆様どうか体をご自愛くださいませ。

 今も昔も私たちは季節に寄り添いながら暮らしています。幼いころから自然に親しみ、四季折々の情景や季節感から豊かな文化がうまれ、季節を愉しむすべをよく会得しているのではないでしょうか。

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 日本の風物詩でもある七夕ですが、七月の節句にあたるそうです。子供の頃に短冊に願い事をかいて、色とりどりの折り紙で飾りをつくって笹にくくりつけ楽しんだものです。実は先日、笹を近所の花屋で購入して色々と思い出しながら七夕飾りをつくりました。夢中で飾りをつくったり短冊に願いをしたためたりしていると、童心にかえったようで楽しいひと時をすごしました。心ゆたかに、季節とともにめぐる文化を大事にしていきたい今日この頃でもあります。





 この時期、当社に程近い伝通院および源覚寺境内では「文京朝顔・ほおずき市」、そして以前ご紹介した光源寺(こうげんじ)駒込大観音(こまごめおおがんのん)でも7月9日・10日と「ほうずき市」が開催されました。このお祭りを迎えると初夏からいよいよ夏本番!と感じられます。

 今回は、夏を感じさせる奥村土牛「朝顔)」の複製画をご紹介いたします。
 たおやかで美しい朝顔が一輪が咲き誇っています。画伯の描く「たらし込み」による表現で、より鮮やかに瑞々しさが際立ち、繊細さもうかがえます。当社「彩美版®」により、原画の微妙な色使いや雰囲気を再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。


【当社商品のご紹介】


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奥村土牛 《朝顔》
販売価格 95,000円+税


<仕様体裁>
技法 彩美版、本金泥手彩色
原画 華禽大塚美術館所蔵
技法 彩美版®
画寸 天地38.2cm×左右52.8cm
額寸 天地57.5cm×左右71.5cm
重量 約4kg
用紙 版画用和紙(鳥の子)
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)


※「彩美版」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本作品は軸装仕様もございます。





【今日の谷根千】

◇文京区立森鴎外記念館

コレクション展「森家三兄弟―鴎外と二人の弟」

会期:平成29年7月7日(金)~10月1日(日)
※会期中の休館日:8月22日(火)、9月26日(火)
開館時間:10時~18時(最終入館は17時30分)
※7月9日(日)、10日(月)は20時まで開館(最終入館は19時30分)
観覧料:一般300円(20名以上の団体:240円)
※中学生以下無料、障がい者手帳ご提示の方と同伴者1名まで無料

会場:文京区立森鴎外記念館展示室2

July 14, 2017

大正時代のガーデニング男子


 梅雨だというのに、東京では雨があまり降りません。うだるような暑さが続き木々や草花も心なしか元気がないように見えます。水が足りないのではないでしょうか。我が家の子どもがまだ幼い頃は、家庭菜園が人気で、我が家でも地元自治体が運営する菜園を借りて野菜を育てていました。植物を育てるのは手間がかかるもの、夏場は水やりが大変です。水道が離れた場所にあり重いバケツを運んで何往復もしたものでした。

 ここ数年でしょうか、ガーデニングを楽しむ男性が増えてきているとの話題を耳にしました。そういえば、NHK「趣味の園芸」の講師はイケメン俳優の三上真史さんでしたし、作家いとうせいこうさんのエッセイをもとにして作られた田口トモロヲさん主演のNHKBSプレミアムドラマ「植物男子ベランダー」も、かなりディープな内容で人気だそうです。

 私自身はガーデニングにそれほど興味があるわけではないのですが、植物好きの家族のおかげで緑に囲まれた生活を送っています。リビングのど真ん中には、天井にとどかんばかりのウンベラータという観葉樹が鎮座し、四方に大きく枝葉をひろげています。ウンベラータの大きな葉は繊細でなるべく触らないようにしなけれなならないのですが、さほど広くない我が家のリビングですから、どこに行こうとしてもかならずこの樹の枝先ぎりぎりを通過しなければならず、不便を強いられています。それでも、活き活きとした植物たちに囲まれた空間には不便を上回る快適さと心を満たす歓びがあります。ことに室内にいながら樹下に憩う爽快さは、何物にも代えがたいものがあります。簡単な水やりでも続けていると、植物への愛情が自然と湧きあがってくるのが不思議です。

 ところでガーデニング、すなわち園芸は当初身分や教養の高い限られた人たちの趣味だったそうです。盆栽も含めていわゆる文人の嗜みの一つでした。江戸時代後期には一大ブームが興り、貴賤を問わずひろく愛好されたました。様々な花の品種が作出され園芸にかかわる出版も盛んでした。余談ですが、私はこうした園芸ブームと日本画の主題としての草花には、もちろん総てにあてはる訳ではないですが、なんらかの関連性があるのではないかと考えています。例えば酒井抱一や弟子鈴木其一ら江戸琳派の作品に多い花卉画は、園芸ブームという同時代性も併せて考えてみるべきではないでしょうか。機会があればもう少し深く探ってみたいと思います。

 話を戻します。近代日本を代表する文人の一人森鴎外(1862~1922)は園芸のスペシャリストでした。医学者らしく研究熱心で極めて高度な専門的知識を身に着けていたそうです。著名な植物学者牧野富太郎とも園芸を通じた親交がありました。自邸観潮楼(現在文京区立鴎外記念館のある場所)の裏庭は鴎外が園芸を楽しむ場所でした。毎日のように庭に下りて草花の生育状況を観察していたようです。鴎外がつけていた日記には草花の記述がしばしば登場します。また、花の開花記録である「花暦」を記しています。

 鴎外の弟子を自認していた一人に作家永井荷風(1879~1959)がいますが、荷風もまた園芸を好む男子の一人でした。荷風は随筆『偏奇館漫録』にこう記しています。

 「余花卉(かき)を愛すること人に超えたり。病中猶年々草花を種まき日々水を灌ぐ事を懈(おこた)らざりき。」


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断腸亭にほど近い余丁町の抜弁天。
荷風は大正6年12月の縁日に沈丁花一鉢を買い求め、自邸の窓下に植えている。



 断腸亭という彼の号の由来も花とかかわっています。大久保余丁町(現新宿区余丁町)の実家の庭園に咲いていた断腸花(秋海棠の別名)を好み、自らの書斎に名づけたのでした。断腸花は秋の花ですが、夏の花としては紫陽花と椎の花を特に好みました。

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荷風が好んだ夏の花、紫陽花。


 荷風の日記『断腸亭日乗』には草花の記述がしばしば出てきます。多くは季節の花の開花記録ですが、自ら雑草を抜き、種をまき、球根を植え、根分けをしたというような具体的園芸の記述もあります。また時には、樹医のようこともしています。大正9年に移り住んだ古いペンキ塗りの洋館、偏奇館には椎の老樹がありましたが、その樹に蟻がついて弱ったのを手入れして甦らせたのです。夏はこの椎の木の下で読書をするのが彼のお気に入りでした。

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偏奇館跡地に立つ泉ガーデンタワー。


 草花を好んだ荷風でしたが、偏奇館の庭は人から見れば、荒れ放題だったようです。しかし荷風自身は、綺麗に手入れされた庭園より手をあまりかけず荒廃した雰囲気に雅趣を見出したのでした。『断腸亭日乗』大正6年12月1日の記録にはこう記されています。

 「蝋梅(ろうばい)の黄葉末落尽さゞるに枝頭の花早くも二三輪開きそめたり。予今年は病のため更に落葉を掃(はら)はざりしが、今になりては荒果てたる庭のさま却て風趣あり。」

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偏奇館庭園を偲ぶ:道源寺に隣接する六本木坂上児童遊園の樹立。


 麻布市兵衛町にあった偏奇館は戦災で焼け、その跡地には今、泉ガーデンタワーが聳え立っています。泉屋博古館分館のすぐ裏手です。この周辺は大規模開発により荷風が住んでいたころとはすっかり様子が変わってしまいました。私は、荷風が通った道源寺坂にわずかに残る面影をみつけ心に刻みました。坂下の西光寺の木芙蓉が、午後の陽射しを浴びて可憐な花を咲かせていました。

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麻布道源寺坂。


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道源寺坂に咲く木芙蓉。




【夏の花いろいろ】※クリックするとリンク先の記事に飛びます。
ツツジ: 小倉遊亀 《初夏の花》
ガクアジサイ: 中村岳陵 《八仙花》
セイヨウアジサイ: 山口蓬春 《榻上の花》

スイレン: クロード・モネ 《睡蓮の池》


【お知らせ】
■ロビー展「私たち、自然保護しています。」を日本自然保護協会様にご紹介いただきました

6月22日付当ブログで、自然保護活動がテーマの当社ロビー展の記事を掲載しましたが、このロビー展の概要を、協力いただいた日本自然保護協会様に同会ホームページでご紹介いただきました。以下リンクからご覧いだだけます。

公益財団法人日本自然保護協会(企業連携)http://www.nacsj.or.jp/partner/2017/06/4629/

July 6, 2017

土田麦僊(ばくせん)―生誕130周年を迎えて-


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。7月に入り、夏真っ盛りの陽気の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて今回ご紹介する土田麦僊(1887-1936)は明治20年(1887年)佐渡に生まれました。今年は生誕130年の記念イヤーです。同年生まれの画家には、大観を師と仰いだ堅山南風(1887-1980)がおります。麦僊は主に京都画壇で活躍、円熟期を迎えた四十九歳の年に惜しくも逝去しましたが、近代日本の美術界に偉大なる足跡を残しました。

 京都に出て画家を志した麦僊は、鈴木松年と竹内栖鳳に師事。奇しくも上村松園(1875-1949)と同じ道を歩みました。若くして有望画家として頭角を現わすとともに、西洋絵画の理論を学び、伝統色の強い京都に在りながらも東洋と西洋の美の融合を目指し、新しい日本画の創造を図りました。弟で哲学者の土田杏村(1891-1934)とは道は違えども≪近代≫日本に深くコミットし、日本と西洋の文化と歴史に深く思考を巡らせました。

 京都市立絵画専門学校でともに学んだ、小野竹喬(1889-1979)、村上華岳(1888-1939)らと活動の母体となる国画創作協会を設立。翌年(1918年)には代表作「湯女」(重要文化財)を制作し、高い評価を受けました。座学に飽き足らず大正10年には親友の竹喬らと渡欧し、パリで学ぶかたわら西欧各地を二年間旅しました。帰国の翌年には「舞妓林泉図(ぶぎりんせんず)」を発表しますが、これは伝統美の極致ともいうべき舞妓を西欧画のパースペクティブで描いたもので、麦僊の集大成的作品となりました。上述の「湯女」「舞妓林泉図」はともに東京国立近代美術館が所蔵しております(「湯女」は7月17日まで東京国立近代美術館所蔵作品展にて展示中)。

 麦僊は齢五十前に没したため文化勲章の栄に浴することは叶いませんでしたが、フランスのレジオンドヌール勲章を受章、帝展審査員や帝国美術院会員を歴任するなど、近代の日本画壇に赫赫たる名声を築きました。にもかかわらず麦僊生誕130周年の年に記念回顧展が行われる予定がないのは、とても残念なことです。そこで本ブログでは麦僊の芸術にご興味あるお客様に、夏の風物詩、銘品「金魚図」彩美版®をご紹介させていただきます。

 「金魚図」は洋行帰りの麦僊が「舞妓林泉図」制作の翌年(1925年)に制作されました。描かれた金魚の優美な姿や面構えにはどこか風格さえ感じられますが、さらに面白いのは限りない空間のこの構図です。想像を遊ばせるような日本的な余白を楽しむ趣は、麦僊洋行後の日本美への意識の深まりを窺わせます。何よりも愛らしき金魚が水中でのびのびと泳ぐ姿に、清涼なる美しさを感じ取っていただけることでしょう。

 

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●土田麦僊『金魚図 』
販売価格 90,000円+税

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■仕様体裁
技 法 彩美版®シルクスクリーン手摺り
画 寸 天地37.5×左右42.0㎝(8号大)
軸 寸 天地129.0×左右59.5㎝
額 寸 天地58.5×左右63.0㎝
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


 麦僊の巧緻を極めた空間芸術を、皆さまも是非お手元でお楽しみ下さい。


June 30, 2017

身近なものを額に入れること、のおすすめ。


『美術趣味』をご覧いただきありがとうございます。
本日は、身近なものを額に入れること、のおすすめです。


先日私は、ペルー・シピポ族の泥染めの布を額装いたしました。
額選びプロセスはやってみるととても楽しいです。
当社では各作品に合った額装を何度も検討し選りすぐったものでご提供しておりますが、
お手元の「彩美版®」も新しくお気に入りの額に入れ替えてみるのも楽しいかもしれません...笑


まず額選びには、既成額とカスタムメイド額があります。
もちろんご予算次第でいちからデザインを決める完全オーダーメードも良いですよね。
今回はお手軽に、かつコーディネートに幅があり作品にぴったりあった仕上がりになる
カスタムメードの額で選んでいきます。


カスタムメイドは各メーカーのものを合わせると1000種類以上あるコーナーサンプルの中から
自由に大きさを決めることができ、必要なパーツの組み合わせで額を作ることができます。
今回は布ですがお皿やボールなどの立体物も自由に額装できます。


まず作品に合い、自分のイメージする雰囲気の額を選びます。
セットの方法や、額の深さなどの構造部分も考えながら選びます。


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素材や色、形など色々とあります。
すっきりしたデザインよりも今回はボリュームのある額を選びます。
あえて素朴すぎないものを合わせてみます。


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それからマットをつけるのかつけないのか、またマットの幅を考え全体の大きさを
どのくらいにするのか、UVカットのアクリルを使用するのかなど作品にとって保存状態が
良く見栄えがよい方法で各パーツを選んでいきます。


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今回はマットを被せず、作品の下にベースマットを敷いて、そこに糸で布を固定する方法で額装します。
接着しないので後から取り外ししやすく、布の辺部分まで見せることで手仕事の風合いが際立ちます。
さらにアクリルを直接のせずに布の柔らかさを楽しみたいため、額内側のサイドに立ち上がりをつくり深さを出します。
マットを加工し2センチほどの空間を作ります。
立体感がでるのと質感が強調され、額のボリュームと布とのバランスも合ってきます。


こんな感じで出来上がりました!


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プリミティヴな幾何学模様がモダンなインテリアともマッチするような額装になりました。


【作品提供ご協力】
世界の染織や日本の民芸、北欧家具のショップ

ROUND ROBIN

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June 22, 2017

「私たち、自然保護しています。」


なかなかまとまった雨の降らない今年の梅雨です。

本日は我がアート&カルチャー部が主催している企画展覧会についてお話をしたいと思います。
当部の事業は美術商品の企画・制作・販売が主体ではありますが、これに関連する活動として、昨年より社内スペースを利用し美術に関連する企画展覧会を行っています。これまで5回にわたり当社で取り扱っている作家や作品の紹介や、当部と関連する社会活動になどついて様々なテーマを設けながら紹介をしてまいりました。
残念ながら一般のお客さまに公開しているものではなく、あくまで社員とご来社されるお客さまのための、待合スペースを利用した展覧会ではありますが、訪れる方々に作家の認知や素晴らしい絵画作品とのタッチポイントをご提供すべく毎回あれこれと思い悩みつつ企画しております。

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さて、この春からは当社が(公財)日本自然保護協会と連携して行っている社会貢献活動をテーマに展示を行っています。展示会名はズバリ「私たち、自然保護しています。」
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当部では社会貢献を目的とし、複製画の売上金の一部を(公財)日本自然保護協会に寄付することで日本の自然保護に役立てて頂いています。きっかけは東山魁夷が日本自然保護協会設立当初の評議員を務められていたご縁で、東山画伯作品の複製画の売上の一部を原資とした寄付が計画され、同じく日本画家・岩澤重夫、鈴木竹柏の賛同・協力も得て実現したことによります。1993年の初回寄付以来20余年、今日までの累計額は一千万円を超えています。また会社としてもこれが縁となり、共同印刷グループが行っている環境意識の啓蒙およびCSRへの関心を身近なところから呼び起こすことを目的とした「自然観察会」を、同協会のご協力を得て毎年開催しています。
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共同印刷グループの経営理念は「印刷事業を核に、生活・文化・情報産業として社会に貢献する」です。当部は美術商品を取り扱っている文化的側面が強い部門ですが、様々な角度からの展覧会を通じて、社会活動や、素晴らしい画家の方々の作品の数々を一人でも多くの方々にお伝えし、作家・作品の魅力に気づいて頂けたら嬉しいな...と思いながら日々企画している次第です!

June 16, 2017

木の森の生命たち


 私の住む区内にちょっと気になる「美術館」があると知り、天気の良い休日を見計らって訪れることにしました。初夏の日差しが急に増してきたと感じながら、自転車で、もたもたペダルをこぎ、閑静な住宅街の中を何となくこのあたりだろうと目途をつけたものの、そう甘くはなく右往左往。ようやくそれらしき建物を見つけました。(もう一度すんなり行ける自信がありません。)

 美術館と言っても大きな住宅の風情。しかし入口の意匠はとても神秘的で、樽に乗った馬の首の彫刻があり、壁にかかった味わいある木の板には、M●KKINKANと読みづらいロゴが記されていました。ここはしまずよしのりさんという彫刻家の作品を展示する、モッキンカン木の森美術館です。

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木の森美術館入口

 館長である奥様のリコさんに案内されて入ると、大小様々な木彫りの彫刻が所狭しと置かれています。楽器を奏でる動物や巨大な顔面などインパクトある作品や、小さく可愛い不思議な人形類などとともに、額装された絵や小さなスケッチも壁を覆っていました。
 しまず先生はとても多才な方で、書や詩も書き、童話も作られます。小さな彫刻作品はアニメーション制作に使用したもの。ご自身で微妙に人形を動かしては撮影しコンピュータのソフトで作り上げたオリジナルアニメ作品がたくさんあります。

 正式な展示室である2階に上がるとさらに圧倒されます。様々な木彫りの作品は皆大きく、生命が宿っているかのように生き生きして佇んでいます。殆どが大きな木から彫りだされた一木造の作品で、モチーフも様々。巨大なアゲハチョウやトンボが宙を舞っていたり、羽を畳んだ妖精が眠っていたり、夥しくざわめくキノコと笛を吹く少年、祈りを捧げる森の精など、異界に住む住人が集合したようです。

 女性が馬車に乗った作品は未完成とのことですが、館長に促され背後から女性を見ると、たくさんの子供に乳を与えている動物の姿が現れました。表と裏が異なる造形になっている作品で作者のユーモラスな面が伺えます。作品の様相は制作年によっても変化しているようで、それも楽しめる要因です。初期からの膨大な作品はここ以外に米蔵の倉庫に保管されているとのこと。絵画作品中心に展示された小さな部屋もあり、無垢でファンタスティックな世界は私の心の琴線に触れ、何度も見入ってしまいました。

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賑やかな彫刻展示風景

 しまず先生は、1944年東京都生まれで、幼少は長野育ち。その後浦和に移り美術に没頭。高校卒業後作家活動に入り、絵画からレリーフ、そして独学で彫刻を始め、長野県での制作活動を経て70歳を超える今も精力的に制作を続けています。

 お会いして様々なお話を伺いました。哲学を感じる大人向けの寓話、なかでもサラリーマンを経験していないしまず先生だからこそ、サラリーマンの風習の奇異さが目に付く内容のお話は不気味でした。今の世は「無邪気さ」や「他愛ないこと」が少なくなったこと、しかし「人間はそんな少年時代がすべてを決定づける」ことなど、あらためて確かにと共感できる言葉にも接しました。

 しまず先生の作品は多様ですが、その作品には共通して、人間は自然と対立するものではなく、自然の一部だと捉えた思想が投影されています。「森から放たれた原木と対峙し、その原木に宿る『生命の立体』を見出し、迷うことなく彫り出す。彫り起こされた『生命の立体』はやがて連なり新たな森を形成する。」

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作品「羽化する少女」

■モッキンカン木の森美術館
さいたま市南区大谷口593
TEL 048-881-0524
営業時間10時~17時
定休日 木曜
Web  http://www.unpopu.com/cho/index.html

June 8, 2017

東山魁夷の世界を豊田市で鑑賞する。

 豊田市美術館で「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」が開催されている(〜6月11日まで)。名古屋駅から電車に乗り継ぎ1時間ほど、車窓からサッカーなどの試合が行われる豊田スタジアムの巨大な姿が見え始めると豊田市駅に到着する。豊田市はトヨタ自動車の本社がある街であり、県内で一番の面積を持つという。この駅から歩いて15分ほどの小高い丘に豊田市美術館はある。美術館は、もと「七州城」と呼ばれた城があった跡に建てられている。その敷地は緑と水で彩られた庭園になっており茶室や彫刻作品が点在して楽しく散策できる。庭園側から美術館を眺めると、直線的なデザインで構成された建物が大きな池に浮かんだように見え、モダンな美しさがある。またレストランのあるテラスからは豊田市の街も一望できる。
 この度の展覧会では、唐招提寺御影堂の修理が行われている機会に、非公開の障壁画を見る事ができる絶好のチャンスである。東山魁夷は多難の末に中国から日本に渡り唐招提寺を開基した鑑真和上に感銘を受け、10年の歳月をかけて「唐招提寺御影堂障壁画」を完成させた。この障壁画には日本の自然風景と共に、鑑真の故郷、中国の風景も描かれている。そこに描かれた自然の姿は躍動的に、あるいは静寂に、見る人の心の内を映し出す鏡のようにも見える。美しい自然風景の中に深い精神性を持った東山魁夷の世界に触れる事ができた。
 この美術館には、漆芸家の高橋節郎館も併設されている。高橋節郎は東京美術学校工芸課漆工部を卒業。漆の新しい表現を探求し、屏風、立体、版画などの斬新な作品を制作した。その作品には、深く輝きのある漆黒から、色漆の色彩など漆の幅広い表現が見られ、漆の奥深い世界が堪能できる。こちらも是非訪れていただきたい。
今回の名古屋訪問はあまり時間がなく、名古屋名物を味わう余裕がなかった。次の機会があれば、アートだけでなく様々な味覚の世界も味わってみたい。
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水面に浮かんだような美術館


今年の春から発売した東山魁夷 マスターピース コレクションTMの新作「白馬の森」。
東山芸術の美しさと奥深さが堪能できます。
東山魁夷_白馬の森(額装)400x460pix.jpg
【東山魁夷 マスターピース コレクションTM 『 白馬の森 』】
販売価格 500,000円+税
限定500部発行

■仕様体裁
監 修 東山すみ
技 法 彩美版®プレミアム
額 縁 特注銀浮き出し加工木製額(シルバーフレーム/背面メタリック梨地)
画 寸 天地44.3×左右65.2㎝(15号)
額 寸 天地62.2×左右83.1×厚さ3.7㎝
重 量 約4.9㎏
原画所蔵 長野県信濃美術館 東山魁夷館
解 説 松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


June 2, 2017

屋上の庭園 ~モネの世界へ~

いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


先週、この場で当社新商品「クロード・モネ/睡蓮の池」のご案内をさせて頂きましたが、その絵柄と同じ風景を楽しめる場所があります。もちろん、この絵画の舞台となったフランス・ノルマンディー地方ジヴェルニー村を訪問すれば、モネが造った実際の風景を観ることができます。しかし今回はもっとお手軽に、ビールでも飲みながら鑑賞できるスポットをご紹介したいと思います。

場所は東京都池袋の西武百貨店9階屋上にあります。昭和時代、百貨店の屋上といえば遊園地が定番だったイメージがありますが、娯楽の多様化や少子化などの影響で、多くの施設が姿を消し、最近ではあまり見かけなくなりました。一方、近年の百貨店業界においては、集客の要として屋上をリニューアルして、効果を上げている所も多いようです。



そして、こちら池袋西武百貨店の屋上は2015年に「食と緑の空中庭園」として、リニューアルオープンしました。'空のほとりで逢いましょう'をコンセプトにモネが愛したノルマンディーの「ジヴェルニ―の庭」、そしてモネ晩年の大作「睡蓮」にインスピレーションを得て造園されたものです。

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煙突はご愛嬌



そして庭園のシンボルとして造った「睡蓮の庭」には、睡蓮を浮かべ、四季折々の自然の姿が美しく写し出されます。

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時間帯によってはミストがでます



庭園内には世界の料理と、アルコールが提供される「レストラン&バー」、バラエティ豊かなメニューが楽しめる10店舗のフードショップが展開されています。訪れる全ての人がモネの世界観に包まれ、上質な時間と空間を楽しむことができるはずです。

May 26, 2017

新作モネ「睡蓮の池」のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。


 炒りたてのほうじ茶の香ばしい香りに誘われて、近所のお茶屋さんをのぞくと、「新茶」の入荷を知らせるポスターや幟を目にする様になりました。また、新茶の季節と共に、夏の気配が日に日に感じられ、強い陽射しに汗ばむ頃となってきました。急な気温上昇で真夏日・猛暑日になる事もあり体調を崩しがちですが、皆様どうぞ体をご自愛くださいませ。


 さて弊社ではこの度、印象派の巨匠、クロード・モネ「睡蓮の池」複製画の販売を開始いたします。モネが描いた日本の橋が架かる睡蓮の池。モネが移り住んだフランス・ジヴェルニーの地に造成した「水の庭」を描いた最初の連作のひとつでもあります。あふれる光と自然の息吹に満ち、緑きらめく美しい睡蓮の庭。陽光と深い緑が揺らめき水面へ反射が巧みに描かれています。豊かな色彩やモネの筆遣い、原画の持つ鼓動までをも「彩美版®」にて再現いたしました。


 気品ある木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド仕上げ)に収め、200部限定でご用意しております。


 モネが愛したジヴェルニーの風景を、是非お手元でお楽しみください。




クロード・モネ 《 睡蓮の池 》
Claude Monet / LE BASSIN DES NYMPHÉAS
販売価格 115,000円+税
限定200部発行


睡蓮の池 .jpg

ⓒ The Metoropolitan Museum of Art
Image source:Art Resource,NY/PPS通信社



※画像をクリックすると大きく見られます。


■仕様体裁
原 画 メトロポリタン美術館
H.O.ハヴメイヤー・コレクション
監 修 高橋明也(美術史家/三菱一号館美術館館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地53.0×左右42.1㎝
額 寸 天地66.0×左右51.1㎝×厚み3.0㎝
重 量 4.0㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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