January 8, 2019

新年のごあいさつ

新しい年になって初めての美術趣味でございます。私共一同、新たな気持ちでスタートしてまいります。皆様、本年もどうぞご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。

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湘南海岸から臨む富士山

 さて新年といえば皆様は初夢をご覧になりましたでしょうか。初夢で見ると縁起が良いとされているのは「一富士、二鷹、三茄子」ですが、やはり富士山は一番おめでたい存在のようです。
 一番といえば富士山が日本の最高峰(標高3776 m)であることはいわずもがなです。また、富士山は他に比べようがない唯一無二の山として、「不二山」と書かれたりもします。その美しい姿は日本の紙幣に度々描かれており、現在の千円札の裏面には本栖湖に映る逆さ富士が描かれています。これは、写真家の故・岡田紅陽氏が撮影したものを図案化したものだそうです。

 富士山は2013年に世界文化遺産に登録され大変な話題になりました。登録の理由には、富士山が「信仰の対象」と「芸術の源泉」としての価値を認められたことがあります。信仰といえば江戸時代は庶民が富士山を参詣する富士講が流行ったそうです。関東地方には、富士講に行けない人たちのために造られた小さい富士山の塚「富士塚」が今でも残っています。
 芸術といえば確かに葛飾北斎の富嶽三十六景などの浮世絵や日本画の巨匠横山大観など、時代を超えて多くの芸術家の題材となっています。
 
まことめでたき富士山の魅力は尽きません。一生に一度は登ってみたい山です。
 
さて、おめでたい新年に相応しい富士山にまつわる商品をご紹介いたします。
 
片岡球子「富士」
こちらは再興第69回院展作品集の表紙のために描き下ろされた貴重な作品の複製画です。
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[仕様体裁]
限定:500部
画寸:29.5cm × 40.5cm
額寸:47.5cm × 58.5cm
技法:彩美版® シルクスクリーン手刷り
用紙:版画用紙
額縁:特製木製額金泥仕上げ、アクリル付(日本製)
重量:約2.7kg
証明:著作権者承認印入り証書を額裏に貼付
監修:片岡雍子
解説:田渕俊夫(日本画家)
原画所蔵:日本美術院
販売価格 180,000円(税別)
 
横山大観「雲中富士」
本作「雲中富士」は、大観「富士」の原点ともいえる名作で、かつて越中立山の山頂から眺めた富士を題材に描かれたと言われています。琳派の系譜を受け継ぐ装飾性とシンプルな構図によって、富士の雄大で神々しい姿が際立っています。
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[仕様体裁]
限定:150部
画寸:天地31.0cm×左右69.0m
額寸:天地44.0cm×左右82.0cm×厚み2.5cm
技法:彩美版® シルクスクリーン手刷り
用紙:版画用紙
額縁:特注木製額金泥仕上げ、アクリル付(日本製)
重量:約3.1kg
監修:横山 隆 (横山大観記念館 理事長 兼 館長)
解説:佐藤 志乃(横山大観記念館 主任学芸員)
原画所蔵:東京国立博物館 ※原画《雲中富士図屏風》の左隻部分を複製したものです。
本体価格 150,000円(税別)
 
※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※作品の色彩は、ご覧いただいている画面と現品とでは多少異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。
 
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー事業 TEL.03-3817-2290

December 20, 2018

浅草・羽子板市



本年最後の記事更新となります。
いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。
今年もあっという間に残すところ10日となりました。
皆さま、年越しの準備は進んでいますでしょうか。


年の瀬の風物詩として、浅草・浅草寺では「歳の市」が行われました。同時に開かれている「羽子板市」が有名なので、初めて足を運んでみました。境内には大小さまざまな羽子板を売るお店が並んでいて、平日にも関わらず大勢の人で賑わっていました。毎年12月17日~19日の3日間のみの開催なので、休日と重なった場合の人出は凄まじいものと想像がつきます。


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羽根突きはお正月の遊びとして誰しもがご存知だと思います。同時に、それに用いる羽子板も新春の縁起物として日本人に親しまれてきました。羽子板は先端に向けて広がる「すえひろがり」の形と、羽が厄災を「はねのける」に通じることから、室町時代以前より長らく日本人に親しまれてきました。


店頭に飾られている見ているだけで楽しい装飾された羽子板は「押絵羽子板」といいます。江戸時代になると、歌舞伎役者の人気を背景に、浮世絵師の描く役者絵を押絵細工として羽子板に取り付けたのが始まりです。特に女性の人気を集め、徐々に『歳の市』から『羽子板の市』に重点が移り、明治時代以降、年末の風物詩「羽子板市」という名前が定着したそうです。開催期間が3日間とは短いと感じましたが、年の瀬を十分に味わうことができました。


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さて、当社でも新年を迎えるにあたり、慶祝の日にふさわしい吉祥画をご用意しております。近年注目度の高い、伊藤若冲が描いた「日出鳳凰図」です。
若き若冲の気概あふれる傑作です。旭日と鳳凰に焦点を絞った大胆な構図が青年期の若冲の比類なき才能を感じさせ、その定評ある細密な描写が作品の完成度の高さを証明します

彩美版®
伊藤若冲 《日出鳳凰図》
販売価格 110,000円+税


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<仕様体裁>
原画 米国・ボストン美術館所蔵
解説 河野元昭(美術史家、東京大学名誉教授)
技法 彩美版®
用紙 特製絹本
表装 三段表装(本表装)
画寸 94.0×33.0㎝
軸寸 183.0×52.5㎝
箱  柾目桐箱、タトウ付
※ご希望により額装のご注文も承ります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。

December 6, 2018

新作≪月華厳島≫のご案内


いつもブログ美術趣味をご覧いただき、まことにありがとうございます。

今年も早いもので、残すところ後二十日あまりとなりました。寒さも日に日に厳しくなってきております。本ブログをご覧の皆さまも、気忙しい日々をお過ごしのこととは思いますが、体調の管理には十分お気を付けください。


さて、この度は先だって販売を開始いたしました平山郁夫画伯の入魂の作、≪月華厳島≫彩美版®をご紹介いたします。


≪月華厳島≫は、名実ともに日本画壇の第一人者として活躍をされた平山画伯が、文化功労者として顕彰された記念すべき年(平成5年)に描いた、画伯壮年期の名品です。


世界遺産としても知られる厳島神社は、荘厳な佇まいと美しい自然の風景で、古より人々を魅了してきました。同じ広島県に生まれた平山画伯も、美しい瀬戸内海の風景の中で過ごした幼い頃の記憶と、日本文化への愛着が強い想いとなり、何度もこの信仰の島を描いております。その代表的な作品がご案内の≪月華厳島≫です。


本作≪月華厳島≫は、潮が満ち、あたかも海に浮かんでいるような厳島神社の社が神秘的な青の世界で描かれています。月明かりを受けてほのかに光る灯籠の光が、社殿の回廊に点々と連なり、見るもの奥へ奥へと導き、幻想の世界へと誘います。画伯は月明かりに浮かぶ神宿る社の神秘感を、平山ブルーと呼ばれる深い群青色で、灯籠の幻想的な灯りを金色で描きました。


今回の復刻では、平山家と原画所蔵元の特別なご協力をいただき、原画に描かれた微細な色合いや色調の濃淡を忠実に再現することが可能となりました。平山画伯の深いブルーと金の輝きは、職人の手業であるシルクスクリーンで再現、金色には本金泥を一部使用するなど、原画の持つ魅力を贅沢に追求しております。


平山芸術の神髄、≪厳島神社≫が現出する悠久の荘厳美を、皆さまもぜひお手元でご堪能ください。




【作品のご案内】


「宮島口の港から瀬戸内の穏やかな海を渡ると、遥か彼方に小さく見えていた赤い鳥居が次第に大きさを増し、やがてその全容が聳(そび)え立つように迫ってくる-あの光景ほど、心を震わせるものはない。」(作品付属解説書より)


彩美版®
平山郁夫 《 月華厳島 》

販売価格 300,000円+税
限定300部発行



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■仕様体裁

監 修 平山美知子(公益財団法人平山郁夫シルクロード美術館館長)
技 法 彩美版®シルクスクリーン手刷り、一部本金泥使用
額 縁 特製木製額金泥仕上げ、アクリル付き、クロス貼りタトウに収納
画 寸 天地34.1×左右72.7㎝(20号大)
額 寸 天地54.5×左右93.0×厚さ5.0㎝
重 量 約6.3㎏
解 説 谷岡清(美術評論家、NPO法人美術教育支援協会理事長)
発 行 共同印刷株式会社


●寸法・重量等は、天然材料を使用し、一点すつ手作りのため、表記と異なる場合があります。
●作品の色彩は、ご覧いただいている画面と現品とでは多少異なる場合があります。


※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー事業 TEL.03-3817-2290


November 22, 2018

生誕110年 東山魁夷展 ≪東京≫

いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

11月初旬に立冬を迎えましたが、思ったより穏やかな天候に恵まれていたように感じます。それでもここ数日の間に朝晩の冷え込みが強くなり、寒暖差の恩恵を受け木々や山々の紅葉が見ごろを迎えています。色鮮やかで華やかな紅葉を眺め、移りゆく季節を感じられる今日この頃です。季節の変わり目でもありますが、皆様どうぞご自愛くださいませ。


先だってブログにご案内いたしました「生誕110年 東山魁夷展」ですが、10月24日(水)から東京の国立新美術館にて開催されています。首都圏では2008年以来10年ぶりの大回顧展です。東山魁夷の創作の全貌を肌で感じられる又とない機会ではないでしょうか。



なお本展覧会では東山魁夷の複製作品を、会場出口にてお取扱いいただいております。展覧会ご鑑賞の折は、ぜひ販売会場にも足をお運びいただき、ご覧いただければ幸いです。



【展覧会情報】
『生誕110年 東山魁夷展』
 会  場/ 国立新美術館
       東京都港区六本木7-22-2
 会  期/ 2018年10月24日(水)~12月3日(月)まで
 会館時間/ 午前10時~午後6時 毎週金・土曜日は午後8時まで
       ※入場は閉館の30分前まで
 休 館 日/ 毎週火曜日
 
 ◇詳しくは、展覧会ホームページをご覧ください。



【販売作品のご案内】


彩美版®
東山魁夷 マスターピース コレクションTM 「行く秋」
 
販売価格 500,000円+税
限定350部発行


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<仕様体裁>
監修:東山すみ
技法:彩美版®プレミアム
額縁:特注銀泥プラチナカラー木製額・ハンドメイド浮き出し加工
画寸法:459×652mm
額寸法:636×832mm
重量:約5.3Kg
原画所蔵:長野県信濃美術館 東山魁夷館
解説:松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発行:共同印刷株式会社



※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

November 7, 2018

新作《椿》特装版のご案内

いつもブログ『美術趣味』をご覧頂き、ありがとうございます。
秋も一段と深まり、日だまりの恋しい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
実りの秋、皆様が充実した日々をお過ごしになられるよう、お祈り申し上げます。
さて今回はまもなく販売を開始する、小倉遊亀筆《椿》特装版をご紹介します。
椿は小倉画伯が好んで描いたモチーフで、この作品は代表的な作品の一つになります。
金地に映える紅、白、絞りの三種の椿が鮮やかに咲き、部屋に飾ると明るく華やかに彩ります。
純美な名画を、ぜひお手元でお楽しみください。

《椿 》特装版
[仕様体裁] 本体価格 185,000円(税別)
限定:500部
技法:彩美版®シルクスクリーン手刷り 本金泥使用
用紙:版画用紙
額縁:特注木製額金泥仕上げ、アクリル付き 面金付布マット(日本製)
画面寸法:天地32.0×左右53.0cm
額寸法:天地54.5×左右75.5×厚さ3.7cm
重量:約3.5kg
監修:有限会社 鉄樹
解説:谷岡 清(美術評論家/NPO法人美術教育支援協会 理事長)
証明:著作権者承認印を奥付と画面右下部に押印
原画所蔵:宮内庁
※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。
※作品についてのお問い合わせ先:共同印刷(株)アート&カルチャー事業 TEL.03-3817-2290
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October 24, 2018

芸術の秋と奈良

 深まり行く秋、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて古の都の奈良から西に少し行った近鉄学園前駅周辺には、素敵な美術館が点在しています。その一つ、松柏美術館は閑静な住宅街にある大渕池の畔に立つ落ち着いた美術館です。こちらの松柏美術館では日本画家の上村松園、松篁、淳之の三代の画業を紹介しています。今開催中の「上村松園・松篁・淳之三代展」(~12月2日まで)では、下絵などを紹介しながら本画ができるまでの過程を見ることができます。展示作品の中でも松園の「鼓の音」は凛とした女性の美しさと、今まさに鼓を打たんとしている緊張感が伝わる名品で、まさしく一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵でした。上村松園は明治8年に京都に生まれ、女性として初めて文化勲章を受章されましたが、この作品を見ると、作品制作に向かう作家の強い決意のようなものを感じます。
IMG_0755.JPG 湖畔に立つ松柏美術館
 
 学園前駅から南東に少し行ったところには西ノ京と呼ばれるエリアがあります。こちらには薬師寺や唐招提寺、菅原天満宮など歴史的遺産の見どころが集まっています。10月24日から開催された「生誕110年 東山魁夷展」(東京の国立新美術館で12月3日まで)では、唐招提寺御影堂に奉納された障壁画の全作品が再現展示されます。この度、唐招提寺を訪れたところ、御影堂は平成大改修をしていて竣工予定は2022年とのことでした。竣工時には鑑真和上坐像と東山魁夷画伯奉納の障壁画を御影堂で参拝できることを楽しみにしています。帰りは奈良駅まで足を延ばし、興福寺の国宝館に安置されている阿修羅像を拝見し、奈良公園の鹿と戯れて奈良の芸術と秋を満喫いたしました。
IMG_0781.JPG 歴史を感じさせる唐招提寺への道
 
 これからのシーズンは魅力的な展覧会が目白押しです。皆様も芸術の秋を満喫しに、美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。
 展覧会の情報は美術館のホームページなどでご確認ください。


 さて、私どもの商品も秋にふさわしい名品がございますので、ご紹介いたします。

~松園が描いた明るく上品なたたずまいの女性。~
上村松園筆「初秋」
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本体価格 120,000円(消費税等は別途申し受けます)

■仕様体裁
限定 200部
技法 彩美版®シルクスクリーン手刷り
用紙 特製絹本
画面寸法 天地43.5×左右53.0cm
監修 上村淳之
原画所蔵・解説 古川美術館
証明 監修者承認印・限定番号入り証紙を貼付
■額装仕様
額縁 特注木製額縁金泥仕上げ、アクリル付き、しぐれ紬織りマット
額寸法 天地63.0×左右72.5cm
重量 約4.5kg
■軸装仕様
軸装 三段表装
表装素材 天地 利休茶色無地
中廻 浅葱鼠色地流水文緞子
風帯・一文字 白茶色地唐花唐草文金襴
軸先 新牙
箱 柾目霧箱、タトウ付き
箱書き 上村松園(シルクスクリーン印刷)  


~東山魁夷が京都の栂尾山高山寺への石段を登る時に見た紅葉の輝き。~
東山魁夷筆「照紅葉」(てるもみじ)
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本体価格 250,000円(消費税等は別途申し受けます
■仕様体裁
限定 1000部
技法 岩絵具方式複製画
画面寸法 天地36.4×左右53.0cm
額寸法 天地58.0×左右74.7cm
額縁 特製木製額、アクリル付き
重量 約4.9kg
監修 東山すみ
解説 谷岡清(美術評論家)
証明 監修者承認印・限定番号入り証紙を貼付
   ATELIER KAII HIGASHIYAMAの空押しが画面右下部に入ります。


※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

October 10, 2018

伝統手摺り木版画 横山大観 《 蓬莱山 》発売



いつも美術趣味をご覧いただきましてありがとうございます。


今年2018年は明治から昭和を駆け抜けて日本美術界を牽引した日本画の巨匠、横山大観の生誕150年という記念年です。
4月~7月までは東京・京都と国立近代美術館で大規模な回顧展も開催され、大盛況のうちに幕を閉じました。
当社では4月に発売した彩美版®「雲中富士」に続き、木版画「蓬莱山」の販売を開始します。


本作 《蓬莱山》の軸装原画は、大観が描いた富士の中でも最大級の作品です。畳四畳半分にも及ぶ大きさから復刻不可能とされてきた作品を、大観のご子孫である横山隆氏の特別監修のもと制作しました。京都の熟練職人による68版215度摺りという驚異の手わざで、巨匠大観の筆遣いや微細な表現を巧みに再現しています。


蓬莱山は、中国の伝説で、山東半島のはるか東方にあって不老不死の仙人が住むとされる霊山です。富士山もまた、万葉集から詠まれた信仰の山として知られています。
大観は、やまと絵や琳派などの古典や西洋絵画の技法を咀嚼して近代日本画壇の礎を築き、昭和期に入ると「有形の物象をかりて無形の霊性を表す」と精神主義を唱えて水墨画に熱中しました。本作も、山稜のあたりを瑞鶴が群れ飛び、雲海が生き物のように迫って、光をまとった不動の富士と対峙しています。気迫と気品に満ちた大観の代表的作品を、ぜひお手元でお楽しみください。


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蓬莱山(ほうらいさん)
[仕様体裁] 本体価格 280,000円(税別)
限 定:500部 ※今回の販売は最終50部のみ
技 法:伝統手摺り木版画
版数・摺数:68版215度摺り
版 元:歡榮堂/彫師:松田俊蔵 摺師:佐藤景三
用 紙:越前手漉き和紙
本紙寸法:天地49.0cm×左右53.5cm
監 修:横山隆 (横山大観記念館 代表理事兼館長)
解 説:細野正信 (美術史家)


【額装仕様】
額寸法:天地67.0cm×左右71.5cm×厚さ3.5cm
額 縁:特注高級木製額(国産ハンドメイド)、
唐草紋緞子織りマット、アクリル付き
重 量:約4.3kg


【軸装仕様】
軸寸法:天地141.0cm×左右66.5cm
表 装:本表装
材 料:天地:唐花総紋/中廻:牙地菱入唐花蔓/
風帯・一文字:牙地蔓唐花/軸先:新牙
収 納:桐箱・タトウ


寸法・重量等は、天然材料を使用し、一点ずつ手作りのため、表記と異なる場合がございます。
作品の色彩等、画面と現品で多少異なる場合がありますが、ご了承願います。
彩美版(R)は共同印刷株式会社の登録商標です。

September 28, 2018

生誕110年 東山魁夷展 


いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。長かった9月もようやく終わりを迎えます。台風と地震に被災された方々には重ね重ねお見舞いを申し上げます。迎える秋が皆さまにとって平穏な秋であることを心よりお祈りいたします。


さて私は先日、京都・岡崎公園にある京都国立近代美術館で「生誕110年 東山魁夷展」を鑑賞してまいりました。


京都では30年ぶりという大回顧展は、東山魁夷(1908-1999)の生誕110年を記念するものです。画業の変遷を代表作でたどるとともに、東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺御影堂障壁画全68面」を特別展示するという貴重な展覧会です。


制作に10年を要したという画伯入魂の唐招提寺の障壁画は、ほぼ70メートルにも及ぶという長大なものであり、唐招提寺の開祖、鑑真和上の苦難の足跡になぞらえ中国や日本の壮大な自然を、抒情と幻想を内に秘めた静謐な風景として見事に描き切っています。地元奈良でも一年に数日間しか公開されないという記念碑的な作品群を、その場で鑑賞できるのはまことに貴重な機会といえましょう。


日本やヨーロッパの街と自然を描いた風景画約80点とともに東山魁夷の画業の全貌をたどる展覧会で、筆者もまた改めて東山芸術の真髄といえる清新な叙情性と深い精神性に触れるこができ、魂が震えるような深い感動を覚えました。


10月24日(水)からは東京の国立新美術館に会場を移し、首都圏では2008年以来10年ぶりという大回顧展が行われます。こちらもどうぞお楽しみに!


なお本展覧会では東山魁夷の複製作品を、弊社販売代理店協力のもと会場出口でお取り扱いしております。「白馬の森」や「行く秋」など彩美版®プレミアムの作品が会場の販売スペースに飾られ、東山芸術の感動を胸にした多くのお客様にお立ち寄りいただいております。弊社の彩美版®プレミアムは、「国民的風景画家」と謳われた東山魁夷が描いた美しい日本の風景をさらに魅力的に鑑賞していただける、新感覚の美術工芸技法です。展覧会ご鑑賞の折は、ぜひ販売会場にも足をお運びいただき、ご覧いただけると幸いです。


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【展覧会情報】

「生誕110年 東山魁夷展」
会場 京都国立近代美術館
京都市左京区岡崎円勝寺町
会期 2018年10月8日(月・祝)まで。
月曜休館(祝日を除く)
時間 9:30~17:00
※巡回展:東京:2018年10月24日(水)-12月3日(月) 国立新美術館



【販売作品のご案内】
「ある時、一頭の白い馬が、私の風景の中に、ためらいながら、小さく姿を見せた」

東山魁夷 マスターピース コレクションTM
東山魁夷 《 白馬の森 》



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販売価格 500,000円+税
限定500部発行


■仕様体裁
監 修 東山すみ
技 法 彩美版®プレミアム
額 縁 特注木製額シルバーフレーム・背面メタリック梨地 ハンドメイド浮き出し加工
画 寸 天地44.3×左右65.2㎝(15号)
額 寸 天地62.2×左右83.1×厚さ3.7㎝
重 量 約4.9㎏
原画所蔵 長野県信濃美術館 東山魁夷館
解 説 松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発 行 共同印刷株式会社

※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー事業 TEL.03-3817-2290


September 14, 2018

【新商品紹介】フェルメール《牛乳を注ぐ女 THE MILKMAID》


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 今年の夏は全国的に酷暑に見舞われ、9月を迎えても厳しい残暑が続きましたが、最近の朝夕の吹く風の涼しさにようやく秋の気配を感じられる季節になりました。まだまだ気候の変動が激しく、暑さや寒さがぶり返すなどして体調を崩しやすいこの頃ではあります。皆様どうぞご自愛くださいませ。




 今回は、17世紀オランダを代表する画家であるヨハネス・フェルメール《 牛乳を注ぐ女 THE MILKMAID 》をご紹介します。

 厨房の一角で息をひそめ、一心に牛乳を注ぐ女性。彼女の視線の向かう先、瓶から注がれる牛乳の部分に私たちの視線も注がれます。「光の画家」と呼ばれるフェルメールの絵画は、穏やかな光、巧妙な構図など、思わず見入ってしまう要素が絵の随所に散りばめられその魅力は尽きることがありません。まるで、そこから物語を想像することを私たちに求めているかのように、ひとつひとつが語り掛けてきます。

本作は17世紀オランダの時代背景や精神文化が感じられる貴重な作品であり、寡作であったフェルメール作品の中でも、特に称賛されている珠玉の作品であるとこは、もはやいうまでもありません。


 この度、アムステルダム国立美術館が提供する正式画像をもとに、当社独自の技法「彩美版®」で再現しました。また、天然ラピスラズリを一部使用するとともに、フェルメール絵画の質感や濃淡の深みを再現しました。静謐感にあふれた珠玉の名画を、ぜひお手元でお楽しみください。


彩美版®
フェルメール《 牛乳を注ぐ女 THE MILKMAID 》 
販売価格 98,000円+税


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© Rijksmuseum,Amsterdam/PPS通信社



<仕様体裁>
監修・解説 千足 伸行(美術史家/成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)
原画所蔵 アムステルダム国立美術館
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り、天然ラピスラズリ使用
用紙 キャンバス
額縁 特注木製額金箔貼りハンドメイド仕上げ、アクリル付き(日本製)
画寸 天地41.0cm×左右36.6m
額寸 天地53.1cm×左右48.7cm×厚さ2.0cm
重量 約2.0kg
発行 共同印刷株式会社



※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

August 24, 2018

晩年の北斎とその娘応為のこと


 2020年開催の東京オリンピック開催を控え江戸文化へ関心が集まり、それに伴い浮世絵の人気も確実に高まってきているようだ。私が立ち寄る都内の浮世絵専門美術館も確実に来館者が増加している印象だが、特徴的なのは海外の方々が増えことに若い世代の姿が目立つことであろう。いずれも作家や作品に敬意を払い真剣なまなざしで鑑賞している姿は好ましく、日本人のひとりとして誇らしくも感じる。

 私自身、2016年秋にすみだ北斎美術館が東京両国に開館して以来、浮世絵を鑑賞する機会が増えたように思う。昨今日本美術の代表格のようにもてはやされる浮世絵だが、専門の美術館は意外に少なく1972年開館の平木浮世絵美術館(旧リッカー美術館、2013年閉館)を嚆矢とし、東京原宿の太田記念美術館や長野県松本の日本浮世博物館、同じく長野県小布施町の北斎館などが広く知られている。

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すみだ北斎美術館の前を通る「北斎通り」は江戸時代の南割下水の跡である。この付近で北斎は生まれた。

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すみだ北斎美術館

 北斎生誕の地に建つすみだ北斎美術館は、浮世絵専門の美術館としては最も新しい。初めての来館された方は、ほぼ全面を鏡面アルミパネルに覆われた斬新な建築にまず驚かされるだろう。これは「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞を受賞し、国際的に活躍する建築家ユニットSANNAの妹島和世氏の設計によるものだ。肝心の展示については、常設展示にいわゆるタブレット端末を活用し北斎アトリエを等身大で再現するなど、観る者を楽しませる様々な工夫がこらされている。また年6回の企画展は常に斬新な切り口のテーマを提示し、リピーターを飽きさせない。

 浮世絵は19世紀の西欧に驚きを持って迎えられ、彼の地の芸術に多大の影響を与えたが、なかでも葛飾北斎(1760-1849)が最大の衝撃であったことは疑い得ない。かつて米国のライフ誌が「紀元2000年までの1000年間で最も偉大な芸術家100人」の一人に唯一の日本人として北斎を選び、また来年切り替わる新パスポートのデザインに「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が採用されたように、北斎は名実ともに我が国を代表する芸術家と言えよう。

 昨年はロンドン、大阪、東京の三都市で北斎関連の大規模展覧会が開催され、いづれも稀に見る盛況を博した。ロンドンの大英博物館で開催された特別展「北斎-大波の彼方へ」は、連日行列が出来るほどの人気だったそうだ。改めて内外に北斎の存在感を強く印象付けた感がある。来年2019年は没後170年、再来年2020年は生誕260年の記念イヤーに当たり、新たな展覧会も予定されているとの情報もある。

 こうした国内外の北斎ブームに伴い、晩年の北斎を支えた娘の応為(三女・阿栄 / 生没年不詳)も国際的注目を浴びている。応為は父北斎に画技を学んで「名手」の評判高く、北斎自身も美人画は自分を上回ると認めるほど優れた技量の持ち主だった。応為は商家や旗本の娘らを門人をとり画技を教えていたが、北斎の彩色を手伝ったり時には代作することもあったと考えられている。確認されている作品は極めて少ないが、繊細で緻密な筆致と立体的陰影を表わす美しい賦彩に特徴があり、北斎を通じて西洋絵画の描法を学んだと考えられる。代表作は太田記念美術館が所蔵する《吉原格子先之図》で浮世絵ファン必見の名作である。未見の方は是非一度ご覧いただき応為の魅力に触れていただきたい。

 応為は、一度北斎門人の南沢等明に嫁したがわずか数年で出戻り、以後父が亡くなるまで起居を共にしその創作活動を傍らで支えた。父譲りの男勝りの性格だったと伝えるが、母ことは応為が出戻って間もなく亡くなったから、女手を無くした老年の父への娘らしい気遣いもあったのだろう。

 応為が出戻った5年ほど後の天保3年(1832)からいわゆる天保の大飢饉が始まり、天保10年(1839)頃まで続く。江戸も例外ではなく、天保7年(1836)頃には市中に餓死者が多数横たわる惨状であったから、浮世絵どころではなく北斎の仕事も激減した。北斎は一計を案じ、紙を手当たり次第に集めて肉筆画を描き、画帖にして市中の画草紙屋で販売したところ有名な北斎の肉筆画ということで買う者が現れ、ようやく餓死を免れたという。北斎は、絵本『冨嶽百景』の初編を刊行した天保5年(1834)75歳に画号を「画狂老人卍」に改めるとともに、肉筆画の制作に傾注していった。なにかと制約の多い浮世絵に限界を感じより自由な創作の場を求めたと言われるが、上記のように切実な事情もあったのだろう。

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本所達磨横町は隅田川に掛る駒形橋の東岸附近にあった。当時橋は無く「駒形の渡し(竹町の渡しとも)」があった。

 大飢饉が終焉する天保10年(1839)、北斎80歳の時、北斎父娘は本所達磨横町で火事に遭遇し、書き溜めた貴重な縮図や画材を含む全財産を失ってしまった。江戸は火事が頻発することで有名で、江戸市民は火事に遭わずに一生を終えられることは稀だったが、この時まで北斎は火事に遭遇することがなく、人の求めに応じ鎮火の守札を書き与えたこともあったというから、北斎もこの災厄は相当なショックであったろう。失った画材の代わりに徳利を打ち割ってその破片を筆洗や絵の具皿にして絵を描いたと伝える。

 天保12年(1841)、老中水野忠邦による悪名高い天保改革が始まると、綱紀粛正と奢侈禁止は庶民生活にも及び、翌天保13年から浮世絵を含む出版も厳しい統制を受けることとなった。6月に出された最初の出版統制令は、歌舞伎役者、遊女、芸者等の一枚摺錦絵を禁止し、北斎と親しい戯作者柳亭種彦(旗本・高屋彦四郎知久)の人気作品『偽紫田舎源氏』や為永春水の人情本などが発禁処分となり、関係者多数が処分された。続いて11月には出版物の名主検定制度が導入され、錦絵の彩色は七、八度摺りまで、三枚続きを超えるものが禁止された。天保改革による統制は、翌年9月に水野が失脚すると徐々に緩み始めるが、影響はしばらく続いた。

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一勇斎国芳《源頼光公館土蜘作妖怪図》(国立国会図書館蔵)

 江戸の民衆は天保改革を憎んだ。それを裏付ける逸話のひとつとして一勇斎国芳が描いた錦絵を廻る話がある。天保14年に出版された国芳の《源頼光公館土蜘作妖怪図》は三枚続きの錦絵で、古くは平家物語に記され、能や歌舞伎の演目ともなった源頼光の土蜘蛛退治を画いたものである。頼光とその四天王が憩うその背景の暗闇の中で、妖怪の合戦が行われるという猟奇的な図柄である。転寝する頼光は今まさに背後から土蜘蛛に襲われようとしている。この版画が発売されるや、天保改革を皮肉った「判じ絵」と評判になりさっそく様々な解釈がなされた。いわく頼光は将軍徳川家慶、その前に坐す四天王の一人卜部季武は沢瀉の家紋から老中筆頭の水野忠邦とされ、他の四天王も真田、堀田、土井ら改革に携わった老中に擬せられた。版画が直ちに発禁処分となったことは言うまでもない。その後水野が失脚すると、暴徒化した江戸市民により屋敷が襲撃される騒ぎも起きている。

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葛飾北斎《日新除魔》より天保14年12月25日の部分

 丁度この時期、天保13年(1842)11月頃から翌14年(1843)12月まで、北斎は「日新除魔」と称して魔を祓う唐獅子の絵を毎日描いた(現在九州国立博物館が所蔵する重要文化財《日新除魔図》はその一部)。また、85歳から86歳にかけての天保15年(1844)、弘化2年(1845)には信州小布施の豪商高井鴻山の招きに応じて応為とともに小布施に滞在し祭屋台天井画を描いたが、鴻山を通じて松代藩家老の小山田氏と知己になり、その依頼で着彩画の《日新除魔》を描いた。「日新除魔」を描いた理由については、度々北斎を苦しめた孫の放蕩という魔を祓いためだとか、長寿を願ってなどと説明されているが、両説ともなぜこの時期に限って描いたのか十分な説明ができない。ひとつの仮説だが、北斎親子を含む庶民を苦しめる天保改革という魔を除くことを願い、除魔図を描き続けたのではなかったろうか。

 「画狂老人卍筆齢八十五歳」(天保15年)」の款記を有するボストン美術館の《唐獅子図》袱紗は、いわば「日新除魔」の集大成とも言うべき作品である。上質な縮緬の絹地の中央に墨画淡彩で雄渾な唐獅子がことさら念入りな筆致で描かれている。獅子の周囲を丸く囲むように描かれた華麗な色彩の牡丹は弟子の筆と考えられているが、応為ではないかとする説が有力である。父娘合作とも考え得るボストン美術館の《唐獅子図》袱紗は、先に紹介した小山田家本《日新除魔》をはるかに凌駕する殊更念入りな筆致と用いられた高価な画材から、しかるべき有力者の求めによるものと推測される。

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旧本所亀沢町榿馬場界隈(現墨田区両国四丁目付近)

 《日新除魔》を描き始めた天保13年当時の北斎は、本所亀沢町の榿(はんのき)馬場附近に住んでいた。JR両国駅東口近くにある榛(はんのき)稲荷神社は、この馬場に祭られていた社で、北斎宅は神社裏手の現在東京東信用金庫が建つあたりと考えられる。有名な逸話だが、北斎は掃除を嫌い、狭い室内には食べ物の包装紙などゴミの類が山のように積まれていたという。北斎門人の一人、露木為一による《北斎仮託之図》(国立国会図書館蔵)はこの頃の北斎父娘を描いたもので、長煙管を手にし、父の画く姿を振り返るようにして眺めている応為の左奥には、例のゴミの山がうずたかく描かれている。すみだ北斎美術館内に再現された北斎アトリエはこの絵をもとにしたものである。このようなゴミ屋敷から幾多の名作が生まれたという事実には、いささか複雑な想いを感じる。北斎とその娘応為の芸術は、泥中から出でて気高く咲く美しい蓮の花のようなものであろうか。

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露木為一《北斎仮宅之図》(国立国会図書館蔵)

 嘉永2年(1849)に北斎が亡くなり暫くすると、応為は実弟の加瀬崎十郎を頼ったと見られる。﨑十郎は御家人の加瀬家を継ぎ、本郷弓町に屋敷を構えていた。男勝りの応為は崎十郎の妻と気が合わず不仲であったという。北斎の孫によれば応為は、安政4年(1857)作品の注文を受けて東海道戸塚宿に出かけた後消息を絶ったという。また北斎と交流のあった演劇研究家の関根只誠の証言によれば、加賀の前田公が老齢の応為を憐み金沢に迎え彼の地で亡くなったというが、確たることは分からない。



※葛飾北斎《日新除魔》、一勇斎国芳《源頼光公館土蜘作妖怪図》、露木為一《北斎仮宅之図》の画像は「国立国会図書館デジタルコレクション」より転載させていただきました。謝して御礼申し上げます。




【主な浮世絵専門美術館と浮世絵コレクション】


太田記念美術館
東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話03-5777-8600(ハローダイヤル)

すみだ北斎美術館
東京都墨田区亀沢2-7-2
電話 03-6658-8931

河鍋暁斎記念美術館
埼玉県蕨市南町4-36-4
電話 048-441-9780

菱川師宣記念館
千葉県安房郡鋸南町吉浜516
電話 0470-55-4061

鎌倉国宝館(氏家浮世絵コレクション)
神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-1
電話 0467-22-0753

日本浮世絵博物館
長野県松本市大字島立字新切2206-1
電話 0263-47-4440

北斎館
長野県上高井郡小布施町大字小布施485
電話 026-247-5206

静岡市東海道広重美術館
静岡県静岡市清水区由比297-1
電話 054-375-4454

島根県立美術館(永田生慈氏浮世絵コレクション※)
島根県松江市袖師町1-5
電話 0852-55-4700
※2019年3月頃公開予定。

※詳しい情報は各館へお問い合わせ下さい。

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