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October 24, 2014

小江戸美術散策


 翌日は関東に台風が直撃すると目されていた曇り空の休日、気分だけでも晴れやかにと、久しぶりに好きな街・川越を訪れてみました。

 いうまでもなく川越は、小江戸の異名を持つ通り江戸時代の城下町の風情が色濃く残されており、歴史を刻まれた建物やそれを大切にする景観づくりがとても魅力的です。私にとっては街そのものがアートであり、心和むドリームランドです。見るものが尽きない中で、今日は美術館を中心に散策することにしました。

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 氷川神社と新河岸川のすぐそばにヤオコー川越美術館がありました。2012年開館の新しい美術館です。小ぶりながらその洗練された未来的外観は不思議な存在感があります。直線の建物に緩やかな曲線の道を組み合わせた、計算された造形美。建築設計は、世界的建築家・伊東豊雄氏の手によるそうで、建築雑誌などにも紹介され、海外からも建物を見に訪れる方がいらっしゃるそうです。

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 展示作品は、写実絵画の巨匠、三栖右嗣(みす ゆうじ/1927~2010)画伯の作品で、美術館自体、画伯の記念館となっています。迫真の写実的描写で桜花や人物画を描いていますが、とりわけ今回の展示では一連の林檎の作品が取り上げられていました。単なる静物としてではなく、自然風景の中にある生命体として、その生と死、再生を見つめ続け、作品にしています。150号大の大判・モノトーンのリトグラフ<林檎の樹>は墨画のように勢いある筆致やはねが迫力いっぱいで目をひきました。シャープな三栖画伯の作風はA.ワイエスを連想しますが、やはり画伯も敬愛していたようでした。

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 この美術館とは対照的に、川越に根付く歴史を想わせる山崎美術館は、全く異なる味わいがありました。江戸時代から続く菓子店・亀屋のオーナー山崎家が、その蔵や工場を改造して、1982年に開館した美術館です。川越藩のお抱え絵師だった日本画壇の巨星・橋本雅邦の作品コレクションを中心に公開しています。3つほどの部屋に分かれており、もと土蔵らしき1番目の部屋には和菓子の木型や技法書など、続く2番目の部屋には浮世絵、ランプ、千両箱など骨董品が展示されています。

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 さらに3番目は、格子戸をあけ靴を脱いで上がる広い部屋です。ここで橋本雅邦や他の日本画家作品が鑑賞できるのですが、他に花瓶類やアール・ヌーボー調の食器なども展示されています。博物館のような印象ですが、美術館を設立した六代山崎嘉七氏の、コレクションは全てお見せしたいというサービス精神が伝わります。雅邦の作品はこの日、恵比寿、大黒、兎、蓬莱山、そして昇龍の5点が展示されていました。昇龍は雅邦60代半ば頃の作品で、波頭を蹴って天空に昇る龍をスピード感あふれる構図と筆致で描いています。

 本物の歴史ある建物は心にしみる風情があります。鑑賞後は展示室の前で亀屋の最中とお茶をいただき、それをしみじみ味わいました。

 散策を続け、お土産に「いも恋」を買っていたときは小雨だった天気も帰り道は豪雨となりました。翌週は川越まつりがあると知り、1週ずらせば良かったと思う反面、道がすいていてラッキーだったのだと思い込むことにしました。





■ヤオコー川越美術館
 住 所 川越市氷川町109-1
 電 話 049-223-9511

 開 館 10時~17時
 定休日 月曜(祝日の場合は翌日)
 料 金 一般300円、高・専・大学生200円、
     中学生以下無料(団体20人以上は100円引き)


■山崎美術館
 住 所 川越市仲町4-13
 電 話 049-224-7114

 開 館 9時30分~17時
 定休日 木曜(祝日の場合開館)、展示替期間
 料 金 一般500円、高・大学生350円、
     小・中学生200円(団体10人以上は割引あり)

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