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October 17, 2014

あをによし奈良の都の旅もよし。 飛鳥、そして平城宮跡を巡ってみた事。


 奈良県に行く用事が出来たついでに、飛鳥の遺跡と平城宮跡を巡ってみる事にした。奈良を訪れたのは詰襟学生服を着ていた中学生の修学旅行以来なので、かれこれ30年以上経つ。

 まずは飛鳥の遺跡を巡ってみたい。歩いて回るのは難しいと思い、橿原という駅でレンタサイクルを借りる計画を立てた。出発場所の大和西大寺駅の窓口で、駅員から切符を買おうと思うが、まず橿原(かしはら)という字が読めない。こういう時はいつものごとく、ごにゃごにゃっと頭の言葉を濁して後の原(ハラ)を力強く発音して切り抜ける。なんとか駅員から切符を買って橿原駅に到着。車重が20kgはありそうなママチャリ(変速ギアなし)を借りて秋晴れの飛鳥路をスタートした。この自転車、時速15kgも出るとクランクが空回りし、ちょっとした坂でも立ちこぎしないと上がれないスローな乗り物である。

20141017sakahuneisi.jpg まずは一番訪れてみたかった「酒舟石(さかふねいし)」に到着。周りをうっそうとした竹林に囲まれた小高い丘の上に鎮座するこの不思議な岩には、いくつもの溝が彫ってある。案内板によると、酒や薬、油などを作るときに使った道具といわれていたり、庭園の施設という説もあるとの事。今もって謎の遺跡のよう。岩には石割りの工具跡が残っているが、これは作られた時のものではなく、その後に石の一部を誰かが持って行った跡だとか。完全な形を見られないのは大変残念。この遺跡の下には平成12年に発見されて話題になった亀型石造物と小判型石造物がある。小判型石造物に溜まった水が亀型石造物の頭に流れ込み、亀の胴体を水で満たして尻尾の辺りからさらに流れ出る構造になっているなかなか凝った作りのもの。

 「酒船石」を後にして、落ち着いた佇まいの飛鳥の里をうねうねと自転車は進み、有名な「石舞台古墳」に到着。ここは観光スポットとして、かなり人が多く訪れている。周りを緩やかな山々に囲まれた巨大な天井石の姿は、現代彫刻が展示しているかのよう。遠く下の方には銀ネズ色に輝く家々の瓦屋根が見える。次は古墳のある高台から一気に下り、聖徳太子生誕の地とされる「橘寺」の「二面石」を見学。岩に彫られた二つの顔は人の心の善悪二相を表したものといわれているらしい。「橘寺」を下った所に雑貨屋さんがあったので一休みする。ここでは明日香村の果物や野菜のジェラードが食べられる。古代米(黒米)味を食べたかったのだが残念ながら売り切れ、あすかルビーというイチゴのジェラードを注文する。食感は非常にねっとりとしているが、甘すぎず、イチゴの爽やかさを味わえた。元気を取り戻し、さらに「亀石」、「鬼の雪隠(せっちん)」、「鬼の俎板(まないた)」を見て回り巨石遺跡を堪能した。

 今夜宿をとる大和西大寺に戻り夕食を摂った後、夕闇の平城宮跡に散歩に出かける。かつて天皇が国家儀式を執り行った第一次大極殿(だいごくでん)がライトアップされて明るく輝いているのが遠くから見える。近づいて見ると大極殿はかなり巨大であった。遥か南の方向にも明るく輝く朱雀門が見える。そこを目指して暗くなって人もまばらな道を進んでみる。平城宮跡は巨大な広場のようになっており、夜になるとかなり暗く、人もあまり通らない。いつまでも続く寂しい道を一人歩いていると、芥川の羅生門ではないが盗人でも出ないかと不安になって来た。明るく照らされた朱雀門に無事たどり着き、ほっと一息。かつての旅人も街の門にたどり着いた時はこのように安堵を覚えたのではあるまいか。

20141017daigokudenn.jpg 翌日、すっかり明るくなった平城宮跡に再度訪れてみた。広々とした平野に大極堂(平成22年復元)と朱雀門(平成10年復元)がかなり離れて向かい合っている。その間を近鉄奈良線が通っている景色も、のんびりとしていて良い。せっかくなので平城宮跡資料館という建物に入ってみると、ボランティアの方から展示物の説明をしていただけた。時間があまりない旨お伝えすると、その時間に収まるように要領よく説明していただけ、大変助かった。次に昨夜は外から見た第一次大極殿の中に入ってみる。高い天井を見上げると美しい蓮の花が描かれている。なんと日本画家の上村淳之先生が原画を描かれたとの事。さらに四周に巡る小壁に描かれている四神(玄武、朱雀、青龍、白虎)・十二支も淳之先生の筆によるもの。先生がこれらを描かれたのは厳冬の時期で、高い足場を組み、そこに登って描かれ大変なご苦労があったそうです。(なお繊細で色鮮やかな上村淳之先生の花鳥画は当社商品にもございますので下記をご参照ください。)大極殿を出て平城宮跡の草原に立て遥か山々を見やる。緑と水が豊富な奈良の地は、やわらかな空気に包まれて、まさしく良い土地であった。



追伸
 現在、東京近代美術館で開催中(2014年9月23日~11月3日)の菱田春草展。重要文化財の「落葉」は残念ながら13日で展示替えのため見られなくなったようですが、当社商品の「落葉」はまだ多少残っています。よろしければこちらも参照ください。



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彩美版® 菱田春草 《落葉》 左隻/右隻

【販売価格】

■15号
左右・各  本体価格 200,000円+税
左右セット 本体価格 380,000円+税

■25号
左右・各  本体価格 250,000円+税
左右セット 本体価格 480,000円+税


【仕様体裁】
原画 永青文庫所蔵(熊本県立美術館寄託)、重要文化財指定
技法 彩美版®
限定 左隻/右隻 各150部
画寸 25号 34.6×80.3cm / 15号 28.3×65.2cm
額寸 25号 52.5×98.5cm / 15号 46.0×83.0cm
額縁 特製木製額、アクリル付き(国産、ハンドメイド)
証明 所蔵者の承認印押印証紙を額裏に貼付
発行 共同印刷株式会社





-画家の夢見る世界への誘い-
彩美版® 上村淳之 《四季花鳥図》
販売価格 160,000円+税



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※背景の銀色をシルクスクリーンで再現しています。


【仕様体裁】
原画 近畿日本鉄道株式会社所蔵 松伯美術館委託
監修 上村淳之、松伯美術館
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
限定 300部 
画寸 天地25.2cm×左右65cm
額寸 天地41.4cm×左右81cm
重量 約2.3kg
用紙 版画用紙
額縁 特製木製銀泥額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
証明 監修者の承認印押印証紙を額裏に貼付
発行 共同印刷株式会社



※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


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共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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