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August 7, 2008

華岳の観音像 と 『白樺』

観音之図(聖蓮華)
企画のツネです。
 
発売以来ご好評いただいている、村上華岳《観音之図(聖蓮華)》
本当にいいお顔をした観音様です。
 
気高く、どこか聖性を帯びていて、かつ温和で、近寄りがたさはない。
お顔の周囲に配された白い花弁が、いっそう雰囲気を引き立てます。
 
本作の監修をしてくださった立命館大学教授の島田康寛先生も、後期画業を代表する作品、と本作の解説の中で書かれています。
 
 
ところで、華岳について興味深い論文を見つけました。

大正時代の芸術家に大きな影響を与えた雑誌『白樺』では、西洋の女性像・聖母子像が頻繁に取り上げられており、『白樺』を愛読していた村上華岳らの創作にも影響を与えたのではないかとの指摘です。
内藤 孝「日本画と聖母子」、『言語文化』4-2、2001年、同志社大学言語文化学会)
 
確かに、華岳の記した文章をまとめた『画論』(中央公論美術出版)には、華岳が影響と敬愛を表明する数多の芸術家の名前が挙げられています。
ロダン、ジョット、ウィリアム・ブレイク、レオナルド・ダ・ヴィンチ・・・
 
時代も様式も異なる歴史上の芸術家たち。華岳の関心を特に惹いたのは、彼らの作品に見られる女性の表現だったのではないか―
というのが、先に挙げた論文の主旨。
 
以上を踏まえ、本作《観音之図(聖蓮華)》を観ながら、仏像だけでなく、ダ・ヴィンチの聖母子像や、ジョットのフレスコ画を思い浮かべてみる、連想してみる―
そうすると、いっそう奥深い、作品の魅力が感じられてこないでしょうか。
 
大正期の日本人画家の眼は、精力的に海外へ向けられていました。
そんな時代に描かれた華岳の観音像。是非ともお手元で、ご覧ください。
 
 
この『画論』は、いわゆる画論というより精神論といった趣きで、一文一文の濃度がとても濃い。
 
芸術とは何か、絵を描くとはどのような行為なのか、そして自我とは何か...
病身に内的孤独を抱えながらも探求を止めなかった芸術家・村上華岳の切実さが伝わってきます。
 
華岳を知る上では欠かせない一冊です。
書店で、図書館で、是非ご覧ください。
 
 
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