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November 12, 2007

そば屋のかつ丼と 彫刻

企画のツネです。
 
そば屋のかつ丼(あるいはカレー)が例外なく美味しいように、
彫刻家が描く絵には、絵画を本業とするひとの作品とは違う魅力があります。
 
今年の7月末まで、神奈川県立近代美術館にて「20世紀美術の探求者 アルベルト・ジャコメッティ」展が開催されていました。
 
細い、線のような人物彫刻で知られるジャコメッティですが、この展覧会では彫刻に加え、油彩画やデッサンも展示されており、ひじょうに興味深い展示でした。
 
中には葛飾北斎の作品の模写など、非常に珍しい作品も。
いわば、そば屋が、揚げ物屋を真似て絶品のからあげをつくったようなものでしょうか・・・

 
ところで、
「パラゴーネ」、というのは、そば屋の名前ではありません。絵画と彫刻の優劣比較論争を意味するイタリア語です。
 
時はルネサンス、絵と彫刻のどちらがより優れた芸術なのかが盛んに議論されました。
レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロによる議論が特に知られています。
 
ざっくり要約すると、
「彫刻が三次元で表現するものを二次元の平面世界で表現する、その分、絵画のほうが高等な技術を要し、芸術性も高い」というのが絵画派の意見。
「三次元に立体的に再現できる彫刻のほうが、平面の上でしか表現できない絵画よりもより高尚だ」というのが彫刻派の意見。
 
外野のぼくなどは、どちらも一理あるよなーなどと暢気に思ってしまいますが・・・
さてその点、日本の美術界はおとなしかったといえるかもしれません。
 
日本のルネサンス期(とぼくが呼ぶ)大正時代、白樺派の知識人たちは、まだ見ぬロダンの彫刻の写真に興奮し、セザンヌやルノワールのモノクロ図版に感激しました。
 
洋画の世界ではいわゆる旧派(高橋由一など)と新派(黒田清輝など)の対立はありましたが、
一方では日本画家が洋画家に修行を申し込んだり、逆に洋画家が日本画の展覧会に感激したことを日記に残したりもしています。
日本画/洋画の垣根は低かったんですね。(山種美術館・山?館長のインタビューを参照!)
 
なにせ日本は、立ち食いそば屋に必ずカレーがあり、ファミリーレストランに行けば和洋中その他何でもそろうようなお国柄です。
対立よりも折衷によって、技術とセンスを磨く風土なのかもしれませんね。
 
結論は、また次回。

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