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October 12, 2007

日展鑑賞 / 中村彝「少女」

企画のツネです。
 
日展鑑賞記、第二回。中村彝(つね)「少女」
 
彝が想いを寄せていた女性、相馬俊子を描いた作品です。
 
中村彝は新宿中村屋(あのカレーの中村屋)裏のアトリエに居候していました。
そこで俊子と出会い、モデルとして絵を描き、恋に落ち、恋に破れ、後に中村屋を出ることになります。

病弱だった彝が、俊子に恋をして幸せだったごくごく短い期間に描かれた秀作の一つ、それがこの「少女」です。
 
しばしばセザンヌの影響を受けた画風を指摘されますが、
しかし、恋愛感情を抱いていた女性をセザンヌ風に描いた、というだけではない作品です。


じっくり見ていくと、この絵はけっこうきつい。
(注:著作権の関係で画像を載せられません。残念!)

背景の壁の、血のような赤と青色のコントラスト。
それに対比される、俊子の服の淡く柔らかい緑とピンクの色使い。
 
しとやかな印象のその服の向こうには、むっちりとした腕があるのがわかるし、その描写は容赦ない。
また、俊子の胸元のぼかしたような表現からは、モデルに対する彝の目線、緊張感が伝わってくるようです。
 
そして年頃の女性の、美しくない側面まで描ききった。俊子の顔を見てください。
図版(今回の展覧会カタログ以外にも、画集など)ではわからない、だからこそ原画をじっくり観てほしい作品です。
 
ぼくが日展に行った際には、この絵をちらっと見ただけで素通りしてしまうお客さんが多く、すこぶる残念でした。
 
…ひょっとしてぼくが絵の前を占領していたから他のお客さんがいなくなったのでしょうか? 汗
 
1914年の第8回文展に出品されて三等賞を受賞、絶賛されました。
 
現在は株式会社中村屋の所蔵となっています。
 
新宿本店の3階に複製がかけられているそうですが、
原画を観られる機会は、そうそうありません。

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