June 8, 2018

梅雨に輝く花々


 暑い日が続いていますが、いよいよ全国的に梅雨に入りましたね。長く続く雨は確かに鬱陶しいですが、植物を育てる大事な慈雨です。個人的な思い出で恐縮ですが、子供の頃は雨の庭を眺めるのが大好きでした。当時家で飼っていた犬と一緒に縁側に寝転んで、雨に濡れる植物の新鮮な緑を眺めながら静かな雨音に耳をそばだて、立ち上ってくる湿った土の匂いを味わったものでした。

 あじさい(水元公園).JPG

 梅雨時の花と言えば、私はまず紫陽花を思い浮かべます。紫陽花は日本固有のガクアジサイを原種として江戸時代以来様々な品種が作られました。西洋にもたらされたものは今日セイヨウアジサイと呼ばれる園芸品種となり、日本に里帰りしてこれもいま広く愛されています。梅雨時の花という先入観も伴ってか、アジサイは晴れた日より雨の日に一段と美しく見えるようです。花や葉の色がより深味を帯びた耀きを放っているかのように思えます。

 がくあじさい(水元公園).jpg





 梅雨時の花として、私が次に思い浮かべるのは睡蓮です。未刻(午後2:00頃)に花開くことから和名はヒツジグサ(未草)と名づけられました。一見して蓮と良く似ており同じ仲間と思われがちですが、睡蓮と蓮とは系統の異なる植物だそうです。蓮はインド原産ですが睡蓮は日本、中国、ヨーロッパ、北アメリカなど北半球に広く分布しています。

 すいれん.JPG

 睡蓮と言えばクロード・モネ(1840-1926)の連作を思い出されることでしょう。モネが生涯のテーマとなる睡蓮を描き出したのは1899年頃と言われています。1883年モネは生涯の棲家となるジヴェルニーに移り住みます。ジヴェルニーはパリから70kmほど離れたセーヌ川下流の村です。その7年後には借家であった屋敷と土地を買い取り本格的な造園に着手します。

 モネは自身が庭師と言えるほど造園知識が豊富で、庭造りを愛していたそうです。「睡蓮」連作の舞台となった「水の庭」はマレ通りを挟んだ屋敷の向かい側に小さな睡蓮池があったのを活かしこれを拡張したものです。

 他の印象派の画家同様モネも日本の浮世絵から多大のインスピレーションを受けました。モネ自身浮世絵を蒐集しジヴェルニー邸の食堂をはじめとした部屋の壁面には多くの浮世絵が飾られていました。現存する浮世絵コレクションの数は200点を優に超えます。

紅白スイレン(水元公園睡蓮池).jpg

 睡蓮が繁茂する「水の庭」は浮世絵から着想を得て作られた庭です。造園が始まったのは1893年。モネはフランスの育種家が作出した赤い花びらの睡蓮を植え、歌川広重の『名所江戸百景 亀戸天神境内』に描かれた太鼓橋をモデルに「日本の橋」を掛けました。橋の上には浮世絵に描かれている藤棚も設けました。

 先に述べたようにモネは1899年頃から「睡蓮」連作の制作に着手します。この連作という概念自体、浮世絵からヒントを得たと言われています。1901年には周辺の土地を買い増して池を拡張します。これによって池の大きさは当初の4倍ほどになったそうです。

 モネの連作「睡蓮」やそのモデル「水の庭」は単純に日本趣味と言ってよいものではないだろうと思いますが、多くの日本人がモネの「睡蓮」に魅了されるのは、そこに精神的波長の共鳴を感じ取っているからかもしれません。

すいれん(アップ).jpg







【展覧会情報】

モネ それからの100年

会場 横浜美術館
   横浜市西区みなとみらい3-4-1
会期 7月14日-9月24日
休館 木曜日(8月16日は開館)
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)




【関連商品のご案内】

モネ「睡蓮、雲」商品画像900pix.jpg
Photo ⓒ RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) /
Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom

※画像をクリックすると大きく見られます。


彩美版®
クロード・モネ 《 睡蓮、水のエチュード-雲 》
Claude Monet
Les Nymphéas, Étudu d'eau:Les Nuages
販売価格 128,000円+税
限定200部発行


<仕様体裁>
原 画 オランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie)所蔵
監 修 千足 伸行(成城大学名誉教授/広島県立美術館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地28.3×左右91㎝(30号)
額 寸 天地38.2×左右100.8㎝
重 量 3.3㎏
発 行 共同印刷株式会社



クロード・モネ 《 睡蓮の池 》
Claude Monet / LE BASSIN DES NYMPHÉAS
販売価格 115,000円+税
限定200部発行


睡蓮の池 .jpg

ⓒ The Metoropolitan Museum of Art
Image source:Art Resource,NY/PPS通信社



※画像をクリックすると大きく見られます。


<仕様体裁>
原 画 メトロポリタン美術館
H.O.ハヴメイヤー・コレクション
監 修 高橋明也(美術史家/三菱一号館美術館館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地53.0×左右42.1㎝
額 寸 天地66.0×左右51.1㎝×厚み3.0㎝
重 量 4.0㎏
発 行 共同印刷株式会社



彩美版®
中村岳陵 《八仙花》
販売価格 120,000円+税


gakuryo_hassenka_gaku400pix.jpg


<仕様体裁>
原画 華鴒大塚美術館所蔵
解説 谷岡 清(美術評論家)
技法 彩美版®
画寸 天地42.6cm×左右52.6cm
額寸 天地60.7cm×左右70.8cm
重量 約3.6kg
用紙 特製絹本
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
※ この作品は軸装もございます。
※ 「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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