July 6, 2018

夏の到来



いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。
今年は観測史上最も早く梅雨が明けてしまい、長い夏となりそうですね。

夏のお花と言って多くの方が思い浮かべるのは、「朝顔」だと思います。小学生の頃は誰しもが、観察日記などをつけられた記憶があると思います。そんな馴染み深い朝顔ですが、今年も7月上旬に東京下町の夏の風物詩として全国的にも名高い「入谷の朝顔まつり」が開催されました。朝顔まつりというだけあって、開始時間はなんと朝5時です。
この朝顔まつりは、入谷鬼子母神を中心として言問通りに60軒の朝顔業者と80軒の露店が並び、毎年40万人の人が訪れるそうです。私が行ったのは、お昼過ぎだったのですが、それでも所狭しと連なる露店に多くの人々で賑わっていました。残念ながら花は閉じているものが多く、やはり早朝に行かねばと痛感しました。

36692361_1001002686724766_4036328355459497984_n.jpg



そして、7月下旬には当社からほど近い徳川家ゆかりの伝通院や源覚寺(こんにゃく閻魔)境内で、「文京朝顔・ほおずき市」が行われます。夏の到来を告げる素敵な催しです。皆さまも是非、足を運ばれて季節を感じて頂ければ幸いです。


【当社商品のご紹介】
さて今回ご紹介するのは、奥村土牛「朝顔」です。



togyu_asagao_gaku400pix.jpg


奥村土牛 《朝顔》
販売価格 99,750円(税込)


<仕様体裁>
技法 彩美版、本金泥手彩色
原画 華禽大塚美術館所蔵
画寸 天地38.2cm×左右52.8cm
額寸 天地57.5cm×左右71.5cm
重量 約4kg
用紙 版画用和紙(鳥の子)
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)


※「彩美版」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本作品は軸装仕様もございます。


June 22, 2018

【商品紹介】クリムト《ヒマワリの咲く農家の庭》


向日葵20180620.jpeg
いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 湿った空気が押し寄せる梅雨の時期ではありますが、梅雨の中休みでしょうか時折、雲の合間から射す陽射しが眩しく夏を感じました。路地に咲いている花や生い茂る木々を眺めて季節を感じるのが好きですが、少し元気をもらいたくてよく花を飾ります。先日、店先で一際鮮やかに咲いている向日葵が目に留まり、思わず手が伸びました。今年の6月21日、一年間でもっとも日が長くなる夏至を迎え、いよいよ夏本番の季節がやって参ります。


 今回は、没後100年を記念し、ウィーン世紀末を代表する画家であるグスタフ・クリムトの《ヒマワリの咲く農家の庭》をご紹介いたします。


 クリムトは後半生、毎年夏に都会の喧騒から解放され、ザルツブルクの東側にある避暑地ザルツカンマーグートで過ごし多くの風景画を描き続けました。特徴的である正方形の画面は、決して任意に選択されたものではなく、厚紙を切り抜き正方形のファインダーを作り、そこから覗いた風景を描いたものでした。それは密室的な落ち着き、安定性などの印象を強め、小さいながらも心地よい暖かさを感じさせてくれます。


 クリムトにとって風景というテーマは、自らを優しく迎え入れてくれる憩いであり、ウィーン大学天井画作品に対する批判を受けて都市ウィーンに疲弊していた心に、くつろぎと回復を与えてくれるものだったのではないでしょうか。


 本作は、クリムトが遺した多くの静謐なる風景作品の中でも、特に華麗でクリムトの装飾的美的センスを遺憾なく発揮した名作だといえます。画面いっぱいに花が満ち溢れ、瑞々しく咲き誇る自然につつみこまれているような感覚は、まさに極上のくつろぎといえるでしょう。


 煌めく生気を与えてくれる百花繚乱の「色彩のシンフォニー」。
 ぜひお手元でお楽しみください。





彩美版®
クリムト 《ヒマワリの咲く農家の庭》 
販売価格 115,000円+税
限定200部発行


クリムト「ヒマワリの咲く農家の庭」.jpg
©Belvedere, Vienna / coordinated by Uniphoto Press


<仕様体裁>
監修・解説 千足 伸行(美術史家/成城大学名誉教授・広島県立美術館館長)
原画所蔵 ベルヴェデーレ宮殿(オーストリア絵画館)
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用紙 キャンバス
額縁 特注木製額金箔貼りハンドメイド仕上げ、アクリル付(日本製)
画寸 天地49.0cm×左右49.0cm
額寸 天地62.5cm×左右62.5cm×厚さ3.0cm
重量 約3.3kg
証明 額裏にベルヴェデーレ宮殿(オーストリア絵画館)公式認定証を貼付
発行 共同印刷株式会社



※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

June 8, 2018

梅雨に輝く花々


 暑い日が続いていますが、いよいよ全国的に梅雨に入りましたね。長く続く雨は確かに鬱陶しいですが、植物を育てる大事な慈雨です。個人的な思い出で恐縮ですが、子供の頃は雨の庭を眺めるのが大好きでした。当時家で飼っていた犬と一緒に縁側に寝転んで、雨に濡れる植物の新鮮な緑を眺めながら静かな雨音に耳をそばだて、立ち上ってくる湿った土の匂いを味わったものでした。

 あじさい(水元公園).JPG

 梅雨時の花と言えば、私はまず紫陽花を思い浮かべます。紫陽花は日本固有のガクアジサイを原種として江戸時代以来様々な品種が作られました。西洋にもたらされたものは今日セイヨウアジサイと呼ばれる園芸品種となり、日本に里帰りしてこれもいま広く愛されています。梅雨時の花という先入観も伴ってか、アジサイは晴れた日より雨の日に一段と美しく見えるようです。花や葉の色がより深味を帯びた耀きを放っているかのように思えます。

 がくあじさい(水元公園).jpg





 梅雨時の花として、私が次に思い浮かべるのは睡蓮です。未刻(午後2:00頃)に花開くことから和名はヒツジグサ(未草)と名づけられました。一見して蓮と良く似ており同じ仲間と思われがちですが、睡蓮と蓮とは系統の異なる植物だそうです。蓮はインド原産ですが睡蓮は日本、中国、ヨーロッパ、北アメリカなど北半球に広く分布しています。

 すいれん.JPG

 睡蓮と言えばクロード・モネ(1840-1926)の連作を思い出されることでしょう。モネが生涯のテーマとなる睡蓮を描き出したのは1899年頃と言われています。1883年モネは生涯の棲家となるジヴェルニーに移り住みます。ジヴェルニーはパリから70kmほど離れたセーヌ川下流の村です。その7年後には借家であった屋敷と土地を買い取り本格的な造園に着手します。

 モネは自身が庭師と言えるほど造園知識が豊富で、庭造りを愛していたそうです。「睡蓮」連作の舞台となった「水の庭」はマレ通りを挟んだ屋敷の向かい側に小さな睡蓮池があったのを活かしこれを拡張したものです。

 他の印象派の画家同様モネも日本の浮世絵から多大のインスピレーションを受けました。モネ自身浮世絵を蒐集しジヴェルニー邸の食堂をはじめとした部屋の壁面には多くの浮世絵が飾られていました。現存する浮世絵コレクションの数は200点を優に超えます。

紅白スイレン(水元公園睡蓮池).jpg

 睡蓮が繁茂する「水の庭」は浮世絵から着想を得て作られた庭です。造園が始まったのは1893年。モネはフランスの育種家が作出した赤い花びらの睡蓮を植え、歌川広重の『名所江戸百景 亀戸天神境内』に描かれた太鼓橋をモデルに「日本の橋」を掛けました。橋の上には浮世絵に描かれている藤棚も設けました。

 先に述べたようにモネは1899年頃から「睡蓮」連作の制作に着手します。この連作という概念自体、浮世絵からヒントを得たと言われています。1901年には周辺の土地を買い増して池を拡張します。これによって池の大きさは当初の4倍ほどになったそうです。

 モネの連作「睡蓮」やそのモデル「水の庭」は単純に日本趣味と言ってよいものではないだろうと思いますが、多くの日本人がモネの「睡蓮」に魅了されるのは、そこに精神的波長の共鳴を感じ取っているからかもしれません。

すいれん(アップ).jpg







【展覧会情報】

モネ それからの100年

会場 横浜美術館
   横浜市西区みなとみらい3-4-1
会期 7月14日-9月24日
休館 木曜日(8月16日は開館)
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)




【関連商品のご案内】

モネ「睡蓮、雲」商品画像900pix.jpg
Photo ⓒ RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) /
Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom

※画像をクリックすると大きく見られます。


彩美版®
クロード・モネ 《 睡蓮、水のエチュード-雲 》
Claude Monet
Les Nymphéas, Étudu d'eau:Les Nuages
販売価格 128,000円+税
限定200部発行


<仕様体裁>
原 画 オランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie)所蔵
監 修 千足 伸行(成城大学名誉教授/広島県立美術館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地28.3×左右91㎝(30号)
額 寸 天地38.2×左右100.8㎝
重 量 3.3㎏
発 行 共同印刷株式会社



クロード・モネ 《 睡蓮の池 》
Claude Monet / LE BASSIN DES NYMPHÉAS
販売価格 115,000円+税
限定200部発行


睡蓮の池 .jpg

ⓒ The Metoropolitan Museum of Art
Image source:Art Resource,NY/PPS通信社



※画像をクリックすると大きく見られます。


<仕様体裁>
原 画 メトロポリタン美術館
H.O.ハヴメイヤー・コレクション
監 修 高橋明也(美術史家/三菱一号館美術館館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地53.0×左右42.1㎝
額 寸 天地66.0×左右51.1㎝×厚み3.0㎝
重 量 4.0㎏
発 行 共同印刷株式会社



彩美版®
中村岳陵 《八仙花》
販売価格 120,000円+税


gakuryo_hassenka_gaku400pix.jpg


<仕様体裁>
原画 華鴒大塚美術館所蔵
解説 谷岡 清(美術評論家)
技法 彩美版®
画寸 天地42.6cm×左右52.6cm
額寸 天地60.7cm×左右70.8cm
重量 約3.6kg
用紙 特製絹本
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
※ この作品は軸装もございます。
※ 「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


May 24, 2018

生誕140周年記念 鏑木清方「朝涼」のご案内


いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。

1878年(明治11年)8月生まれの鏑木(かぶらき)清方は、今年生誕140周年を迎えます。
近代美人画の第一人者として「西の(上村)松園、東の清方」と称せられ、明治から昭和の長きにわたり活躍、昭和47年(1972年)に93歳でお亡くなりになりました。
清方の単なる美人画に留まらない緻密に描き上げた風俗描写、情緒あふれる文学性や豊かな芸術性は今なお多くの人を魅了し続けております。

さて今回ご紹介の「朝涼(あさすず)」は、清方終焉の地、鎌倉雪ノ下に建てられた鎌倉市鏑木清方記念美術館が所蔵する名品中の名品です。

帝展の審査員をつとめ画壇での地位を築いたその頃、大正12年9月1日、清方は東京・本郷龍岡町の自宅で関東大震災に遭遇しました。「朝涼」はその翌々年(大正14年)、震災後初めて開催された第6回帝展で発表された作品です。

金沢八景の別荘でひと夏を過ごしたある日の早朝の空に、画家はふと残月が淡くかかるのを見つけ、長女をモデルに思いを込めて描き上げました。
清らかな女性のすらりとした立ち姿、たおやかな手つき、背景に蓮の花を配す造形は、安らかに心を落ち着かせる風情を漂わせ、細部にまでこだわりを感じさせます。

震災の記憶が作品にも反映しているのでしょうか。画中の若き女性の強い意思をあらわす表情、印を結ぶかのような手つき、紫の衣を羽織り、蓮の葉を背にするその姿は恰も菩薩像を思わせるかのようでもあります。
当時の新聞でも清らかな作品の様子が話題となり、清方の画業の転機となる重要な作品と評されました。

昭和29年文化勲章受章の名匠、鏑木清方が描いたみずみずしさ漂う、美しき本作「朝涼」を皆さまぜひお手元でお楽しみ下さい。



朝涼(背景グレー階調)_700pix.jpg


[仕様体裁]
画面寸法 天地100.0×38.5cm
表装寸法 天地169.0×57.0cm
技 法  彩美版(R)、シルクスクリーン手摺り
用 紙  特製絹本
表 装  三段表装
表装材料 天地:白茶無地
     中廻:薄茶綿ムラ経
      一文字・風帯:牙地唐花唐草文金襴
     軸先:朱塗頭切
     箱:柾目桐箱、タトウ入        
限 定   100部
原 画   鎌倉市鏑木清方記念美術館 所蔵
解 説   宮崎徹(鎌倉市鏑木清方記念美術館学芸員)
価 格   194,400円(税込)


次回の美術趣味ブログの更新は6月8日(金)です。


May 11, 2018

初夏の花


「美術趣味」をご覧いただき、ありがとうございます。

夏を感じさせるような強い陽射しに
すでに身体がついていかない今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。


さて、今まさにツツジが見頃の季節となりました。
強い陽射しにパッと映え、目の覚めるようなピンクの
群生が元気を与えてくれます。


FullSizeRender.jpg


都内ツツジの名所は根津神社のつつじ庭園があります。
"つつじまつり"はGWまで行われてますが、
行きたいと思いつつ今年もいけませんでした...。

そのかわりに
小倉遊亀先生の《初夏の花》で元気を貰いたいと思います!


shokano.jpg


《初夏の花》は、小倉遊亀先生が飛躍をみせた
60代に描かれた名作です。
105歳でご逝去されていますが、80歳を過ぎても活舌よく、
いつでも60代のように若々しくいらっしゃったそうです。

本作は、天に向かって真っすぐに伸びる枝葉と、
軽やかで明るさにみちたツツジやサンポウカンが
まさにご本人のように生命力に溢れております。

インドア派の方もお忙しい方もぜひお手元で、
新芽の清々しい季節をお楽しみ頂ければと思います!


<仕様体裁>
監修 有限会社 鉄樹
原画 名都美術館 所蔵
解説 鬼頭美奈子(名都美術館 主任学芸員)
限定 200部
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り、プラチナ泥使用
用紙 版画用紙
額縁 特注木製額純銀箔仕上げ、交織つむぎマット、アクリル付き
証明 著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
画寸 天地45.5×左右38.4㎝
額寸 天地65.6×左右58.5㎝
重量 3.7㎏
本体価格 190,000円+税
発行 共同印刷株式会社
※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

April 25, 2018

生誕150年記念! 横山大観

去る4月13日金曜から竹橋近くにある東京国立近代美術館で「生誕150年 横山大観展」が開催されました。明治から昭和を駆け抜けて日本美術界を牽引した巨匠の大回顧展です。ありがたいことに東京展は開館時間を延長して、金曜・土曜は夜の8時まで開館しています。会社が終わってからでも間に合うので、早速行ってみることにしました。
さて入場してみると、鑑賞しているお客様は帰宅途中に寄ったと思しき善男善女。金曜の夜ということもあってか人が多いものの、会場の雰囲気に余裕がありリラックスして作品と対峙することができました。これも金曜の夜の魔法の成せる技かもしれません。展示は「屈原」の迫力ある大画面から始まり、時代順に展示されています。何れも貴重な掛軸や、屏風などの作品が次々と現れます。総出品点数約90展にもなる大回顧展だそうです。なんといっても見所の一つは、全長40メートルを超える日本一長い画巻、「生々流転」(重要文化財)ではないでしょうか。水の一生をテーマに描いたこの作品は、一粒の滴が川となり、海に注ぎ、雲となって天へ昇る。そしてまた水の一生が繰り返されるストーリーになっています。この画巻を見ていると、映像が流れていくような錯覚にとらえられます。5月8日以降は「夜桜」1929年と、「紅葉」1931年も展示されるので、また訪れてみたいです。週末の帰宅途中で、日本の美術・文化に触れられて心豊かに家路につくことができました。
aIMG_0482.jpg
<夜に浮かぶ美術館の光>


「生誕150年 横山大観展」
東京国立近代美術館 4月13日(金)〜5月27日(日)
京都国立近代美術館 6月8日(金)〜7月22日(日)
詳しくは「生誕150年 横山大観展」のホームページなどをご覧ください。



さて横山大観といえば、上野の池之端不忍池にある「横山大観記念館」も忘れてはなりません。大観の終の住処となった邸宅を「横山大観記念館」として公開しています。こちらは国指定 史跡及び名勝になっています。ここで大観は数々の作品を制作しました。大観がデザインした建築と庭、当時のままの画室を見ることができますので、是非こちらも訪れてみてはいかかでしょうか。


公益財団法人 横山大観記念館
東京都台東区池之端1-4-24
TEL03-3821-1017
開館の日時などは大観記念観のホームページなどをご覧ください。
http://taikan.tokyo/



「生誕150年 横山大観展」でも展示され、横山大観記念館で所蔵している晩年の傑作「霊峰飛鶴」。当社ではこの作品を横山大観記念館代表理事兼館長の横山隆様の監修で彩美版(R)として制作しています。
横山大観《霊峰飛鶴》(軸)_600pix.jpg
商品は額装もございます。


霊峰飛鶴(れいほうひかく)
本体価格:120,000円(消費税は別途申し受けます)
監修・解説 横山隆(公益財団法人横山大観記念館理事兼館長)
原画所蔵 公益財団法人横山大観記念館
限定 950部
技法 彩美版(R)シルクスクリーン手刷り、本金泥使用
用紙 特性絹本
本商品は軸装と額装をご用意しています。
【額装仕様】
額縁 特性木製額金泥仕上げ、アクリル付き
画面寸法 天地39.2×左右52.8cm
額寸法 天地58.7×左右72cm
重量 約3.6kg
証明 額裏に公益財団法人横山大観記念館の監修検印証を貼付
【軸装仕様】
表装 三段表装
表装材料 天地:鼠地無地、中廻:金茶地大牡丹紋緞子、
     風帯・一文字:大橙金襴、軸先:新牙
証明 桐箱蓋裏に(公財)横山大観記念館の監修検印証を貼付
発行:共同印刷株式会社


寸法・重量等は、天然材料を使用し、一点ずつ手作りのため、表記と異なる場合がございます。
作品の色彩等、画面と現品で多少異なる場合がありますが、ご了承願います。
彩美版(R)は共同印刷株式会社の登録商標です。

April 12, 2018

-生誕190年- 狩野芳崖


いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

日暮里駅からほど近く、ひっそりと佇む「長安寺」というお寺があります。気が付かないと通り過ぎてしまいそうですが、お寺の前に説明板が設置されていたので、入ってお参りをさせて貰いました。中には数名の外国人観光客がおり、写真を撮っている場所へ行くと、小さなお墓が2つ並んでいました。近代日本画の黎明期を代表する画家、狩野芳崖とその妻ヨシが仲良く眠っています。

s_30653135_946789135479455_5440178110244847616_n.jpg

狩野芳崖は伝統的な狩野派の画風に西洋の画法を取り入れ、近代日本画の発展に貢献しました。畢生の大作「悲母観音(重要文化財)」は、作品自体の完成度の高さに加え、近代日本画の幕開けを告げる記念碑的作品と位置づけられ、 続く若い作家たちへも様々な影響を与えた極めて重要な作品といえます。芳崖は岡倉天心や橋本雅邦らとともに東京芸大の前身、東京美術学校の創立にも尽力し、その講師にも任命されていましたが開校を待たずして死去しました。今年2018年は芳崖の生誕190年であり、同時に没後130年の節目の年でもありますので、興味がある方はこちらを訪れてみてはいかがでしょうか。


s_30725511_946789118812790_2439651551384436736_n.jpg

March 30, 2018

【商品紹介】横山大観《雲中富士(うんちゅうふじ)

播磨坂の桜20180329.jpeg
いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 ここ最近暖かい陽気が続き、関東では桜の見ごろを迎えています。弊社界隈の文京区・小石川播磨坂の桜並木も今見ごろを迎えています。咲き誇る桜を見上げると、ほんのりと上品な薄い絹のような霞がかっているような空気に包まれ、遠目には淡いピンクの雲が現れた様に見えます。春の訪れを身近に感じられる季節になりました。


 今回は、今年生誕百五十年の記念年を迎え、東京・京都で大規模な回顧展が開催される横山大観の富士をご紹介します。大観は近代日本画の礎を築き、明治・大正・昭和の三代において常に画壇を代表する存在でありつづけた巨匠です。

 ご紹介の《雲中富士》は、大観の生誕百五十年、没後六十年を記念し、大観「富士」の原点ともいえる名作を限定150部にて当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。雲海に昂然と姿を現す孤高の富士の佇まい。琳派の系譜を受け継ぐ装飾性と、シンプルな構図によって、雄大で特別な神々しさを感じさせます。大観が理想とした富士の姿、「雲煙に包まれた富士」の代表作といえます。是非お手元でお楽しみください。。




彩美版®
横山大観 《雲中富士》 
販売価格 150,000円+税
限定150部発行


雲中富士商品画像.jpg
Image:TNM Image Archives



<仕様体裁>
監修 横山 隆(横山大観記念館 理事長兼館長)
原画所蔵 東京国立博物館
解説 佐藤 志乃(横山大観記念館 主任学芸員)
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用紙 版画用紙
額縁 特注木製額金泥仕上げ、アクリル付(日本製)
画寸 天地31.0cm×左右69.0cm
額寸 天地44.0cm×左右82.0cm×厚み2.5cm
重量 約3.1kg
証明 額裏に監修者の承認印・限定番号入り証紙を貼付
   (画面左下部にも、承認印・限定番号が入ります。)
発行 共同印刷株式会社


※本複製画は、原画《雲中富士図屏風》の左隻部分を複製したものです。
※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

March 23, 2018

【速報】小石川播磨坂さくら並木の開花状況


 巷では、袴を羽織ったり美しく正装をして歩く学生さんたち、その親御さんたちの意気揚々とした姿が多数見受けられます。全国のご卒園やご卒業を迎えられた皆さん、この度はご卒園・ご卒業、誠におめでとうございます。


播磨坂の桜並木460pix.JPG


 当社近隣にある播磨坂のさくら並木は、現在写真のとおり「5分咲き」といったところでしょうか。本日(撮影した日)はあいにくの曇り空ですが、この数日に降った雨の水分をしっかりと吸って、瑞々しく開花し始めている様子が風流で元気をもらいました。


桜(花アップ)460pix.JPG


 「お花見」は、もともと農民にとっての豊作祈願の行事でした。「桜の木」は、田んぼの神様が春になると里へ下りてきて「宿る木」とされていたため、桜の木のもとに人が集まり賑やかに愛でる習慣が根付いていきました。桃の花や菜の花といったいろいろな色彩の花が咲き誇る季節の中でも、やはり桜は特別な「春の象徴」という印象がありますね。


 また、はるか遠く昔の日本人は「色は匂えど散りぬるを(いろはにほへとちりぬるを)」と歌っています。現代の言葉に置き換えると、「花は美しく香り高く咲きそして散りゆく」と。「桜は儚いからこそ美しい」とはよく聞きますが、たくさんの人たちが桜の木のもとに集う光景を見ていると、やがて散ってしまう花の姿に「諸行無常(この世のものは常に変化し、変わらないものはない)」を重ねるのは、昔も今も変わらない情緒だなと感じます。


 桜を眺めて巡る思いは人それぞれ異なります。「友達と過ごした楽しかった日々に思いを馳せる人」「4月からの新生活へ向けて高ぶる気持ちを寄せる人」「桜だ。飲もう!」という人(私は主にこれですが。笑)


 文京区小石川の播磨坂さくら並木は、今週末から来週にかけて満開を迎える見込みです。
 どうか皆さんも、目まぐるしく忙しい毎日とは存じますが、このときくらいはふと立ち止まり、ゆっくりと桜の木と触れ合い、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。


 皆さまの新しい1年のご活躍とご健勝を、心よりお祈り申し上げます。




文京さくらまつりゲート460pix.JPG


【文京さくらまつり】
開催:2018年3月24日(土)から4月8日(日)まで
会場:播磨坂さくら並木
※期間中、様々なイベントが開催されます。
※詳しい情報は文京区のホームページにてご覧ください。

March 16, 2018

春来たるらし ― 菜の花の里


 今日3月16日は、七十二候「啓蟄末候」の始まりにあたります。この時期は「葉虫化蝶」(はむしちょうとなる)なる季節と言われ、寒さもようやく温み、菜の花畑にモンシロチョウの舞う姿が見られ始めます。


石神の菜の花畑.jpg


 思い起こせば、小学生の頃住んでいた家の周囲は畑に囲まれており、その一部に菜の花畑もありました。まだ悩みなどなにもなかった幼い日の楽しい思い出とともに菜の花の鮮やかな黄色が瞼の奥に残っています。大人になってからは、久しく菜の花畑を愛でる機会がなかったことに気づき、思い立って菜の花を訪ねる旅に出かけました。


石神の菜の花畑を走る小湊鐵道.jpg


 私が訪れたのは、千葉県の養老渓谷にほど近い市原市石神地区です。都心から車や鉄道で2時間半ほどの距離にあります。市原市内を縦断する小湊鐵道沿線では地域住民を中心とするボランティアの方々が毎秋菜の花の種をまいてくださっていますが、なかでも石神地区は鉄道ファンを中心に屈指の撮影スポットとして知られています。


石神のヒガンザクラと上り列車.JPG


 当日はあいにくの曇りがちの天気で前日までの大雨で足元がぬかるむ悪条件でしたが、午前中から10人前後の方がカメラを構えていました。私はその日が初めての訪問でしたが、広い菜の花畑を貫き一本の線路が走っています。ダイヤは1時間に上り下り各1本しかありません。


石神のヒガンザクラ.JPG


 菜の花はまだ五、六分咲きといったところでしたが心を満たすには十分な美しさでしたし、彼岸桜の花を一緒に写すことができたのは嬉しい誤算でした。都会暮らしですり減った心を癒してくれる、静かでのどやかな時がながれていました。


March 6, 2018

ルドン展 鑑賞記

いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。

今年の冬はひときわ厳しい寒さが続いておりましたが、3月に入り漸く春めいてまいりました。花粉が気になるこの季節。皆さまも体調には十分ご留意下さい。

さて私は丸の内の三菱一号館美術館で「ルドン-秘密の花園」展を鑑賞いたしました。展覧会は、フランス象徴主義の巨匠として知られるオディロン・ルドン(1840-1916年)の画業を再検証し、ルドンが後期に描いた花や植物の主題に焦点をあてたユニークなものでした。

ルドンはモネ(1840-1926年)やルノワール(1841-1919年)といった印象派の画家たちと同じ世代でありながら、神秘的な内面世界に目を向け、幻想的な作品を多く残しました。前期の黒の時代から後期の色彩の時代まで、常に一貫した特異な作風は今も多くの人を魅了しています。タブローでありながら音楽のように不定形な律動も孕んだ夢や幻のような作品群は、絵画界のみならず文学界にも多大なる影響を与えました。

今回の展覧会で特に注目は三菱一号館美術館所蔵の≪グラン・ブーケ(大きな花束)≫にまつわる再現展示です。ブルゴーニュ地方の男爵家、ドムシーの城館に飾られた装飾画16点(内15点はオルセー美術館蔵)を一堂に取り揃えた、二度と見られないような実に貴重な機会です。

自らの作品を「再現(表象)と想起(記憶)の二つの岸辺に咲く花々」と評したルドンの、大規模な展覧会は実に見応え十分の内容です。皆様も丸の内に足をお運びの際は、どうぞご鑑賞下さい。



IMG_0698-thumb-autox240-4874.jpg


【展覧会情報】
ルドン-秘密の花園 展
会場 三菱一号館美術館
会期 5月20日(日)まで ※月曜休館(但し祝日と3月26日、5月14日は開館)
時間 10:00~18:00 (祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終日平日は21:00まで)



最後に弊社でお取り扱いのあるルドンの複製画をご紹介いたします。本作はルドンが「色彩の時代」に花と花瓶をテーマに描いた、代表的な作品のひとつです。



IMG_0715.JPG

ルドン ≪野の花≫

販売価格 38,000円+税


■仕様体裁
技 法 アートレリーフ
用 紙 キャンバス
額 縁 木製金箔額
画 寸 天地45.5×左右38.0㎝(F8号)
額 寸 天地60.5×左右53.0×奥行2.0㎝
重 量 約2.4㎏
原画所蔵 ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
発 行 共同印刷株式会社


※アートレリーフとは原画を思わせる絵の具の凹凸や筆のタッチを丁寧に再現し、キャンバスに仕上げた特殊な複製画です。絵の表面の盛り上りを直に触ってお楽しみいただけます。


本作品は残部僅少です。この機会にぜひ貴方様のお手元でご鑑賞下さい。




March 2, 2018

鎌倉穴場良い所


美術趣味をご覧いただきましてありがとうございます。

春の気配が感じられる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
先日鎌倉にお仕事で行った際に、地元の方にお勧めしてもらった穴場名所ルート
と楽しみ方をご紹介致します。


まず、鎌倉駅からバスに乗る。
大塔宮(鎌倉宮)行に乗る。バスはいつも混んでいるので覚悟しよう。

15分くらいの終点、大塔宮で降りて、すぐの鎌倉宮へ。
楽しみ方:厄割り石...石に向かってお皿を勢いよく投げる。おもいきりぶつけて嫌なことはここで忘れる。しっかり厄を落とそう!

鎌倉宮を出て、左脇の小道をまっすぐ奥へ。
楽しみ方:左手にテニスコートを眺めながら、右手にある産地野菜や干し柿などを販売している露店で焼き芋を買う。

焼き芋を食べながら、10分ほど進むと二股の分かれ道があり、右へ。
さらに奥へ進み、軽い坂を上り瑞泉寺を目指す。
突然、迫力ある鬼瓦のあしらわれた門が出迎えてくれる。

受付で拝観料を払う。
開山は夢窓疎石。鎌倉御所初代公方、足利基氏が奉られている、瑞泉寺入場。
楽しみ方:、夢窓疎石作の庭園と地蔵菩薩立像をみたり、梅や水仙の写真を撮ったりして満喫しよう。

近くにある中国精進料理 鎌倉 凜林さんでランチを食べよう。

さらに体力があれば、天園ハイキングコースに入って5.5キロのハイクを楽しもう。

体力がない人は、大塔宮からバスで鎌倉へ戻る。
少し時間があれば小町通りの写真家・十文字美信さんのギャラリーへ。
(その日は受付にはご本人がいらっしゃいました。)


今の時期、梅や枝垂桜が5分咲きで、満開とはまた違ったワクワク感がありました!
春の気持ちよい季節、皆様もぜひお散歩にお出かけください。


February 22, 2018

生命力としてのアート

 
「緑のヘルシーロード」は、さいたま~川口に連なる見沼代用水路沿いののどかなサイクリングロードです。休日に度々ここを通り、見沼通船堀のあたりを訪れて、いつも県道103号の手前でUターンして戻っていましたが、103号を渡るとそこに「工房集」というアートに関わる施設があることを最近知りました。ここは普通のギャラリーとは大きく異なります。知的障がいのある方が作品を制作するアトリエであり、それらを展示公開するギャラリーでもあります。休日も鑑賞できる展示会が開催されていたので、初めて訪れてみることにしました。
 20180222outside.jpg
ほとんど予備知識のないまま来てみて、まず建物前庭の空間が放つクリエイティブマインドに、高レベルのプロの力を感じました。オブジェっぽい掲示ディスプレイや楽しくペイントされた地面や板のフェンスなどが効果的に配置され、施設に向けた人々の情熱が感じられて、何故か嬉しくなりました。しかし、あらかじめ展示会開催の知識がないと、ぶらりと入っていいかどうか躊躇してしまいます。でもそろりと入ってみると快く歓迎され安心しました。

20180222Gallery.jpg
入ってすぐ右に白い壁のギャラリー空間があり、たくさんの作品が展示されていました。
そのギャラリー空間だけでなく、奥に続く廊下の壁や天井、飲食できるカフェの空間全部に、ドローイングをはじめ、織物やCG表現など、多様な作品が掲出されていました。それぞれ作者の写真と本人の特徴が記されており、ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。

20180222passage.jpg
作品はもちろんすべて秀逸なものというわけではなく、稚拙な殴り書きに見えるものも含まれます。しかしいくつもの作品は、何度もそしてじっくり見ていたくなります。はっとする色彩の表現やタッチが見られること、思いもつかない言葉の表現、それが故意のものではなく純粋に、造形を愉しむ帰結や痕跡であることが、気持ちを惹き付ける大きな要因なのかなと思いました。そして、それはその人の呼吸や生きてきた痕跡に関わること、さらにその表現を行うまでに長い葛藤を要したであろう背景などを含めて、大きく見れば生命力が発露したように感じてしまう・・・アーティストがコンセプチュアルに構築したアート表現では成し得ない表現を体感しているという印象です。ただし、この建物外観を見たときに感じた、この施設に力を入れる人々、職員の方々の導きがあって初めて生まれ得た世界なのだと推測します。
 20180222cafe.jpg
この日は「大宮太陽の家」という施設のメンバーによる展示会でしたが、工房集の母体となっているのは、「みぬま福祉会」という社会福祉法人で、「川口太陽の家」をはじめとする埼玉県南部の22の施設を運営し、300人を超える利用者がいるとのことです。その中で130人ほどが「表現活動」に関わり、多岐にわたるアート表現を仕事として実践しているということなのです。労働の成果として作品はグッズとなって販売されたり、企業とのコラボでデザイン化されたりしています。
企業の下請け的な軽作業やお菓子作りという仕事の枠にとどまらず、それを行うのが困難な重度の知的障がい者にもその人にしかできない表現手段がある。それを仕事にするという発想から数々の素晴らしい作品を発信する工房が誕生することとなったということですが、その背後には、本人、職員、家族の、簡単な言葉で片付けられない根気の積み重ねがあってのことと思います。
帰り際には、施設の「仲間」の方が「ありがとうございました。」と丁寧に挨拶してくれ、気持ちをほっとさせてくれました。あらためて、表現に不可欠な人との関係性、さり気ない日常表現の蓄積の大切さ、そして生の営みとアートの結びつきについて想い起こし、考える契機を得たひとときでした。

■工房集
 川口市木曽呂1445   TEL 048-290-7356
 E-mail kobo-syu@marble.ocn.ne.jp
工房集HP http://kobo-syu.com
みぬま福祉会HP http://minuma-hukushi.com
アートセンター集HP http://artcenter-syu.com

■作品展のお知らせ
「存在×福祉×支援×アート-できないことの価値をめぐって-」
日時:2018年3月5日(月)~3月10日(土)
   10:00~17:00 会期中無休
場所:工房集ギャラリー

February 14, 2018

生誕150周年記念 横山大観

~時代を超越し語り継がれる巨匠が今年は熱い~


 今年2018年は、横山大観が生まれてから、ちょうど150年を迎える記念すべき年です。大観は明治元年(1868年)に茨城県で水戸藩士の長男として誕生。東京美術学校(現東京芸術大学美術学部の前身)の第1回生として入学、日本美術院の創立、第1回文化勲章受章など、明治から昭和を駆け抜けて活躍しました。
 今年は日本各地で、大観にちなんだ展覧会が開催されます。私は先日、東京は文京区の地下鉄江戸川橋駅から歩いて10分ほどにある、講談社野間記念館で開催されている「近代日本の風景画」展〜横山大観と富士を中心に〜(開催中〜3月4日(日)まで)を見に行きました。こちらの記念館は講談社の創業者である野間清治が収集した美術品と、出版文化資料、そして画家の村上豊の作品群の3つに大別される作品を所蔵しています。この度の企画展では、近代日本における風景画の創造と制作の取り組みに触れることができます。中でも印象に残ったのは、横山大観「富士・三保図」です。六曲一双の大きな画面に、富士が鮮やかな青と白い雪で、きりっと立ち上がった姿で描かれている迫力の名品です。また「富士百趣」という作品群は、いろいろな作家が富士の絵を描いたもので、それぞれの個性が出ていて大変興味深いです。川端龍子の富士はドンと存在感があり、山口蓬春の富士は繊細な青や緑色、中村岳陵は中でも一番とんがって上に伸びていました。こちらの記念館は鑑賞して疲れることもないちょうどよい大きさです。
 記念館を出たすぐ隣には「野菜倶楽部 oto no ha Café(オトノハカフェ)」があります。カフェは白い壁と三角屋根がかわいらしい建物。こちらでは静岡県にある直営農場で栽培した野菜やフルーツを使った料理を提供しています。そのためか野菜が種類も量も盛りだくさんに使われています。見た目にも美しく、味も美味しい。テラス席もあるので陽気の良い日には外で食事したくなります(今は寒いのでちょっとつらいですが)。
260_20180216.jpg


 更に、今年の4月13日(金)から「生誕150年 横山大観展」が東京国立近代美術館で開催されます(5月27日(日)まで)。代表作を網羅した10年ぶりの大回顧展となれば見に行くしかありません。その後6月8日(金)〜7月22日(日)の期間、京都国立近代美術館で開催。今年は横山大観が注目を集めそうです!

 当社ではこの横山大観の生誕150周年を記念して、「横山大観 生誕150周年記念 傑作選」のカタログを制作しました。初期の「無我」、朦朧体による代表作「曳船」、富士と旭日のパノラマ「神州第一峰(右隻・左隻)」、山桜の薄紅も美しい「霊峰春色」、瑞光を背景に白く輝く富士と飛翔する鶴の吉祥画で国際観光年記念切手にもなった「霊峰飛鶴」。これら大観芸術の名作を取りそろえています。カタログのご用命がございましたら下記にご連絡をください。


440taikan_katarogu.jpg
(カタログの画像は表紙と裏表紙です。)
TEL:03-3817-2290(受付時間:土日祝日を抜かす平日の10:00~17:00) 
FAX:03-3817-2288(FAXは24時間受付)
番号はおかけ間違えのないようにご確認ください。 
個人情報のお取扱について:当社ホームページをご覧ください。
https://www.kyodoprinting.co.jp/privacy/use.html

February 8, 2018

新商品 ルノワール「二人の姉妹-テラスにて-」のご案内


いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

この度弊社では、印象派の巨匠ピエール・オーギュスト・ルノワール<二人の姉妹-テラスにて->の高級複製画を限定200部で制作、販売を開始しました。

ルノワールは来年2019年に没後100年という節目を迎えます。日本人には最も人気のある作家の一人です。記憶に新しいところでは、2016年国立新美術館で開催された「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」が、美術展覧会年間入場者数1位に輝きました。代表作《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》(1876)が初来日して大きな話題をよび、動員数はなんと66万7897人だったようです。

ルノワールは風景画、花などの静物画も描きましたが、代表作の多くは人物画であります。本商品はルノワールの作品のなかでも、もっとも親しまれている人物画のひとつで、セーヌ川に浮かぶシャトゥー島に今も残るレストランのテラスを舞台としています。光り輝く水面と樹々を背景に、穏やかに微笑む年若い女性と愛くるしい少女は、つかの間の休息をリラックスしているかのようです。バスケットに入れられた色とりどりの毛糸玉や少女のかぶる帽子の花飾りが、二人の姿をより一層明るく華やかに引き立てます。ルノワール絵画特有の「若さ」と「喜び」が画面全体に満ちあふれた作品です。


ルノワールが永遠のものにしようとした「幸福」の情景を、原画を所蔵するシカゴ美術館から正式に提供された画像を使い、当社独自の技法「彩美版®」で再現しました。ぜひお手元でお楽しみください。


ブログ二人の姉妹.jpgⒸThe Art Institute of Chicago/Brigeman Images/PPS通信社



[仕様体裁]
ルノワール「二人の姉妹-テラスにて-」本体価格 115,000円(税別)
限定:200部
画寸:天地53.0cm×左右43.0cm
額寸:天地66.0cm×左右56.0cm×厚み2.8cm
技法:彩美版®シルクスクリーン手刷り
用紙:キャンバス
重量:3.5kg
額縁:木製金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付
監修:横山由季子(美術史家/国立新美術館 アソシエイトフォロー)

February 2, 2018

【商品紹介】横山大観《霊峰春色(れいほうしゅんしょく)


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 稀にみる冬の厳しい寒波を受け、各地で零下や大雪に見舞われたりと影響が出ています。気温の低い状態も続く様で、2月4日の立春をすぎても、春の訪れはまだまだ先となりそうです。そんな寒い中ではありますが、2月3日に節分を迎えます。

節分のイメージ.jpeg
 昔は『季節を分ける』『せち分かれ』という意味合いがあり、立春、立夏、立秋、立冬の季節の始まりの日の前日を節分と言ったそうです。現在では冬から春になる立春の前日、2月3日だけが春の節分の行事として残りました。

 季節の変わり目には鬼が出ると言われ、節分に豆をまいて鬼を払うのは室町時代から続いているそうです。豆は悪い物を追い払う意味合いもあり(「魔目※ま(鬼)の目」⇒まめ、「魔滅」など)、炒った豆を必ず使うのは豆(魔目)を炒る(射る)ことで鬼をやっつけることに通ずるそうです。そして豆を食べることで、鬼退治が完了したことになるそうで併せて数え年の数だけ食べると、病気にならず健康でいられると言われています。
 風邪やインフルエンザも流行る季節ではありますが、皆様どうかお体をご自愛くださいませ。

 今回は、今年生誕百五十年の記念年を迎え、東京・京都で大規模な回顧展が開催される横山大観の富士をご紹介します。大観は近代日本画の礎を築き、明治・大正・昭和の三代において常に画壇を代表する存在でありつづけた巨匠です。

 ご紹介の《霊峰春色》は、古希を超えてなお画技も気力も高揚した時期の名作です。雲煙は幽玄な雰囲気を醸し出し、富士と桜を配することで戦時下における国威発揚を示す時代背景に加え、大観独特の気品や情緒といった精神的な象徴性がうかがえます。白く頂く霊峰は胡粉と墨彩でくっきり描かれ、富士の白肌が雲煙の中で静かに輝きを放っています。山桜の薄紅色が華やかさを添える、気品に満ちた名作を当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。




彩美版®
横山大観 《霊峰春色》 
販売価格 250,000円+税
限定200部発行


大観「霊峰春色」460pix.jpg




<仕様体裁>
監修 横山 隆(横山大観記念館代表理事兼館長)
原画所蔵と解説 桑山美術館(名古屋市)
技法 彩美版®、シルクスクリーン併用
用紙 特製絹本
額縁 特製木製額金泥仕上げ(アクリル付)
    クロス貼りタトウ入り、黄布袋、吊金具、紐付き
画寸 天地50.0×左右65.0cm
額寸 天地71.0×左右86.0cm
重量 約6.6kg
証明 額裏に監修者の承認印・限定番号入り証紙を貼付
発行 共同印刷株式会社


※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本ブログ掲載記事及び画像等の無断転載を禁じます。

January 26, 2018

蕾 ~春を待ちわびて~ 小石川植物園より


 蕾(つぼみ);まだ開いていない状態の花のこと。転じて、前途有望(な若者)を指すことも。


 大寒を迎え、先日は都内でも雪が舞い積もりました。寒さ身に染みる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 さて、このような寒い季節において、いったい植物はどんな表情をしているのでしょうか?当ブログを通じて皆さまと共有するため、私は先日、会社の近くにある「小石川植物園」を散策してきました。

 案の定、植物園にあるほとんどの植物は、葉のない枝ぶりが寒さと合いまって物憂げに佇んでいました。しかし、近づいて枝の先を凝視してみると、植物ごとに形の異なる「蕾」がしっかりと膨らんでいました。実のところ私自身も「蕾」を撮影したいと思って散策したのですが、まさかここまで面白い写真が撮影できるとは思いませんでした。以下の写真は、植物ごとにその形が異なる「蕾」の、小石川植物園コレクションです。1点ずつ膨らむ蕾、連なる蕾、丸い蕾...。それぞれの植物が、それぞれ春に花を咲かせるために独自の容姿をした蕾を膨らませており、蕾散策が楽しくなってきました。


ケヤキ.JPG
サンシュユ.JPG
シナミズキ.JPG
ソメイヨシノ.JPG
ヤクシマツバキ.JPG
写真:上から、ケヤキ(欅)、サンシュユ(山茱萸)、シナミズキ(支那水木)、ソメイヨシノ(染井吉野)、ヤクシマツバキ(屋久島椿)


 私が小学生だったとき、いまだに記憶に残っている担任の先生の印象的な言葉があります。「一月は行っちゃう、二月は逃げちゃう、三月は去っちゃう。つまり一月から三月の三学期はいつの間にか時間が過ぎてしまうので、一日一日を大事に過ごしましょう。」

 暦はもう一月末。つい先日過ごしたお正月からすでに一ヵ月が経過しようとしています。そんな中、植物たちは蕾の状態で養分を蓄え、冬の寒さに耐えながら日に日に春へ向けた準備をしています。私たちも蕾が花を咲かせるまでの季節の移ろいを肌で感じながら、一日一日を大切に過ごしたいものです。

 それでは、お身体ご自愛ください。




【小石川植物園のご紹介】

■所在地
 東京都文京区白山3-7-1
■開園(入園)時間
 9:00~16:30(入園は16:00まで)
■休園日
 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
■入園料
 一般400円/小・中学生100円/大学生・短大生・高校生250円/幼稚園児・保育園児は無料/その他、団体割引あり。
■アクセス
 都営バス  上60系統(池袋東口~上野公園間)「白山2丁目」下車 徒歩約3分
 都営地下鉄 三田線「白山」下車、徒歩約10分
 東京メトロ 丸ノ内線「茗荷谷」下車、徒歩約15分


January 19, 2018

永井荷風と木村伊兵衛 -二人の芸術家の邂逅-


 来年生誕140年、没後60年の記念イヤーを迎える作家永井荷風(1879~1959)だが、著作は勿論のこと、その生き方も多くのファンを惹きつけてやまない。
 荷風像として、「黒縁の丸メガネをかけ、六尺豊かの長身を中折れ帽と三つ揃いのスーツに包み、手には雨傘と小さな手鞄を持っている」姿が定着しているが、こうしたイメージが書籍などに掲載された写真から形作られたであろうことは言うまでもない。恐らく荷風像の原型とも言うべき一連の写真が戦前・戦後を通じて活躍した写真家・木村伊兵衛(1901~1974)によって撮影されたものであることは、意外に知られていないのではないか。


 木村伊兵衛をご存じない方のためにその略歴をご紹介しよう。
 明治34年(1901)東京下谷で製紐業を営む家の長男として生まれ、大正13年(1924)開業した写真館が写真家としてのスタート地点となる。花王石鹸長瀬商会の広告部嘱託を経て、昭和8年(1933)名取洋之助らと日本工房を設立。長谷川如是閑、横光利一ら著名作家の肖像写真による写真展を開き一躍注目を集める存在となった。
 ポートレートやスナップ写真を得意とし「ライカの神様」として広く知られる。昭和15年(1940)日本画壇を代表する四人の巨匠(横山大観、上村松園、鏑木清方、川合玉堂)のポートレートによる英文写真集『Four Japanese Painters』を刊行。戦後は昭和25年(1950)に設立された日本写真家協会(JPS)の初代会長に就任(~昭和32年)し、昭和31年(1956)には写真家として初めて芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど写真界の重鎮として存在感を示し、昭和43年(1968)紫綬褒章を受章した。
 没後の昭和50年(1975)、日本写真界の発展に絶大な貢献をなした伊兵衛を顕彰した「木村伊兵衛写真賞」が朝日新聞社により創設され、我が国写真界で最も権威ある賞として現在に至る。平成16年(2004)には東京国立近代美術館で「木村伊兵衛展」が開催された。


葛羅之井古碑と傍らの榎_BW.jpg
荷風が再発見した葛羅之井古碑と傍らに立つ老榎(船橋市西船)
「・・・何となく大田南畝の筆らしく思われたので、傍の溜り水にハンケチを濡し、石の面に選挙侯補者の広告や何かの幾枚となく貼ってあるのを洗い落して見ると、案の定、蜀山人の筆で葛羅の井戸のいわれがしるされていた。」(永井荷風『葛飾土産』より)


 さて、荷風は昭和29年1月に芸術院会員に選出されているが、木村伊兵衛はこの年の5月19日、中央公論社の依頼で荷風の日常生活に密着した撮影を行った。伊兵衛の写真はまず同年の『中央公論』7月号に「ある日の荷風先生」として掲載され、その後昭和40年(1965)には装幀家・佐々木桔梗(1922~2007)により伊兵衛の写真(オリジナルプリント)と荷風の文とを組み合わせた豪華本『葛飾土産より』が出版された。(コレクションサフィール第10輯、プレス・ビブリアマーヌ刊、限定199部)

 荷風の日記、『断腸亭日乗』には次のよう記されている。

 「五月十九日。隂。小山氏来話。午後島中高梨両氏写真師を伴ひ来話。錦糸堀新井工場に相磯氏を訪ふ。今戸橋及び雷門を歩み永田町八百善に至り晩餐の馳走になる。家に帰る正に十二時なり。」

 「小山氏」は荷風研究家で随筆家としても知られた小門勝二、「島中、高梨両氏」は中央公論社社長の嶋中鵬二、同社専務の高梨茂。「相磯氏」は戦前からの友人で晩年の荷風を支えた実業家・相磯凌霜を指す。


 中央公論社の嶋中社長、高梨専務が伴った「写真師」が木村伊兵衛である。芸術家のポートレート写真で著名な写真界の重鎮伊兵衛を起用したのは、気難しい老大家への気遣いでもあったろう。戦前から幾人もの著名な小説家を撮影した実績のある伊兵衛は、当時日本写真家協会会長の重責を担う存在でもあった。
 荷風は戦前、二眼レフの名機ローライを所有(購入したのは代表作『濹東綺譚』脱稿の翌日)し撮影から現像まで行っており、昭和13年(1938)には自身が撮影した写真24枚をカットに用いた小説随筆集『おもかげ』(岩波書店)を出版している。また伊兵衛は、戦前外務省の依頼で歌舞伎の舞台撮影も行い『六代目尾上菊五郎舞台写真集』などを刊行しているが、荷風も青年時代に歌舞伎座の立作者福地桜痴に入門し作者見習いとして拍子木を打った経験があり、親友だった二代目市川左團次(松莚)をはじめ歌舞伎界に知己が少なくなかった。こうした背景から荷風が伊兵衛をまるで知らなかったとは考えにくいが、日記には「写真師」とそっけなく切り捨てるように書き残しているところがいかにも荷風らしい。


真間川に掛る柳橋_BW.jpg
真間川にかかる「柳橋」(市川市二俣~船橋市本中山附近)
「・・・然るにわたくしは突然セメントで築き上げた、しかも欄干さえついているものに行き会ったので、驚いて見れば「やなぎばし」としてあった。」(永井荷風『葛飾土産』より)


 当時荷風は市川市の菅野に住んでいた。荷風の日常に密着取材し、昭和25年に中央公論社から出版された随筆『葛飾土産』の舞台となった市川・船橋周辺や当時荷風が日参していた浅草周辺でロケを行っている。この時伊兵衛が撮影した荷風の姿は冒頭に記した「荷風像」そのものであり、伊兵衛にとっても代表作のひとつとなった。当時、伊兵衛の助手を務めていた写真家・田沼武能の述懐によると、いつもは2、3本で撮り終える伊兵衛が荷風には5本のフィルムを使ったという。これらの写真は現在まで荷風を扱った様々な出版物に掲載されているが、中でも浅草仲見世の雑踏に佇む荷風を撮影した作品が恐らく最も有名ではないだろうか。背景に写る看板や軒先の提灯(洋傘の専門店モリタ、フジヤなど)と人々の歩む方向から考えると、荷風は仲見世通りと新仲見世通りの交差点の真ん中に立っているらしい。荷風の背中側が雷門方向であるが雷門の姿はない。幕末に火災で焼失して以来雷門は100年近く再建されずその時々に架設の門が設けられたと言い、この当時現在のような雷門は存在しなかった。今の雷門は昭和35年(1960)、松下幸之助の寄進により建設された。


 この写真に対する評価は様々あると思うが、私には晩年の荷風の孤独感が映し出されているように感じる。にぎやかな雑踏に溶け込むことなく一人佇立する老大家。荷風は山の手の富裕な家庭に育ち、江戸以来の庶民の文化や生活に憧れをいだきつつも、けっして馴染むことができなかった。長年住み慣れた麻布の偏奇館から戦災で焼け出され、戦後は田園風景が残る市川に隠棲した。親しかった従弟の杵屋五叟一家や荷風を敬慕していたフランス文学者小西茂也一家との同居生活は相次いで破綻し、69歳にして再び一人生きることを選択したのが昭和23年(1948)、6年前のこと。名人伊兵衛は、荷風の心の内に潜む悲劇性をレンズを通して先鋭に描き出している。


夕闇迫る妙行寺の塔_BW.jpg
夕闇迫る妙行寺の塔(市川市原木)
「流の幅は大分ひろく、田舟の朽ちたまま浮んでいるのも二、三艘に及んでいる。一際こんもりと生茂った林の間から寺の大きな屋根と納骨堂らしい二層の塔が聳えている。」(永井荷風『葛飾土産』より)

January 12, 2018

人気のゴッホ展 いよいよ京都へ


新年明けましておめでとうございます。
いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。
今冬はひときわ厳しい寒さが続いております。皆さまも健康には十分お気をつけ下さい。

さて上野の東京都美術館ではさる8日まで「ゴッホ展 巡り行く日本の夢」東京展が開催されました。わたくしは昨年末に鑑賞しましたので、ご参考までにレポートいたします。

展覧会のテーマはゴッホと「日本」の深い関わりを、ファン・ゴッホ美術館との国際共同プロジェクトのもと、新しい切り口で解き明かすという興味深いものでした。近年の研究成果も含め、ゴッホの創作の原動力となった日本への憧れと南仏アルルでの夢と挫折、ゴッホ死後の賞賛と理想化、後世への多大なる影響を丁寧に辿って行きます。

19世紀後半、東洋のエキゾチシズムに関心が高まりフランスにおいてジャポニスムが興隆した時代、ゴッホもまた日本の浮世絵に強く魅かれ、浮世絵の収集に走ります。自らも浮世絵版画を模写した油彩画を描き、「日本」にオマージュを捧げました(ゴッホ《花魁(渓斎英泉による)》)。日本では画家同士が師弟関係を結び、流派を築き芸道に切磋琢磨する様を知り、日本を理想の国と夢見ます。南仏の地アルルに日本のイメージをダブらせ、日本人のように画家同士で共同生活を営むことが、新しい芸術を生み出すと考えました。

理想と現実とのギャップからゴーギャンとのアルルでの共同生活は無残にも破綻し、ゴッホは精神的に深いダメージを負いましたが、却ってゴッホの芸術は一段と凄みを増し、他に類を見ないほどの前人未踏の境地に達したことはご存知の通りです。

ゴッホの死後、文物でその存在を知った日本の画家や文化人たちが、ゴッホゆかりの地を訪ね追悼を捧げるさまを関連資料で紹介し、展覧会は幕を閉じます。

このようにゴッホと「日本」をテーマに構成された展覧会は、充実した関連作品の展示もあって実に見応え十分の内容でありました。

年末の館内は待ち時間はなかったものの沢山の人で溢れかえっておりました。

注目のゴッホ展は北海道から東京を巡り、いよいよ1月20日からはファイナルの京都展を迎えます。関西のゴッホ・ファンの皆さま、どうぞお楽しみに。


IMG_0646.JPG


【京都展 展覧会情報】
ゴッホ展 巡りゆく日本の夢
会場 京都国立近代美術館
会期 1月20日(土)-3月4日(日) ※月曜休館(2月12日振休は開館)
時間 9:30~17:00 (金曜・土曜および11月2日は午後8時まで)



尚、お客さまからは弊社のゴッホ複製画のタイトルについてお問い合わせをいただくことが多くなっております。今回のゴッホ展にて本邦初公開された《夾竹桃と本のある静物》はこの展覧会において命名されたものですが、所蔵館のメトロポリタン美術館の目録では≪Oleanders≫(=夾竹桃)と記されており、フランスのレゾネでも≪Les lauriers roses≫として登録されております。弊社では当該作品の複製にあたり外国の表記に倣い《夾竹桃‐ローリエ・ローズ‐》と名付け、ゴッホの絵画制作史上における重要な結節点とも呼ぶべき本作を共同印刷の独自技法である彩美版®にて制作いたしました。



夾竹桃.jpg
©The Metropolitan Museum of Art.Image source:Art Resource,NY/PPS通信社




彩美版®
ゴッホ 《夾竹桃 ‐ローリエ・ローズ‐》

販売価格 115,000円+税
限定200部発行


■仕様体裁
監 修 千足 伸行 (美術史家/成城大学名誉教授/広島県立美術館館長)
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地42.7×左右53.0㎝(10号)
額 寸 天地55.7×左右66.0×厚さ3.0㎝
重 量 約3.5㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


あの有名な《ひまわり》と並ぶアルル時代の静物画の傑作を、ぜひ貴方様のお手元でご鑑賞下さい。

最後に本年も美術趣味をどうぞよろしくお願いいたします。

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

<   July 2018   >
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
 
 
 
ページの先頭に戻る