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July 6, 2017

土田麦僊(ばくせん)―生誕130周年を迎えて-


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。7月に入り、夏真っ盛りの陽気の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて今回ご紹介する土田麦僊(1887-1936)は明治20年(1887年)佐渡に生まれました。今年は生誕130年の記念イヤーです。同年生まれの画家には、大観を師と仰いだ堅山南風(1887-1980)がおります。麦僊は主に京都画壇で活躍、円熟期を迎えた四十九歳の年に惜しくも逝去しましたが、近代日本の美術界に偉大なる足跡を残しました。

 京都に出て画家を志した麦僊は、鈴木松年と竹内栖鳳に師事。奇しくも上村松園(1875-1949)と同じ道を歩みました。若くして有望画家として頭角を現わすとともに、西洋絵画の理論を学び、伝統色の強い京都に在りながらも東洋と西洋の美の融合を目指し、新しい日本画の創造を図りました。弟で哲学者の土田杏村(1891-1934)とは道は違えども≪近代≫日本に深くコミットし、日本と西洋の文化と歴史に深く思考を巡らせました。

 京都市立絵画専門学校でともに学んだ、小野竹喬(1889-1979)、村上華岳(1888-1939)らと活動の母体となる国画創作協会を設立。翌年(1918年)には代表作「湯女」(重要文化財)を制作し、高い評価を受けました。座学に飽き足らず大正10年には親友の竹喬らと渡欧し、パリで学ぶかたわら西欧各地を二年間旅しました。帰国の翌年には「舞妓林泉図(ぶぎりんせんず)」を発表しますが、これは伝統美の極致ともいうべき舞妓を西欧画のパースペクティブで描いたもので、麦僊の集大成的作品となりました。上述の「湯女」「舞妓林泉図」はともに東京国立近代美術館が所蔵しております(「湯女」は7月17日まで東京国立近代美術館所蔵作品展にて展示中)。

 麦僊は齢五十前に没したため文化勲章の栄に浴することは叶いませんでしたが、フランスのレジオンドヌール勲章を受章、帝展審査員や帝国美術院会員を歴任するなど、近代の日本画壇に赫赫たる名声を築きました。にもかかわらず麦僊生誕130周年の年に記念回顧展が行われる予定がないのは、とても残念なことです。そこで本ブログでは麦僊の芸術にご興味あるお客様に、夏の風物詩、銘品「金魚図」彩美版®をご紹介させていただきます。

 「金魚図」は洋行帰りの麦僊が「舞妓林泉図」制作の翌年(1925年)に制作されました。描かれた金魚の優美な姿や面構えにはどこか風格さえ感じられますが、さらに面白いのは限りない空間のこの構図です。想像を遊ばせるような日本的な余白を楽しむ趣は、麦僊洋行後の日本美への意識の深まりを窺わせます。何よりも愛らしき金魚が水中でのびのびと泳ぐ姿に、清涼なる美しさを感じ取っていただけることでしょう。

 

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●土田麦僊『金魚図 』
販売価格 90,000円+税

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■仕様体裁
技 法 彩美版®シルクスクリーン手摺り
画 寸 天地37.5×左右42.0㎝(8号大)
軸 寸 天地129.0×左右59.5㎝
額 寸 天地58.5×左右63.0㎝
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


 麦僊の巧緻を極めた空間芸術を、皆さまも是非お手元でお楽しみ下さい。


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共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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