美しき七宝の世界へ
お天気が良い日が続く東京です。
今週は、気になっていた東京都庭園美術館で開催中の「並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性 展」を見学してまいりました。
明治時代に輸出用の美術工芸として人気を博した七宝(しっぽう)。今回の展覧会では、その中でも繊細な有線七宝により頂点を極めた並河靖之の作品を紹介しています。 正直なところ、一口に七宝というとブローチなどで使われる一昔前の工芸品・・・というイメージが漂い、その魅力をつかみかねていましたが、本展を見てその技術の高さ、美しさに魅了されました。
有線七宝、どのように制作されるかご存知ですか?有線七宝を制作するには、ざっと下記のような工程があります。
①あらかじめ下図を制作し、この絵柄を、主に銅を主体とする胎(たい)と呼ばれる素地に写す。
②銀を薄くリボン状に伸ばしたものを、下図の線に沿ってリボンの幅にあたる部分で壁を作るように乗せていく。
③これを一旦焼き付けた後、壁と壁の間を埋めるように釉薬を乗せていく。
④焼き付け、最後に研磨をして完成。
一言でいうと簡単ですが本展の作品をみると、その神経が行き届いた作業の細やかさ、色彩感覚の豊かさ、作品として完成させる技術の高さには驚くばかりのものがあります。
あまりの細かい作業に時計のような精密機械が作られる様子を思い出しました。
小さいものでは棗のようなものから大皿まで、美しく繊細な作品の数々は、展示室となる旧朝香宮邸のアールデコ調の部屋に置かれることで、より映えるように感じられました。

お天気が良かったので見学後はお庭を散策しました。
梅の花が咲いて春を迎える良い匂いがしました。
庭園美術館はこれからの季節、お散歩と兼ねてのお出かけにもお勧めです!
2017年1月14日(土)~4月9日(日)
並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性-
東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
www.teien-art-museum.ne.jp
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