April 27, 2017

●回帰する時間、心の旅 ―東山魁夷―


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。

 弊社ではこの度、東山魁夷マスターピース コレクションTMの第5弾として『白馬の森』の一斉販売を開始いたしました。本作品は本紙にアクリルガラスを直接貼り合わせることで、作品全体に清らかな透明感と深い奥行き感を与える、新感覚の美術工芸作品です。

 『白馬の森』は、連作「白い馬の見える風景」の中の一作で魁夷屈指の名作です。

 「ある時、一頭の白い馬が、私の風景の中に、ためらいながら、小さく姿を見せた。すると、その年(1972年)に描いた18点の風景の全てに、小さな白い馬が現れたのである。」

 画家の分身ともいえる白馬を、魁夷は戦前のドイツ留学直後の苦悩と不安に揺れ動いていた時期に一度描き上げました。それからおよそ30年後、ゆかりの深いドイツを再訪した魁夷は帰国後、魂の赴くままにまた再び白馬を描きます。直線的な時間と回帰する時間が画家の中で融け合い、やすらぎの希求と平和への切ない祈りが、一頭の白馬に奇蹟のように結実します。幻想的な森の奥深くから精霊のように浮かび上がる白馬は、常に見る者の心を深く捉えて離しません。

 『白馬の森』を完成し、画家は歴史的超大作、唐招提寺障壁画に着手します。この作品には障壁画完成までの長い道のりを思い、決意と精進を誓う魁夷の心の祈りも込められているのかもしれません。

 東山魁夷の神秘的な空間芸術を皆さまも是非お手元でお楽しみ下さい。


東山魁夷_白馬の森(額装)400x460pix.jpg


【東山魁夷 マスターピース コレクションTM 『 白馬の森 』】
販売価格 500,000円+税
限定500部発行

■仕様体裁
監 修 東山すみ
技 法 彩美版®プレミアム
額 縁 特注銀浮き出し加工木製額(シルバーフレーム/背面メタリック梨地)
画 寸 天地44.3×左右65.2㎝(15号)
額 寸 天地62.2×左右83.1×厚さ3.7㎝
重 量 約4.9㎏
原画所蔵 長野県信濃美術館 東山魁夷館
解 説 松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


 茨城県水戸市の茨城県近代美術館で人気を博した「東山魁夷 唐招提寺障壁画展」が、4月22日(土)より愛知県豊田市の豊田市美術館で開催されております。唐招提寺御影堂では現在修繕工事が行われており、そのため通常は非公開となっている障壁画が美術館で特別展示されています。東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺障壁画御影堂全68面」に、貴重なスケッチや下絵などで美術史に残る名作の全貌が紹介されています。制作に10年を要した作品の、構想から完成に至るまでの足跡を念入りにたどる、必見の催しといえましょう。

 皆さまも初夏のおだやかな陽気に誘われて、東山芸術の真髄に触れ、こころ豊かな気分に浸ってみてはいかがでしょうか。

 そして実は共同印刷で制作した東山作品の複製絵画が、展覧会場で特別販売されております。新作『白馬の森』や人気の『緑響く』『行く秋』『静映』などの彩美版®プレミアム作品が販売スペースに飾られ、会場で東山芸術の感動を胸にした多くのお客様にご覧いただいています。共同印刷の彩美版®プレミアムは東山魁夷の美しい風景を、さらに魅力的に鑑賞していただける新感覚の美術工芸技法です。展覧会場にいらっしゃった際は、ぜひ展示コーナーまで足をお運び下さい。


【展覧会情報】
「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」

会場 豊田市美術館
愛知県豊田市小阪本町8-5-1
会期 2017年6月11日(日)まで
月曜休館(5月1日除く)
時間 10:00~17:30


 なお昨今、お客さまから額裏の証明書に貼付されたセキュリティシールについて、お問い合わせをいただくことも多く、改めてこの場を借りてご説明をさせていただきます。

 共同印刷株式会社が独自に開発したセキュリティシールが、作品の真贋の判定を行います。お試しにお手持ちのスマートフォンなどで「彩」美版の銀色シールをフラッシュを焚いて撮影して下さい。KP(KYODO PRINTING)の文字が確認できましたら、その作品は真正な共同印刷発行の美術作品です。

 さあ、GWももう間近。皆さまどうぞ良い休日をお過ごし下さい。


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April 21, 2017

色褪せない芸術『岩田ガラス』とおすすめ展覧会『生誕100年 長沢節展』


いつも美術趣味をご覧いただきましてありがとうございます。

先日のブログ、彩美版®新作・小倉遊亀筆「初夏の花」はご覧いただけましたか。
透(すき)のボディに白砡(しろぎょく)が潔く、ツツジの伸びやかさを一層強調しているかのような存在感のあるこのガラス花器が、岩田久利(ひさとし)氏の手になるものであることはご存知でしたでしょうか。


本日は、「初夏の花」画中のガラス花器制作者、ガラス芸術家・岩田久利先生についてです。
遊亀が陶磁器を愛好していたことはよく知られていますが、1980年「耀」、1980年「椿」など遊亀の静物画には特徴的なガラス花器がたびたび登場します。
これらはみな遊亀がコレクションしていた、岩田久利氏によるガラス芸術です。


今回の彩美版®「初夏の花」制作を機に、久利氏の二女でいらっしゃる岩田マリさんとお会いする機会に恵まれ、たくさんの作品を拝見することができました。
そこでこれまで持っていたガラスのイメージがくつがえされてしまいました。
また、マリさんより貴重なお話がうかがえましたのでご紹介いたします。


ガラスは、食器、窓や蛍光灯などの工業製品も含めると、私たちの生活にとても身近な素材です。一般的にガラスにイメージするものといえば、「透明」「割れやすい」「冷たい」「静」などが想起されることと思います。
しかし、久利氏の父・藤七氏よりはじまる岩田家のガラス芸術は、それだけではないガラスの多面的な魅力を教えてくれます。
その魅力の真髄は、真逆にも「鮮やかな色(透明・不透明あり)」「重厚感(何層にもなり厚みがある)」「躍動感」でした。
(さらに制作時に直面するガラスの特徴、「柔らかさ」「熱さ(環境も含む)」についてはガラスを扱う困難さ、どのようにしてガラス芸術が生みだされるかに至る大事な特徴なではありますが、ここでは語りきれません。)


岩田家のガラス芸術の歴史を簡単にですがご紹介します。(以下敬称略)


■日本の色ガラス芸術のパイオニア 父・岩田藤七
(明治26年・1893年生まれ)

明治大正時代、板ガラスなど実用製品が躍進の一途を辿っていたガラス工業界。それに比べ、"ガラス工芸"は江戸時代以降途絶え不毛の時代を迎えます。
数十年の空白期の後、藤七は、現代ガラスのパイオニアとして色ガラスによる宙吹きの作品を作り始めます。
日本においては古来より陶器の作品が好まれ、茶道の影響もあり高いレベルの作品とされている中で、藤七はガラスの作品を日本の美術界にアートとして認められるよう努力を続け、近代ガラス工芸を日本の美術界に位置付けるに至ります。


代表作「貝」は、藤七ならではの大胆な気質だからこそなせる技だったといいます。
作品は今も日生劇場、ホテルオークラのオークバー(現在はリニューアル工事中)、メトロポリタン美術館(NY)、国立近代美術館などで観ることができます。


■「ガラス芸術」へ高めた功績者・岩田久利
(大正14年・1925年生まれ)

父・藤七の長男として生まれ幼い頃よりガラスに携わります。
久利は東京美術学校工芸部図案科卒業、その他、科学的基礎やガラス組成についても学び、藤七の築いたものをさらに極めていきます。
久利の作品は、端正・優美、高い技術に裏付けされた理知的な作品といわれ、初期の緻密な作風にはじまり、50歳代にはこれでもかと技術を凝らした根気のいる作品を、60歳代からは、線が細くなっていく身体とは対照的に壮大な自然をモチーフに力強い作風へと昇華します。


久利氏の作品は、幾何学模様のミニマムでモダンなデザイン的なものもあれば、ごつごつした大地や岩を髣髴とさせるプリィミティブなものまで多彩な創造性が魅力的でもあります。

iwataglass.jpg岩田久利作 〈第十回日展出品作〉 制作:昭和29年

1960年代には、家庭における食器、照明などのガラス製品が普及します。
特に岩田ガラスが生みだしたガラス照明は、一世を風靡します。金赤(ガラスの金赤は可愛らしいピンク色)でフリルをまとったガラス照明は結婚式の引き出物として多くつかわれていた、とのこと。
もしかしたら皆さまのご自宅にあるかもしれません。


今なお新しさが感じられる、岩田久利氏の作品を下記よりホームページにてご覧ください!


岩田家のガラス芸術
HP : http://www.iwataglassart.com


■岩田久利氏の長女でいらっしゃる、ガラス芸術家・イワタルリ氏の個展のご案内です。

イワタルリ展 
開催場所 SAVOIR VIVRE サボア・ヴィーブル 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F
開催日時 2017年6月23日(金)から7月2日(日)まで
詳細につきましてはホームページにてご確認ください。
HP : SAVOIR VIVRE



【オススメ展覧会のご案内】

岩田ガラスの会社ロゴ、包装紙をデザインしたのが、「スタイル画」デッサンの名手・長沢節(せつ)氏でした。
久利氏は、画家、文芸家、俳優などジャンルを超えたお付き合いがあったといいます。
東京文京区弥生美術館にて、今年4月23日で閉校するセツ・モードセミナー公式の、最後の展覧会として下記展覧会が開催されています。
ファッションイラストレーターの先駆けであった節の〈スタイル画〉は鉛筆のほか毛筆で描かれた作品もあります。毛筆書に慣れ親しんだ世代だからこそ為し得るものなのでしょうか、「セツ美学」あふれる流麗なイラストは必見です!



IWATAlogo.jpg左上:岩田ガラス・ロゴ(長沢節)
setsu.jpg右下:岩田ガラス・包装紙(画:長沢節)


『生誕100年 長沢節展』- デッサンの名手、セツ・モードセミナーのカリスマ校長 - 

長沢節は1917年生まれ、文化学院卒、20歳で挿し絵画家としてデビュー。
太平洋戦争前より池袋近く要町の芸術家村・通称「池袋モンパルナス」に暮らす。
終戦後アメリカ兵より流れてきたヴォーグやハーパス・バザーを参考にみようみまねで洋服を描く。節の描くファッショナブルな女性像は〈スタイル画〉と呼ばれファッション界もリードする存在となる。
1954年より美術学校セツ・モードセミナーを主宰。(設立当初は「長沢節スタイル画教室」)
卒業生は、金子国義、山本耀司、安野モヨ子など。



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左上:C.ディオール「マリ・クレール」1998年6月号 掲載原画
右下:女性デッサン 1960年代


■開催要項■
会場:弥生美術館 1~2階会場
住所:東京都文京区弥生2-4-3
会期:2017年4月1日(金)~6月25日(日)
休館日:毎週月曜日 ただし、5月1日(月)は臨時開館
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般900円(800円) 大高生800円(700円) 中小生400円(300円)
※竹下夢二美術館と併せての料金。()内は20名様以上の団体割引料金
TEL:03(3812)0012 FAX:03(3812)0699
HP : http://www.yayoi-yumeji-museum.jp

April 12, 2017

桜に思う、いろいろ。


寒暖の差が激しい今年の春ですが、桜の季節もそろそろ満開から葉桜に移りつつあります。
共同印刷の近くの名所と言えば、間違いなく播磨坂の桜並木でしょう。
登り下りの道路を挟んで3本ある歩行者用道路に沿って坂の上から下まで植えられた桜は、満開になると本当に見応えがあります。

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入社してはや十数年。それでも毎年この季節の桜並木を通るときは新入社員と同じように新しい季節の空気を感じ、前向きな気分になれます。
そして若い葉が混ざり始めた桜の木は何となく美味しそうな色合いで、桜餅を思い出してしまうのは私だけでしょうか。

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自転車で外堀通りの桜を観に行きました。こちらも満開で見ごろを迎えています。
先日見たときはどんより空の中で、一緒にいた3才の子供の目には暗い桜の木々がお化けのように写るようで「黒い、怖い。」と終始言われ続けました。


画家の目に写る桜はどんな風でしょうか。
現代日本画家で桜花図の第一人者でもある中島千波先生の桜はというと...
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中島千波「千歳櫻」

樹齢700年を超える福島県の名樹「千歳櫻」を描いた作品です。柔らかな花びら一枚一枚が重なり合いながら画面いっぱいに咲き誇る姿には、華やかながらも堂々とした名樹の風格が漂います。

近代日本画の巨匠、小倉遊亀の桜は...
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小倉遊亀「爛漫」

力強い幹と満開の桜の優しい色合いに、女性らしい柔らかさと同時に芯の強さののようなものを感じます。遊亀はこの作品を母校の奈良女子大学に集う学生の前途を思い、大学講堂の緞帳原画として制作しました。


ちなみに暖かい日を狙って播磨坂でお花見ランチの帰り、先輩が道沿いのケーキ屋さんでプチケーキを買ってくれました。「花より団子」を地でいく今年の春でもあります。
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※掲載画像の中島千波「千歳櫻」、小倉遊亀「爛漫」はいずれも当社商品です。
 作品に関するお問い合わせは、共同印刷アート&カルチャー部(TEL:03-3817-2290)まで

April 7, 2017

正統を極め、異端に戯れる


 今、華々しく脚光を浴びる幕末~明治の絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい / 1831-1889)。折しも現在渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで展覧会「これぞ暁斎!」が開催され、あらためてその画力の天才ぶりを多くの人に見せつけています。正直、私は暁斎について知っているつもりでいながら、それはほんの一部に過ぎないとここ最近知らされました。

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河鍋暁斎記念美術館

 私の住むさいたま市のすぐ隣の蕨市に、公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館があります。ずっと以前から知ってはいたものの、暁斎のイメージが妖怪や魑魅魍魎を得意とするどこかおどろおどろしい画風の異端画家という印象で、臆病な私は何となく足が向きませんでした。しかしマスコミで紹介される暁斎作品を目にする機会が重なり、見方が偏っていたと気づかされました。温かく穏やかな休日に思い立ち、初めて記念美術館を訪れてみました。

 暁斎の曾孫である河鍋楠美館長が1977年に創設した美術館で、今年 40周年となります。住宅地の中にさり気なくあり、自宅を改装したアットホームな気さくさが何故か暁斎らしいと思えてしまいました。展示室は3つあり、第1、第2展示室で2か月毎に内容を変えた企画展を開催しています。この日は「暁斎・暁翠 旅と風景」という展覧会で、第1展示室は墨絵を中心とした旅の風景スケッチが、のどかに楽しそうに描かれ、娘の暁翠(1868-1935)の作品とともに並んでいました。

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第1展示室

 第2展示室には数々の鮮やかな錦絵の展示。東京の名所絵や東海道中の双六など人気が高かったと推測する作品が並んでいました。あまり知らなかったのですが、別の絵師との合作も多く、例えば三代広重が風景を描き、その中にたくさんの人物を暁斎が描いたりしています。第1、第2展示室を通じ暁斎が基本を重視した作家であり、端正な作品も多く描いていたことがわかります。第3展示室は肉筆着色作品の複写が展示され、力強さと緻密さを備えた画力を感じ取れました。

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第2展示室

 暁斎は日本の美術史上から忘れられた時期が続いたといいます。純粋に観賞用の絵画だけでなく、庶民に受ける風刺画や漫画も注文に応じて拒まず描いており、それが異端視された要因にあるのかもしれません。しかし浮世絵の歌川国芳に入門し、のちに狩野派を習得し、さらに流派に捉われず多様な画法を学び、幅広い分野の画題を独自の視点で表現、その芸術は、正統を含むいずれの分野も極めた一級のものでした。特に海外で高く評価され、国外に多くの完成品があります。渋谷の大規模な展覧会も英国在住のゴールドマン氏のコレクションで、暁斎の多彩な才能を知ることができます。今の私が想う暁斎の魅力は、猫や蛙を始めとする擬人化された動物の可愛らしさや、群衆の争いを愉快に描くスラップスティック・コメディの世界など、ユーモラスな世相のカリカチュアライズですが、その着想を描出する、修練を積んだ技術に裏打ちされたエスキースの巧さに圧倒されます。

 記念美術館は肉筆、版画の完成品以外に下絵・画稿類の豊富な所蔵が特徴的で、暁斎の創作過程や力量を伺い知ることができます。テーマを変えて展示される折々に、散歩がてらぶらりと訪れ、静かに過ごすのにも良い場所です。



■公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館

住 所 埼玉県蕨市南町4-36-4  TEL 048-441-9780
開 館 10時~16時
定休日 木曜 毎月26日~末日 年末年始 
入場料 一般320円、中・高・大学生210円、小学生以下105円
団体20名以上割引有・要予約、かえる友の会会員は210円、美術館友の会会員は無料
※特別展開催時は別料金


March 31, 2017

迷路の町と朝倉彫塑館

 文化勲章を彫刻家として初めて受賞した朝倉文夫(1883〜1964年)。東京は台東区谷中にある朝倉文夫のアトリエ兼住まい(朝倉文夫自身の設計)は現在、朝倉彫塑館として彼の作品と建物の見学ができる。2008年には敷地全体が国の名勝に指定された人気のスポットである。彫塑館の入口から見る黒塗りの鉄筋コンクリートの壁は厳めしいが、館内は一変して竹や真綿を使った明るい色彩になる。室内には大きなガラス窓から注ぐ陽光と、モダンなデザインの照明、曲線を生かした有機的な壁面などで暖かく柔らかさを感じる。高さ8.5メートルの大きなアトリエには人物がメインに展示してあるが、中でも「墓守」は私の好きな作品である。朝倉は自作についてあまり語らなかったそうであるが、「墓守」については「家のものが将棋を指すのを見て無心に笑っているところをとらえた」と残している。朝倉がトルストイに例えた墓守の姿は、西洋美術であれば矍鑠(かくしゃく)と威厳に満ちた彫刻になろ。しかし、この老人像の髭の下から前歯が2本のぞいて笑った口や、足袋を履いた足、そして全体を包むぬとぬととした肌触りなどがいかにも日本的であり身近に感じる。

若葉の芽吹きもちらほら、朝倉彫塑館。
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 アトリエを通り抜け中庭に面した木造住居欄に入る。中庭にはそのほとんどを占める様に池がある。池には大きくて平たい石があり、何でも真鶴の海石と伝えられているらしい。寝転んで昼寝をしたら、さぞや気持ちよさそうである。各部屋はこの池をぐるりと巡る様に升形に配置されている。天井まで届く書棚が並んだ書斎、出窓に半円のソファーがある応接室などを巡り、階段を上がって2階、3階と進む。さらにオリーブの木が葉を茂らせている屋上に出る。屋上にはかつて大根やトマトなどを育てた園芸実習の場があったそうだ。この空中庭園からは、谷中、千駄木、根津が気持ちよく見渡せる。最後の部屋はもと東洋蘭の温室で、今はネコ達の彫刻の部屋になっている。朝倉はネコが良い、深い愛情がこもっている。朝倉は学費が払えないで美術をあきらめざるを得ない者たちを塾に向かえたそうである。その懐の深さが感じられる素敵な彫塑館であった。
 さて、この界隈は古くからの家々が軒を連ねる細い道が交差して、一歩路地に入るとほとんど迷路である。迷子になる不安を覚えながら道を進んでいくと、大きなガラス窓に囲まれたモダンなお店に出た。彫塑館の裏手にあるチョコレート専門店「ショコラティエ イナムラ ショウゾウ」である。シンプルな装飾の店内は明るく、喫茶コーナーは人でいっぱいの人気店である。素材にこだわったパウンドケーキのクラシックショコラを購入する。このチョコレートレートケーキは、しっとりとして濃厚な味わいであった。谷中の町は新旧が入り交じった楽しさがある。

March 24, 2017

ギャラリー「都道府県の花」 ―皇居をめぐる花の輪


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


 先日、皇居周辺を散策してきました。皇居の周りは約5キロで、その距離感と信号がなく止まらずに一周できるので、日本でもっとも人気のあるジョギングコースとしても親しまれています。当日もたくさんのランナーの方々が走っていました。


 皆様は、この周回コースの歩道100メートル毎に都道府県の花のプレート(石板)が埋め込まれていることはご存知でしょうか(正確には47都道府県と2つの花の輪と千代田区のプレートの計50枚)。このプレートは通称「花の輪タイル」と言うのだそうです。スタートは皇居正門のある二重橋にあります。北海道の道花「はまなす」が彫られたプレートより、反時計回りに南下し、最後に沖縄県の県花「デイゴ」で一周します。と言われても、自分の住んでいる所の花も知らない方が多いのではないでしょうか。かくいう私も知りませんでしたので、この際一周して47都道府県全てのプレートを確認することにしました。


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花の輪タイル (左)北海道・はまなす (右)沖縄・デイゴ


 一周を5キロと考えると長い道のりとお思いでしょうが、いざ歩き始めれば100メートル毎に次々とプレートが現れるので、写真を撮りながら歩いていると、思いのほか忙しいことになってしまいました。さながら、ギャラリー「都道府県の花」です。プレートを逃さないように下ばかり見ていると、皇居周辺の景色をゆっくり楽しむことができないという、大変悩ましい状況です。それでも、少し寄り道をして千鳥ヶ淵緑道に入ってみると、3月上旬頃に咲く大寒桜が咲いていました。その実、千鳥ヶ淵の桜はその大部分がソメイヨシノで、今では東京屈指の桜の名所となり、多くの方々に親しまれています。間もなく迎えるシーズンにはライトアップもされますので、夜遅くまで楽しめます。


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千鳥ヶ淵の大寒桜


 さて、無事に47都道府県すべてのプレートの写真を撮り、お陰様で自分の県花も確認することができました。プレートを追いかけながら、歩いているとあっという間の一周です。こちらのプレート、ランナーの中には1km毎のラップを計ることや、居場所の確認に使われている方もいるそうです。確かに何県のプレートは何々門の所にあるなどと覚えておけば便利ですね。


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花の輪案内板


 少しずつ陽気も暖かくなり、東京では桜の開花宣言が出されました。お花見も兼ねて、スタンプラリー感覚で皇居一周を歩いてみることをお薦めします。全てのプレートを確認することができれば、きっと達成感を得られることでしょう。


March 16, 2017

新作・小倉遊亀「初夏の花」のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。
 朝夕と寒暖差ある今日この頃毎、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 それでも日中は日差しが段々と暖かく感じられる様になりました。初夏の様な少し汗ばむ日もありましたが、うららかな陽気に誘われて桃や桜などの花が咲き始め鳥の囀りが響き、冬が明けてだんだんと春の訪れを感じられる季節になりました。

 さてこの度当社は、日本画家・小倉遊亀の「初夏の花」複製画の販売を開始いたしました。エディションは限定200部です。

 鮮やかな橙色のテーブル、満開に咲き誇るミツバツツジの桃色、ゴツゴツとした味わい深い三宝柑の黄色。華やかなミツバツツジのが生けられた躍動感があり華麗なガラス花器は、ガラス芸術家・岩田久利氏の作品です。同じ芸術家として遊亀は、久利氏の自らの芸術に厳格で真摯に取り組む姿勢に対し共感し、懇意にしていたといいます。それぞれに配された彩りの会話を楽しむような感じで深く観察して筆をとっていたのでしょうか。

 彩り溢れいきいきとした輝きが描かれた作品の鼓動を、当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。




彩美版®
小倉遊亀 《初夏の花 》
販売価格 190,000円+税


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<仕様体裁>
監修 有限会社 鉄樹
原画 名都美術館 所蔵
解説 鬼頭美奈子(名都美術館 主任学芸員)
限定 200部
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り、プラチナ泥使用
用紙 版画用紙
額縁 特注木製額純銀箔仕上げ、交織つむぎマット、アクリル付き
証明 著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
画寸 天地45.5×左右38.4㎝
額寸 天地65.6×左右58.5㎝
重量 3.7㎏
発行 共同印刷株式会社


※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


March 10, 2017

ひとあし早い満開の桜 ~静岡県熱海市より~


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。

 私は先日、静岡県熱海市へ遠征してきました。ちょうどこの日は風も無く空気が澄んでいて、透明感あふれる朝日のグラデーションがとても美しく感じられました。

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透明感あふれる朝日のグラデーション


 そもそも朝焼けや夕焼けが赤っぽく見えるのはなぜでしょう?調べてみると、あの有名なイギリスの物理学者、アイザック・ニュートンが発見した太陽光の現象にありました。ニュートンは太陽光をプリズム(ガラスや水晶の多面体)に通すと虹のような連続した光の色の帯が現れる現象を発見し、これをスペクトルと名付けました。

 日中の太陽は白く輝いて見えますね。これは赤から紫まで7色のスペクトルが大気によって散乱され重なり合った結果として白く見えています。そのスペクトルが地上に到達するまでに空気の層を通る時間の違いによって、長ければ赤く、短ければ青く散乱するため、空は時間に応じて様々な表情を私たちへ届けてくれるという原理だそうです。

 ...ちょっと難しいですね。空を見上げるときは、難しいことや嫌なこと等は何も考えず、ただ無心に見上げるだけで良いと思います。心が洗われることが大切だと思います。

 静岡県からの帰り道は、今まさに桜が満開でした。と言ってもソメイヨシノではなく、『大寒桜(おおかんざくら)』という品種で、2月末~3月上旬にかけて見頃を迎える早春の桜です。ひとあし早い満開の桜に癒されました。

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満開の大寒桜


 当社近隣にある桜並木のソメイヨシノは、蕾が顔を出し始めています。美しく咲き誇る満開のソメイヨシノが待ち遠しい三寒四温の今日この頃。寒い日と暖かな日が交互にやってきて体調管理も大変ですね。皆さまもう暫くは上着を羽織ながら温かくして、お身体ご自愛ください。



March 3, 2017

鳥帰る春 -谷津干潟にて


 今年は酉年ということで、前回に続き鳥に因んだ小話をまたひとつ。

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オナガガモとヒドリガモ

 鳥は私たちの身近にいつでもいるため、一般的には特に注目を集める存在ではないのかもしれません。でも、優しく可愛らしい鳥たちが実は恐竜の生き残りだと言えばどうでしょうか。恐竜は今でも地球上に存在しており、私たちと共存しているのです。

 古代の地球上を支配した恐竜はこれまで、白亜紀末(約6600年前)に起こった大量絶滅で死に絶えたとされてきました。ところが、近年研究が進み、恐竜の一種である獣脚類の一部に羽毛をまとったものがいることが明かになりました。現在では、この羽毛のある獣脚類の生き残りが鳥類であるとする見方が定説になっています。昨年末に発表された論文で、ミャンマーで発掘された琥珀(樹脂の化石)のなかに、羽根が生えた恐竜の尾が見つかったとの報告がありその写真も公開されて話題になりました。

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Tレックス!

 羽毛のある恐竜が属する獣脚類には、有名な大型肉食恐竜のティラノサウルス(通称Tレックス)や映画「ジュラシック・パーク」に登場し広く知られるようになった小型肉食恐竜のヴェロキラプトルなどが含まれています。恐竜界の帝王、巨大なTレックスは、わたしたち昔の男の子にとってはいわばスーパースターでした。モフモフの可愛らしい羽毛をまとったTレックスの想像画を見て、思わず、「これじゃない!」と叫びそうになったのはここだけの話です。







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セイタカシギの群(谷津干潟)

 写真は、二月末の谷津干潟で撮影したセイタカシギ(背高鴫)の群です。大人にまじって恐らく日本で生まれたと思われる子供たちもいました。この時期、谷津干潟に多いのは冬の渡り鳥としてシベリアから渡って来るオナガガモ(尾長鴨)やヒドリガモ(緋鳥鴨)などの淡水ガモ類とクイナの仲間のオオバン(大鷭)です。セイタカシギはカモたちに比べて小さく、個体数もごくわずかなのですが、いる場所がだいたい決まっているののと姿に特徴があることから比較的見つけやすい鳥でもあります。

 セイタカシギの主な繁殖地(子供を産み育てる場所)や越冬地はユーラシア大陸にあり、日本には旅鳥として、繁殖地と越冬地との間を移動する際に一時立ち寄る例が多いのですが、関東や中部の一部で繁殖することもあるようです。セイタカシギは環境庁のレッドリスト(絶滅危惧種のリスト)に絶滅危惧Ⅱ類として掲載されています。Ⅱ類は、絶滅の危機が増大しているもののカテゴリーです。

 豊かな自然環境は鳥だけでなく人にとってもかけがえのない恵みを与えてくれるものです。白亜紀末の大量絶滅を生き伸びた鳥たちを、私たち人類の傲慢で無思慮な行動により絶滅させることがないよう、環境の維持保全に努めるとともに、私たちの子や孫の世代まで滋味豊かな日本の自然を継承していこうではありませんか。



※当部は公益財団法人日本自然保護協会への寄付を通じ、自然保護活動の支援に継続的に取り組んでいます。

February 23, 2017

―水戸で東山魁夷を見る―



 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。2月も残すところあとわずか。厳しい寒むさも温みはじめ、春の足音も近づいてきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。私自身は、花粉も舞い始めたようで持病の花粉症の兆候が出はじめ、日々の体調管理を気にする今日この頃です。


 さて私は先日、茨城県水戸市の茨城県近代美術館で「東山魁夷 唐招提寺障壁画展」を鑑賞いたしました。千波湖沿いの自然の環境に恵まれた美術館は、吉村順三設計の格調あるモダニズム建築。因みに千葉県市川市の東山魁夷邸も吉村順三が手掛けたとのことで、何か不思議なご縁があるようです。その日はあいにく強風吹き荒ぶ日であったため外回りは閑散としていましたが、館内は平日にもかかわらず多数の来館者で賑わっており、東山魁夷の根強い人気を改めて認識しました。


 昨年の福岡・広島での巡回展の後を受け始まった展覧会は、東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺御影堂障壁画全68面」を特別展示するという貴重な催しです。画家が完成までに10年を費やしたという唐招提寺の障壁画は、日本絵画史に残る記念碑的作品として位置づけられていますが、その東山芸術の集大成がここ茨城で初めて公開され、地元の熱心な東山ファンを魅了しています。

 
 唐招提寺の障壁画は、ほぼ70メートルにも及ぶという長大なものであり、唐招提寺の開祖、鑑真和上の苦難の足跡になぞらえ中国や日本の壮大な自然を、抒情と幻想を内に秘めた静謐な風景として見事に描き切っています。地元奈良でも一年に数日間しか公開されないという記念碑的な作品群を、間近に鑑賞できるのはまことに貴重な機会といえましょう。水戸は東京からでも、急行電鉄を利用すれば1時間半程度の距離です。これを機会に皆さまも東山作品の持つ透き通った叙情美と、凛とした精神力に触れ、こころ豊かな気分に浸ってみてはいかがでしょうか。


 尚、この度の展覧会では共同印刷で制作した東山作品の複製絵画が、会場の特設コーナーで販売されています。人気の「緑響く」や「静映」などの彩美版®プレミアム作品や、定評ある岩絵具方式作品が販売スペースに飾られています。共同印刷が誇る彩美版®プレミアムとは、東山魁夷が描く美しい風景をさらに魅力的に再現する新感覚の美術工芸技法です。会場に足をお運びの際は、ぜひともお立ち寄り下さい。


最後に、水戸といえばもちろん、梅の名所は外せません。旧水戸藩の藩校であった弘道館でも早々に、幾種もの梅の木が芽吹いていました。春の魁(さきがけ)として清らかに咲く梅の花との幸福な出会いは、必ずや日々の喧騒を忘れさせる一服の清涼剤となることでしょう。




【展覧会情報】

「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」
会場 茨城県近代美術館
茨城県水戸市千波町東久保666-1
会期 2017年4月2日(日)まで。
時間 9:30~17:00


※巡回展:2017年4月22日(土)-6月11日(日)  愛知県豊田市美術館

February 17, 2017

美しき七宝の世界へ



お天気が良い日が続く東京です。
今週は、気になっていた東京都庭園美術館で開催中の「並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性 展」を見学してまいりました。


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現在は庭園美術館となっている旧朝香宮邸


明治時代に輸出用の美術工芸として人気を博した七宝(しっぽう)。今回の展覧会では、その中でも繊細な有線七宝により頂点を極めた並河靖之の作品を紹介しています。 正直なところ、一口に七宝というとブローチなどで使われる一昔前の工芸品・・・というイメージが漂い、その魅力をつかみかねていましたが、本展を見てその技術の高さ、美しさに魅了されました。


有線七宝、どのように制作されるかご存知ですか?有線七宝を制作するには、ざっと下記のような工程があります。


①あらかじめ下図を制作し、この絵柄を、主に銅を主体とする胎(たい)と呼ばれる素地に写す。
②銀を薄くリボン状に伸ばしたものを、下図の線に沿ってリボンの幅にあたる部分で壁を作るように乗せていく。
③これを一旦焼き付けた後、壁と壁の間を埋めるように釉薬を乗せていく。
④焼き付け、最後に研磨をして完成。


一言でいうと簡単ですが本展の作品をみると、その神経が行き届いた作業の細やかさ、色彩感覚の豊かさ、作品として完成させる技術の高さには驚くばかりのものがあります。
あまりの細かい作業に時計のような精密機械が作られる様子を思い出しました。
小さいものでは棗のようなものから大皿まで、美しく繊細な作品の数々は、展示室となる旧朝香宮邸のアールデコ調の部屋に置かれることで、より映えるように感じられました。


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お天気が良かったので見学後はお庭を散策しました。
梅の花が咲いて春を迎える良い匂いがしました。
庭園美術館はこれからの季節、お散歩と兼ねてのお出かけにもお勧めです!


2017年1月14日(土)~4月9日(日)
並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性-
東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
www.teien-art-museum.ne.jp

February 10, 2017

「全国カレンダー展」雑記


 今回はカレンダーのお話です。

 68回目を迎える「全国カレンダー展」が、1月14日(土)~1月18日(水)に、ゲートシティ大崎で開催されました。同時に「全国カタログ展」も同じ会場で開催、併せて見ごたえある展示会となっていました。(一社)日本印刷産業連合会とフジサンケイビジネスアイ主催の全国カレンダー展は、回数で分かる通り歴史あるコンテスト・展示会です。展示されているのは様々な会社や団体が発行する企業・販促カレンダーを中心に、個人購入の販売カレンダーも含め多様です。応募数の減少傾向は否めませんが、今回は600点程で、その中から選ばれた400点程が展示され、さらに選び抜かれた69点が入賞の栄誉を受けました。

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 印刷会社からの出品が多く、弊社も毎年いくつもの得意先企業のカレンダー製作に携わり、出品させていただいています。カレンダー展の長い伝統にも密接に関わってきました。現在企業カレンダーは、かつての異常な豪華さはないものの、依然企業の顔としての役割は担っており、特に近年はコーポレートコミュニケーション(企業の広報活動)ツールとして再認識されている側面があります。

 コンテスト入賞作品は当然こうした企業文化を伝える意義深いものが多く、グレードの高い仕様で製品化されていますが、受賞の脚光を浴びていなくても、企業としてのアイデンティティを表現する意図が伝わり、面白く見入ったものも多くありました。
 例えば自動車の修理・整備を行う某会社のカレンダーは、「武骨なカッコよさ」を表現すべく、コンクリート壁のようなセメントの板を地に、表紙はタイヤの跡のみが走り、本文各月は大胆にデフォルメされた欧州車のイラストが描かれたデザイン。個人的に気に入ったテイストでした。

 某ミシンメーカーのカレンダーは、そのミシンで作成したキルティングなどのソーイングアート作品を紹介。自社製品の可能性や楽しみを伝える役割を果たしています。
 また、自然風景写真はカレンダーとして最も人気の高いモチーフですが、それだけにたくさんの企業で作られており、その中でどう差別化し特徴を出せるかが問題です。某電気メーカーは「流れ」をコンセプトに川のシリーズを設定し、川の風景と動物を捉えた「川 と命」をテーマに写真選定。他社とは一味異なる統一感を持った構成に上がっていました。
 装飾品という形をとりながら、さり気なくお客様に長期にわたってメッセージを伝える・・・企業カレンダーにはそういう穏やかな訴求力があり、アート性と企業のアピールを如何にスマートに両立させるかがポイントです。

 他社製作のカレンダーにスペースを割きましたが、最後に弊社の入賞カレンダーもご紹介いたします。日本商工会議所会頭賞及び金賞を受賞した清水建設(株)は、グラフィックデザイナー・上條喬久氏に依頼して制作を続けている、WINDSCAPE MINDSCAPEシリーズ。絵柄は一貫して建設をイメージした窓から見る心象風景を表現。今回は平面分割でできたシンプルな形を質感ある色彩で描いたアート作品です。紙製のリングを使用したスケッチブック風のスタイルです。

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清水建設株式会社

 
 銀賞に輝いた(株)資生堂の2017資生堂ビルカレンダーは、グラフィックデザイナー・仲條正義氏のタイポグラフィカレンダーで、仲條氏のオリジナル制作のタイプフェイスで構成。B1サイズ・1枚タイプのカレンダーで、好みで選べるように表裏異なる色で作られています。暦配列の既成概念を崩し、それを判読する楽しさがあり、数字だけでデザインされた洒落たインテリアポスターとして飾れます。資生堂の先鋭的な企業文化をイメージさせます。

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株式会社 資生堂


 展示会場で、小さな男の子と彼を抱っこしたお父さんがカレンダーを1枚1枚めくりながら歓声を上げていました。見ていたのは筆者が担当した(公財)東日本鉄道文化財団の鉄道博物館カレンダー(奨励賞受賞)。同館所蔵の歴史を刻む数々の列車の模型を撮影して構成し、各写真に列車のもつ特色を暗示する落書きのような線画イラストを愛らしく絡めています。こうして感嘆を持って見てもらえるんだと、心が温まりうれしくなりました。

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公益財団法人東日本鉄道文化財団(鉄道博物館)

February 3, 2017

【新作のご紹介】彩美版® 前田青邨《 桃花(とうか) 》


――― 特別許可の原画撮りおろしによる制作。
日本美術院同人・今井珠泉画伯による監修のもと鮮やかに再現 ―――



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この度当社は、文化勲章受章日本画家・前田青邨による「桃花(とうか)」を彩美版®にて発売いたしました。(限定300部)


1961年に制作された本作《桃花》は、東京・名古屋・京都・大阪・金沢の美術倶楽部が主催した「五都展」への出品作、
金地に絢爛に咲き誇る紅白の桃の花が美しく、力強さあふれる重量感と上品なたたずまいを兼ね備えた大変にぎやかな作品です。

青邨画伯といえば、代表作《洞窟の頼朝》(重要文化財)など武者絵をイメージされる方も多いと思いますが、本作は画伯の特徴的な垂らし込みの表現を余すところなく堪能できる傑作です。
この度は特別な許可のもと原画を撮りおろし、制作が実現いたしました。


本作の監修者、青邨画伯の愛弟子でいらっしゃる今井珠泉画伯によりますと、
『前田先生の垂らし込みは琳派の垂らし込みをさらに突き進めた、宗達、光琳、の垂らし込みとは違う、「質を描き分ける」垂らし込み』
(特別付録・「今井珠泉先生が語る「桃花」の美しさの秘密とは」より一部抜粋)
だといいます。

垂らし込みの技法で枝、布、花瓶、花それぞれの質感を、これだけ描き分けているというのは驚きだ、とのことです。
このように《桃花》は、計算し尽され巧みに用いられた「垂らし込み」の表現を随所にみることができる稀有な作品です。


また解説を執筆された平塚市美術館館長・草薙奈津子氏は、
『この絵は桃を描いたもの。桃と言うとピンクを思い出しますが、これは紅白の桃花。しかも赤い桃が白い桃より多いので、強い印象を受けます。でもそれは花のせいばかりではないようです。
青邨独特の枝ぶりもそうですが、赤絵の花瓶、下に敷かれた絞り模様のクロス、共に中国のものでしょう。皆、花の強さを強調するのに格好の材なのです。画家はこの画面を生み出すために、ただ技術的なことだけでなく、そんなことにも心を配ったのです。そうやって堅牢な作品が生み出されてきたのです。』
(付録・解説書より一部抜粋)
と語ります。


前田青邨画伯の感性と技術が生み出した作品の凄みを、ぜひお手元でお楽しみください。


彩美版®「桃花」には、多彩な活躍をされる平塚市美術館館長・草薙奈津子氏執筆による解説書と、より本作の魅力についてお楽しみいただけるインタビュー冊子、特別付録「今井珠泉先生が語る「桃花」の美しさの秘密とは」が付属されています。



前田 青邨(まえだ せいそん 1885~1977)
1885年、岐阜県中津川市に誕生。1901年に上京、尾崎紅葉の紹介で日本画家・梶田半古に学ぶ。1914年、日本美術院同人に推挙。1920年、延暦寺より伝教大師絵伝「根本中堂落慶供養図」を委嘱される。1930年、「洞窟の頼朝」で第一回朝日賞受賞。1951年に東京藝術大学教授に就任、1955年に文化勲章を受章。1961年、「桃花」を制作。活躍は幅広く、法隆寺金堂壁画再現事業の総監修や高松塚古墳壁画模写の総監督も務めた。1974年、ローマ教皇庁の依頼で「細川ガラシャ夫人像」を完成、バチカン美術館に納める。



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【仕様体裁】

本体価格 200,000円+税
技法:彩美版®、シルクスクリーン手刷り、本金泥使用
限定:300部(額装)
画寸:天地53.0cm×左右41.2cm
額寸:天地77.8cm×左右66.0cm
用紙:版画用紙
額縁:国産特注木製額(アルダー天然無垢材ワックス仕上げ)、金モール織りマット、アクリル付き
重量:約4.85kg
証明:著作権者承認印、限定番号入証紙を貼付
発行:共同印刷株式会社

※彩美版は共同印刷株式会社の登録商標です。
※当社が独自に開発したセキュリティシールを証明書に貼付しています。スマートフォンなどで、作品が共同印刷(KP)の発行する真正な複製画であることが判定できます。


詳細につきましては、当社ホームページのお問合せより、またはお電話、FAXにてお問合せください。

お問合せ:
共同印刷株式会社 アート&カルチャー部 
TEL 03-3817-2290 FAX 03-3817-2288

January 27, 2017

仙人の住んだところ、豊島区千早周辺の隠れ家的なスポットを訪ねて。

  東京は豊島区、要町駅からほどなくの千早という地区の住宅街に、熊谷守一の美術館がある。静かな街並を歩いて行くと、突然コンクリート打ちっ放し3階建ての美術館が現れる。正面の大きな壁面には、輪郭を彫り込んで描いたアリ達がおり、その脇に「クマガイモリカズ」とクギで書いたような文字が彫ってある。何とも温かで、この美術館の画家を想わせる素敵な壁画が訪れる人を出迎えてくれる。館内の展示スペースはあまり広くはないが、落ち着いていて、ゆっくりと作品が鑑賞できる。1階は油絵を中心に、掛軸、ブロンズなどが並び、画家が生前使用していた品々も展示されている。2階は墨絵や書を中心に展示。現在3階では熊谷守一の版画が展示されている(〜2017年2月12日まで)。
  熊谷守一は1880年(明治13年)に岐阜県で生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学)西洋画科選科に入学する。二科会などで活動をし、1932年に今の美術館のある、この千早の地に移り住んだ。晩年、文化勲章の受賞が内定をしたが、これを辞退してしまう。その理由の一つは「これ以上、人が来ては困る」という事であった。「画壇の仙人」とも呼ばれた画家は、草木が生い茂り虫や鳥たちが訪れるお気に入りの自宅で、家族と過ごし、傑作を生み出して行く。そしてこの美術館は熊谷守一が住んでいた自宅の跡地に建てられた。
  建物の1階には喫茶室がある。ここには守一のご令嬢で画家の榧(かや)さんの作品も展示してある。以前、北アルプスの燕岳に登って燕山荘に泊まった時に、榧さんの作品が飾られているのを見た記憶が蘇って来た。


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来訪者を迎えてくれる熊谷守一美術館の壁画。


  さて仙境を後にして、池袋方面へ向かう。立教大学の手前の住宅街に、これまたひっそりとチョコレートで有名な「テオブロマ ビス」がある。こちらのショップには店内にカフェスペースがあり、また外のテラスでもランチをいただく事ができる。陽気が良ければテラスでいただくランチのパニーニはとても美味しいが、大寒のころではちょっと厳しい。人気商品、小箱シリーズのチョコレート「ジャリ」を買って帰る。「ジャリ」は、外側のコーティングがカリカリッとした食感で、まさに砂利道を歩く感触。代々木公園を散歩していたときに見つけた砂利を再現して作ったというから、うなずける。


January 20, 2017

ぶらり鎌倉材木座海岸へ


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


 皆様は鎌倉観光といえば何を思い浮かべるでしょうか?「大仏」「鶴岡八幡宮」「建長寺」「小町通り」など、沢山の見所があります。どこも比較的足を運びやすく、いつ何時に訪れても、多くの人で賑わっています。そのような中、先日私は「材木座海岸」周辺を散策してきました。位置は鎌倉の南東部、ヨットハーバーで有名な逗子マリーナがすぐ隣にあります。初めての鎌倉観光でこの場所を選択する人は少ないかもしれません。鎌倉駅からは少し遠く、アクセスがしにくい場所です。バスも出ていますが、皆様ご存知の通り鎌倉はシーズンによっては大渋滞しますので、鎌倉の街並みを見ながらブラリ散歩の旅をお薦めします。


 材木座海岸という地名は、鎌倉時代に材木取引の場として設置された座があったことに由来しています。また、この海岸では鎌倉時代、宋との貿易港で日本最古の築港でもある和賀江島(わかえじま)があった所で、今でも鎌倉時代の陶片などが発見されたりします。西側にある滑川を挟んでその先の由比ヶ浜まで続く海岸は、昨年大ヒットした映画「シン・ゴジラ」でまさにゴジラが上陸した場所として話題となりました。


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 こちらの海岸から一本内側に入ると「光明寺」があります。光明寺は寛元元年(西暦1243年)に、時の執権北条経時の帰依を受けた浄土宋代三代祖然阿良忠上人により創建されました。現在の本堂は元禄11年(1698年)建立で、国の重要文化財に指定されています。また、ひときわ大きな山門は鎌倉に現存する最大の山門で、見所のひとつとなっています。


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 海岸の国道134号線沿いには、昨年7月に複合施設「材木座テラス」がオープンしました。湘南といえば夏ですが、「年間を通してビーチライフを1日中楽しむ」というのがコンセプトのようです。お洒落なカフェや雑貨店などが入っており、ゆっくり過ごすことができます。私は3階にあるレストランに立ち寄ってみました。お店のスペースの半分近くがテラス席という非常に開放的な造りで、目の前に広がる海を存分に感じることができました。


 材木座エリアは観光客も比較的少なく、非常に静かな場所となっています。のんびり散歩がてら訪れてみてはいかがでしょうか。


January 13, 2017

【新作版画】森田りえ子《お雛あそび》のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。


 寒中お見舞いを申し上げます。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 小寒に入り、いっそうの寒さが加わり「寒の入り」を迎えました。これから冬本番となりますが、どうかお体をご自愛くださいませ。


 さてこの度当社は、日本画家・森田りえ子画伯によるオリジナル版画「お雛あそび」を発売いたしました。エディションは限定100部です。
 ひな祭りは、3月3日の「上巳(じょうし)の節句」「桃の節句」とも呼ばれ、女児のある家で、その幸福と成長を祈って行われる行事です。この作品は本金箔地に凛としたお顔の男雛と女雛が立ち、かたわらに子供を守る狗筥(いぬばこ)が置かれています。そして満開の桃の花がふりそそぎ、雅で和やかな世界が伺えます。


 華やかさと穏やかさに溢れたこの版画は、森田画伯の貴重な作品(オリジナル版画)の一つに数えられるもので京都の老舗版画工房で制作されました。版式はシルクスクリーン(セリグラフ)です。鳥の子和紙に本金箔を手張りし、47版47色を重ねて、鮮やかで微細な色彩表現を実現しました。杉の木目の美しさを引き立たせた浮造り(うづくり)仕上げと近江織金襴の筋回しを施し、作品の世界を華やかに演出しております。


 作品一枚一枚に画伯直筆のサインが入り印章が捺印されます。オリジナル版画として特別に制作された希少性の高い逸品を、是非お手元でお楽しみください。






オリジナル版画
森田りえ子 《お雛あそび 》
限定 100部制作
価格 320,000円+税


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<仕様体裁>
■版画
作者 森田りえ子
題名 お雛あそび
制作 2016年
画寸 425×294㎜
限定 100部
版式 シルクスクリーン
版数 47版47色
用紙 鳥の子和紙、手張り本金箔
署名 作者直筆サイン、印章
工房 K.T.M.printers


■装丁
額縁 杉材浮造り仕上、近江織金襴筋廻し、アクリル付き
額寸 626×480㎜
重量 約2.6㎏


■解説
草薙奈津子(平塚市美術館館長)


■発行
共同印刷株式会社


・本金箔は手張りのため一枚一枚の風合いが異なり、仕上がりは均一ではありません。
・当社が独自に開発したセキュリティーシールを奥付に貼付しています。スマートフォンなどで、作品が当社(KP)が発行する真正な作品であることを判定できます。

January 5, 2017

酉年によせて-バードウォッチングの勧め


 皆様、明けましておめでとうございます。
 本年もよろしく本ブログをご愛顧のほどお願い申し上げますとともに、今年一年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
 さて今年は酉年ということで、鳥に因んだ小話をさせていただきます。


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隅田川のユリカモメ


 以前あることを調べるため、明治16年に作成された小石川の地図を眺めておりましたら、今当社が建つ場所に大きな池のようなものがあることに気づきました。当社が初めて小石川に社屋を構えたのは明治31年(1898)ですから、それ以前のことです。
 特徴のあるその形を以前どこかで見たことがあるように思い暫し考えたところ、千葉県市川市新浜(にいはま)にある宮内庁の御猟場(新浜鴨場)の元溜(もとだまり)と呼ばれる池に酷似していることを思い出しました。すなわち、当社の敷地内にかつて鴨の猟場があったのです。


 江戸時代以来、明治期までの小石川地区は、ほぼ現在の千川通りにあたる場所を流れていた谷端川(やばたがわ/別名「礫川」)を挟んで両側に水田が広がっていました。大型の渡鳥が飛来し越冬する場所であったことから、将軍家の鴨場や鶴場が設けられたとのことです。今では想像できないほど自然豊かな田園地帯だったのです。その面影は小石川植物園に残っています。


 鶴はさておき、鴨は今でも毎年東京に渡ってきます。例えば当社の近くで言えば上野の不忍池は渡り鳥の観察地(探鳥地)として知られています。渡ってくる鴨の種類は年によりその数の割合が異なりますが、近年はアニメの人気キャラクター、ダフィー・ダッグに良く似たキンクロハジロが優勢のようです。その姿ですが、比較的小柄で腹部を除くほぼ全体が黒い羽で覆われており、後頭部には冠羽と呼ばれる飾りのような羽があります。眼の色は黒い羽によく映える黄色。むくむくとして愛らしいその姿は一度観たら忘れられません。


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不忍池のキンクロハジロ


 酉年の今年、バードウォッチングを体験してみてはいかがでしょうか。道具はひとまず倍率7倍前後の双眼鏡と鳥類図鑑があれば十分です。初心者の方には比較的観察が容易な、海辺の鳥たち(鴨や鴫、千鳥、カモメなど)がお勧めです。鳥を観察するところ、探鳥地はもちろんお近くの鳥が観られる場所でよいのですが、東京湾周辺であれば、施設が充実している大田区の東京都立東京港野鳥公園や千葉県習志野市の谷津干潟自然観察センターがお勧めです。どちらも専門のレンジャーが常駐しています。また、高倍率の望遠鏡(フィールドスコープ)が設置されていますので、手ぶらで楽しむことも可能です。


 あなたもキュートな鳥たちの魅力にはまってみませんか。


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野島崎灯台上空を舞うトビ




【東京都立東京港野鳥公園】
東京都大田区東海3-1
電話:03-3799-5031
アクセス:東京モノレール「流通センター」より徒歩15分
入園料:中学生150円、高校生以上370円、65歳以上180円、小学生以下無料
開園時間:2月~10月 9:00~17:00(入園は16:30まで)
     11月~1月 9:00~16:30(入園は16:00まで)
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日または都民の日の場合、翌火曜日休園)
    年末年始


【谷津干潟自然観察センター】
※谷津干潟はラムサール条約登録湿地です。
千葉県習志野市秋津5-1-1
電話:047-454-8416
アクセス:JR京葉線「南船橋駅」または「新習志野駅」より徒歩20分
入館料:高校生以上大人300円、65歳以上150円、中学生以下無料
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は次の平日)、年末年始


※詳細は各施設へお問い合わせください。




【1月10日追記】
1月8日(日)に谷津干潟でバードウォッチングをしてきました。最初は曇り、途中から強い雨となり視界は終始あまり良くありませんでしたが、1時間半ほどの滞在で以下10種の鳥を観ることができました。


ハマシギ、セイタカシギ、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ
オオバン、ユリカモメ、ハクセキレイ、ムクドリ、メジロ
※使用機材:双眼鏡(8×30※)※倍率×対物レンズの口径






-画家の夢見る世界への誘い-
彩美版® 上村淳之 《四季花鳥図》
販売価格 160,000円+税


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※背景の銀色をシルクスクリーンで再現しています。


【仕様体裁】
原画 近畿日本鉄道株式会社所蔵 松伯美術館委託
監修 上村淳之、松伯美術館
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
限定 300部 
画寸 天地25.2cm×左右65cm
額寸 天地41.4cm×左右81cm
重量 約2.3kg
用紙 版画用紙
額縁 特製木製銀泥額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
証明 監修者の承認印押印証紙を額裏に貼付
発行 共同印刷株式会社



※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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