December 13, 2017

冬のきらめき

そろそろ暮れのあわただしい空気に包まれ、推移する時間のスピードを実感する季節となりました。
この時期に欠かせない風物はイルミネーション。全国各地で競うように光の装飾が施されています。煌びやかさに誘われるように、近隣にあるさいたま新都心の、けやきひろばに行ってきました。
行きつけの映画館近くでもあり、毎年目にする光景ですが、夜浮かび上がる光のシルエットはやはり目を奪われ、気持ちを動かします。青やゴールドで包まれたケヤキが林立し、テントのお店が立ち並ぶクリスマスマーケットが開催されています。寒さの中に心地よい温もりを感じる場です。
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芝生広場と呼ばれるエリアには、中心にパイプオルガンのようなオブジェが輝き、その周囲の装飾とともに音楽に合わせた光の演出が行わます。幻想的でロマンティックな情景を前にしばし佇んでいました。
訪れた時間がマーケット終了近くだったため、賑わいがあまりなく、美しさの中にもの悲しさがにじむ印象でした。
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翌日、もう1つ光のきらめきを目にしました。
都内の病院の窓から見えた東京タワーです。夕暮れとともにライトが付き、暗くなっていくとともに、塔を包む光が強く感じられてきます。曜日・時間により、演出された華やかなライトアップも行われるようですが、この日は通常の輝きでした。冬の薄暮の中に浮かぶそのシルエットは、美しくもやはり強い光のきらめきとは異なる、微かな憂いを感じたのは私だけでしょうか。
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■さいたま新都心 けやきひろばイルミネーション2017-18
 さいたま市中央区新都心10番地 けやきひろば   TEL 048-822-2712
 点灯期間:2017年10月21日(土)~2018年2月14日(水)
 点灯時間:17:00~24:00

December 4, 2017

新商品のご案内 小倉遊亀「舞妓」

文化勲章受章
小倉遊亀「舞妓」
〜初春を迎えるにあたり、至高の逸品をご紹介します。〜

いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただきまして、まことにありがとうございます。
この度は文化勲章受章画家、小倉遊亀の新商品「舞妓」をご案内いたします。

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<日本を代表する画家、小倉遊亀>
 小倉遊亀は1895年に滋賀県大津市に生まれました。奈良女高等師範学校を総代で卒業。画家になる決心をしてから、安田靫彦に師事します。女性として初めて日本美術院同人に推挙されました。山岡鉄舟門下の禅徒・小倉鉄樹と結婚して北鎌倉に居を構え、精力的に創作に励みます。日本芸術会員に任命、日本美術院理事に就任、女性として三人目の文化勲章受章など輝かしい実績をあげました。正しく日本を代表する画家なのです。

<来君との出会い>
 本商品に描かれている舞妓の名前は来君(らいきみ)といいます。小倉遊亀が来君と出会ったのは先斗町の舞妓たちを集めてモデル選びをした時でした。一番後ろにいて、目立たない来君に心惹かれた小倉遊亀はモデルに決めました。そして来君のモデルとして覚悟を決めて任せ切った真剣な表情に、仏を見たと語っています。

<宇宙を飲み込む空間、彩美版のこだわり>
 小倉遊亀がこだわり抜いた背景にも目を向けてください。プラチナ泊を全面に押した後で、胡粉を約200回おもかけて白い背景を作り上げたました。さらに画面に向かって左上の色が変わっているところは、重ねた胡粉をわざわざ拭き取ってプラチナ泊の地を改めて見せています。このこだわりの背景を本商品は、職人が刷るシルクスクリーンに高価なプラチナ泥を用い、原画の持つ絵の鼓動までも表現しています。

<国産の高級額が作品を引き立てます>
 本商品は熟練した職人が丁寧に仕上げた国産のハンドメイド額を採用しています。特注木製額には高級感あふれる金泥を使用し、さらに金襴のマットが優雅に煌めいています。

<正式許諾品の証>
 本商品には正式に著作権者が監修をした証として、額の裏面に著作家者の承認印と限定番号が入れられた奥付シールが貼られています。さらに、表の画面左下にも、承認印と手書きの限定番号が入っています。しかもお作りできるのは200部の限定数だけになります。
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<仕様体裁>
限定:200部
技法:彩美版(R)シルクスクリーン手刷り
プラチナ泥一部使用
用紙:版画用紙
額縁:特注木製額金泥仕上げ、アクリル付き、金箔面金付き布マット
画面寸法:天地45.5×左右38.3cm
額寸法:天地65.5×左右58.3cm
重量:約3.0kg


監修:有限会社鉄樹
解説:國賀由美子(大谷大学教授)
原画所蔵:京都国立近代美術館
証明:著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
発行:共同印刷株式会社
本体価格:180,000円(消費税は別途申し受けます)


寸法・重量等は、天然材料を使用し、一点ずつ手作りのため、表記と異なる場合がございます。
作品の色彩等、画面と現品で多少異なる場合がありますが、ご了承願います。
彩美版(R)は共同印刷株式会社の登録商標です。

November 28, 2017

「BRAVE & BOLD(ブレイブ&ボールド)VOL.3」            作家直筆サイン入り複製画、予約受付中!!



いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

先週、11月25日、26日の二日間にわたり共同印刷 播磨坂スタジオにおいて、当グループ会社のデジタルカタパルトが運営協力を行った「BRAVE & BOLD VOL.3」が開催されました。



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「BRAVE & BOLD」は、米国のコミック・コンベンションのように、コミック作家がファンの前でライブパフォーマンスを披露し、コミックアートが生み出すエネルギーと魅力を体感するイベントです。まんがの国・日本に世界のアーティストが集結して、卓越した感性と技術を体感する次世代のコミックイベントとして誕生しました。
イベントでは、アーティストの作品販売のほか、来場者のリクエストに応じてその場でキャラクターを描くコミッションスケッチや、トップアーティストによるライブドローイングなどが行われました。また、このライブドローイングの様子は、当社の新動画メディアサービス「GetWel」で生中継されました。

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当アート&カルチャー部は「高級複製画 制作・販売プロジェクト」を銘打ち、イベント会場にブースを設け参加しました。「ゴジラvsビオランテ(1989年公開)」のビオランテのキャラクターデザインなどを担当された「西川伸司 先生」と、デジタルアートバトル「LIMITS」初代世界王者の「アオガチョウ 先生」にご協力を頂き、両先生の複製画予約注文を行いました。


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西川伸司「ゴジラVSビオランテ 2013」 額寸法 683×522㎜ 75,600円(税込価格)
TM&ⒸTOHO CO.,LTD



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西川伸司「Silhouette-G」 額寸法 546×424㎜  54,000円(税込価格)
TM&ⒸTOHO CO.,LTD



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アオガチョウ「Endless Story 不思議の国のアリス」 額寸法 684×527㎜  54,000円(税込価格)
ⒸAogachou



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アオガチョウ「夢想 狼少年」額寸法 546×424㎜ 32,400円(税込価格)
ⒸAogachou



作品の選定から、色調や額装を両先生に監修してもらい、正式許諾の証として直筆サイン入りです。100部限定となっており、希少性の高い逸品となっております。只今、絶賛予約受付中です!ご予約・ご注文に関する詳細は、下記のQRコードよりご覧ください。


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November 24, 2017

澄み渡る冬の気配

 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 朝晩の寒さが一層厳しくなってまいりました。秋の気配から冬へと季節が変わった様子で急な寒暖差で体調を崩し気味ですが、皆様どうかお体をご自愛くださいませ。

 11月は二十四節気で言われる「小雪(しょうせつ)」というのがあります。「小雪」とは色づいた紅葉が落ち始め、山々で雪が降り始める事を言うそうです。そして、雪の量がそれほど多くない意味で「小雪」と言うそうです。いわゆる冬の入り口にあたります。


 「小雪」を迎えていますが、寒さの合間に時折ポカポカと暖かく穏やかな日もあり、ほんの少しほっとします。この穏やかな日の事を「小春日和」などと言います。「小春」は旧暦の10月の事で、新暦で言うと11月~12月にあたりるそうです。「小春日和」という言葉は、晩秋から冬にかけて使われる言葉だそうで秋から冬に移行するこの時期、春のような陽気が続く様子を「小春」と呼ぶようになったそうです。小春の「小」とは「似ていて規模が小さい」という意味だそうで、実際の春という意味ではなく「春のような」という意味合いを持ちます。言葉に込めたさりげない意味合いが奥深さを感じさせられます。


 今回は、近代きってのモダンな作風で知られる日本画家であり文化勲章受章作家、中村岳陵画伯が描いた「初冬」のご紹介をいたします。


 なんとも爽やかな冬の景色。流暢な筆致で描かれたサネカズラ(実葛)に、冬の訪れを告げる渡り鳥・ジョウビタキが留まっています。たっぷりとした余白は、どこか冬の始まりを感じさせ、鮮やかな色使いで描かれたジョウビタキとサネカズラの葉の緑、赤い実が美しく調和しています。
 
 初冬の季節の雰囲気を大切に、画中の鮮やかな色使いを引き立てるよう作品に合わせて、額装いたしました。



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中村岳陵 《初冬》 
販売価格 軸装・額装(各)120,000円+税


【中村岳陵 略歴】
1890年 静岡県下田市に生まれる。
     12歳で上京し、琳派や土佐派など伝統的な大和絵を学ぶ。
1908年 東京美術学校日本画撰科に入学し、1912年に主席で卒業。この頃からゴッホや
     ゴーギャン、ルソーなどポスト印象派の画風を好んで摂り入れるようになる。
1915年 再興第二回院展に《薄暮》を出品し注目を集め、日本美術院同人に推挙される。
1930年 福田平八郎、山口蓬春らと六潮会(ろくちょうかい)を結成。日本画・洋画・評論など
     異なる立場の有志が集い、精力的に展覧会や研究会を開催した。
1947年 帝国藝術院(現日本藝術院)会員に任命される。
1950年 日本芸術院を脱退。以降、日展を主な活躍の場に、人物画や写実的な風景画、
     モダンな花鳥画など幅広い画風の作品を残した。
1954年 日展常任理事となる。
1962年 文化勲章受章を受章。文化功労者に叙せられる。
1969年 逝去。享年79。


<仕様体裁>
技法 彩美版®
監修 有限会社 天心
原画 華鴒大塚美術館(岡山)
用紙 和紙
証明 著作権者の承認印・通し番号入り証書および美術館の承認印入りシールを貼付
解説 三宅利枝(華鴒大塚美術館 学芸員)

■額装仕様
画寸 天地37.0×左右45.5cm
額寸 天地54.0×左右62.5cm
重量 約3.1kg
額縁 高級木製和額(サクラ材、アクリル付)
 黄袋、吊金具、紐付き

※寸法・重量は天然材料を使用しており手作りのため、表記と若干異なる場合があります
※この作品は軸装もございます。
※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。

November 17, 2017

秋の散歩。~都会の真ん中「新宿御苑」より~


 秋も深まり、太陽の日差しがないと一段と寒さが増す今日この頃、年末へ向けて日々の生活も身が引き締まる思いです。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 さて、私はこの週末、都会のオアシス「新宿御苑」を散策してきました。「新宿御苑」が誕生したのは明治39年(1906年)のこと。当初は皇室の庭園として造られましたが、戦後の環境庁発足に伴い一般開放されました。日本初の近代西洋式庭園として以後の庭園造成に大きな影響を与えた、由緒ある国立公園です。

 当日はあいにくの空模様で小雨がぱらついていましたが、ツワブキの花壇から漂う香りが私を出迎えてくれました。

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香るツワブキの花


 続きまして、日本庭園エリア内の写真です。奥に見える旧御涼亭(きゅうごりょうてい)。水辺からの景色や涼しさ、休憩を楽しむことのできるこの建物は、昭和天皇が皇太子であられたときに、そのご成婚記念に台湾在中の日本人が贈ったものだそうで、中国建築の風貌が不思議と落ち着いた印象を与えてくれます。

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日本庭園


 予想どおり葉は色づき、赤や黄色の美しい紅葉の壮大なこと。広大な敷地と、迫力の樹齢に圧倒されることもしばしば。

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赤い紅葉


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大きなイチョウの木


 フランス式整形庭園というエリアでは、左右対称のプラタナス並木が色づき、ベンチの佇まいなど、まるで外国を散歩しているかのような景色が広がっていました。「新宿御苑」という大きな公園の中で、様々な表情を見せてくれます。

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フランス式整形庭園


 その傍には「バラ花壇」がありました。バラは一年中咲いているとは聞いたことがありますが、様々な品種が豊富に彩り、元気に花を咲かせていました。

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ピンクのバラ


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黄色いバラ


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白いバラ


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濃赤のバラ


 そろそろ歩き疲れて帰路につこうと思ったら、遠くで何やら賑わっている人だかりが。近づいてみると、なんと桜の花が開花していました。ジュウガツザクラ=十月桜という名のとおり、この季節に開花する桜でした。道行く人々はほぼ全員、写真に収めていました。やはり日本人は桜が好きなんですね。

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ジュウガツザクラ


 以上のとおり、見どころ満載の「新宿御苑」。園内をあでやかに彩る紅葉はまだまだこれから美しくなりそうな気配ですし、冬にはまた新しい季節の花々が咲くそうです。
 都会の喧騒を離れずとも身近にある広大なこの公園を、皆さんもぜひ楽しんでみてください。




【新宿御苑】

開園時間 9:00~16:00(16:30閉園)
休 園 日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
特別開園期間(期間中無休)
     春:3月25日~4月24日
     秋:11月1日~15日
入 園 料 一般200円/小・中学生50円/幼児無料
アクセス他、その他詳細は公式HPをご参照ください。


November 10, 2017

浅井忠と明治美術学校


 朝晩めっきり冷え込むようになってまいりました。小石川後楽園の紅葉は例年11月中旬からが見ごろ、そろそろですね。
 さて今回は、今年没後110年を迎えた日本洋画の開拓者、浅井忠(1856~1907)と、かつて小石川にあり浅井が関わった明治美術学校について記します。

 浅井忠、幼名忠之丞は、1856年(安政3年)江戸木挽町の佐倉藩中屋敷に佐倉藩重臣伊織常明の長男として誕生しました。父の死によりわずか7歳にして家督を相続し、佐倉に移住します。

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佐倉城址には浅井忠の友人、正岡子規の句碑がありました。
「常盤木や冬されまさる城の跡」



 10年を佐倉で過ごした後再び上京し、1876年(明治9年)、20歳にして国沢新九郎の画塾彰技堂で初めて洋画を学びました。同年工部省により開校されたばかりの工部美術学校に入学し、バルビゾン派の流れを汲むイタリア人画家アントニオ・フォンタネージの指導を受けました。しかし敬愛するフォンタネージはわずか2年後の明治11年に辞任・帰国してしまい、後任の教授に不満を抱いた浅井や小山正太郎、松岡寿ら多くの学生は自主退学を選び、十一会を結成しました。その影響もあってか、工部大学校は5年後に閉鎖されます。

 その後1887年(明治20年)、文部省により東京美術学校(東京藝術大学の前身)が開校されますが、設置された学科は日本画、木彫、彫金のみで洋画は意図的に排除されました。反発した浅井ら洋画家は、1889年(明治22年)明治美術会を設立し独自に洋画の普及、発展を目指します。明治美術学校(当初は「明治美術会教場」)は同会が設けた洋画教育機関です。

 1890年(明治23年)頃は京橋区内にあり、翌1891年(明治24年)の春上野公園内の華族会館に事務所を構えた明治美術会ですが、財政難から同年本郷龍岡町に移転、更に翌1892年(明治25年)に小石川伝通院の裏手にあった「鼠色に塗られた木造の洋館」へ移ります。移転先の「小石川表町109番地(文京区小石川3丁目)」は、元陸軍省用地の荒地を切り開いて新たに道を通した場所で、現在「舞姫通り」と呼ばれている小路沿いの住宅街一帯にあたります。明治美術会事務所があった正確な位置は、残念ながら分かりませんでした。浅井は当時自宅のあった下谷根岸から、馬で通っていたそうです。(余談ですが、舞姫通りの北西側の端からさらに200メートルほど進むと当社裏門に至ります。)

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小石川伝通院界隈


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舞姫通り 通りの両端にバレエやダンスのスクールがあります。


 小石川移転2年後の1894年(明治27年)、明治美術会はアトリエ機能の強化などを目的に建物を改築し、これまでの教場を明治美術学校と改称しました。設計は東京駅設計者として広く知られる帝大教授の辰野金吾。辰野はまた明治美術学校の校長に就任します。浅井は風景画の主任を務めました。弟子の石井柏亭によると当時の小石川は「家がまだまばらで画になる材料があった」ので、「時には教場の近くで風景写生をする生徒達を浅井が批評したり」する姿が見られたそうです。近隣で生まれ育った小説家永井荷風は、少年時代にそうした浅井を目撃していたのでしょう。小石川について記した随筆のなかで浅井に触れています。

 その後の明治美術会ですが、1896年(明治29年)、黒田清輝、久米桂一郎、岩村透ら海外留学組を中心とするメンバーが退会し白馬会を創設、また同時期に東京美術学校に洋画科が新設され、黒田、久米が教授に就任しました。白馬会は「新派」あるいは「外光派」、明治美術会が「旧派」あるいは「脂(やに)派」と呼ばれる風潮となり、浅井ら明治美術会には逆風が吹きます。翌1897年(明治30年)明治美術学校は閉鎖され、その4年後明治美術会も解散しました。

 浅井は明治美術学校閉鎖後、下谷上根岸町の自宅(現在の鶯谷駅前、元三島神社附近)に家塾「根岸倶楽部」を置き、後身の指導育成にあたりました。1898年(明治31年)の東京美術学校騒動後、ようやく美術学校洋画科に白馬会以外の教授を置くこととなり、明治美術会に推されて浅井が教授に就任します。翌年、パリ万博の鑑査官としてまた文部省の命による留学のためフランスへ渡り1902年(明治35年)まで2年余り滞在します。バルビゾンにほど近いグレー村を気に入り、油絵のほか多くの水彩画を制作しました。
 東京の美術界に嫌気がさした浅井は、帰国後京都に転居し京都高等工芸学校教授に就任。翌1903年(明治36年)には聖護院洋画研究所、後の関西美術院を設立し、後身の育成に注力しました。巨匠、梅原龍三郎や安井曾太郎はここで直接浅井の指導を受けた生徒のひとりです。また向井潤吉は、浅井の没後ですが関西美術院で洋画の基礎を学びました。

 文豪夏目漱石と浅井は、共通の友人正岡子規の紹介で知り合ったと思われますが、浅井が漱石の処女小説『吾輩は猫である』の挿画を描くなど深い親交がありました。浅井が1907年(明治40年)に亡くなり、翌年明治美術会の後身たる太平洋画会の第6回展で回顧展が併催されると、漱石は小説『三四郎』のなかで「深見画伯」の遺作展に仮託し、この浅井の回顧展を描きました。亡き友に寄せた漱石の想いが伝わってきます。

 浅井忠は、51年の生涯を通し洋画を志す若者たちの育成に力を注ぎ、近代洋画壇の礎を築きました。また小石川の地が、彼の活動を支える一端を担いました。最後に、『三四郎』のなかから、浅井の作品について語った言葉をご紹介します。画家原口(黒田清輝がモデルと言われます)が美彌子と三四郎に語った言葉です。

 「深見さんの水彩は普通の水彩のつもりで見ちゃいけませんよ。どこまでも深見さんの水彩なんだから。実物を見る気にならないで、深見さんの気韻を見る気になっていると、なかなかおもしろいところが出てきます」




【参考】 明治美術会略史 (石井柏亭『浅井忠 画集及評伝』他をもとに編纂)


1889年 明治22年
2月下旬、本多錦吉郎、小山正太郎、柳源吉、浅井忠、松岡寿、松井昇、長沼守敬らの発意協議により明治美術会の仮規則草案作成される。
4月9日、相談会開催され山本芳翠、渡辺文三郎、佐々木三六ら賛同。当日出席できなかった曽山幸彦、川村清雄も賛同。
4月19日、第三回美術家親睦会(根岸「伊香保」にて)でより広い範囲に会則が示されるが依存なし。
5月、明治美術会創立される。会頭に渡辺洪基(帝大総長)就任。春秋2季に展覧会開催を定める。展覧会のための学術委員15名、事務委員20名を互選。浅井は双方に選ばれたが学術委員は辞退。第一回展の会場は上野不忍池畔にあった共同競馬会社の馬見所、会期は10月20日から29日に決定。(開会後11月3日まで延長、11月4日には明治天皇の皇后、昭憲皇太后が行啓)浅井は「馬蹄香」、「春畝」(東京国立博物館)、「山驛」の3点を出品。
12月、明治美術会第1回大会開催。


1890年 明治23年
この頃、京橋区内に事務所を構えていた。(明治23年4月付有志者親睦会案内書面、同年10月11日付月例会案内書面)
4~7月、第3回内国勧業博覧会を上野で開催。明治美術会は春季展を見合わせ内国勧業博覧会に出品を決定。浅井、小山、松井、川村らは出品せず。明治美術会から小山、松岡、長沼らが油画の審査官に加わる。
4月27日、明治美術会第2回大会開催され文学博士外山正一が講演し物議をかもす。
9月3日、華族会館が鹿鳴館に移転。跡地は学習院分校となる。
9月、渡辺会頭が特命全権公使に任ぜられ、田中不二麿が新たな会頭に就任。
11月、第二回明治美術会展覧会開催(上野公園旧華族会館)され、皇后(昭憲皇太后)、皇太后(公明天皇の女御、英照皇太后)、皇太子(大正天皇)行啓。浅井は「漁村」二図、「漁磯」、「収穫」(東京藝術大学蔵)の4点出品。


1891年 明治24年
明治美術会、4月より旧華族会館を永続的使用することとなる。旧華族会館に事務所を置き展覧会や月次会を行い7月から常設の陳列館を開く。
11月、地代による負債が嵩み、旧華族会館の事務所を閉鎖、本郷龍岡町へ移転。


1892年 明治25年
1月、明治美術会事務所に仮教場(絵画科、三学年)を開設。教授内容は、一学年~二学年前期は幾何画法と鉛筆、チョークによる臨画、二学年後期から三学年にかけては素描と着色の写生、透視画法(当時は「照鏡画法」と呼んだ)と解剖。彫刻科も計画されたが実現に至らず。絵画科教授は浅井のほか本多錦吉郎、加地為也、柳源吉、松井昇、松岡寿、平瀬作五郎(幾何学画法、透視画法)の計7名。
同月、明治美術会月次会開催され、本多が提議の「裸体画ノ絵画彫刻ハ本邦ノ風俗ニ害アリヤ否ヤ」を討議。浅井は時期尚早論を展開。
3~5月、第4回明治美術会展が芝公園弥生館にて開催される。浅井は水彩画1枚を出品するのみ。この頃浅井は、従兄弟の窪田洋平が計画した神田の「パノラマ」(「忠臣蔵」のジオラマと「富士」のパノラマ/明治23年暮れから製作開始し24年4月に開館、25年4月の神田大火で焼失)製作に時間を費やしていたため出品画が少ないとされる。浅井ら明治美術会の主だった画家が製作に従事した。
5月11日から6月30日まで第3回明治美術会展覧会開催。浅井は出品せず。また秋季展は開催されず。
6月、会事務所・教場を小石川表町109番地(伝通院裏の元陸軍省用地)にあった「鼠色」の木造洋館に移転。北畠大学建設用地となっていたところを建物ごと会が入手。浅井は根岸の自宅からよく馬で教場を訪れた。


1893年 明治26年
明治美術会、米国コロンブス世界博覧会への出品を取りやめる。
4月、第5回明治美術会展覧会開催(上野公園元博覧会5号館)。田中会頭が辞任し花房義質が就任。


1894年 明治27年
明治美術会事務所を改築(設計辰野金吾)。教場を明治美術学校と改称し、辰野金吾(建築家、帝大教授)を校長とする。(「辰野の設計によって北窓を改造したりしたのでそれは漸くアトリエらしいものになつた。廣い室の一つが人物寫生に充てられ、より小さいのが石膏寫生や臨模に充てられ、尚其外に事務室會議室もあつた。」石井柏亭『浅井忠 画集及評伝』より)浅井は風景の主任、松岡が人物の主任で、松井や本多はあまり実技指導を行わなかった。表町周辺はまだ家がまばらで画になる材料があり、教場の近くで浅井指導による風景写生が行われた。
夏、日清戦争勃発し浅井、時事新報の通信員の名目で従軍画家として戦地に赴く。
11月11日から末日まで第6回明治美術会展覧会開催される。浅井は出品せず。この年帰国した黒田清輝、「朝粧」を初めて出品。


1895年 明治28年
4~7月、京都で第4回内国勧業博覧会開催され黒田清輝「朝粧」を出品し物議をかもす。浅井は「旅順戦後の捜索」(東京国立博物館)を出品、二等妙技賞受賞。
10、11月明治美術会秋季展開催。浅井、「旅順戦後の捜索」、「樋口大尉小児を扶くる図」(油画)ほかに水彩画9点を出品。
浅井、明治29年頃まで教科書出版に注力。(金港堂『中学画手本』、吉川書店 中等教育『彩画初歩』、金港堂『新按小学画手本』など)


1896年 明治29年
6月、黒田清輝、久米桂一郎、岩村透ら明治美術会を退会し白馬会を創設。
東京美術学校に洋画科新設され黒田、久米講師となる。この頃から白馬会を新派、明治美術会を旧派と呼ぶ風潮興る。
明治美術会秋季展開催されず。
7月、浅井、元三島神社前の下谷上根岸町38番地に転居。


1897年 明治30年
4~5月明治美術会展覧会開催。浅井「漁婦」、「海上の春雨」、「房州根本村の景」2図、計4点出品。
明治美術学校閉鎖。浅井、自宅隣に家塾「根岸倶楽部(後の同友会研究所)」を置き後進を指導。


1898年 明治31年
3月、明治美術会創立10年記念展覧会開催。浅井「冬枯」を出品。
東京美術学校騒動の後、洋画科に白馬会以外の教授を置くことが議論され、明治美術会の推薦で浅井が教授となる。


1899年 明治32年
浅井、内閣よりパリ万博鑑査官に任命される。また文部省よりフランス留学を命ぜられる。


1900年 明治33年
2月、浅井、渡欧。(~1902年)


1901年 明治34年
11月、明治美術会解散。翌年、吉田博ら後身の太平洋画会結成。

November 1, 2017

東の「運慶」、西の「国宝」展を見る。


いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。

日ごとに寒さが身に染みる季節になってまいりました。つい先日には東京と近畿地方で木枯らし1号も発表されました。冬本番の時節到来です。皆さまも健康には十分お気をつけ下さい。

さて、上野の東京国立博物館ではこの秋注目の展覧会、興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」が開催されております。日本で最も名高い仏師・運慶の主要作品が一堂に会する史上最大の「運慶展」です。現在、運慶作と言われる仏像は全国各地に計31体が残るとされていますが、この展覧会ではその内のなんと22体が展示されております。

私は週末の夜に鑑賞しましたが、大盛況の噂に違わず、待ち時間はなかったものの館内は人で溢れかえっていて、皆さん実に熱心に鑑賞されておりました。

国宝の「大日如来坐像」(円城寺)、「八大童子立像(うち6体)」(金剛峯寺)、「毘沙門天立像」(願成就院)、「無著(むじゃく)菩薩立像」・「世親菩薩立像」(ともに興福寺)に、「毘沙門天立像」(浄楽寺)、「聖観音菩薩立像」(瀧山寺)など、壮観な展示内容はまさに見応え十分と言えるものです。

展示の解説パネルには仏像の玉眼(水晶を入れた目)の輝きや袈裟の襞の表現から、制作の時代背景まで鑑賞のポイントが簡潔に記されており、仏像ビギナーの私でも日本彫刻の真髄をたっぷりと堪能することが出来ました。


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【展覧会情報】
興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
会場 東京国立博物館平成館
会期 11月26日(日)まで ※月曜休館
時間 9:30~17:00 (金曜・土曜および11月2日は午後9時まで)




そして一方、西の京都国立博物館では京都国立博物館開館120周年記念として特別展覧会「国宝」が開催されております。本年は京博と国宝ともに120周年を迎える節目の年にあたり、昭和51年の「日本国宝展」以来の実に41年ぶりとなる貴重な展覧会です。

国宝に指定された美術工芸品885点のうち約200件もの国宝が京都の地に集められ、4期に分けて展示されます。

私も東京から勇んで駆け付けましたが、一堂に集められた貴重な展示物の数々に圧倒されました。丁度伺った時には雪舟の全6件の国宝が一室に展示されており、まさに二度とない機会を満喫いたしました。関西に在住であれば会期中何度も訪れたいと思わせる夢ような展覧会でした。



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【展覧会情報】
「京都国立博物館開館120周年記念 特別展覧会 国宝」
会場 京都国立博物館
会期 11月26日(日)まで ※月曜休館
時間 9:30~18:00 (金曜・土曜は午後8時まで)


深まる秋のこの季節、深遠なる伝統美の世界に旅してみてはいかがでしょうか。空前絶後の東西二大展覧会に、皆さまもぜひ足をお運び下さい。




October 27, 2017

【新作のご紹介】彩美版® 速水御舟「瓶梅図」

いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

秋涼爽快の候、木々の葉も鮮やかに色づいて参りました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
このたび当社より、日本画家・速水御舟「瓶梅図(へいばいず)」を彩美版®にて販売開始いたしました。

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東京浅草生まれ、40歳で生涯を終えた速水御舟は、14歳のころより松本楓湖の画塾に入門。
すでに23歳で、横山大観らに激賞を受け日本美術院同人に推挙されます。
いわゆる天才です。


写実すぎるゆえに波紋を呼んだ、御舟代表作《京の舞妓》ほどの超絶写美はないものの、
赤絵壺の模様にみられる緻密さと、らせん状に描かれた枝ぶりの隙のない構図に、
御舟らしい凄みを感じる力作です。

梅を描いた日本画は数ありますが、その計算された構図と配色のせいか、
他にない何とも言い難いすっとした独特の佇まいがあります。
写真ではお伝えしきれないのが残念なほどです。
まったく古さを感じさせないフレッシュさがありますので、現物で観ていただきたい作品です!

本作が描かれたのは1932年(昭和7年)。
当時の東京は関東大震災復興事業を通じ、モダン都市へと変貌を遂げていた時代でもありました。
伝統とモダンが融合した《瓶梅図》を、ぜひお手元でお楽しみください。
また、本作には日本画家、田渕俊夫先生のインタビューを収録した特別付録冊子がついております。


速水 御舟 はやみ ぎょしゅう (1894~1935)
1894年、東京浅草に誕生。1908年、松本楓湖の安雅堂画塾に入門。1914年、俵屋宗達の《源氏物語関屋澪標図》に感激し、雅号を「禾湖(かこ)」から「御舟」に改める。再興第1回院展に《近郊(紙すき場)》を出品し院友推挙。1917年、再興第6回院展に《洛外六題》出品、横山大観らの激賞を受け同人推挙。1920年頃より静物画に集中的に取り組み、再興第7回院展に超絶写実の《京の舞妓》を出品し波紋を呼ぶ。1925年、軽井沢での取材をもとに《炎舞》(重要文化財)を制作。1929年、《名樹散椿》(重要文化財)制作。1930年、イタリア政府主催・ローマ日本美術院の美術使節として渡欧。1932年《瓶梅図》制作。1935年、腸チフスに罹患し、40歳で逝去。


本体価格 185,000円(税別)
技法 :彩美版®シルクスクリーン手刷り(パール、銀、本金一部使用)
限定 :200部
額寸 :天地75.0cm×左右65.6cm×厚み3.1cm
監修 :速水夏彦

【お問合せ先】 
共同印刷株式会社
アート&カルチャー部
03-3817-2290 =お気軽にお問合せください=

October 20, 2017

ささやかな癒しの場所

暑さと寒さが競い合うような煮え切らない気候が続く中、久しぶりにカフェギャラリーを訪ねてみたくなり、かねてより気になっていた、さいたま市見沼にある古民家タイプのカフェに行ってみることにしました。


国道から一般道に入り、見沼の田んぼが連なる情景の中、あぜ道のように細い道を入っていくと車がいくつも止まっている行き止まりの場所に辿り着きました。café&gallery 温々(ぬくぬく)というお店です。建物は170年前の古い納屋を改築し、カフェとギャラリーのスペースに生まれ変わらせたもので、お店自体既に二十数年の歴史があるそうです。

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店内はちょうどお昼時ということもあり、食事と歓談を愉しむ人々で賑わっていました。豊かな雑木林に面した全面ガラス窓、古い造りを活かした梁がむき出しの天井、様々な陶器が置かれた棚、ガラス器や種々のお土産が置かれたスペースなど、こんな田んぼの中で?と思うほど、お洒落な印象の内装で、賑わいを見ても人気スポットであることを伺わせます。

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2週間ごとに展示替えするというギャラリースペースも土壁風の味わいがある、落ち着いた雰囲気です。この日は「しもゆきこ木版画展」が開催されていました。寺田寅彦の短文集「柿の種」をテーマにした作品ですが、しも先生はかつて「まんが日本昔ばなし」の作画をされ、その飄々とした温もりが木版画にも息づいています。ご本人も在廊し、毎年今頃にここで作品展を行っており、もう20年以上になるということでした。
私はカウンター席に座り、ヘルシーさが際立つ雑穀米善とコーヒー(まろやか)をいただきました。帰り際、この不思議な場の雰囲気をまた味わいたいと感じ、繰り返しいらっしゃるお客さんも多いのだろうと思いました。

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帰り道の途中に「市民の森・見沼グリーンセンター」という公園があるようで、何の予備知識もないまま、ちょっと立ち寄ってみました。駐車場は満車状態で意外な人気に戸惑いながら何とか駐めて、園内を散策しました。結構広いようで、全体を見て回ることはできませんでしたが、広々としたのどかな芝生広場、会議室や農産物直売所などのある本館等に特徴があるのだと思いつつ、温室らしき建物は改修中で廃墟状態、その近くのリス飼育舎もこじんまりしてトホホという印象でした。
しかし東へ歩いていくと「子リスのトトちゃん」の像が建つ「りすの家」という施設があり、どんなものかと、小さな子を連れた家族たちに混じって入ってみました。すると思いがけずこの空間に気持ちが惹き込まれました。

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中は大きなネットで囲われた野外のフィールドで、順路を歩いていきますが、リスたちが遊べるように木材や草花が配置され、所々に屋根付きの小さな餌場が置かれています。何匹ものリスたちは自由に生き生きと駆け回り、檻などで隔てられることなく目の前で眺めることができます。足元を横切ったりするので、踏んでしまわないか不安ですが。(触ることは禁じられています。)結構長い時間見て回り、帰路に就くことにしました。
「カフェギャラリー・温々」も和みの場所ではありましたが、間近に見るリスたちの仕草に、よりぬくぬくした癒しを感じてしまうのは予想外でした。


■café&gallery 温々(ぬくぬく)
 さいたま市見沼区丸ケ崎1856   TEL 048-686-3620
 営業時間10時30分~20時(満月の日~21時)
 満月の日は17:00より通常のメニューにないアルコールアラカルトあり。
 定休日 月曜(祝祭日の場合は翌日)
■市民の森・見沼グリーンセンター
 さいたま市北区見沼2-94   TEL 048-664-5915
 開門時間 市民の森:4月から9月 8時30分~18時  10月から3月 8時30分~17時
         りすの家:10時~16時
 定休日 市民の森 年末年始
       りすの家 月曜(祝祭日の場合は翌日) 

October 12, 2017

芸術の秋と、東山魁夷「行く秋」

いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

現在、千代田区北の丸公園にある東京国立近代美術館で所蔵作品展「MOMATコレクション」(~11月5日まで)が開催されています。この展覧会は同美術館の幅広い収蔵作品の魅力が一堂に集まり、とても見応えがあります。中でも見どころは、同館で多数所蔵している東山魁夷の作品17点を同時に展示している事です。人気の作家なので貸し出しが多く、まとめて展示される機会はなかなかないようです。風景画家として立つことを決意した「残照」、教科書などにも出てなじみ深い「道」など、素晴らしい作品が壁面を彩ります。秋の深まり行くこれからの季節、皇居の散策なども含め見に行かれてはいかがでしょうか。
さて秋と東山魁夷と言えば、当社にも素晴らしい作品がございます。東山魁夷 マスターピース コレクションTM「行く秋」です。画面全体、黄葉に彩られた輝くような秋の景色。東山魁夷はこの作品についてこう述べています。
「秋深い林の中を落葉を踏んで歩く。
楓の黄葉が地上に織り上げた金色のタペストリー。
行く秋は淋しいと誰が言ったのか。
私が見出したのは、荘重で華麗な自然の生命の燃焼である。」
魁夷の自然に対する気迫ある姿勢が感じ取れます。

残念ながら本作品は「MOMATコレクション」には展示されていませんので、当社の商品画像でお楽しみください。なお2018年1月2日からは、八王子にある東京富士美術館で「東京富士美術館開館35周年記念 東山魁夷展─長野県信濃美術館東山魁夷館所蔵品による」が開催されます。同展覧会では、現在改修中の長野県信濃美術館 東山魁夷館の所蔵作品が多数展示されます。是非この機会に足をお運びになってはいかがでしょうか。


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東山魁夷 マスターピース コレクションTM 「行く秋」
原画所蔵:長野県信濃美術館 東山魁夷館
監修:東山すみ
販売価格 500,000円+税
<仕様体裁>
技法:彩美版®プレミアム
限定部数:350部
額縁:特注銀泥プラチナカラー木製額・ハンドメイド浮き出し加工
画寸法:459×652mm
額寸法:636×832mm
重量:約5.3Kg
高精度プリントに高級アクリルガラスを貼合したモダンな仕様です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
共同印刷株式会社 アート&カルチャー部
お電話03-3817-2290(土日祝は除く平日10:00~17:00)

October 5, 2017

山奥の巨大要塞


いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

トロリーバスに揺られながら向かうと、山奥に突如現れる巨大な建造物に圧倒されました。日本最大級のダムであり、放水シーンで有名な「黒部ダム」は、まさにコンクリートの塊。その全容はさながら、要塞のようでした。

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黒部ダムは北アルプスの山間部に、昭和31年から建設が始まり、当時の金額で513億の巨費が投じられ、延べ1,000万人もの人手により、7年の歳月を経て完成しました。高さ186mは日本一を誇り、そのスケールの大きさと困難さから「世紀の大工事」と語り継がれています。中でも破砕帯との格闘は石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」に描かれた事でも有名です。そして今年は「破砕帯突破60周年」を迎え、現地では当時の工事について記念展示がされています。

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破砕帯とは、岩盤の中で岩が細かく砕け、その隙間に地下水を大量に含んだ地層をいいます。ダム建設のためにトンネル工事は不可避でした。そして、順調に工程が進む中この「破砕帯」にぶつかってしまったのです。破砕帯の長さは、約80メートル程しかありませんでしたが、次から次へと溢れ出てくる水の影響で、工事は困難を極めました。トンネル工事の最難関箇所と言われ、多数の死者がでました。しかし、この破砕帯を突破しなければダムは完成しません。現場作業員は、持てる知識と知恵・経験を結集し、7ヶ月の苦闘の末に突破したのです

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そして現在、観光地として賑わうことになった黒部ダムの最大の見所は、日本一を誇る高さからの「放水」でしょう。「ゴーッ」という水しぶきをあげながら、毎秒10トン以上の水が一気に放水されている様子は圧巻です。天気の良い日は、水しぶきで虹がかかることもあるそうです。


September 29, 2017

感謝の気持ちを忘れずに。。。

いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

台風一過で空気が秋の気配に変わり、少しづつ涼しさが深まってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。この様な陽気で体を冷やしたりして風邪をひいたりとしがちですが、どうかお体をご自愛くださいませ。

 
秋のお彼岸に入り入りました。お墓参りをしてご先祖様達の墓前に心静かに手を合わせると、なぜか心がやすらかになれます。お花やお線香、お供えと先祖を敬い、故人を偲ぶ気持ちは、とても大切なことだと思います。また、こういった場で家族間のコミュニケートをはかるのもとても良い機会なのではないでしょうか。普段なかなか都合がつかず足が遠のいてしまいがちですが、私も時間を見つけてお墓参りに行こうと思います。ご先祖様を敬い、家族に感謝して、あたたかい気持ちを大事にしていきたいものです。

 今回は、私のお気に入りの逸品をご紹介いたします。



版画 伊藤髟耳 《家族》
販売価格 150,000円+税


日本美術院同人の伊藤髟耳(ほうじ)先生にお願いして、再興第87回院展作品集の表紙画をもとに版画を制作していただきました。
ほんの短い、ささやかな言葉のやりとりの中のに芽生えるあたたかな気持ちを、身近にいる「家族」に感じ、手で創られる郷土土人形のぬくもりを、手の中で感じ取られたそうです。
ひとつひとつ先生御自身が丁寧に手彩色を入れて下さいました。
伊藤先生のお人柄を反映し、暖かく穏やかな気持ちにさせてくれるまさに「特別な」作品です。


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<仕様体裁>
技法 彩美版(R)、シルクスクリーン、画家自身による手彩色(岩絵具、金泥)
用紙 版画用紙
限定 100部(作者直筆サイン、落款印入り)
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
画寸 天地35.5×左右37cm
額寸 天地55.5×左右55.7cm
重量 約2.5kg




September 22, 2017

秋の気配が暮らしを彩ってまいりました


 爽涼の候、澄んだ青空に心洗われ、少しずつ早まる日暮れとともに虫の音が心地よい季節がやってまいりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 この季節の移ろいは、日増しに五感が優れてくるような気配すら感じます。

  【 視 覚 】
    【 触 覚 】
      【 嗅 覚 】
        【 味 覚 】
          【 聴 覚 】

...と文学的なことを言っておきながら、結局のところ私が気づく事と言えば、身近なスーパーの果物売場の盛り沢山さ、食欲をそそるとても色鮮やかなこと。

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 まさに、「天高く馬肥ゆる秋(空は澄み渡って晴れ、馬が食欲を増し、肥えてたくましくなる秋)」ですね。

 さて、果物は古代から豊穣のシンボルとして、また愛情のしるしとして美術のさまざまな場面で描かれてきました。静物画のモチーフとしても時代や国を超えて多くの作品に描かれており、身近なものとして親しまれてきました。

 19世紀末、セザンヌは「静物画のモチーフは果物がよい」として、リンゴを好んで描いたそうです。リンゴの形や重さといった「物質としての存在感」を表現するために、テーブルクロスや花瓶などを同じ画面上に置き、果物の瑞々しさと無機質な素材とを描き分けるなど絶妙なバランスを配し、その制作姿勢は後の画家たちへ大きな影響を与えました。

 また、印象派の画家たちは、果物を描くことで、キャンバスを通じて自然界の光を屋内に持ち込むといった願いを抱いていたとも言われています。

 そこはかとなく秋の気配が感じられる今日この頃、文学的・芸術的な思考を巡らせながらも、皆さまの日常にある秋色=ご近所にあるスーパーの果物売場を散策し、五感で楽しく味わって頂ければ幸いです。

September 15, 2017

ローカル線で行く芸術の里、中房総いちはらの旅


 「ローカル線」という言葉にノスタルジーを感じるのは私一人ではないでしょう。多くの人にとって鉄道は、忘れ得ぬさまざまな想い出の場面にその背景として登場することでしょう。想い出が一杯詰まった鉄路とローカル線はイメージのなかで重ね合わされそれが郷愁として意識されるのでしょうか。故郷のローカル線はある意味人生そのものと言えるかもしれませんね。
 地方のローカル線は合理化のため次々と廃線となっています。私が幼いころ通学に利用していた片田舎の鉄道もはるか以前に廃されバスに取って代わりました。私の故郷の鉄路は既に想い出の中にしか存在しません。もう一度乗ってみたいと願ってもそれは叶わないのです。しかし、今も営業を続けるローカル線の旅を通じ、疑似的ではありますがその思いを叶えることは可能でしょう。鉄道ファンならずともローカル線に魅力を感じるのは、こうしたことも理由のひとつかもしれません。夏も終わりの週末、私は東京近郊のローカル線・小湊鐵道を利用した小旅行に出かけてきました。写真を交えて簡単にご紹介させていただきます。


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小湊鐵道五井機関区


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五井駅


 房総半島すなわち千葉県のほぼ中央部に位置する市原市内を南北に貫く小湊鐵道は、関東地方のローカル線の代表格と言えるでしょう。近年、沿線の風景の美しさや鉄道施設のノスタルジックな魅力に加え首都圏から日帰り可能な利便性が評価されマスコミに取り上げられることが多くなり、知名度も高まっています。創業は1917年(大正6年)ですから、今年100年を迎えました。
 東京湾沿岸部にありJR内房線と接続する五井駅を起点とし、山間部の上総中野駅を終点とする片道39.1kmの路線は、養老川と併行するように走り、車窓から眺める美しく穏やかな田園風景はこの路線の魅力のひとつです。ことに養老渓谷の眺めはそのハイライトと言えるでしょう。小湊鐵道の魅力は多くの表現者の心を捉え、写真や映像作品に取り上げられています。また、鉄道をテーマにした作品で知られる日本美術院同人の小田野尚之画伯はしばしば小湊鐵道に取材した作品を発表されています。(第66回春の院展「定刻着」ほか)


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月崎駅


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緑のトンネル


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トロッコ列車


 同鉄道は全線単線で電化されておらず、基本的には気動車(ディーゼル車)の1両または2両編成で運行されています。このほか開業当時使用していた蒸気機関車そっくりに仕立てられたディーゼル機関車が牽引する観光むけの里山トロッコ列車が平日上り下り各2本、土日祝日各3本運行されています。開業は1925年(大正14年)、まず五井~里見間での運行が始まり、終点上総中野までの全線が開通したのは1928年(昭和3年)です。当初計画では、日蓮上人ゆかりの誕生寺がある外房の小湊まで延伸する予定でした。小湊鐵道という社名はその名残です。駅舎など多数の施設が開業当初からのもので、簡素な造りながら古典的美しさを保っています。2016年(平成28年)、文部科学省文化審議会により同社の22施設を国の登録有形文化財へ登録する答申がなされ、今年5月に正式登録となりました。


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登録有形文化財案内板


 小湊鐵道沿線の観光としては養老渓谷と養老温泉が代表的ですが、近年では市原市が主催する中房総国際芸術祭「いちはらアート×ミックス」という現代アートのイベントが注目されています。この芸術祭は、東京近郊のベッドタウンとして開発が進み人口が急増する市北部と対照的に緑豊かな自然や里山が残る一方深刻な過疎化が進行する市南部地域の活性化をアートの力を借りて行うべくスタートしました。いわゆるアートによる「まちおこし」のひとつと言えます。第1回は2014に開催され、今年第2回目が4月から5月にかけて開催されました。特徴のひとつは、小湊鐵道沿線に点在する、廃校となった小中学校校舎や里山そのものを作品展示会場とすることです。人々が暮らす地域ごとにアートの拠点を構え、文化活動によるまちづくりを行うことがうたわれています。また、個々の地域を貫く地域の交通の要である小湊鐵道の活用ももうひとつの重要なポイントとされています。地域間の移動手段であるばかりでなく、駅舎などの施設そのものも活用されています。
 上記の通り今年のイベントは5月に終了してしまいましたが、そこかしこにイベントの活気の名残のようなものが感じられました。途中下車した月崎駅には、木村崇人氏による作品「森ラジオ ステーション」がありました。小湊鐵道でかつて使われていた詰所小屋を植物で覆い、いささか陳腐な表現ではありますが、「となりのトトロ」などジブリアニメのワンシーンを彷彿とさせる幻想的空間を具現化しています。


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木村崇人「森ラジオ ステーション」


 月崎駅から五井方面に三駅戻った高滝駅の近くには、養老川をダムで堰き止めた高滝湖がありその湖畔に市原湖畔美術館が建っています。「いちはらアート×ミックス」開催にあわせて既存の展示施設「水と彫刻の丘」(1995年開館)をリノベーションし2013年再オープンしたもので、数少ない公立現代美術館のひとつとして知られます。「いちはらアート×ミックス」の主要会場のひとつであるほか、年5回ほどの企画展を開催しています。現在は音楽の一ジャンルで、若者に人気のラップ・ミュージックを取り上げた「ラップ・ミュージアム展」を開催中です。


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高滝湖と市原湖畔美術館


 ラップ・ミュージックをご存じない方のために、かいつまんでご説明しますと、一般的な音楽が音階による旋律(メロディ)を主体とするところ、韻を踏む歌詞とリズムが最も重要な構成要素であるところに特徴があります。リズムに合わせて詩を朗読するイメージと言えば少しはご理解いただけるかもしれませんね、私は正直なところラップそのものには余り興味がなく、予備知識も持ち合わせていなかったのですが、音楽をテーマにしたアート展示がいかなるものか興味がもたれて覗いてみました。拙い私の文章で読者の皆様にご理解いただけるかどうかわかりませんが、特殊な電子装置を用いたリズムと言葉の緊密な関連性をビジュアル的に表わす展示を通し、作者それぞれのユニークなリズムと韻を踏む歌詞の連鎖が、あたかも和歌のように、練り上げられた計算に基づく美しい精緻な構造を形作っていることを知りました。また日本のラップ・ミュージックが既に30年近い歴史を持つことにも驚きました。少なくともこの企画展は私にとって、多少なりともラップを理解する手掛かりとなり、少なからぬ興味を持つきっかけとなったことは確かです。喰わず嫌いよりまずはチャレンジですね。


 ご紹介してきました小湊鐵道とその沿線ですが、実はこれからの季節、秋がお勧めです。田園地帯の黄金色の実りや紅葉の美しさは千葉県内でも一、二を争う魅力です。ことに、養老渓谷の紅葉はお勧めです。
JR東京駅から五井駅(JR内房線)まで片道約1時間、小湊鐵道・五井駅から終点・上総中野までは1時間余り。上総中野駅でいすみ鉄道に乗りかえれば、外房の大原まで抜けることができます。この秋、ローカル線の旅に出かけてみませんか。


※小湊鐵道やいすみ鉄道は一日の運行本数が少ないため、事前に時刻表をよくお確かめの上お出かけください。




【市原湖畔美術館】
<基本情報>
所在:千葉県市原市不入75-1
電話:0436-98-1525
開館:(平日)10:00 - 17:00
(土・祝前日)9:30 - 19:00
  (日・祝)9:30 - 18:00
休館:月曜(祝日の場合は、翌平日)、年末年始


<開催中の企画展>
ラップ・ミュージアム RAP MUSEUM
開催期間:8月11日~9月24日
入場料:料金:一般800(700)円
 大高生・シニア(65歳以上)600(500)円。
 ()内は20 名以上の団体料金。
 中学生以下・障害者手帳をお持ちの方とその介添者(1 名)は無料。

September 7, 2017

●芸術の秋-到来

いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。9月に入り日も短くなってきて、幾分秋めいてまいりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて上野の東京都美術館では今年も恒例の「再興第102回 院展」が開催されております。
皆さまご存知の通り「院展」とは「日本美術院展覧会」、公益財団法人日本美術院が主催運営する歴史ある日本画の公募展です。

日本美術院は明治31年(1898年)に日本近代絵画の創始者・岡倉天心が主導し、横山大観、下村観山、菱田春草らの若き弟子たちにより設立されました。時代の先覚者として日本美術院の掲げた高邁な理想は、近代日本画の成立と発展に大きな役割を果たしました。

時運に恵まれず、一時経済的に困窮し雌伏の時代を過ごしましたが、岡倉天心没後の翌年、今から百年ほど前の大正3年(1914年)に、師の意志を継ぐべく横山大観らが中心となり、日本美術院が再興されました。さらにその年の秋には記念すべき「再興第一回展覧会」が開かれました。

以後、再興院展は毎年一回秋期に作品を公募し展覧会を開き続けております。102回を迎える本年も理事長の田渕俊夫画伯をはじめとした同人(どうにん)の先生方32名の力強い作品と、厳しい審査を経て選ばれた270名近くのフレッシュな入選作が一同に会し、充実した内容の展覧会をご覧いただくことができます。日本画の大家から期待の若手作家まで、その最新作が一同に並ぶことで、最新の日本画の創造力、革新性をうかがい知ることもできます。

「再興第102回 院展」は例年通り、来年の6月まで日本全国を巡回いたします。日本画壇の中心となり、常に美術界を先導してきた伝統ある「院展」に皆様もぜひ足をお運び下さい。


【展覧会情報】
「再興第102回 院展」
会場 東京都美術館
会期 9月17日(日)まで
時間 9:30~16:30 (最終日は正午入場まで)

※以後全国巡回9~18年6月 京都、大阪、島根(東)、山形、名古屋、
岡山、広島、宇都宮、横浜、北九州、島根(西)、福井



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そして一方、竹橋の東京国立近代美術館では常設展・MOMATコレクションにおいていよいよ東山魁夷特集が行われます。来年に予定されている魁夷生誕110周年の記念展が今から待ち遠しいところですが、ファンの渇望を癒す絶好の企画といえましょう。

ご存知のように東京国立近代美術館には魁夷より直接寄贈されたキラ星のような名作が多数所蔵されております。風景画家として立つことを決意した「残照」、画家として世間に広く人認知された「道」をはじめ、「秋翳」「冬華」「晩照」「青響」などその名作の数々は実に枚挙に暇がありません。人気作家ゆえ作品が他館に貸し出されることも多く、今回のように本制作の所蔵作品17点が一堂に会する展示は非常に稀な機会とのことであります。

芸術の秋の到来を迎え、皆さまもどうぞご案内の貴重な展示に足をお運びいただき、≪国民的画家≫と称賛を受ける東山芸術の真髄をぜひ心よりご堪能下さい。



【展覧会情報】
MOMATコレクション「東山魁夷特集」
会場 東京国立近代美術館
会期 9月12日~11月5日まで
時間 10:00~17:00 (金曜・土曜は20時まで)

September 1, 2017

【新作のご紹介】彩美版® ゴッホ「夾竹桃」


いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

ヒマワリも首を垂れるほどの炎暑の日々を越え、8月ももう終わりとなる暮夏の時期、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度彩美版®にて、ポスト印象派巨匠ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「夾竹桃(きょうちくとう)」
の販売を開始いたします。

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37歳で生涯を終えたゴッホが、画家を志したのは27歳、本格的に絵を描いていた時期は非常に短かったといえます。
「夾竹桃」は、1888年、ゴッホ35歳の時、ゴーギャンら印象派の画家たちとの共同生活を夢見た南仏の地、アルルにて描かれました。
少年時代より花を愛していたゴッホですが、アルル時代、花を題材にした作品は意外にも少なく、その意味で本作は非常に稀少な作品といえます。

ゴッホにとって夾竹桃の花は愛や希望を象徴するかのような特別な花だったことが様々な書簡から推測されます。


「夾竹桃、ああ、それは愛を語り、
ピュヴィ・ド・シャバンヌが描いた、
海辺に女性たちがいるレスボス島のように美しい」


ゴッホが弟テオへ宛てた手紙の中で、こんなにも華麗に形容されております。

今年はメトロポリタン美術館所蔵「夾竹桃」が日本に初来日し、各地展覧会で鑑賞することができます!
また秋には、ゴッホの手紙をテーマにゴッホの絵画に描かれた登場人物などが動画でみられる「油絵アニメ」が映画館で公開されるようですので楽しみです。

"ゴッホ"、改めて大注目です!!!
ゴッホの力強いタッチと南仏の日差しが感じられる鮮やかな色彩を、ぜひ当社彩美版®でお楽しみください。


ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 《 夾竹桃 》
Vincent VAN GOGH / Les Lauriers Roses
販売価格 115,000円+税

額寸法 557×660㎜ 約3.5キロ
監修 千足 伸之
気品ある木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド仕上げ)に収め、
200部限定でご用意しております。

ぜひお気軽にお問い合わせください。
共同印刷株式会社
アート&カルチャー部
03-3817-2290

August 25, 2017

身近なもののけ伝説



 強い日差しとどんよりした雨雲が不規則に入れ替わる怪しい天候の続く中、桶川市にある、さいたま文学館で開催中の「さいたまの妖怪」という企画展を観に行きました。(7月22日(土)から9月10日(日)まで開催)

さいたま文学館.jpg


 展示会では、古くは平安時代の今昔物語の記載や鎌倉時代の絵巻物などに描かれた妖怪図をはじめ、江戸時代も葛飾北斎「北斎漫画」の鬼のスケッチや河鍋暁斎の百鬼夜行をモチーフにした「百鬼書談」、利根川図誌の生々しい「河童」の図などが紹介されています。 
 妖怪とは、古来、理解できない現象や病気、災難などに人々が遭遇した時、「神」「仏」のみならず、「妖怪」「鬼」「異形」などの仕業とし、畏怖、不安、恐怖を具象化したものと考えられます。それらはその地方の風土、郷土生活と密着し、民話や伝説として語り継がれてきました。
 会場で多くの原画が展示された埼玉県在住のイラストレーター、池原昭治氏の描く昔ばなしの世界は、埼玉に伝わる妖怪伝承を温かく、親しみを込めて、(時に怖ろしく)表現しています。それを観て、あらためて自分の住む地域の近隣に伝わる伝承に興味を持ちました。そこで私の身近に見聞きする伝説の地を確認してみました。




<見沼の竜神伝説>
 現在のさいたま市見沼田んぼは江戸時代中頃まで巨大な沼でした。そこには竜神が住んでいたと言われ、いくつもの伝説が残っています。代表的なのはその沼の干拓工事を行った井沢弥惣兵衛にまつわる以下のような伝承です。
 
 見沼に住む竜神は美女の姿で弥惣兵衛に干拓工事を延期するよう請うたが、聞き入れず工事を進めると、災難が続き、弥惣兵衛自身も病床につく。竜神の美女は願いを聞けば病を治すと言い、毎夜訪れる。弥惣兵衛は快方に向かったが、家臣が覗いてみると美女は大蛇の姿で弥惣兵衛の体をなめまわしていた。恐れた弥惣兵衛はこっそり居を移し、工事は順調に進み、竜神は沼を去った。

 現在の見沼は、水田や畑が雄大に広がる情景に代表される場所となっています。さいたま市のマスコットキャラクターも「つなが竜 ヌゥ」といいます。

見沼たんぼ(加田屋新田付近).jpg




<白幡沼の巨人伝説>
 白幡沼は、現在さいたま市南区のJR武蔵浦和駅の近く、高台にある白幡中学の麓にあります。ここは、雨の日に巨人が足を滑らせて転び、その時に拳をついたところに水が溜まってできた沼と言われ、かつては「拳が池」または「こぶし沼」と呼ばれたそうです。
 たくさんの葦が茂る静かで落ち着いた場所ですが、訪れた日は白鷺が優美な姿を見せ、カメラを向ける一団体がいらっしゃいました。
 なお、同じ南区に太田窪(だいたくぼ)という場所があり、この地名は日本各地に伝わる巨人伝説「大多(ダイタ)ぼっち(巨人)」~ダイダラボッチ~に由来すると言われています。

白幡沼.jpg




<志木の河童伝説>
 さいたま市のすぐ隣の志木市は、3本の川に囲まれ水との関わりが深く、河童にまつわる伝説がいくつもあります。市内の宝幢寺には柳瀬川の河童伝説があり、柳田国男の『山島民譚集』にも紹介されています。

 昔、柳瀬川に住む河童はたびたび馬や人を襲っていたが、ある日、寺に飼われていた馬を川に引きずり込もうとし、暴れた馬に踏まれて衰弱していた。村人達が、悪さをしてきたその河童を焼き殺そうとするが、寺の和尚は哀れに思い、人々に命乞いをして助け、河童も、今後は人や馬に危害を加えないと誓い泣きながら川に帰って行った。翌朝、和尚の寝ている枕元に大きな鮒が2匹置いてあり、それ以来人や馬が襲われることはなかった。

 なお、市内には愛称のついた20体以上の河童の像があり、志木市商工会では「カッピー」、(公財)志木市文化スポーツ振興公社は「カパル」というカッパキャラを立て、市全体で河童と親しんでいます。

柳瀬川で遊ぶ河童像「流ちゃん」.jpg




 足を伸ばせば、まだまだたくさんの伝承の地があります。そういう視点で各地を見ると何気ない場所にも浪漫が感じられ、空想が広がります。




■さいたま文学館
埼玉県桶川市若宮1-5-9   TEL 048-789-1515
展示室営業時間 10時~17時30分
定休日 月曜(祝日の場合開館)、館内整理日
展示室料金 一般210円、学生・生徒100円、(団体20人以上は割引あり)

August 16, 2017

「石の街」宇都宮の多彩な魅力。

 餃子で有名な宇都宮は、石の街としても知られている。その石とは宇都宮市大谷の付近から採掘される「大谷石」である。軽く、加工がしやすく、耐火性があるこの石は古くから建材として使われてきた。著名な建築家、フランク・ロイド・ライトが設計した「旧帝国ホテル ライト館」にもこの石が用いられている。この石を産出する石の里「大谷」に、大谷石資料館がある。ここの地下には巨大な採掘場跡があり、その大きさは2万平方メートル、深さは30mにもなる。暑い日差しから逃れるには打って付けの場所で、外気が30℃近くても、地下は10℃ぐらいしかなく、ひんやりと肌寒いぐらい。巨大な地下神殿のような幻想的な闇の世界が広がっていて、今までに体験していなかった別世界を堪能できる。ちなみに資料館に併設されているカフェのジェラードは大変美味しかった。また、この地域全体が大谷石の展示場のようで、高さ27mもの平和観音や奇岩の崖が連なる大谷景観公園など、楽しいスポットが集まっている。

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やわらかい色合いの大谷石でできた宇都宮美術館のアプローチと緑の中庭

 この大谷石を建築に取り入れた美術館が、近くにある宇都宮美術館である。館内へと続くアプローチに大谷石を用いて、現代的な直線で構成されたデザインの中に、大谷石の持つざらついた手触りや、温かみのある色合いを生かしている。昨年、2016年に開館20周年を迎えたこの美術館は、緑豊かな森に囲まれた丘に建っている。この美術館はマグリットやシャガールなど20世紀の美術品を収集しているが、一方で19世紀〜20世紀のポスターやインテリアなどのデザイン作品も多く収集していることでも特徴がある。高い壁面に囲まれた展示会場の合間からは、大きなガラス窓を通して外の緑の樹々が見える。併設されたレストランも大きなガラス窓で囲まれた開放感あるスペースになっており、森に抱かれて過ごすランチは、美味しい食事と最高のリラックスタイムをもたらせてくれる。緑豊かな自然環境の中での憩いの場、そして芸術文化活動の拠点施設として、という理念を体現している、すばらしい美術館であった。
 なお、宇都宮はバーの街としても有名であり。日が暮れたらそちらの方にも訪れてみたい。かように宇都宮は様々な顔を持った魅力ある街である。 


August 3, 2017

世にも珍しい監獄ミュージアム



いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。



先日、北海道「網走」に行ってきました。網走と言って多くの方が思い浮かべるのは、そう「網走刑務所」ではないでしょうか。網走刑務所といえば、極寒の最果てにある刑務所というイメージがあります。実際、網走刑務所は日本最北端に位置する刑務所です。この網走刑務所は、1983年に全面改築工事が行われました。それにともない、正門や旧刑務所の教誨堂、獄舎などを移築、再現をして「博物館 網走監獄」として復元されました。現在は、網走刑務所を体感できる、世にも珍しい体験型監獄ミュージアムになっているということで、実際に足を運んできました。


「博物館 網走監獄」は、明治時代から実際に「網走刑務所」で使用されてきた建物を移築や再現をして公開している野外歴史博物館です。このうち8棟が明治期の貴重な木造行刑建築として、2016年に国の重要文化財に指定されました。また、哨舎や煉瓦造り独居房、裏門など6棟が登録有形文化財に登録されています。

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 立派な正門をくぐるとその広大な敷地に驚かされます。広さはなんと東京ドーム3.5個分。どこから見物したら良いものか、さっぱり分からない状態です。そんな時に助けとなってくれるのが、館内ガイドツアーです。この広大な敷地にたたずむ25の行刑建築物群を、ガイドさんがナビゲートしてくれます。大変わかりやすい説明で、効率よく回ることができます。独居房や教誨堂など多様な建築物がありますが、やはり一押しは「五翼放射状平屋舎房」です。5棟が放射線状に広がる舎房で、木造行刑建築物としては世界最古で最大の規模とのことです。

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舎房が両側に長く並んだ廊下が、見張り小屋を起点に放射状に五本分伸びています。凄いのは見張り小屋から5列に伸びている舎房の廊下を瞬時に見渡すことができます。 舎房のどこかで異常があったとしてもすぐ見つけられる造りとなっています。高い天窓からそそぐ光が印象的で、大変美しい建築物です。

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その他、この博物館には監獄食堂(網走刑務所の監獄食を再現した食堂)や、刑務所を題材にしたユニークなグッズを販売しているお土産屋など見所が沢山ありますので、まともに見学すると1日がかりになってしまうかもしれません。

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余談ですが、見学ツアーで独居房を案内された時、受刑者は陽の光が入らないこの場所を一番恐れたそうです。しかし、それ以上に極寒の最果てに立地している網走では寒さとの闘いであったと。なるほどと思いつつ、私が訪れた7月3連休の網走は、最高気温37℃近くの酷暑日で暑さとの闘いでした。

July 28, 2017

豪雨被災地の皆さまへ、心よりお見舞い申し上げます


 ようやく梅雨が明けたものの、災害レベルの豪雨に心を痛める毎日です。この度の九州北部、東北北部の豪雨災害、被害を受けられた地域の皆さま、関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 恨むべきは突然の豪雨でありますが、古くより農耕に携わる生活をしてきた日本人にとって、雨は切っても切れない存在です。雨にまつわる言葉の数々からは、古人がどのように雨と接してきたかを伺い知ることもできます。以下、穏やかな言葉をまとめました。

・ 霧雨(きりさめ)...霧のように細かい雨。
・ 時雨(しぐれ)...降ったり止んだりする雨。
・ 村雨(むらさめ)...急に降りだして短時間で止むような雨。
・ 瑞雨(ずいう)...穀物を育む雨の意。
・ 慈雨(じう)...恵みの雨の意。
・ 甘雨(かんう)...草木を潤す雨の意。


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庭のトマト


 また、雨のあとには、天に美しい虹が映えるときがあります。

 以下の作品は、女性初の文化勲章受章者で、美人画の巨匠として知られる上村松園の名作《虹を見る》(原画は京都国立近代美術館所蔵)です。右隻には雨上がりの夕べ、振袖姿の姉に抱かれた愛らしい赤ちゃんが、天空に微かに映える虹を見上げて微笑む姿が印象的な構図で描かれています。

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上村松園《虹を見る》(当社彩美版®より)


 このような雨あがりの情景を、穏やかに慈しみたいものです。

 被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

July 21, 2017

夏の到来

 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

 一年の前半が終わり、七月に入り本格的な夏を迎えて来ました。そして先日、各地の梅雨明けしたとみられる発表が出されました。それでもまだまだ蒸し暑くて鬱々とした気分になりがちですが、皆様どうか体をご自愛くださいませ。

 今も昔も私たちは季節に寄り添いながら暮らしています。幼いころから自然に親しみ、四季折々の情景や季節感から豊かな文化がうまれ、季節を愉しむすべをよく会得しているのではないでしょうか。

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 日本の風物詩でもある七夕ですが、七月の節句にあたるそうです。子供の頃に短冊に願い事をかいて、色とりどりの折り紙で飾りをつくって笹にくくりつけ楽しんだものです。実は先日、笹を近所の花屋で購入して色々と思い出しながら七夕飾りをつくりました。夢中で飾りをつくったり短冊に願いをしたためたりしていると、童心にかえったようで楽しいひと時をすごしました。心ゆたかに、季節とともにめぐる文化を大事にしていきたい今日この頃でもあります。





 この時期、当社に程近い伝通院および源覚寺境内では「文京朝顔・ほおずき市」、そして以前ご紹介した光源寺(こうげんじ)駒込大観音(こまごめおおがんのん)でも7月9日・10日と「ほうずき市」が開催されました。このお祭りを迎えると初夏からいよいよ夏本番!と感じられます。

 今回は、夏を感じさせる奥村土牛「朝顔)」の複製画をご紹介いたします。
 たおやかで美しい朝顔が一輪が咲き誇っています。画伯の描く「たらし込み」による表現で、より鮮やかに瑞々しさが際立ち、繊細さもうかがえます。当社「彩美版®」により、原画の微妙な色使いや雰囲気を再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。


【当社商品のご紹介】


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奥村土牛 《朝顔》
販売価格 95,000円+税


<仕様体裁>
技法 彩美版、本金泥手彩色
原画 華禽大塚美術館所蔵
技法 彩美版®
画寸 天地38.2cm×左右52.8cm
額寸 天地57.5cm×左右71.5cm
重量 約4kg
用紙 版画用和紙(鳥の子)
額縁 特製木製額、アクリル付(国産、ハンドメイド)


※「彩美版」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※本作品は軸装仕様もございます。





【今日の谷根千】

◇文京区立森鴎外記念館

コレクション展「森家三兄弟―鴎外と二人の弟」

会期:平成29年7月7日(金)~10月1日(日)
※会期中の休館日:8月22日(火)、9月26日(火)
開館時間:10時~18時(最終入館は17時30分)
※7月9日(日)、10日(月)は20時まで開館(最終入館は19時30分)
観覧料:一般300円(20名以上の団体:240円)
※中学生以下無料、障がい者手帳ご提示の方と同伴者1名まで無料

会場:文京区立森鴎外記念館展示室2

July 14, 2017

大正時代のガーデニング男子


 梅雨だというのに、東京では雨があまり降りません。うだるような暑さが続き木々や草花も心なしか元気がないように見えます。水が足りないのではないでしょうか。我が家の子どもがまだ幼い頃は、家庭菜園が人気で、我が家でも地元自治体が運営する菜園を借りて野菜を育てていました。植物を育てるのは手間がかかるもの、夏場は水やりが大変です。水道が離れた場所にあり重いバケツを運んで何往復もしたものでした。

 ここ数年でしょうか、ガーデニングを楽しむ男性が増えてきているとの話題を耳にしました。そういえば、NHK「趣味の園芸」の講師はイケメン俳優の三上真史さんでしたし、作家いとうせいこうさんのエッセイをもとにして作られた田口トモロヲさん主演のNHKBSプレミアムドラマ「植物男子ベランダー」も、かなりディープな内容で人気だそうです。

 私自身はガーデニングにそれほど興味があるわけではないのですが、植物好きの家族のおかげで緑に囲まれた生活を送っています。リビングのど真ん中には、天井にとどかんばかりのウンベラータという観葉樹が鎮座し、四方に大きく枝葉をひろげています。ウンベラータの大きな葉は繊細でなるべく触らないようにしなけれなならないのですが、さほど広くない我が家のリビングですから、どこに行こうとしてもかならずこの樹の枝先ぎりぎりを通過しなければならず、不便を強いられています。それでも、活き活きとした植物たちに囲まれた空間には不便を上回る快適さと心を満たす歓びがあります。ことに室内にいながら樹下に憩う爽快さは、何物にも代えがたいものがあります。簡単な水やりでも続けていると、植物への愛情が自然と湧きあがってくるのが不思議です。

 ところでガーデニング、すなわち園芸は当初身分や教養の高い限られた人たちの趣味だったそうです。盆栽も含めていわゆる文人の嗜みの一つでした。江戸時代後期には一大ブームが興り、貴賤を問わずひろく愛好されたました。様々な花の品種が作出され園芸にかかわる出版も盛んでした。余談ですが、私はこうした園芸ブームと日本画の主題としての草花には、もちろん総てにあてはる訳ではないですが、なんらかの関連性があるのではないかと考えています。例えば酒井抱一や弟子鈴木其一ら江戸琳派の作品に多い花卉画は、園芸ブームという同時代性も併せて考えてみるべきではないでしょうか。機会があればもう少し深く探ってみたいと思います。

 話を戻します。近代日本を代表する文人の一人森鴎外(1862~1922)は園芸のスペシャリストでした。医学者らしく研究熱心で極めて高度な専門的知識を身に着けていたそうです。著名な植物学者牧野富太郎とも園芸を通じた親交がありました。自邸観潮楼(現在文京区立鴎外記念館のある場所)の裏庭は鴎外が園芸を楽しむ場所でした。毎日のように庭に下りて草花の生育状況を観察していたようです。鴎外がつけていた日記には草花の記述がしばしば登場します。また、花の開花記録である「花暦」を記しています。

 鴎外の弟子を自認していた一人に作家永井荷風(1879~1959)がいますが、荷風もまた園芸を好む男子の一人でした。荷風は随筆『偏奇館漫録』にこう記しています。

 「余花卉(かき)を愛すること人に超えたり。病中猶年々草花を種まき日々水を灌ぐ事を懈(おこた)らざりき。」


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断腸亭にほど近い余丁町の抜弁天。
荷風は大正6年12月の縁日に沈丁花一鉢を買い求め、自邸の窓下に植えている。



 断腸亭という彼の号の由来も花とかかわっています。大久保余丁町(現新宿区余丁町)の実家の庭園に咲いていた断腸花(秋海棠の別名)を好み、自らの書斎に名づけたのでした。断腸花は秋の花ですが、夏の花としては紫陽花と椎の花を特に好みました。

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荷風が好んだ夏の花、紫陽花。


 荷風の日記『断腸亭日乗』には草花の記述がしばしば出てきます。多くは季節の花の開花記録ですが、自ら雑草を抜き、種をまき、球根を植え、根分けをしたというような具体的園芸の記述もあります。また時には、樹医のようこともしています。大正9年に移り住んだ古いペンキ塗りの洋館、偏奇館には椎の老樹がありましたが、その樹に蟻がついて弱ったのを手入れして甦らせたのです。夏はこの椎の木の下で読書をするのが彼のお気に入りでした。

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偏奇館跡地に立つ泉ガーデンタワー。


 草花を好んだ荷風でしたが、偏奇館の庭は人から見れば、荒れ放題だったようです。しかし荷風自身は、綺麗に手入れされた庭園より手をあまりかけず荒廃した雰囲気に雅趣を見出したのでした。『断腸亭日乗』大正6年12月1日の記録にはこう記されています。

 「蝋梅(ろうばい)の黄葉末落尽さゞるに枝頭の花早くも二三輪開きそめたり。予今年は病のため更に落葉を掃(はら)はざりしが、今になりては荒果てたる庭のさま却て風趣あり。」

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偏奇館庭園を偲ぶ:道源寺に隣接する六本木坂上児童遊園の樹立。


 麻布市兵衛町にあった偏奇館は戦災で焼け、その跡地には今、泉ガーデンタワーが聳え立っています。泉屋博古館分館のすぐ裏手です。この周辺は大規模開発により荷風が住んでいたころとはすっかり様子が変わってしまいました。私は、荷風が通った道源寺坂にわずかに残る面影をみつけ心に刻みました。坂下の西光寺の木芙蓉が、午後の陽射しを浴びて可憐な花を咲かせていました。

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麻布道源寺坂。


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道源寺坂に咲く木芙蓉。




【夏の花いろいろ】※クリックするとリンク先の記事に飛びます。
ツツジ: 小倉遊亀 《初夏の花》
ガクアジサイ: 中村岳陵 《八仙花》
セイヨウアジサイ: 山口蓬春 《榻上の花》

スイレン: クロード・モネ 《睡蓮の池》


【お知らせ】
■ロビー展「私たち、自然保護しています。」を日本自然保護協会様にご紹介いただきました

6月22日付当ブログで、自然保護活動がテーマの当社ロビー展の記事を掲載しましたが、このロビー展の概要を、協力いただいた日本自然保護協会様に同会ホームページでご紹介いただきました。以下リンクからご覧いだだけます。

公益財団法人日本自然保護協会(企業連携)http://www.nacsj.or.jp/partner/2017/06/4629/

July 6, 2017

土田麦僊(ばくせん)―生誕130周年を迎えて-


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。7月に入り、夏真っ盛りの陽気の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて今回ご紹介する土田麦僊(1887-1936)は明治20年(1887年)佐渡に生まれました。今年は生誕130年の記念イヤーです。同年生まれの画家には、大観を師と仰いだ堅山南風(1887-1980)がおります。麦僊は主に京都画壇で活躍、円熟期を迎えた四十九歳の年に惜しくも逝去しましたが、近代日本の美術界に偉大なる足跡を残しました。

 京都に出て画家を志した麦僊は、鈴木松年と竹内栖鳳に師事。奇しくも上村松園(1875-1949)と同じ道を歩みました。若くして有望画家として頭角を現わすとともに、西洋絵画の理論を学び、伝統色の強い京都に在りながらも東洋と西洋の美の融合を目指し、新しい日本画の創造を図りました。弟で哲学者の土田杏村(1891-1934)とは道は違えども≪近代≫日本に深くコミットし、日本と西洋の文化と歴史に深く思考を巡らせました。

 京都市立絵画専門学校でともに学んだ、小野竹喬(1889-1979)、村上華岳(1888-1939)らと活動の母体となる国画創作協会を設立。翌年(1918年)には代表作「湯女」(重要文化財)を制作し、高い評価を受けました。座学に飽き足らず大正10年には親友の竹喬らと渡欧し、パリで学ぶかたわら西欧各地を二年間旅しました。帰国の翌年には「舞妓林泉図(ぶぎりんせんず)」を発表しますが、これは伝統美の極致ともいうべき舞妓を西欧画のパースペクティブで描いたもので、麦僊の集大成的作品となりました。上述の「湯女」「舞妓林泉図」はともに東京国立近代美術館が所蔵しております(「湯女」は7月17日まで東京国立近代美術館所蔵作品展にて展示中)。

 麦僊は齢五十前に没したため文化勲章の栄に浴することは叶いませんでしたが、フランスのレジオンドヌール勲章を受章、帝展審査員や帝国美術院会員を歴任するなど、近代の日本画壇に赫赫たる名声を築きました。にもかかわらず麦僊生誕130周年の年に記念回顧展が行われる予定がないのは、とても残念なことです。そこで本ブログでは麦僊の芸術にご興味あるお客様に、夏の風物詩、銘品「金魚図」彩美版®をご紹介させていただきます。

 「金魚図」は洋行帰りの麦僊が「舞妓林泉図」制作の翌年(1925年)に制作されました。描かれた金魚の優美な姿や面構えにはどこか風格さえ感じられますが、さらに面白いのは限りない空間のこの構図です。想像を遊ばせるような日本的な余白を楽しむ趣は、麦僊洋行後の日本美への意識の深まりを窺わせます。何よりも愛らしき金魚が水中でのびのびと泳ぐ姿に、清涼なる美しさを感じ取っていただけることでしょう。

 

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●土田麦僊『金魚図 』
販売価格 90,000円+税

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■仕様体裁
技 法 彩美版®シルクスクリーン手摺り
画 寸 天地37.5×左右42.0㎝(8号大)
軸 寸 天地129.0×左右59.5㎝
額 寸 天地58.5×左右63.0㎝
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


 麦僊の巧緻を極めた空間芸術を、皆さまも是非お手元でお楽しみ下さい。


June 30, 2017

身近なものを額に入れること、のおすすめ。


『美術趣味』をご覧いただきありがとうございます。
本日は、身近なものを額に入れること、のおすすめです。


先日私は、ペルー・シピポ族の泥染めの布を額装いたしました。
額選びプロセスはやってみるととても楽しいです。
当社では各作品に合った額装を何度も検討し選りすぐったものでご提供しておりますが、
お手元の「彩美版®」も新しくお気に入りの額に入れ替えてみるのも楽しいかもしれません...笑


まず額選びには、既成額とカスタムメイド額があります。
もちろんご予算次第でいちからデザインを決める完全オーダーメードも良いですよね。
今回はお手軽に、かつコーディネートに幅があり作品にぴったりあった仕上がりになる
カスタムメードの額で選んでいきます。


カスタムメイドは各メーカーのものを合わせると1000種類以上あるコーナーサンプルの中から
自由に大きさを決めることができ、必要なパーツの組み合わせで額を作ることができます。
今回は布ですがお皿やボールなどの立体物も自由に額装できます。


まず作品に合い、自分のイメージする雰囲気の額を選びます。
セットの方法や、額の深さなどの構造部分も考えながら選びます。


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素材や色、形など色々とあります。
すっきりしたデザインよりも今回はボリュームのある額を選びます。
あえて素朴すぎないものを合わせてみます。


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それからマットをつけるのかつけないのか、またマットの幅を考え全体の大きさを
どのくらいにするのか、UVカットのアクリルを使用するのかなど作品にとって保存状態が
良く見栄えがよい方法で各パーツを選んでいきます。


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今回はマットを被せず、作品の下にベースマットを敷いて、そこに糸で布を固定する方法で額装します。
接着しないので後から取り外ししやすく、布の辺部分まで見せることで手仕事の風合いが際立ちます。
さらにアクリルを直接のせずに布の柔らかさを楽しみたいため、額内側のサイドに立ち上がりをつくり深さを出します。
マットを加工し2センチほどの空間を作ります。
立体感がでるのと質感が強調され、額のボリュームと布とのバランスも合ってきます。


こんな感じで出来上がりました!


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プリミティヴな幾何学模様がモダンなインテリアともマッチするような額装になりました。


【作品提供ご協力】
世界の染織や日本の民芸、北欧家具のショップ

ROUND ROBIN

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June 22, 2017

「私たち、自然保護しています。」


なかなかまとまった雨の降らない今年の梅雨です。

本日は我がアート&カルチャー部が主催している企画展覧会についてお話をしたいと思います。
当部の事業は美術商品の企画・制作・販売が主体ではありますが、これに関連する活動として、昨年より社内スペースを利用し美術に関連する企画展覧会を行っています。これまで5回にわたり当社で取り扱っている作家や作品の紹介や、当部と関連する社会活動になどついて様々なテーマを設けながら紹介をしてまいりました。
残念ながら一般のお客さまに公開しているものではなく、あくまで社員とご来社されるお客さまのための、待合スペースを利用した展覧会ではありますが、訪れる方々に作家の認知や素晴らしい絵画作品とのタッチポイントをご提供すべく毎回あれこれと思い悩みつつ企画しております。

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さて、この春からは当社が(公財)日本自然保護協会と連携して行っている社会貢献活動をテーマに展示を行っています。展示会名はズバリ「私たち、自然保護しています。」
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当部では社会貢献を目的とし、複製画の売上金の一部を(公財)日本自然保護協会に寄付することで日本の自然保護に役立てて頂いています。きっかけは東山魁夷が日本自然保護協会設立当初の評議員を務められていたご縁で、東山画伯作品の複製画の売上の一部を原資とした寄付が計画され、同じく日本画家・岩澤重夫、鈴木竹柏の賛同・協力も得て実現したことによります。1993年の初回寄付以来20余年、今日までの累計額は一千万円を超えています。また会社としてもこれが縁となり、共同印刷グループが行っている環境意識の啓蒙およびCSRへの関心を身近なところから呼び起こすことを目的とした「自然観察会」を、同協会のご協力を得て毎年開催しています。
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共同印刷グループの経営理念は「印刷事業を核に、生活・文化・情報産業として社会に貢献する」です。当部は美術商品を取り扱っている文化的側面が強い部門ですが、様々な角度からの展覧会を通じて、社会活動や、素晴らしい画家の方々の作品の数々を一人でも多くの方々にお伝えし、作家・作品の魅力に気づいて頂けたら嬉しいな...と思いながら日々企画している次第です!

June 16, 2017

木の森の生命たち


 私の住む区内にちょっと気になる「美術館」があると知り、天気の良い休日を見計らって訪れることにしました。初夏の日差しが急に増してきたと感じながら、自転車で、もたもたペダルをこぎ、閑静な住宅街の中を何となくこのあたりだろうと目途をつけたものの、そう甘くはなく右往左往。ようやくそれらしき建物を見つけました。(もう一度すんなり行ける自信がありません。)

 美術館と言っても大きな住宅の風情。しかし入口の意匠はとても神秘的で、樽に乗った馬の首の彫刻があり、壁にかかった味わいある木の板には、M●KKINKANと読みづらいロゴが記されていました。ここはしまずよしのりさんという彫刻家の作品を展示する、モッキンカン木の森美術館です。

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木の森美術館入口

 館長である奥様のリコさんに案内されて入ると、大小様々な木彫りの彫刻が所狭しと置かれています。楽器を奏でる動物や巨大な顔面などインパクトある作品や、小さく可愛い不思議な人形類などとともに、額装された絵や小さなスケッチも壁を覆っていました。
 しまず先生はとても多才な方で、書や詩も書き、童話も作られます。小さな彫刻作品はアニメーション制作に使用したもの。ご自身で微妙に人形を動かしては撮影しコンピュータのソフトで作り上げたオリジナルアニメ作品がたくさんあります。

 正式な展示室である2階に上がるとさらに圧倒されます。様々な木彫りの作品は皆大きく、生命が宿っているかのように生き生きして佇んでいます。殆どが大きな木から彫りだされた一木造の作品で、モチーフも様々。巨大なアゲハチョウやトンボが宙を舞っていたり、羽を畳んだ妖精が眠っていたり、夥しくざわめくキノコと笛を吹く少年、祈りを捧げる森の精など、異界に住む住人が集合したようです。

 女性が馬車に乗った作品は未完成とのことですが、館長に促され背後から女性を見ると、たくさんの子供に乳を与えている動物の姿が現れました。表と裏が異なる造形になっている作品で作者のユーモラスな面が伺えます。作品の様相は制作年によっても変化しているようで、それも楽しめる要因です。初期からの膨大な作品はここ以外に米蔵の倉庫に保管されているとのこと。絵画作品中心に展示された小さな部屋もあり、無垢でファンタスティックな世界は私の心の琴線に触れ、何度も見入ってしまいました。

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賑やかな彫刻展示風景

 しまず先生は、1944年東京都生まれで、幼少は長野育ち。その後浦和に移り美術に没頭。高校卒業後作家活動に入り、絵画からレリーフ、そして独学で彫刻を始め、長野県での制作活動を経て70歳を超える今も精力的に制作を続けています。

 お会いして様々なお話を伺いました。哲学を感じる大人向けの寓話、なかでもサラリーマンを経験していないしまず先生だからこそ、サラリーマンの風習の奇異さが目に付く内容のお話は不気味でした。今の世は「無邪気さ」や「他愛ないこと」が少なくなったこと、しかし「人間はそんな少年時代がすべてを決定づける」ことなど、あらためて確かにと共感できる言葉にも接しました。

 しまず先生の作品は多様ですが、その作品には共通して、人間は自然と対立するものではなく、自然の一部だと捉えた思想が投影されています。「森から放たれた原木と対峙し、その原木に宿る『生命の立体』を見出し、迷うことなく彫り出す。彫り起こされた『生命の立体』はやがて連なり新たな森を形成する。」

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作品「羽化する少女」

■モッキンカン木の森美術館
さいたま市南区大谷口593
TEL 048-881-0524
営業時間10時~17時
定休日 木曜
Web  http://www.unpopu.com/cho/index.html

June 8, 2017

東山魁夷の世界を豊田市で鑑賞する。

 豊田市美術館で「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」が開催されている(〜6月11日まで)。名古屋駅から電車に乗り継ぎ1時間ほど、車窓からサッカーなどの試合が行われる豊田スタジアムの巨大な姿が見え始めると豊田市駅に到着する。豊田市はトヨタ自動車の本社がある街であり、県内で一番の面積を持つという。この駅から歩いて15分ほどの小高い丘に豊田市美術館はある。美術館は、もと「七州城」と呼ばれた城があった跡に建てられている。その敷地は緑と水で彩られた庭園になっており茶室や彫刻作品が点在して楽しく散策できる。庭園側から美術館を眺めると、直線的なデザインで構成された建物が大きな池に浮かんだように見え、モダンな美しさがある。またレストランのあるテラスからは豊田市の街も一望できる。
 この度の展覧会では、唐招提寺御影堂の修理が行われている機会に、非公開の障壁画を見る事ができる絶好のチャンスである。東山魁夷は多難の末に中国から日本に渡り唐招提寺を開基した鑑真和上に感銘を受け、10年の歳月をかけて「唐招提寺御影堂障壁画」を完成させた。この障壁画には日本の自然風景と共に、鑑真の故郷、中国の風景も描かれている。そこに描かれた自然の姿は躍動的に、あるいは静寂に、見る人の心の内を映し出す鏡のようにも見える。美しい自然風景の中に深い精神性を持った東山魁夷の世界に触れる事ができた。
 この美術館には、漆芸家の高橋節郎館も併設されている。高橋節郎は東京美術学校工芸課漆工部を卒業。漆の新しい表現を探求し、屏風、立体、版画などの斬新な作品を制作した。その作品には、深く輝きのある漆黒から、色漆の色彩など漆の幅広い表現が見られ、漆の奥深い世界が堪能できる。こちらも是非訪れていただきたい。
今回の名古屋訪問はあまり時間がなく、名古屋名物を味わう余裕がなかった。次の機会があれば、アートだけでなく様々な味覚の世界も味わってみたい。
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水面に浮かんだような美術館


今年の春から発売した東山魁夷 マスターピース コレクションTMの新作「白馬の森」。
東山芸術の美しさと奥深さが堪能できます。
東山魁夷_白馬の森(額装)400x460pix.jpg
【東山魁夷 マスターピース コレクションTM 『 白馬の森 』】
販売価格 500,000円+税
限定500部発行

■仕様体裁
監 修 東山すみ
技 法 彩美版®プレミアム
額 縁 特注銀浮き出し加工木製額(シルバーフレーム/背面メタリック梨地)
画 寸 天地44.3×左右65.2㎝(15号)
額 寸 天地62.2×左右83.1×厚さ3.7㎝
重 量 約4.9㎏
原画所蔵 長野県信濃美術館 東山魁夷館
解 説 松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


June 2, 2017

屋上の庭園 ~モネの世界へ~

いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


先週、この場で当社新商品「クロード・モネ/睡蓮の池」のご案内をさせて頂きましたが、その絵柄と同じ風景を楽しめる場所があります。もちろん、この絵画の舞台となったフランス・ノルマンディー地方ジヴェルニー村を訪問すれば、モネが造った実際の風景を観ることができます。しかし今回はもっとお手軽に、ビールでも飲みながら鑑賞できるスポットをご紹介したいと思います。

場所は東京都池袋の西武百貨店9階屋上にあります。昭和時代、百貨店の屋上といえば遊園地が定番だったイメージがありますが、娯楽の多様化や少子化などの影響で、多くの施設が姿を消し、最近ではあまり見かけなくなりました。一方、近年の百貨店業界においては、集客の要として屋上をリニューアルして、効果を上げている所も多いようです。



そして、こちら池袋西武百貨店の屋上は2015年に「食と緑の空中庭園」として、リニューアルオープンしました。'空のほとりで逢いましょう'をコンセプトにモネが愛したノルマンディーの「ジヴェルニ―の庭」、そしてモネ晩年の大作「睡蓮」にインスピレーションを得て造園されたものです。

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煙突はご愛嬌



そして庭園のシンボルとして造った「睡蓮の庭」には、睡蓮を浮かべ、四季折々の自然の姿が美しく写し出されます。

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時間帯によってはミストがでます



庭園内には世界の料理と、アルコールが提供される「レストラン&バー」、バラエティ豊かなメニューが楽しめる10店舗のフードショップが展開されています。訪れる全ての人がモネの世界観に包まれ、上質な時間と空間を楽しむことができるはずです。

May 26, 2017

新作モネ「睡蓮の池」のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。


 炒りたてのほうじ茶の香ばしい香りに誘われて、近所のお茶屋さんをのぞくと、「新茶」の入荷を知らせるポスターや幟を目にする様になりました。また、新茶の季節と共に、夏の気配が日に日に感じられ、強い陽射しに汗ばむ頃となってきました。急な気温上昇で真夏日・猛暑日になる事もあり体調を崩しがちですが、皆様どうぞ体をご自愛くださいませ。


 さて弊社ではこの度、印象派の巨匠、クロード・モネ「睡蓮の池」複製画の販売を開始いたします。モネが描いた日本の橋が架かる睡蓮の池。モネが移り住んだフランス・ジヴェルニーの地に造成した「水の庭」を描いた最初の連作のひとつでもあります。あふれる光と自然の息吹に満ち、緑きらめく美しい睡蓮の庭。陽光と深い緑が揺らめき水面へ反射が巧みに描かれています。豊かな色彩やモネの筆遣い、原画の持つ鼓動までをも「彩美版®」にて再現いたしました。


 気品ある木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド仕上げ)に収め、200部限定でご用意しております。


 モネが愛したジヴェルニーの風景を、是非お手元でお楽しみください。




クロード・モネ 《 睡蓮の池 》
Claude Monet / LE BASSIN DES NYMPHÉAS
販売価格 115,000円+税
限定200部発行


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ⓒ The Metoropolitan Museum of Art
Image source:Art Resource,NY/PPS通信社



※画像をクリックすると大きく見られます。


■仕様体裁
原 画 メトロポリタン美術館
H.O.ハヴメイヤー・コレクション
監 修 高橋明也(美術史家/三菱一号館美術館館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地53.0×左右42.1㎝
額 寸 天地66.0×左右51.1㎝×厚み3.0㎝
重 量 4.0㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。

May 19, 2017

暖かな陽射しの五月 ~日比谷公園より~


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。


 気候良く、暖かかな陽射しが心地よい今日この頃。私は季節の移ろいを確かめに、日比谷公園に足を運んでみました。日比谷公園は都心に位置する有名な公園で、日本を代表する都市公園のひとつ。歴史も古く、野外音楽堂や日比谷公会堂などの施設も有しており、園内は多くの人で賑わっており、公園の中央にある大きな噴水が出迎えてくれました。

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日比谷公園「噴水広場」の噴水


 噴水とは、文字通り「水を噴出するもの」とされますが、改めて世界を見渡してみると、著名な公園には必ずと言って良いほど噴水のある広場があることに気付かされます。ラスベガスの噴水ショーや、シンガポールのマーライオン、イタリアのスペイン広場、ドイツブリュッセルの小便小僧など。ただ単純に水を上に噴き上げるだけの噴水もあれば、二段噴水~三段噴水など複数の噴水で迫力ある景観もあり、また夜になるとライトアップが美しい噴水、音楽に合わせて踊る噴水など、多種多様な姿で、ときに楽しく、ときに優しく癒してくれる存在ですね。
 また、公園のいたるところでは季節の花々が咲いており、特に黄色のバラが目を惹き、緑と噴水を背景にした情景がとても印象的でした。

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黄色のバラ


 もうすぐ梅雨の季節が始まります。せっかくの晴れた日は外へ出て、季節の移り変わりを楽しめればと思います。


May 12, 2017

行く春


 春から夏へと季節の移り目を迎えました。今年は春らしい日が短く、冬からいきなり夏になったかのような印象すらあります。
 私ごとですが、三月から四月にかけては冬に逆戻りしたような寒さに震え、厚手のウール・ジャケットを着こんでいました。日中は温かくても朝晩冷え込むため、着るものに迷う日が多かったように記憶しています。今や、日によっては30度近くまで上がる暑さに耐えられず、麻ジャケットのクールビズスタイルで過ごしています。
 タイトルの「行く春」は去りゆく春を惜しむ想いが込められた俳句の季語ですが、今年に限って言えば「いつ春?」が私の本音です。





 閑話休題、私は連休最後の一日、趣味のバードウォッチングを楽しむため千葉県習志野市の谷津干潟を訪れました。かつて東京湾(江戸湾)にはそこここに広大な干潟があり、豊かな海の幸を育んでいました。そのほとんどが60、70年代いわゆる高度経済成長期に埋め立てられ、工場地帯へと変わっていきました。谷津干潟は、隣接する船橋沖の三番瀬とともに東京湾に残る最後の干潟のひとつです。1993年に保護すべき貴重な湿地としてラムサール条約に登録されました。

 今頃の谷津干潟の主役は、シギやチドリの仲間です。その多くはシベリアなど北の繁殖地と中国南部から東南アジアにかけての南の越冬地との渡りの途中、一時的に日本に立ち寄る「旅鳥(たびどり)」です。ちょうど満潮となる時間帯でしたが、津田沼高等学校に隣接する南東側の岸壁近くの杭や浅瀬に集まったシギやチドリの群を間近に観察することができました。なかでも鮮やかな赤茶色の翼に、歌舞伎の隈取を想わせる白黒模様の顔が印象的なキョウジョシギや、やや小柄で首から胸にかけてオレンジの羽根が目立つメダイチドリが印象的でした。そこから少し歩いた北東の岸近くでは、下向きの弧を描く細く長い嘴が特徴的なチュウシャクシギが干潟を突いてカニを捕えるところを観ることが出来ました。

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キョウジョシギ   ※画像をクリックすると大きな画像で見ることが出来ます。(以下同じ)


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メダイチドリ


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チュウシャクシギ

 さきほども申し上げた通り、これらの鳥たちは南から北へ帰る渡りの途中、我が国でしばし翼を休める旅鳥です。キョウジョシギやメダイチドリはムクドリよりやや小さい20㎝前後の大きさです。チュウシャクシギはだいぶ大きく40㎝余りありますが、それでも多くのカモ類より一回り二回りも小さな体です。彼らが挑む、数千kmから1万km以上にも及ぶ命を懸けた旅路を想うと、深い感動を覚えずにはいられません。





 今からおよそ330年前、元禄2年(1689)の春、松尾芭蕉(1644~1694)は深川の芭蕉庵を引き払い、弟子の曾良とともにおくの細道の旅に出立しました。深川から舟に乗り千住で陸に上がって見送りの親しい人々と別れる際に詠んだのが、有名な次の一句です。去りゆく春を惜しむ想いを表現したものと言われます。


 行く春や鳥啼き魚の目は泪
 ゆくはるや、とりなきうおのめはなみだ


 おくの細道への旅立ちの日は、新暦の5月16日にあたります。まさに今頃のことだったのですね。芭蕉はこの折の心境を「上野谷中の花の梢又いつかはと心ぼそく」と吐露しています。すなわち「上野や谷中の桜を再び観ることができるのはいつだろうか」と心細く思ったということです。生きて帰れる保証もないおよそ5か月間、600里(約2,400km)にも及ぶ長い旅路です。自ら望んだこととは言え、老境(とは言ってもまだ40代!)の芭蕉には、相応の覚悟があったことでしょう。「行く春や」の句には、そうした気持ちが重ねられているように感じられます。





 若い時分には、過ぎ去った春はまた必ずまた巡って来るものと信じ、身近な老人たちの警句に耳を傾けることなく安閑と過ごしてきました。しかし年を重ねた今、人生に必ずまたということは無いのだというシンプルな真実を認めざるを得ません。「今を生きる」ことを大事にしていきたいと思います。







関連記事:鳥帰る春 -谷津干潟にて(2017年3月3日)


April 27, 2017

●回帰する時間、心の旅 ―東山魁夷―


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。

 弊社ではこの度、東山魁夷マスターピース コレクションTMの第5弾として『白馬の森』の一斉販売を開始いたしました。本作品は本紙にアクリルガラスを直接貼り合わせることで、作品全体に清らかな透明感と深い奥行き感を与える、新感覚の美術工芸作品です。

 『白馬の森』は、連作「白い馬の見える風景」の中の一作で魁夷屈指の名作です。

 「ある時、一頭の白い馬が、私の風景の中に、ためらいながら、小さく姿を見せた。すると、その年(1972年)に描いた18点の風景の全てに、小さな白い馬が現れたのである。」

 画家の分身ともいえる白馬を、魁夷は戦前のドイツ留学直後の苦悩と不安に揺れ動いていた時期に一度描き上げました。それからおよそ30年後、ゆかりの深いドイツを再訪した魁夷は帰国後、魂の赴くままにまた再び白馬を描きます。戦前と戦後、直線的な時間と回帰する時間が画家の中で融け合い、やすらぎを求める気持ちと平和への切ない祈りが、一頭の白馬に奇蹟のように結実します。幻想的な森の奥深くから精霊のように浮かび上がる白馬は、常に見る者の心を深く捉えて離しません。

 『白馬の森』を完成し、画家は歴史的超大作、唐招提寺障壁画に着手します。この作品には障壁画完成までの長い道のりを思い、決意と精進を誓う魁夷の心の祈りも込められているのかもしれません。

 東山魁夷の神秘的な空間芸術を皆さまも是非お手元でお楽しみ下さい。


東山魁夷_白馬の森(額装)400x460pix.jpg


【東山魁夷 マスターピース コレクションTM 『 白馬の森 』】
販売価格 500,000円+税
限定500部発行

■仕様体裁
監 修 東山すみ
技 法 彩美版®プレミアム
額 縁 特注銀浮き出し加工木製額(シルバーフレーム/背面メタリック梨地)
画 寸 天地44.3×左右65.2㎝(15号)
額 寸 天地62.2×左右83.1×厚さ3.7㎝
重 量 約4.9㎏
原画所蔵 長野県信濃美術館 東山魁夷館
解 説 松本猛(長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
発 行 共同印刷株式会社
※作品についてのお問い合わせ:共同印刷(株)アート&カルチャー部 TEL.03-381-2290


 茨城県水戸市の茨城県近代美術館で人気を博した「東山魁夷 唐招提寺障壁画展」が、4月22日(土)より愛知県豊田市の豊田市美術館で開催されております。唐招提寺御影堂では現在修繕工事が行われており、そのため通常は非公開となっている障壁画が美術館で特別展示されています。東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺障壁画御影堂全68面」に、貴重なスケッチや下絵などで美術史に残る名作の全貌が紹介されています。制作に10年を要した作品の、構想から完成に至るまでの足跡を念入りにたどる、必見の催しといえましょう。

 皆さまも初夏のおだやかな陽気に誘われて、東山芸術の真髄に触れ、こころ豊かな気分に浸ってみてはいかがでしょうか。

 そして実は共同印刷で制作した東山作品の複製絵画が、展覧会場で特別販売されております。新作『白馬の森』や人気の『緑響く』『行く秋』『静映』などの彩美版®プレミアム作品が販売スペースに飾られ、会場で東山芸術の感動を胸にした多くのお客様にご覧いただいています。共同印刷の彩美版®プレミアムは東山魁夷の美しい風景を、さらに魅力的に鑑賞していただける新感覚の美術工芸技法です。展覧会場にいらっしゃった際は、ぜひ展示コーナーまで足をお運び下さい。


【展覧会情報】
「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」

会場 豊田市美術館
愛知県豊田市小阪本町8-5-1
会期 2017年6月11日(日)まで
月曜休館(5月1日除く)
時間 10:00~17:30


 昨今、お客さまから額裏の証明書に貼付されたセキュリティシールについて、お問い合わせをいただくことも多く、改めてこの場を借りてご説明をさせていただきます。

 共同印刷株式会社が独自に開発したセキュリティシールが、作品の真贋の判定を行います。お試しにお手持ちのスマートフォンなどで「彩」美版の銀色シールをフラッシュを焚いて撮影して下さい。KP(KYODO PRINTING)の文字が確認できましたら、その作品は真正な共同印刷発行の美術作品です。

 さあ、GWももう間近。皆さまどうぞ良い休日をお過ごし下さい。


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April 21, 2017

色褪せない芸術『岩田ガラス』とおすすめ展覧会『生誕100年 長沢節展』


いつも美術趣味をご覧いただきましてありがとうございます。

先日のブログ、彩美版®新作・小倉遊亀筆「初夏の花」はご覧いただけましたか。
透(すき)のボディに白砡(しろぎょく)が潔く、ツツジの伸びやかさを一層強調しているかのような存在感のあるこのガラス花器が、岩田久利(ひさとし)氏の手になるものであることはご存知でしたでしょうか。


本日は、「初夏の花」画中のガラス花器制作者、ガラス芸術家・岩田久利先生についてです。
遊亀が陶磁器を愛好していたことはよく知られていますが、1980年「耀」、1980年「椿」など遊亀の静物画には特徴的なガラス花器がたびたび登場します。
これらはみな遊亀がコレクションしていた、岩田久利氏によるガラス芸術です。


今回の彩美版®「初夏の花」制作を機に、久利氏の二女でいらっしゃる岩田マリさんとお会いする機会に恵まれ、たくさんの作品を拝見することができました。
そこでこれまで持っていたガラスのイメージがくつがえされてしまいました。
また、マリさんより貴重なお話がうかがえましたのでご紹介いたします。


ガラスは、食器、窓や蛍光灯などの工業製品も含めると、私たちの生活にとても身近な素材です。一般的にガラスにイメージするものといえば、「透明」「割れやすい」「冷たい」「静」などが想起されることと思います。
しかし、久利氏の父・藤七氏よりはじまる岩田家のガラス芸術は、それだけではないガラスの多面的な魅力を教えてくれます。
その魅力の真髄は、真逆にも「鮮やかな色(透明・不透明あり)」「重厚感(何層にもなり厚みがある)」「躍動感」でした。
(さらに制作時に直面するガラスの特徴、「柔らかさ」「熱さ(環境も含む)」についてはガラスを扱う困難さ、どのようにしてガラス芸術が生みだされるかに至る大事な特徴なではありますが、ここでは語りきれません。)


岩田家のガラス芸術の歴史を簡単にですがご紹介します。(以下敬称略)


■日本の色ガラス芸術のパイオニア 父・岩田藤七
(明治26年・1893年生まれ)

明治大正時代、板ガラスなど実用製品が躍進の一途を辿っていたガラス工業界。それに比べ、"ガラス工芸"は江戸時代以降途絶え不毛の時代を迎えます。
数十年の空白期の後、藤七は、現代ガラスのパイオニアとして色ガラスによる宙吹きの作品を作り始めます。
日本においては古来より陶器の作品が好まれ、茶道の影響もあり高いレベルの作品とされている中で、藤七はガラスの作品を日本の美術界にアートとして認められるよう努力を続け、近代ガラス工芸を日本の美術界に位置付けるに至ります。


代表作「貝」は、藤七ならではの大胆な気質だからこそなせる技だったといいます。
作品は今も日生劇場、ホテルオークラのオークバー(現在はリニューアル工事中)、メトロポリタン美術館(NY)、国立近代美術館などで観ることができます。


■「ガラス芸術」へ高めた功績者・岩田久利
(大正14年・1925年生まれ)

父・藤七の長男として生まれ幼い頃よりガラスに携わります。
久利は東京美術学校工芸部図案科卒業、その他、科学的基礎やガラス組成についても学び、藤七の築いたものをさらに極めていきます。
久利の作品は、端正・優美、高い技術に裏付けされた理知的な作品といわれ、初期の緻密な作風にはじまり、50歳代にはこれでもかと技術を凝らした根気のいる作品を、60歳代からは、線が細くなっていく身体とは対照的に壮大な自然をモチーフに力強い作風へと昇華します。


久利氏の作品は、幾何学模様のミニマムでモダンなデザイン的なものもあれば、ごつごつした大地や岩を髣髴とさせるプリィミティブなものまで多彩な創造性が魅力的でもあります。

iwataglass.jpg岩田久利作 〈第十回日展出品作〉 制作:昭和29年

1960年代には、家庭における食器、照明などのガラス製品が普及します。
特に岩田ガラスが生みだしたガラス照明は、一世を風靡します。金赤(ガラスの金赤は可愛らしいピンク色)でフリルをまとったガラス照明は結婚式の引き出物として多くつかわれていた、とのこと。
もしかしたら皆さまのご自宅にあるかもしれません。


今なお新しさが感じられる、岩田久利氏の作品を下記よりホームページにてご覧ください!


岩田家のガラス芸術
HP : http://www.iwataglassart.com


■岩田久利氏の長女でいらっしゃる、ガラス芸術家・イワタルリ氏の個展のご案内です。

イワタルリ展 
開催場所 SAVOIR VIVRE サボア・ヴィーブル 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F
開催日時 2017年6月23日(金)から7月2日(日)まで
詳細につきましてはホームページにてご確認ください。
HP : SAVOIR VIVRE



【オススメ展覧会のご案内】

岩田ガラスの会社ロゴ、包装紙をデザインしたのが、「スタイル画」デッサンの名手・長沢節(せつ)氏でした。
久利氏は、画家、文芸家、俳優などジャンルを超えたお付き合いがあったといいます。
東京文京区弥生美術館にて、今年4月23日で閉校するセツ・モードセミナー公式の、最後の展覧会として下記展覧会が開催されています。
ファッションイラストレーターの先駆けであった節の〈スタイル画〉は鉛筆のほか毛筆で描かれた作品もあります。毛筆書に慣れ親しんだ世代だからこそ為し得るものなのでしょうか、「セツ美学」あふれる流麗なイラストは必見です!



IWATAlogo.jpg左上:岩田ガラス・ロゴ(長沢節)
setsu.jpg右下:岩田ガラス・包装紙(画:長沢節)


『生誕100年 長沢節展』- デッサンの名手、セツ・モードセミナーのカリスマ校長 - 

長沢節は1917年生まれ、文化学院卒、20歳で挿し絵画家としてデビュー。
太平洋戦争前より池袋近く要町の芸術家村・通称「池袋モンパルナス」に暮らす。
終戦後アメリカ兵より流れてきたヴォーグやハーパス・バザーを参考にみようみまねで洋服を描く。節の描くファッショナブルな女性像は〈スタイル画〉と呼ばれファッション界もリードする存在となる。
1954年より美術学校セツ・モードセミナーを主宰。(設立当初は「長沢節スタイル画教室」)
卒業生は、金子国義、山本耀司、安野モヨ子など。



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左上:C.ディオール「マリ・クレール」1998年6月号 掲載原画
右下:女性デッサン 1960年代


■開催要項■
会場:弥生美術館 1~2階会場
住所:東京都文京区弥生2-4-3
会期:2017年4月1日(金)~6月25日(日)
休館日:毎週月曜日 ただし、5月1日(月)は臨時開館
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般900円(800円) 大高生800円(700円) 中小生400円(300円)
※竹下夢二美術館と併せての料金。()内は20名様以上の団体割引料金
TEL:03(3812)0012 FAX:03(3812)0699
HP : http://www.yayoi-yumeji-museum.jp

April 12, 2017

桜に思う、いろいろ。


寒暖の差が激しい今年の春ですが、桜の季節もそろそろ満開から葉桜に移りつつあります。
共同印刷の近くの名所と言えば、間違いなく播磨坂の桜並木でしょう。
登り下りの道路を挟んで3本ある歩行者用道路に沿って坂の上から下まで植えられた桜は、満開になると本当に見応えがあります。

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入社してはや十数年。それでも毎年この季節の桜並木を通るときは新入社員と同じように新しい季節の空気を感じ、前向きな気分になれます。
そして若い葉が混ざり始めた桜の木は何となく美味しそうな色合いで、桜餅を思い出してしまうのは私だけでしょうか。

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自転車で外堀通りの桜を観に行きました。こちらも満開で見ごろを迎えています。
先日見たときはどんより空の中で、一緒にいた3才の子供の目には暗い桜の木々がお化けのように写るようで「黒い、怖い。」と終始言われ続けました。


画家の目に写る桜はどんな風でしょうか。
現代日本画家で桜花図の第一人者でもある中島千波先生の桜はというと...
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中島千波「千歳櫻」

樹齢700年を超える福島県の名樹「千歳櫻」を描いた作品です。柔らかな花びら一枚一枚が重なり合いながら画面いっぱいに咲き誇る姿には、華やかながらも堂々とした名樹の風格が漂います。

近代日本画の巨匠、小倉遊亀の桜は...
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小倉遊亀「爛漫」

力強い幹と満開の桜の優しい色合いに、女性らしい柔らかさと同時に芯の強さののようなものを感じます。遊亀はこの作品を母校の奈良女子大学に集う学生の前途を思い、大学講堂の緞帳原画として制作しました。


ちなみに暖かい日を狙って播磨坂でお花見ランチの帰り、先輩が道沿いのケーキ屋さんでプチケーキを買ってくれました。「花より団子」を地でいく今年の春でもあります。
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※掲載画像の中島千波「千歳櫻」、小倉遊亀「爛漫」はいずれも当社商品です。
 作品に関するお問い合わせは、共同印刷アート&カルチャー部(TEL:03-3817-2290)まで

April 7, 2017

正統を極め、異端に戯れる


 今、華々しく脚光を浴びる幕末~明治の絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい / 1831-1889)。折しも現在渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで展覧会「これぞ暁斎!」が開催され、あらためてその画力の天才ぶりを多くの人に見せつけています。正直、私は暁斎について知っているつもりでいながら、それはほんの一部に過ぎないとここ最近知らされました。

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河鍋暁斎記念美術館

 私の住むさいたま市のすぐ隣の蕨市に、公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館があります。ずっと以前から知ってはいたものの、暁斎のイメージが妖怪や魑魅魍魎を得意とするどこかおどろおどろしい画風の異端画家という印象で、臆病な私は何となく足が向きませんでした。しかしマスコミで紹介される暁斎作品を目にする機会が重なり、見方が偏っていたと気づかされました。温かく穏やかな休日に思い立ち、初めて記念美術館を訪れてみました。

 暁斎の曾孫である河鍋楠美館長が1977年に創設した美術館で、今年 40周年となります。住宅地の中にさり気なくあり、自宅を改装したアットホームな気さくさが何故か暁斎らしいと思えてしまいました。展示室は3つあり、第1、第2展示室で2か月毎に内容を変えた企画展を開催しています。この日は「暁斎・暁翠 旅と風景」という展覧会で、第1展示室は墨絵を中心とした旅の風景スケッチが、のどかに楽しそうに描かれ、娘の暁翠(1868-1935)の作品とともに並んでいました。

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第1展示室

 第2展示室には数々の鮮やかな錦絵の展示。東京の名所絵や東海道中の双六など人気が高かったと推測する作品が並んでいました。あまり知らなかったのですが、別の絵師との合作も多く、例えば三代広重が風景を描き、その中にたくさんの人物を暁斎が描いたりしています。第1、第2展示室を通じ暁斎が基本を重視した作家であり、端正な作品も多く描いていたことがわかります。第3展示室は肉筆着色作品の複写が展示され、力強さと緻密さを備えた画力を感じ取れました。

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第2展示室

 暁斎は日本の美術史上から忘れられた時期が続いたといいます。純粋に観賞用の絵画だけでなく、庶民に受ける風刺画や漫画も注文に応じて拒まず描いており、それが異端視された要因にあるのかもしれません。しかし浮世絵の歌川国芳に入門し、のちに狩野派を習得し、さらに流派に捉われず多様な画法を学び、幅広い分野の画題を独自の視点で表現、その芸術は、正統を含むいずれの分野も極めた一級のものでした。特に海外で高く評価され、国外に多くの完成品があります。渋谷の大規模な展覧会も英国在住のゴールドマン氏のコレクションで、暁斎の多彩な才能を知ることができます。今の私が想う暁斎の魅力は、猫や蛙を始めとする擬人化された動物の可愛らしさや、群衆の争いを愉快に描くスラップスティック・コメディの世界など、ユーモラスな世相のカリカチュアライズですが、その着想を描出する、修練を積んだ技術に裏打ちされたエスキースの巧さに圧倒されます。

 記念美術館は肉筆、版画の完成品以外に下絵・画稿類の豊富な所蔵が特徴的で、暁斎の創作過程や力量を伺い知ることができます。テーマを変えて展示される折々に、散歩がてらぶらりと訪れ、静かに過ごすのにも良い場所です。



■公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館

住 所 埼玉県蕨市南町4-36-4  TEL 048-441-9780
開 館 10時~16時
定休日 木曜 毎月26日~末日 年末年始 
入場料 一般320円、中・高・大学生210円、小学生以下105円
団体20名以上割引有・要予約、かえる友の会会員は210円、美術館友の会会員は無料
※特別展開催時は別料金


March 31, 2017

迷路の町と朝倉彫塑館

 文化勲章を彫刻家として初めて受賞した朝倉文夫(1883〜1964年)。東京は台東区谷中にある朝倉文夫のアトリエ兼住まい(朝倉文夫自身の設計)は現在、朝倉彫塑館として彼の作品と建物の見学ができる。2008年には敷地全体が国の名勝に指定された人気のスポットである。彫塑館の入口から見る黒塗りの鉄筋コンクリートの壁は厳めしいが、館内は一変して竹や真綿を使った明るい色彩になる。室内には大きなガラス窓から注ぐ陽光と、モダンなデザインの照明、曲線を生かした有機的な壁面などで暖かく柔らかさを感じる。高さ8.5メートルの大きなアトリエには人物がメインに展示してあるが、中でも「墓守」は私の好きな作品である。朝倉は自作についてあまり語らなかったそうであるが、「墓守」については「家のものが将棋を指すのを見て無心に笑っているところをとらえた」と残している。朝倉がトルストイに例えた墓守の姿は、西洋美術であれば矍鑠(かくしゃく)と威厳に満ちた彫刻になろ。しかし、この老人像の髭の下から前歯が2本のぞいて笑った口や、足袋を履いた足、そして全体を包むぬとぬととした肌触りなどがいかにも日本的であり身近に感じる。

若葉の芽吹きもちらほら、朝倉彫塑館。
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 アトリエを通り抜け中庭に面した木造住居欄に入る。中庭にはそのほとんどを占める様に池がある。池には大きくて平たい石があり、何でも真鶴の海石と伝えられているらしい。寝転んで昼寝をしたら、さぞや気持ちよさそうである。各部屋はこの池をぐるりと巡る様に升形に配置されている。天井まで届く書棚が並んだ書斎、出窓に半円のソファーがある応接室などを巡り、階段を上がって2階、3階と進む。さらにオリーブの木が葉を茂らせている屋上に出る。屋上にはかつて大根やトマトなどを育てた園芸実習の場があったそうだ。この空中庭園からは、谷中、千駄木、根津が気持ちよく見渡せる。最後の部屋はもと東洋蘭の温室で、今はネコ達の彫刻の部屋になっている。朝倉はネコが良い、深い愛情がこもっている。朝倉は学費が払えないで美術をあきらめざるを得ない者たちを塾に向かえたそうである。その懐の深さが感じられる素敵な彫塑館であった。
 さて、この界隈は古くからの家々が軒を連ねる細い道が交差して、一歩路地に入るとほとんど迷路である。迷子になる不安を覚えながら道を進んでいくと、大きなガラス窓に囲まれたモダンなお店に出た。彫塑館の裏手にあるチョコレート専門店「ショコラティエ イナムラ ショウゾウ」である。シンプルな装飾の店内は明るく、喫茶コーナーは人でいっぱいの人気店である。素材にこだわったパウンドケーキのクラシックショコラを購入する。このチョコレートレートケーキは、しっとりとして濃厚な味わいであった。谷中の町は新旧が入り交じった楽しさがある。

March 24, 2017

ギャラリー「都道府県の花」 ―皇居をめぐる花の輪


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


 先日、皇居周辺を散策してきました。皇居の周りは約5キロで、その距離感と信号がなく止まらずに一周できるので、日本でもっとも人気のあるジョギングコースとしても親しまれています。当日もたくさんのランナーの方々が走っていました。


 皆様は、この周回コースの歩道100メートル毎に都道府県の花のプレート(石板)が埋め込まれていることはご存知でしょうか(正確には47都道府県と2つの花の輪と千代田区のプレートの計50枚)。このプレートは通称「花の輪タイル」と言うのだそうです。スタートは皇居正門のある二重橋にあります。北海道の道花「はまなす」が彫られたプレートより、反時計回りに南下し、最後に沖縄県の県花「デイゴ」で一周します。と言われても、自分の住んでいる所の花も知らない方が多いのではないでしょうか。かくいう私も知りませんでしたので、この際一周して47都道府県全てのプレートを確認することにしました。


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花の輪タイル (左)北海道・はまなす (右)沖縄・デイゴ


 一周を5キロと考えると長い道のりとお思いでしょうが、いざ歩き始めれば100メートル毎に次々とプレートが現れるので、写真を撮りながら歩いていると、思いのほか忙しいことになってしまいました。さながら、ギャラリー「都道府県の花」です。プレートを逃さないように下ばかり見ていると、皇居周辺の景色をゆっくり楽しむことができないという、大変悩ましい状況です。それでも、少し寄り道をして千鳥ヶ淵緑道に入ってみると、3月上旬頃に咲く大寒桜が咲いていました。その実、千鳥ヶ淵の桜はその大部分がソメイヨシノで、今では東京屈指の桜の名所となり、多くの方々に親しまれています。間もなく迎えるシーズンにはライトアップもされますので、夜遅くまで楽しめます。


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千鳥ヶ淵の大寒桜


 さて、無事に47都道府県すべてのプレートの写真を撮り、お陰様で自分の県花も確認することができました。プレートを追いかけながら、歩いているとあっという間の一周です。こちらのプレート、ランナーの中には1km毎のラップを計ることや、居場所の確認に使われている方もいるそうです。確かに何県のプレートは何々門の所にあるなどと覚えておけば便利ですね。


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花の輪案内板


 少しずつ陽気も暖かくなり、東京では桜の開花宣言が出されました。お花見も兼ねて、スタンプラリー感覚で皇居一周を歩いてみることをお薦めします。全てのプレートを確認することができれば、きっと達成感を得られることでしょう。


March 16, 2017

新作・小倉遊亀「初夏の花」のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。
 朝夕と寒暖差ある今日この頃毎、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 それでも日中は日差しが段々と暖かく感じられる様になりました。初夏の様な少し汗ばむ日もありましたが、うららかな陽気に誘われて桃や桜などの花が咲き始め鳥の囀りが響き、冬が明けてだんだんと春の訪れを感じられる季節になりました。

 さてこの度当社は、日本画家・小倉遊亀の「初夏の花」複製画の販売を開始いたしました。エディションは限定200部です。

 鮮やかな橙色のテーブル、満開に咲き誇るミツバツツジの桃色、ゴツゴツとした味わい深い三宝柑の黄色。華やかなミツバツツジのが生けられた躍動感があり華麗なガラス花器は、ガラス芸術家・岩田久利氏の作品です。同じ芸術家として遊亀は、久利氏の自らの芸術に厳格で真摯に取り組む姿勢に対し共感し、懇意にしていたといいます。それぞれに配された彩りの会話を楽しむような感じで深く観察して筆をとっていたのでしょうか。

 彩り溢れいきいきとした輝きが描かれた作品の鼓動を、当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。




彩美版®
小倉遊亀 《初夏の花 》
販売価格 190,000円+税


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<仕様体裁>
監修 有限会社 鉄樹
原画 名都美術館 所蔵
解説 鬼頭美奈子(名都美術館 主任学芸員)
限定 200部
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り、プラチナ泥使用
用紙 版画用紙
額縁 特注木製額純銀箔仕上げ、交織つむぎマット、アクリル付き
証明 著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
画寸 天地45.5×左右38.4㎝
額寸 天地65.6×左右58.5㎝
重量 3.7㎏
発行 共同印刷株式会社


※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


March 10, 2017

ひとあし早い満開の桜 ~静岡県熱海市より~


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。

 私は先日、静岡県熱海市へ遠征してきました。ちょうどこの日は風も無く空気が澄んでいて、透明感あふれる朝日のグラデーションがとても美しく感じられました。

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透明感あふれる朝日のグラデーション


 そもそも朝焼けや夕焼けが赤っぽく見えるのはなぜでしょう?調べてみると、あの有名なイギリスの物理学者、アイザック・ニュートンが発見した太陽光の現象にありました。ニュートンは太陽光をプリズム(ガラスや水晶の多面体)に通すと虹のような連続した光の色の帯が現れる現象を発見し、これをスペクトルと名付けました。

 日中の太陽は白く輝いて見えますね。これは赤から紫まで7色のスペクトルが大気によって散乱され重なり合った結果として白く見えています。そのスペクトルが地上に到達するまでに空気の層を通る時間の違いによって、長ければ赤く、短ければ青く散乱するため、空は時間に応じて様々な表情を私たちへ届けてくれるという原理だそうです。

 ...ちょっと難しいですね。空を見上げるときは、難しいことや嫌なこと等は何も考えず、ただ無心に見上げるだけで良いと思います。心が洗われることが大切だと思います。

 静岡県からの帰り道は、今まさに桜が満開でした。と言ってもソメイヨシノではなく、『大寒桜(おおかんざくら)』という品種で、2月末~3月上旬にかけて見頃を迎える早春の桜です。ひとあし早い満開の桜に癒されました。

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満開の大寒桜


 当社近隣にある桜並木のソメイヨシノは、蕾が顔を出し始めています。美しく咲き誇る満開のソメイヨシノが待ち遠しい三寒四温の今日この頃。寒い日と暖かな日が交互にやってきて体調管理も大変ですね。皆さまもう暫くは上着を羽織ながら温かくして、お身体ご自愛ください。



March 3, 2017

鳥帰る春 -谷津干潟にて


 今年は酉年ということで、前回に続き鳥に因んだ小話をまたひとつ。

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オナガガモとヒドリガモ

 鳥は私たちの身近にいつでもいるため、一般的には特に注目を集める存在ではないのかもしれません。でも、優しく可愛らしい鳥たちが実は恐竜の生き残りだと言えばどうでしょうか。恐竜は今でも地球上に存在しており、私たちと共存しているのです。

 古代の地球上を支配した恐竜はこれまで、白亜紀末(約6600年前)に起こった大量絶滅で死に絶えたとされてきました。ところが、近年研究が進み、恐竜の一種である獣脚類の一部に羽毛をまとったものがいることが明かになりました。現在では、この羽毛のある獣脚類の生き残りが鳥類であるとする見方が定説になっています。昨年末に発表された論文で、ミャンマーで発掘された琥珀(樹脂の化石)のなかに、羽根が生えた恐竜の尾が見つかったとの報告がありその写真も公開されて話題になりました。

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Tレックス!

 羽毛のある恐竜が属する獣脚類には、有名な大型肉食恐竜のティラノサウルス(通称Tレックス)や映画「ジュラシック・パーク」に登場し広く知られるようになった小型肉食恐竜のヴェロキラプトルなどが含まれています。恐竜界の帝王、巨大なTレックスは、わたしたち昔の男の子にとってはいわばスーパースターでした。モフモフの可愛らしい羽毛をまとったTレックスの想像画を見て、思わず、「これじゃない!」と叫びそうになったのはここだけの話です。







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セイタカシギの群(谷津干潟)

 写真は、二月末の谷津干潟で撮影したセイタカシギ(背高鴫)の群です。大人にまじって恐らく日本で生まれたと思われる子供たちもいました。この時期、谷津干潟に多いのは冬の渡り鳥としてシベリアから渡って来るオナガガモ(尾長鴨)やヒドリガモ(緋鳥鴨)などの淡水ガモ類とクイナの仲間のオオバン(大鷭)です。セイタカシギはカモたちに比べて小さく、個体数もごくわずかなのですが、いる場所がだいたい決まっているののと姿に特徴があることから比較的見つけやすい鳥でもあります。

 セイタカシギの主な繁殖地(子供を産み育てる場所)や越冬地はユーラシア大陸にあり、日本には旅鳥として、繁殖地と越冬地との間を移動する際に一時立ち寄る例が多いのですが、関東や中部の一部で繁殖することもあるようです。セイタカシギは環境庁のレッドリスト(絶滅危惧種のリスト)に絶滅危惧Ⅱ類として掲載されています。Ⅱ類は、絶滅の危機が増大しているもののカテゴリーです。

 豊かな自然環境は鳥だけでなく人にとってもかけがえのない恵みを与えてくれるものです。白亜紀末の大量絶滅を生き伸びた鳥たちを、私たち人類の傲慢で無思慮な行動により絶滅させることがないよう、環境の維持保全に努めるとともに、私たちの子や孫の世代まで滋味豊かな日本の自然を継承していこうではありませんか。



※当部は公益財団法人日本自然保護協会への寄付を通じ、自然保護活動の支援に継続的に取り組んでいます。

February 23, 2017

―水戸で東山魁夷を見る―



 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。2月も残すところあとわずか。厳しい寒むさも温みはじめ、春の足音も近づいてきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。私自身は、花粉も舞い始めたようで持病の花粉症の兆候が出はじめ、日々の体調管理を気にする今日この頃です。


 さて私は先日、茨城県水戸市の茨城県近代美術館で「東山魁夷 唐招提寺障壁画展」を鑑賞いたしました。千波湖沿いの自然の環境に恵まれた美術館は、吉村順三設計の格調あるモダニズム建築。因みに千葉県市川市の東山魁夷邸も吉村順三が手掛けたとのことで、何か不思議なご縁があるようです。その日はあいにく強風吹き荒ぶ日であったため外回りは閑散としていましたが、館内は平日にもかかわらず多数の来館者で賑わっており、東山魁夷の根強い人気を改めて認識しました。


 昨年の福岡・広島での巡回展の後を受け始まった展覧会は、東山芸術の頂点を示す大作「唐招提寺御影堂障壁画全68面」を特別展示するという貴重な催しです。画家が完成までに10年を費やしたという唐招提寺の障壁画は、日本絵画史に残る記念碑的作品として位置づけられていますが、その東山芸術の集大成がここ茨城で初めて公開され、地元の熱心な東山ファンを魅了しています。

 
 唐招提寺の障壁画は、ほぼ70メートルにも及ぶという長大なものであり、唐招提寺の開祖、鑑真和上の苦難の足跡になぞらえ中国や日本の壮大な自然を、抒情と幻想を内に秘めた静謐な風景として見事に描き切っています。地元奈良でも一年に数日間しか公開されないという記念碑的な作品群を、間近に鑑賞できるのはまことに貴重な機会といえましょう。水戸は東京からでも、急行電鉄を利用すれば1時間半程度の距離です。これを機会に皆さまも東山作品の持つ透き通った叙情美と、凛とした精神力に触れ、こころ豊かな気分に浸ってみてはいかがでしょうか。


 尚、この度の展覧会では共同印刷で制作した東山作品の複製絵画が、会場の特設コーナーで販売されています。人気の「緑響く」や「静映」などの彩美版®プレミアム作品や、定評ある岩絵具方式作品が販売スペースに飾られています。共同印刷が誇る彩美版®プレミアムとは、東山魁夷が描く美しい風景をさらに魅力的に再現する新感覚の美術工芸技法です。会場に足をお運びの際は、ぜひともお立ち寄り下さい。


最後に、水戸といえばもちろん、梅の名所は外せません。旧水戸藩の藩校であった弘道館でも早々に、幾種もの梅の木が芽吹いていました。春の魁(さきがけ)として清らかに咲く梅の花との幸福な出会いは、必ずや日々の喧騒を忘れさせる一服の清涼剤となることでしょう。




【展覧会情報】

「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」
会場 茨城県近代美術館
茨城県水戸市千波町東久保666-1
会期 2017年4月2日(日)まで。
時間 9:30~17:00


※巡回展:2017年4月22日(土)-6月11日(日)  愛知県豊田市美術館

February 17, 2017

美しき七宝の世界へ



お天気が良い日が続く東京です。
今週は、気になっていた東京都庭園美術館で開催中の「並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性 展」を見学してまいりました。


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現在は庭園美術館となっている旧朝香宮邸


明治時代に輸出用の美術工芸として人気を博した七宝(しっぽう)。今回の展覧会では、その中でも繊細な有線七宝により頂点を極めた並河靖之の作品を紹介しています。 正直なところ、一口に七宝というとブローチなどで使われる一昔前の工芸品・・・というイメージが漂い、その魅力をつかみかねていましたが、本展を見てその技術の高さ、美しさに魅了されました。


有線七宝、どのように制作されるかご存知ですか?有線七宝を制作するには、ざっと下記のような工程があります。


①あらかじめ下図を制作し、この絵柄を、主に銅を主体とする胎(たい)と呼ばれる素地に写す。
②銀を薄くリボン状に伸ばしたものを、下図の線に沿ってリボンの幅にあたる部分で壁を作るように乗せていく。
③これを一旦焼き付けた後、壁と壁の間を埋めるように釉薬を乗せていく。
④焼き付け、最後に研磨をして完成。


一言でいうと簡単ですが本展の作品をみると、その神経が行き届いた作業の細やかさ、色彩感覚の豊かさ、作品として完成させる技術の高さには驚くばかりのものがあります。
あまりの細かい作業に時計のような精密機械が作られる様子を思い出しました。
小さいものでは棗のようなものから大皿まで、美しく繊細な作品の数々は、展示室となる旧朝香宮邸のアールデコ調の部屋に置かれることで、より映えるように感じられました。


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お天気が良かったので見学後はお庭を散策しました。
梅の花が咲いて春を迎える良い匂いがしました。
庭園美術館はこれからの季節、お散歩と兼ねてのお出かけにもお勧めです!


2017年1月14日(土)~4月9日(日)
並河靖之 七宝 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性-
東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
www.teien-art-museum.ne.jp

February 10, 2017

「全国カレンダー展」雑記


 今回はカレンダーのお話です。

 68回目を迎える「全国カレンダー展」が、1月14日(土)~1月18日(水)に、ゲートシティ大崎で開催されました。同時に「全国カタログ展」も同じ会場で開催、併せて見ごたえある展示会となっていました。(一社)日本印刷産業連合会とフジサンケイビジネスアイ主催の全国カレンダー展は、回数で分かる通り歴史あるコンテスト・展示会です。展示されているのは様々な会社や団体が発行する企業・販促カレンダーを中心に、個人購入の販売カレンダーも含め多様です。応募数の減少傾向は否めませんが、今回は600点程で、その中から選ばれた400点程が展示され、さらに選び抜かれた69点が入賞の栄誉を受けました。

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 印刷会社からの出品が多く、弊社も毎年いくつもの得意先企業のカレンダー製作に携わり、出品させていただいています。カレンダー展の長い伝統にも密接に関わってきました。現在企業カレンダーは、かつての異常な豪華さはないものの、依然企業の顔としての役割は担っており、特に近年はコーポレートコミュニケーション(企業の広報活動)ツールとして再認識されている側面があります。

 コンテスト入賞作品は当然こうした企業文化を伝える意義深いものが多く、グレードの高い仕様で製品化されていますが、受賞の脚光を浴びていなくても、企業としてのアイデンティティを表現する意図が伝わり、面白く見入ったものも多くありました。
 例えば自動車の修理・整備を行う某会社のカレンダーは、「武骨なカッコよさ」を表現すべく、コンクリート壁のようなセメントの板を地に、表紙はタイヤの跡のみが走り、本文各月は大胆にデフォルメされた欧州車のイラストが描かれたデザイン。個人的に気に入ったテイストでした。

 某ミシンメーカーのカレンダーは、そのミシンで作成したキルティングなどのソーイングアート作品を紹介。自社製品の可能性や楽しみを伝える役割を果たしています。
 また、自然風景写真はカレンダーとして最も人気の高いモチーフですが、それだけにたくさんの企業で作られており、その中でどう差別化し特徴を出せるかが問題です。某電気メーカーは「流れ」をコンセプトに川のシリーズを設定し、川の風景と動物を捉えた「川 と命」をテーマに写真選定。他社とは一味異なる統一感を持った構成に上がっていました。
 装飾品という形をとりながら、さり気なくお客様に長期にわたってメッセージを伝える・・・企業カレンダーにはそういう穏やかな訴求力があり、アート性と企業のアピールを如何にスマートに両立させるかがポイントです。

 他社製作のカレンダーにスペースを割きましたが、最後に弊社の入賞カレンダーもご紹介いたします。日本商工会議所会頭賞及び金賞を受賞した清水建設(株)は、グラフィックデザイナー・上條喬久氏に依頼して制作を続けている、WINDSCAPE MINDSCAPEシリーズ。絵柄は一貫して建設をイメージした窓から見る心象風景を表現。今回は平面分割でできたシンプルな形を質感ある色彩で描いたアート作品です。紙製のリングを使用したスケッチブック風のスタイルです。

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清水建設株式会社

 
 銀賞に輝いた(株)資生堂の2017資生堂ビルカレンダーは、グラフィックデザイナー・仲條正義氏のタイポグラフィカレンダーで、仲條氏のオリジナル制作のタイプフェイスで構成。B1サイズ・1枚タイプのカレンダーで、好みで選べるように表裏異なる色で作られています。暦配列の既成概念を崩し、それを判読する楽しさがあり、数字だけでデザインされた洒落たインテリアポスターとして飾れます。資生堂の先鋭的な企業文化をイメージさせます。

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株式会社 資生堂


 展示会場で、小さな男の子と彼を抱っこしたお父さんがカレンダーを1枚1枚めくりながら歓声を上げていました。見ていたのは筆者が担当した(公財)東日本鉄道文化財団の鉄道博物館カレンダー(奨励賞受賞)。同館所蔵の歴史を刻む数々の列車の模型を撮影して構成し、各写真に列車のもつ特色を暗示する落書きのような線画イラストを愛らしく絡めています。こうして感嘆を持って見てもらえるんだと、心が温まりうれしくなりました。

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公益財団法人東日本鉄道文化財団(鉄道博物館)

February 3, 2017

【新作のご紹介】彩美版® 前田青邨《 桃花(とうか) 》


――― 特別許可の原画撮りおろしによる制作。
日本美術院同人・今井珠泉画伯による監修のもと鮮やかに再現 ―――



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この度当社は、文化勲章受章日本画家・前田青邨による「桃花(とうか)」を彩美版®にて発売いたしました。(限定300部)


1961年に制作された本作《桃花》は、東京・名古屋・京都・大阪・金沢の美術倶楽部が主催した「五都展」への出品作、
金地に絢爛に咲き誇る紅白の桃の花が美しく、力強さあふれる重量感と上品なたたずまいを兼ね備えた大変にぎやかな作品です。

青邨画伯といえば、代表作《洞窟の頼朝》(重要文化財)など武者絵をイメージされる方も多いと思いますが、本作は画伯の特徴的な垂らし込みの表現を余すところなく堪能できる傑作です。
この度は特別な許可のもと原画を撮りおろし、制作が実現いたしました。


本作の監修者、青邨画伯の愛弟子でいらっしゃる今井珠泉画伯によりますと、
『前田先生の垂らし込みは琳派の垂らし込みをさらに突き進めた、宗達、光琳、の垂らし込みとは違う、「質を描き分ける」垂らし込み』
(特別付録・「今井珠泉先生が語る「桃花」の美しさの秘密とは」より一部抜粋)
だといいます。

垂らし込みの技法で枝、布、花瓶、花それぞれの質感を、これだけ描き分けているというのは驚きだ、とのことです。
このように《桃花》は、計算し尽され巧みに用いられた「垂らし込み」の表現を随所にみることができる稀有な作品です。


また解説を執筆された平塚市美術館館長・草薙奈津子氏は、
『この絵は桃を描いたもの。桃と言うとピンクを思い出しますが、これは紅白の桃花。しかも赤い桃が白い桃より多いので、強い印象を受けます。でもそれは花のせいばかりではないようです。
青邨独特の枝ぶりもそうですが、赤絵の花瓶、下に敷かれた絞り模様のクロス、共に中国のものでしょう。皆、花の強さを強調するのに格好の材なのです。画家はこの画面を生み出すために、ただ技術的なことだけでなく、そんなことにも心を配ったのです。そうやって堅牢な作品が生み出されてきたのです。』
(付録・解説書より一部抜粋)
と語ります。


前田青邨画伯の感性と技術が生み出した作品の凄みを、ぜひお手元でお楽しみください。


彩美版®「桃花」には、多彩な活躍をされる平塚市美術館館長・草薙奈津子氏執筆による解説書と、より本作の魅力についてお楽しみいただけるインタビュー冊子、特別付録「今井珠泉先生が語る「桃花」の美しさの秘密とは」が付属されています。



前田 青邨(まえだ せいそん 1885~1977)
1885年、岐阜県中津川市に誕生。1901年に上京、尾崎紅葉の紹介で日本画家・梶田半古に学ぶ。1914年、日本美術院同人に推挙。1920年、延暦寺より伝教大師絵伝「根本中堂落慶供養図」を委嘱される。1930年、「洞窟の頼朝」で第一回朝日賞受賞。1951年に東京藝術大学教授に就任、1955年に文化勲章を受章。1961年、「桃花」を制作。活躍は幅広く、法隆寺金堂壁画再現事業の総監修や高松塚古墳壁画模写の総監督も務めた。1974年、ローマ教皇庁の依頼で「細川ガラシャ夫人像」を完成、バチカン美術館に納める。



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【仕様体裁】

本体価格 200,000円+税
技法:彩美版®、シルクスクリーン手刷り、本金泥使用
限定:300部(額装)
画寸:天地53.0cm×左右41.2cm
額寸:天地77.8cm×左右66.0cm
用紙:版画用紙
額縁:国産特注木製額(アルダー天然無垢材ワックス仕上げ)、金モール織りマット、アクリル付き
重量:約4.85kg
証明:著作権者承認印、限定番号入証紙を貼付
発行:共同印刷株式会社

※彩美版は共同印刷株式会社の登録商標です。
※当社が独自に開発したセキュリティシールを証明書に貼付しています。スマートフォンなどで、作品が共同印刷(KP)の発行する真正な複製画であることが判定できます。


詳細につきましては、当社ホームページのお問合せより、またはお電話、FAXにてお問合せください。

お問合せ:
共同印刷株式会社 アート&カルチャー部 
TEL 03-3817-2290 FAX 03-3817-2288

January 27, 2017

仙人の住んだところ、豊島区千早周辺の隠れ家的なスポットを訪ねて。

  東京は豊島区、要町駅からほどなくの千早という地区の住宅街に、熊谷守一の美術館がある。静かな街並を歩いて行くと、突然コンクリート打ちっ放し3階建ての美術館が現れる。正面の大きな壁面には、輪郭を彫り込んで描いたアリ達がおり、その脇に「クマガイモリカズ」とクギで書いたような文字が彫ってある。何とも温かで、この美術館の画家を想わせる素敵な壁画が訪れる人を出迎えてくれる。館内の展示スペースはあまり広くはないが、落ち着いていて、ゆっくりと作品が鑑賞できる。1階は油絵を中心に、掛軸、ブロンズなどが並び、画家が生前使用していた品々も展示されている。2階は墨絵や書を中心に展示。現在3階では熊谷守一の版画が展示されている(〜2017年2月12日まで)。
  熊谷守一は1880年(明治13年)に岐阜県で生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学)西洋画科選科に入学する。二科会などで活動をし、1932年に今の美術館のある、この千早の地に移り住んだ。晩年、文化勲章の受賞が内定をしたが、これを辞退してしまう。その理由の一つは「これ以上、人が来ては困る」という事であった。「画壇の仙人」とも呼ばれた画家は、草木が生い茂り虫や鳥たちが訪れるお気に入りの自宅で、家族と過ごし、傑作を生み出して行く。そしてこの美術館は熊谷守一が住んでいた自宅の跡地に建てられた。
  建物の1階には喫茶室がある。ここには守一のご令嬢で画家の榧(かや)さんの作品も展示してある。以前、北アルプスの燕岳に登って燕山荘に泊まった時に、榧さんの作品が飾られているのを見た記憶が蘇って来た。


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来訪者を迎えてくれる熊谷守一美術館の壁画。


  さて仙境を後にして、池袋方面へ向かう。立教大学の手前の住宅街に、これまたひっそりとチョコレートで有名な「テオブロマ ビス」がある。こちらのショップには店内にカフェスペースがあり、また外のテラスでもランチをいただく事ができる。陽気が良ければテラスでいただくランチのパニーニはとても美味しいが、大寒のころではちょっと厳しい。人気商品、小箱シリーズのチョコレート「ジャリ」を買って帰る。「ジャリ」は、外側のコーティングがカリカリッとした食感で、まさに砂利道を歩く感触。代々木公園を散歩していたときに見つけた砂利を再現して作ったというから、うなずける。


January 20, 2017

ぶらり鎌倉材木座海岸へ


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。


 皆様は鎌倉観光といえば何を思い浮かべるでしょうか?「大仏」「鶴岡八幡宮」「建長寺」「小町通り」など、沢山の見所があります。どこも比較的足を運びやすく、いつ何時に訪れても、多くの人で賑わっています。そのような中、先日私は「材木座海岸」周辺を散策してきました。位置は鎌倉の南東部、ヨットハーバーで有名な逗子マリーナがすぐ隣にあります。初めての鎌倉観光でこの場所を選択する人は少ないかもしれません。鎌倉駅からは少し遠く、アクセスがしにくい場所です。バスも出ていますが、皆様ご存知の通り鎌倉はシーズンによっては大渋滞しますので、鎌倉の街並みを見ながらブラリ散歩の旅をお薦めします。


 材木座海岸という地名は、鎌倉時代に材木取引の場として設置された座があったことに由来しています。また、この海岸では鎌倉時代、宋との貿易港で日本最古の築港でもある和賀江島(わかえじま)があった所で、今でも鎌倉時代の陶片などが発見されたりします。西側にある滑川を挟んでその先の由比ヶ浜まで続く海岸は、昨年大ヒットした映画「シン・ゴジラ」でまさにゴジラが上陸した場所として話題となりました。


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 こちらの海岸から一本内側に入ると「光明寺」があります。光明寺は寛元元年(西暦1243年)に、時の執権北条経時の帰依を受けた浄土宋代三代祖然阿良忠上人により創建されました。現在の本堂は元禄11年(1698年)建立で、国の重要文化財に指定されています。また、ひときわ大きな山門は鎌倉に現存する最大の山門で、見所のひとつとなっています。


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 海岸の国道134号線沿いには、昨年7月に複合施設「材木座テラス」がオープンしました。湘南といえば夏ですが、「年間を通してビーチライフを1日中楽しむ」というのがコンセプトのようです。お洒落なカフェや雑貨店などが入っており、ゆっくり過ごすことができます。私は3階にあるレストランに立ち寄ってみました。お店のスペースの半分近くがテラス席という非常に開放的な造りで、目の前に広がる海を存分に感じることができました。


 材木座エリアは観光客も比較的少なく、非常に静かな場所となっています。のんびり散歩がてら訪れてみてはいかがでしょうか。


January 13, 2017

【新作版画】森田りえ子《お雛あそび》のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。


 寒中お見舞いを申し上げます。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 小寒に入り、いっそうの寒さが加わり「寒の入り」を迎えました。これから冬本番となりますが、どうかお体をご自愛くださいませ。


 さてこの度当社は、日本画家・森田りえ子画伯によるオリジナル版画「お雛あそび」を発売いたしました。エディションは限定100部です。
 ひな祭りは、3月3日の「上巳(じょうし)の節句」「桃の節句」とも呼ばれ、女児のある家で、その幸福と成長を祈って行われる行事です。この作品は本金箔地に凛としたお顔の男雛と女雛が立ち、かたわらに子供を守る狗筥(いぬばこ)が置かれています。そして満開の桃の花がふりそそぎ、雅で和やかな世界が伺えます。


 華やかさと穏やかさに溢れたこの版画は、森田画伯の貴重な作品(オリジナル版画)の一つに数えられるもので京都の老舗版画工房で制作されました。版式はシルクスクリーン(セリグラフ)です。鳥の子和紙に本金箔を手張りし、47版47色を重ねて、鮮やかで微細な色彩表現を実現しました。杉の木目の美しさを引き立たせた浮造り(うづくり)仕上げと近江織金襴の筋回しを施し、作品の世界を華やかに演出しております。


 作品一枚一枚に画伯直筆のサインが入り印章が捺印されます。オリジナル版画として特別に制作された希少性の高い逸品を、是非お手元でお楽しみください。






オリジナル版画
森田りえ子 《お雛あそび 》
限定 100部制作
価格 320,000円+税


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<仕様体裁>
■版画
作者 森田りえ子
題名 お雛あそび
制作 2016年
画寸 425×294㎜
限定 100部
版式 シルクスクリーン
版数 47版47色
用紙 鳥の子和紙、手張り本金箔
署名 作者直筆サイン、印章
工房 K.T.M.printers


■装丁
額縁 杉材浮造り仕上、近江織金襴筋廻し、アクリル付き
額寸 626×480㎜
重量 約2.6㎏


■解説
草薙奈津子(平塚市美術館館長)


■発行
共同印刷株式会社


・本金箔は手張りのため一枚一枚の風合いが異なり、仕上がりは均一ではありません。
・当社が独自に開発したセキュリティーシールを奥付に貼付しています。スマートフォンなどで、作品が当社(KP)が発行する真正な作品であることを判定できます。

January 5, 2017

酉年によせて-バードウォッチングの勧め


 皆様、明けましておめでとうございます。
 本年もよろしく本ブログをご愛顧のほどお願い申し上げますとともに、今年一年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
 さて今年は酉年ということで、鳥に因んだ小話をさせていただきます。


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隅田川のユリカモメ


 以前あることを調べるため、明治16年に作成された小石川の地図を眺めておりましたら、今当社が建つ場所に大きな池のようなものがあることに気づきました。当社が初めて小石川に社屋を構えたのは明治31年(1898)ですから、それ以前のことです。
 特徴のあるその形を以前どこかで見たことがあるように思い暫し考えたところ、千葉県市川市新浜(にいはま)にある宮内庁の御猟場(新浜鴨場)の元溜(もとだまり)と呼ばれる池に酷似していることを思い出しました。すなわち、当社の敷地内にかつて鴨の猟場があったのです。


 江戸時代以来、明治期までの小石川地区は、ほぼ現在の千川通りにあたる場所を流れていた谷端川(やばたがわ/別名「礫川」)を挟んで両側に水田が広がっていました。大型の渡鳥が飛来し越冬する場所であったことから、将軍家の鴨場や鶴場が設けられたとのことです。今では想像できないほど自然豊かな田園地帯だったのです。その面影は小石川植物園に残っています。


 鶴はさておき、鴨は今でも毎年東京に渡ってきます。例えば当社の近くで言えば上野の不忍池は渡り鳥の観察地(探鳥地)として知られています。渡ってくる鴨の種類は年によりその数の割合が異なりますが、近年はアニメの人気キャラクター、ダフィー・ダッグに良く似たキンクロハジロが優勢のようです。その姿ですが、比較的小柄で腹部を除くほぼ全体が黒い羽で覆われており、後頭部には冠羽と呼ばれる飾りのような羽があります。眼の色は黒い羽によく映える黄色。むくむくとして愛らしいその姿は一度観たら忘れられません。


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不忍池のキンクロハジロ


 酉年の今年、バードウォッチングを体験してみてはいかがでしょうか。道具はひとまず倍率7倍前後の双眼鏡と鳥類図鑑があれば十分です。初心者の方には比較的観察が容易な、海辺の鳥たち(鴨や鴫、千鳥、カモメなど)がお勧めです。鳥を観察するところ、探鳥地はもちろんお近くの鳥が観られる場所でよいのですが、東京湾周辺であれば、施設が充実している大田区の東京都立東京港野鳥公園や千葉県習志野市の谷津干潟自然観察センターがお勧めです。どちらも専門のレンジャーが常駐しています。また、高倍率の望遠鏡(フィールドスコープ)が設置されていますので、手ぶらで楽しむことも可能です。


 あなたもキュートな鳥たちの魅力にはまってみませんか。


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野島崎灯台上空を舞うトビ




【東京都立東京港野鳥公園】
東京都大田区東海3-1
電話:03-3799-5031
アクセス:東京モノレール「流通センター」より徒歩15分
入園料:中学生150円、高校生以上370円、65歳以上180円、小学生以下無料
開園時間:2月~10月 9:00~17:00(入園は16:30まで)
     11月~1月 9:00~16:30(入園は16:00まで)
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日または都民の日の場合、翌火曜日休園)
    年末年始


【谷津干潟自然観察センター】
※谷津干潟はラムサール条約登録湿地です。
千葉県習志野市秋津5-1-1
電話:047-454-8416
アクセス:JR京葉線「南船橋駅」または「新習志野駅」より徒歩20分
入館料:高校生以上大人300円、65歳以上150円、中学生以下無料
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は次の平日)、年末年始


※詳細は各施設へお問い合わせください。




【1月10日追記】
1月8日(日)に谷津干潟でバードウォッチングをしてきました。最初は曇り、途中から強い雨となり視界は終始あまり良くありませんでしたが、1時間半ほどの滞在で以下10種の鳥を観ることができました。


ハマシギ、セイタカシギ、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ
オオバン、ユリカモメ、ハクセキレイ、ムクドリ、メジロ
※使用機材:双眼鏡(8×30※)※倍率×対物レンズの口径






-画家の夢見る世界への誘い-
彩美版® 上村淳之 《四季花鳥図》
販売価格 160,000円+税


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※背景の銀色をシルクスクリーンで再現しています。


【仕様体裁】
原画 近畿日本鉄道株式会社所蔵 松伯美術館委託
監修 上村淳之、松伯美術館
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
限定 300部 
画寸 天地25.2cm×左右65cm
額寸 天地41.4cm×左右81cm
重量 約2.3kg
用紙 版画用紙
額縁 特製木製銀泥額、アクリル付(国産、ハンドメイド)
証明 監修者の承認印押印証紙を額裏に貼付
発行 共同印刷株式会社



※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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