December 25, 2015

年の瀬の風物詩~上野アメ横


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。今年も残すところわずかとなってきました。皆様は年越しに向けての準備はいかがでしょうか。東京の年の瀬の風物詩と言えば、「アメ横」を思い浮かべる方は多いでしょう。何気に当社前のバス停から直通で、上野公園行きのバスに乗ればあっという間の所にあります。と言う訳で、私は年末の雰囲気を味わいにアメ横へ行って参りました。

 「アメ横」は戦後の闇市から始まった、長さ400mの商店街です。名称の由来として、当時から様々な物品が売られ、特に飴を売り捌く店が200軒以上あった。またアメリカ進駐軍の放出物資を売る店も多かったことから「アメヤ横丁」と呼ばれ、さらに「アメ横」と略称されることが多くなったと言われているそうです。


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 さて当日は入り口付近ではさほど混雑しておらず、拍子抜けしたのも束の間。奥に進むにつれて混雑具合が増し、生鮮売り場の並ぶたたき売りの声が飛び交う辺りは、かなり混雑していました。魚屋さんの威勢の良いダミ声を聞くと、アメ横にいることを実感します。そして今年は「爆買い」が流行語になるなど外国人観光客の買い物の様子がニュースになっていましたが、アメ横でも外国人の方々がたくさん買い物をしている姿が目につきました。また最近は中国韓国系のお店が増えて、よりアジア色が強くなったような気もします。


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 買い物に夢中になっていると見落としがちですが、商店街の一角に「魔利支天 徳大寺」という 江戸時代から続いている歴史あるお寺があります。 活気ある商店街にいるとは思えないほど静かな場所です。ここのお寺は厄を除いて、運を開く守護神だそうです。買い物の合間のひと時、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。年末最後のお買い物はアメ横へ。活気ある雰囲気を楽しみに訪れてみて下さい。

 それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。

December 18, 2015

【新作】 小倉遊亀《爛漫(らんまん)》のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。12月も半ばに入りそろそろ年末・年越しの季節になってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。外気がポカポカとして10月や11月の様な陽気で冬らしくない日が続きますが、それでも朝晩は冷え込むこの季節、体調を崩しがちになるかと思います。どうぞ皆様、体をご自愛くださいませ。


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 弊社界隈に隣接する小石川植物園内は、この暖かい陽気のせいか色づいた草花が12月でも紅葉を満喫する事ができます。正門から鮮やかな黄色い葉が眩しいイチョウの木。並木道を抜けると紅く艶やかな葉を茂らせたメグスリノキの木が目に留まります。園内は紅葉を楽しんで散策している方も多く、散り積もった落ち葉を踏みながら楽しそうに歩いている親子もいて心和みます。

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20151218komiti.jpg 【小石川植物園のご案内】

正式名称 東京大学大学院理学系研究科付属植物園
     ※国指定名勝及び史跡
所在地  東京都文京区白山3丁目7番1号
電 話  03-3814-0138
FAX  03-3814-0139
入園料  大人(高校生以上)400円
小人(中学生、小学生)130円
開園期間 1月4日~12月28日
休園日  月曜(月曜が祝日の場合はその翌日
月曜から連休の場合は最後の祝日の翌日が休園日)
開園時間 午前9時~午後4時30分(但し入園は午後4時まで)
アクセス ・都営地下鉄三田線 白山駅下車 A1出口 徒歩約10分
     ・東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅下車 出入口1 徒歩約15分
     ・都営バス(上60)大塚駅~上野公園線 白山2丁目下車 徒歩約3分



 さて弊社ではこの度、小倉遊亀《爛漫(らんまん)》の彩美版®を販売開始いたします。この作品は、小倉遊亀の母校の奈良女子大学の講堂の緞帳原画として描かれたました。奈良女子大学の五階から見た若草山の山並みを背景に満開に咲き誇る巨木の桜が描かれ、左の上手に東大寺、右下手に興福寺の五重塔が見え、春の奈良の情景が伺えます。
画面いっぱいに咲きほこる桜は力強く、桜の華やかさと共に凛とした美しさと清さに溢れ画家の思いが込められています。その原画の持つ微妙なニュアンスや画家の筆遣いといった絵の鼓動を当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。

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彩美版®
小倉遊亀 《 爛漫 》

販売価格 200,000円+税
限定250部発行


<仕様体裁>
原 画 国立大学法人 奈良女子大学(京都国立近代美術館寄託)
監 修 有限会社 鉄樹
解 説 柳原正樹(京都国立近代美術館館長)
限 定 250部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 版画用紙(かきた)
額 縁 特注木製シルバー仕上げ、アクリル付き
証 明 著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
画 寸 天地28.4×左右68.0㎝(15号大)
額 寸 天地48.6×左右88.2㎝
重 量 4.3㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


December 11, 2015

墨東の過去・現在・未来-永井荷風と藤牧義夫の視線


 「墨東」と呼ばれる隅田川の東側の地域、すなわち東京スカイツリーが聳える向島や本所・深川には江戸時代以来の運河がいく筋も流れ、そのこには大正末から昭和の初めにかけての震災復興事業で架けられたモダニズム様式による鋼鉄の橋が数多く残っています。

20151211sumidaandskytree.JPG 近未来的な超高層建築の代表とでも言うべき聳え立つ東京スカイツリーを背景として、下町が醸す江戸の残り香と鋼鉄の橋が映すモダン都市東京の残影が重なり合うこの地は、過去・現在・未来が溶け合った独特の風情を漂わせています。多くの芸術家がこの地に魅せられ、作品のモチーフとしました。

 例えば、東京小石川に生まれ育った「墨東奇譚」や「すみだ川」などの小説で知られる作家永井荷風(1879~1959)は、作品を通じて、失われゆく江戸の名残の欠片をひとつひとつ慈しむように拾い集めました。この地をモチーフにした随筆、「深川の散歩」、「元八まん」等では、新しい鋼鉄の橋が次々と架けられ、コンクリートの道路が作られるなど急速に江戸の風情を失いながらモダン都市へと変貌を遂げる東京を描きとどめました。当時五十代半ばであった荷風は、過去・現在・未来を重ね合わせ、その幻視を作品に描き留めた、過去へ向かう時の旅人だったのでしょう。

 一方、昭和初期の画壇に彗星のごとく現れ忽然と消えた天才的版画家、藤牧義夫(1911~1935失踪)もこの地に魅せられた芸術家の一人です。群馬県館林に生まれ育った藤牧は、十六歳で上京しデザイン会社に勤務する傍ら、表現主義的作風の版画作品で画壇に鮮烈な印象を与えました。1935年、弱冠二十四歳で失踪した彼の画業は四十年余り後、画廊「かんらん舎」の大谷芳久氏により再発掘されるまでほぼ忘れ去られていました。活動期間が極めて短いこともあり現存作品はわずかです。

20151211shirahige_bridge.JPG 私がその中で特に注目している作品が「絵巻隅田川」です。奇しくもこの作品は、荷風が随筆「深川の散歩」や「元八まん」を執筆したのと同じ昭和9年(1934)に描かれました。細い墨線による「白描」と呼ばれる技法を用い、白鬚橋から相生橋にかけての隅田川両岸の景色(注)を細部に至るまで克明に描写していますが、一見して見たままをただ写したように見えながら、映画の撮影技法にヒントを得たと思われる驚くべき奇想が隠されています。二十三歳の若き天才画家が胸に秘めた、情熱の火照りを今なお宿すこの絵巻は、一瞬にして私の魂を鷲掴みにしてしまいました。

20151211kiyosu_bridge.JPG 絵巻の冒頭に彼はこう記しています。

 「未来すみだ川 橋の発達によりて
 川の面は何十年後遂に覆はれ昔日のおもかげを
 偲ふ事不可能となるにや、余写生中
 この予感あり、幸いにいまだ橋少なし
 精出して写生を勉むべしとす
 昭和九年十月下旬考  義夫」


 隅田川両岸の景色が新たに架けられたモダンな橋梁により変貌を遂げたように、何十年後の未来は現在の景色を偲ぶことができないほど変化するであろうという予感を抱きつつ、写生に励んだという、制作中の藤牧の心境が書かれていますが、この絵巻を描くに至ったきっかけとなったのは、江戸時代の版画家、歌川豊春と葛飾北斎の作品であったことが指摘されています。

 藤牧もまた過去・現在・未来を重ね合わせた幻視を「絵巻隅田川」という作品に描き留めた時の旅人として、未来へ旅立ったのでしょうか。



(注)白鬚橋から三囲神社までを描いた完成作二巻と浜町公園から相生橋までを描いた試作とも言うべき一巻とに分かれ、前者は東京都現代美術館、後者は館林市立資料館に所蔵されている。


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December 4, 2015

日本の商業デザインのパイオニア「杉浦非水・翠子展」のご紹介~白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館より~


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。紅白歌合戦の出場歌手も発表され、いよいよ年末の気配が感じられてきました。その会場であるNHKホールをはじめ、渋谷には様々なスポットが数多く点在しています。今回のブログでは、渋谷の街の通史やゆかりの文学者に関する貴重な資料を展示している博物館、『白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館』をご紹介いたします。

20151204shibuya_museum.jpg 『白根記念 渋谷区郷土博物館・文芸館』は、昭和45年、区立中央図書館内に設置された「郷土資料室」が前身です。その後、昭和49年に故白根全忠氏から区に寄贈された宅地と邸宅をもとに、区に関する資料の保管・展示の場として利用に供されてきた「白根記念郷土文化館」を全面改築したもので、郷土の歴史と文化を学び、新たな"渋谷らしさ"の創造を目指す施設として平成17年に生まれ変わりました。

 地上2階、地下2階の館内では、渋谷区に関係する歴史・民俗・考古学・文学などがテーマ毎に構成されています。年2~3回の特別展を開催するほか、収蔵資料を検索できる情報コーナーや戦前の住宅再現などのほか、本物の江戸時代の道具や縄文土器に直接触れたり、実際に年度の上に縄文模様を付ける体験も出来ます。

20151204sugiura_flier.jpg 現在は特別展「杉浦非水・翠子展」を開催中。日本の商業デザインの先駆者で、三越やカルピス、地下鉄開通ポスターなどの広告で知られる杉浦非水と、その妻で歌人の翠子は、戦前から戦後にかけ、それぞれの分野で先駆的な活躍をしました。展示では日本の近代の歩みとともに、二人の作品の数々を見ることができます。開催期間は、2016年1月11日(月・祝)まで。

 いつの時代も行き交う人で賑わう渋谷の街並み。現在は渋谷ヒカリエの開業を機に再開発も本格化しています。そこには様々な人による様々な功績があるという歴史背景を知ることで、より一層、渋谷への魅力が深まることでしょう。





【白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館】

住 所 〒150-0011 東京都渋谷区東四丁目9-1
入館料  一般:100円(80円)/小中学生:50円(40円)
    ※(  )内は10名以上の団体料金
    ※60歳以上の人、障害のある人と付き添いの人は無料
会 館 午前11時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 月曜日(休日の場合はその直後の平日)・年末年始
電 話 03‐3486‐2791
交 通 渋谷駅から
    都バス「日赤医療センター行き(学03)」(東口54番) 国学院大学前下車2分
    ハチ公バス「恵比寿・代官山循環」郷土博物館・文学館下車
公式HP http://www.city.shibuya.tokyo.jp/edu/koza/12kyodo/kyodoindex.html

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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