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November 20, 2015

展覧会図録について思う


 皆さんは展覧会に行くと図録を購入されますか?私は気に入った展覧会の図録はだいたい購入するようにしています。この場合、展覧会を見た興奮と勢いで「購入してしまう」と言う方が正しいかもしれません。装丁も、それぞれに凝っていたり、素敵なものが多いので、買ってしまう、というのもあります。

20151120books.jpg たった今、展覧会で目にした素晴らしい作品の数々を、いつでも、何度でも見返すことが出来る!という満足感と共に、分厚〜い図録を揚々と携えて帰ってくるのですが、熱が冷めるのは早いもので、帰って眺めるのはほんの数回で、ましてや解説を含めて隅々まで読み尽くしたものなど一体いくつあったか...いや、無いのではなかろうかと思うのです。私に購入された図録達にとっては悲しい運命です。実家に帰れば、これまでに買い集めた図録が、もはや本棚の中でインテリアの一部と化して、もう何年も開かれることなく寂しげに並んでいます。

 ですが最近、私の中での図録の位置付けが少しだけ変わってきました。この仕事に携わるようになってから、作品調査をする上で貴重な資料となることが、何よりの理由ではありますが、見返すたびに新しい発見があり、また読み物としても面白い本だなぁと思うのです。(何を今さら、と思う方、すみません...)

20151120rinpa.jpg ちなみに最近読んで面白かったのは、京都国立博物館で開催中の「琳派 京を彩る」展の図録です。琳派400年の今年、京都で大いに盛り上がっているこの展覧会に訪問したので、先の例に漏れず厚さ2センチはある図録を購入して帰りました。

 巻頭の河野元昭先生のお話、「琳派私的旅行」は、国宝級の作品を多数収録する雅で重厚感ある図録のイメージとは裏腹に、誠に失礼ながら巻頭にもかかわらずかなりラフな旅行記になっており、図録をみているというよりもちょっとしたエッセイを読んだような楽しさがありました。ともすれば堅苦しくなりがちな本の内容に向かう心を、ゆるく解きほぐしてくれるような効果があって、「琳派」というテーマと自分を少し近づけてくれたように思われました。

 そんなこんなで、最近の私にとって図録は、一過性のものではなく何度でも見返して楽しい、作品や作家と自分を近づけてくれる、そんな存在になってきました。先日実家に帰った際に、久しぶりに過去の図録を開いてみました。展覧会を見たときのことや、自分があの頃何に興味があり、どんな作品が好きだったか、そんなことを少し思い出したり、新たな魅力ある作品を発見したりして、ああ、やっぱり買ってよかったなぁ、と思ったのでした。

 皆さんは購入した図録、どうされていますか?私と同じように本棚に眠っているのであれば、時々は見返してみると、あの美術館にまた行きたいな、またあの人の作品を見てみたいな、と思うものがきっと見つかるかもしれません。



琳派誕生400年記念
特別展覧会「琳派 京を彩る」

会期:平成27年10月10日(土)~11月23日(月・祝)
場所:京都国立博物館


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