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September 18, 2015

Nostalgia for 深谷


20150918fukaya_station.jpg 関東にも凄まじい水害をもたらした台風を中心に、雨が降り続いた週でしたが、ようやく太陽が蘇った休日、高崎線に乗って深谷を訪れました。深谷と言えばレンガの街。深谷駅は東京駅に良く似た赤レンガで覆われ、中心市街地にも古いレンガ造りの建物が残っています。深谷の日本煉瓦製造会社で造られたレンガは東京駅や司法省(現法務省)、日本銀行(旧館)など日本を代表する建物に使用されていたとのことでした。

20150918nanatsuume_yokocho.jpg 深谷の街は休日ということもあってか、非常に静かでのどかです。レトロな骨董屋もあれば若者向けの洒落たコミュニティ・スペースも目にします。旧中山道沿いに古いレンガの煙突が見えてきます。「七ツ梅」という、酒造の煙突で、ここが本日訪れたかった場所です。七ツ梅は江戸時代を代表する銘酒のひとつで、元禄7年(1694年)創業し、以来三百年の歴史を持つ県内1、2を競う老舗蔵元でしたが、2004年廃業、現在は一般社団法人まち遺し深谷が、この施設の保存・運営・管理を行っています。

 敷地内の母屋、店蔵、精米蔵、釜屋の建物があらたに様々な店舗やホールとして活用されています。「とうふ工房」(手作りとうふ)、「深谷宿本舗」(手作りBOXマーケット)、「カフェ七ツ梅結い房」(コーヒー、カレー)「よろずの郷」(木工所)、「鬼義」(鬼瓦工房)などなど個性あるお店が集まっています。店舗はいつも全部開いているわけではなく、この日もいくつか閉まっていました。

20150918fukaya_cinema.jpg そんな中、七ツ梅の中核にあるのが「深谷シネマ」で、風情いっぱいの街の映画館です。この酒造跡に最初にできたのがこの深谷シネマだそうです。上映作品に穏やかな叙情を感じるのは気のせいでしょうか。今回は入りませんでしたが、いずれ是非映画を鑑賞したいと思います。



20150918sugata_syoten1.jpg そして「須方書店」という古書店の店内を物色しました。ギターのBGMが流れ、正面奥に、酒桶の蓋に見える巨大な丸い板が壁を覆っています。興味深い古本もいくつかあり、レコードも置いていました。手に取るのも気後れする和装の古書もあれば、書名は読めないものの装丁のデザインが目を惹く明治時代の古書も置いていました。売る側も買う側も本に接するのを楽しむ空間と感じました。様々な本が置かれる中で、本とは無関係に机上にディスプレイされたオブジェをアートとみるかどうか気になる内装でした。

20150918sugata_shoten2.jpg 古い民家や蔵をあらたに活用する試みはしばしば見られ、私自身とても惹きつけられます。特にこの七ツ梅横丁敷地の建物は極めて古く、歴史的・文化的に興味深い様相で、味わいに溢れていますが、老朽感がシュールすれすれの印象を受ける側面もあります。深谷に息づくノスタルジーの美学を象徴するかの様な濃い空間を体感しました。

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