« 新年、大阪、新世界紀行。 | メイン | 東京都美術館「新印象派」展 »

February 6, 2015

冬の長瀞で山羊に和む


20150206PNB-1253_entrance.jpg 寒風にいたぶられる1月末、季節外れの長瀞に出かけました。シーズンではないため、花園ICも国道も実にすんなりと通り抜けてきました。冬枯れのほんのり赤味を帯びたグレイトーンの山々は雲間から日の光を部分的に浴びて美しい輝きを見せていました。本来ライン下り、カヌー、ラフティングの名所である皆野町。今はひっそりとし、荒川上流の澄んだ水は季節に関わらず連綿と流れているものの、人のいない河原は静かな水音のみが響き、時が静止したかのような落ち着きを覚えました。

20150206tsugumi_zuanten_works.jpg そんな親鼻橋の河原近くに、「PNB-1253」という洒落た名前のブック・カフェ・ギャラリーがありました。ラフな手作り看板や地味めな建物外装が、際どくアート感を滲み出しています。この日は『〈継組図案店〉デザイン工房・継組tsugumi』と称して、アルミパネル、折り紙、テキスタイルなどのデザインを展示していました。作者はたかはしふみこさんという秩父在住のデザイナーだそうです。自然をモチーフにした連続性のあるデザインは形も色彩も非常に高いセンスを感じます。理屈ではない恣意的好みを配慮した図案の本質を見る気がしました。(2月11日まで開催)

20150206PNB-1253_shop.jpg すっきりしたギャラリースペースの奥の、味わいある店内は、リラックス空間そのもの。ブックコーナーは、オーナーの好みの写真集や詩集、少年文学などが置かれ、珈琲を飲みながら好きな本の頁を捲ることができます。自分の書棚のような親近感を覚えました。全面サッシの外は素朴な野と雑木林の風景。その敷地には飼われている山羊くんがのんびりリラックスしていました。彼の存在がこの場所の雰囲気を象徴するかのようです。空には光を浴びた雲がゆっくり流れていました。

20150206butti_the_goat.jpg このギャラリーでは保坂彩樹という写真家の個展がくり返し開催されているようでした。
モノの存在の不可思議を、さり気ない対象を通じてシンプルに捉え、抑制した色調にフィルム現像・手焼きの温もりが加わる独特の作風です。オーナーに尋ねると案の上、保坂氏はオーナーご本人でした。もともと商業カメラマンとして働いていたが芸術表現としての写真に専念すべく2008年に自然豊かなこの地で、このカフェギャラリーを立ち上げ、撮影活動の傍らカフェという人を集める場を営み、作品発表の場にしているとのことでした。写真に用途を持たせて利用したくないという意向の言葉が印象的でした。

 企業カレンダー制作に携わる筆者としては気になり、最後にもし企業カレンダーに作品を起用させてほしいとオファーが来たらどうするか尋ねると、それはそれで嬉しいことなので、企画内容を検討し、納得できればお引き受けしたいということでほっとしました。

 帰りは近くにある「埼玉県立自然の博物館」に寄り、閉館前の短時間にあわただしく鑑賞しましたが、ここはここで意外に面白く、よりじっくり見たいと思いました。



■PNB-1253
住  所 埼玉県秩父郡皆野町大字下田野1253-1
電  話 0494-62-6323
営業時間 11時~19時(冬季は18時30分まで)
定 休 日 水曜日・第一木曜日


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://bijutsu-shumi.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1507

コメントを投稿

※いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前に
このブログのオーナーの承認が必要になることがあります。
承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらくお待ちください。

※お問い合せについては、「お問い合せ」からアクセスしてください。
こちらのコメント欄には個人情報に関する内容は記載しないでください。

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

<   March 2017   >
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
ページの先頭に戻る