February 27, 2015

東京都庭園美術館リニューアルオープン


20150227_ReneLalique_work.jpg 2011年より約3年間という長期間の改修工事を経て、2014年11月、港区白金台の「東京都庭園美術館」がリニューアルオープンしました。四季折々の自然に囲まれた閑静な美術館。私は昔からのファンで再開を心待ちにしておりました。

 「東京都庭園美術館」本館は、香淳皇后の叔父にあたる朝香宮鳩彦王が皇籍離脱までお過ごしになられた邸宅で「旧朝香宮邸」とも呼ばれています。ヨーロッパの装飾様式であるアール・デコ様式を用いて1933年に建てられました。主な部屋の内装基本設計はフランスの装飾美術家:アンリ・ラパンが担当、また正面玄関にある女性像のガラスレリーフや大客室のシャンデリアなどはフランスの宝飾デザイナー兼ガラス工芸家:ルネ・ラリックの作品です。この優雅な装飾がなされた歴史的建造物は建物そのものが美術品と呼べるほど貴重であり、迎賓館などで使用された後、1983年に都立美術館として一般公開が開始されました。

20150227teien_art_museum.jpg 現在は、開館30周年を記念した展覧会『幻想絶佳:アール・デコと古典主義』を開催中です(4月7日(火)まで開催中)。同展は前述の「アール・デコ(1910年代半ばから1930年代にかけてヨーロッパで流行・発展した装飾様式)」をテーマに、古典主義のアール・デコ作家たちのが生みだした幻想とイマジネーション溢れる世界を、家具・磁器・銀器・ガラス・ドレス・絵画・彫刻などを通じて紹介するものです。また、当時のサロンや博物館で行われた生活空間を再現するようなアンサンブル展示をはじめ、植物からの引用や有機的な曲線の「アール・ヌーボー」に対し、直線と円などを組み合わせた幾何学パターンが特徴の「アール・デコ」との相違点に着目した解説映像など、様式の魅力を多角的な展示から観て感じ取ることができる構成になっています。

20150227teien_art_museum_interior.jpg JR目黒駅から徒歩7分、白金台駅から徒歩6分というアクセスしやすい立地にある「東京都庭園美術館」。現在も庭園エリアは工事を行っておりますが、2015年春には随時公開を予定しているそうです。改修された新館には、カフェ「Café du Palais(カフェ ド パレ)」やミュージアムショップ「Noir(ノワール)」も併設され、庭園風景を一望できます。暖かな春のアート散歩としてお薦め。ぜひ一度足を運んでみてください。



東京都庭園美術館
・ 住所 〒108-0071 東京都港区白金台5丁目21番9号
・ 公式HP http://www.teien-art-museum.ne.jp/

February 20, 2015

日本橋人形町界隈とドイツパンの名店


 先日、家内と日本橋人形町界隈を廻ってきました。日本橋人形町は日本橋の東側に位置し、日本橋川と隅田川に囲まれた一帯です。人形町という町名は人形関連の仕事に携わる人々が多く暮らしていたことに由来します。江戸の初めより歌舞伎や人形芝居の小屋、見世物小屋などが立ち並ぶ歓楽街で多くの人々で賑わいました。演劇の殿堂・明治座や安産祈願で有名な水天宮があります。人形町で特に人気なのが「甘酒横丁」で昔ながらの風情を漂わせるお店が数多く軒を連ねています。行列ができる人気の老舗として有名な卵丼の「玉ひで」やすき焼きの「人形町今半」もこのあたりです。

 私たちが人形町を訪れたのは甘酒横丁の少し先、浜町緑道(りょくどう)沿いにあるドイツパンの名店が目当てでした。そのお店タンネさんは都内でも珍しい南ドイツのパン専門店です。1993年創業といいますから今年で22年となります。江戸の風情を色濃く残す人形町界隈とドイツパンのお店は一見変わった取り合わせのようですが、明治時代を思い起こす洋館風の店構えがしっくりと街に馴染んでいました。

 店内には魅力的なパンやクーヘン(ケーキ)が幾種類も並べられ、どれを買おうかと思わず迷ってしまいました。(カタログの写真を数えたらなんと95種類もありました!)またテーブル席(イートイン)が設けられていてドリンクとソーセージなどのプレートと一緒に購入したパンをその場で食べることができます。私たちは独特の酸味が味わい深いライ麦の黒パンを、これまた絶品のハーブ・ソーセージとともに美味しくいただきました。

 タンネさんはスウェーデンのエクスペリエンス・デザイナー、ジョセフィン・ヴァリエ氏が行うプロジェクト「リビング・アーカイヴ」(人と天然酵母を廻るストーリーや知識を交換、共有するアーカイブ)に参加されています。ヴァリエ氏のプロジェクトは2月1日まで六本木の「21_21デザインサイト」で開催された企画展「活動のデザイン」で紹介されタンネさんの天然酵母も出品されていました。会期中に行われた作家を囲むトークイベントには職人さんもコメンテーターとして参加されたとのことです。私がお店に伺った日には出品された天然酵母でつくったパンも販売されていました。

ドイツパンのお店 タンネ
場所 東京都日本橋浜町2-1-5
電話 03-3667-0426
時間 平日8:00~19:00、土8:45~18:00(日曜、祝日はお休み)




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 さて、間もなくお雛祭りですね。今年は琳派四百年の記念イヤーということで琳派がらみの様々な展覧会、イベントが開催されます。そこで当社ラインナップのなかから江戸琳派の祖、酒井抱一が描いたお雛さまをご紹介いたします。

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彩美版®・酒井抱一 《紙雛図》 軸装/額装
販売価格 各90,000円+税


<仕様体裁>
原画 逸翁美術館 所蔵
技法 彩美版®
本紙 特製絹本
証明 奥付に所蔵美術館の承認印を押捺
発行 共同印刷株式会社

■軸装仕様
表装 三段表装
材料 天地:無地
   中廻:焦茶二重蔓牡丹緞子
   風袋・一文字:新金襴
   軸先:為塗り
   箱:柾目桐箱、タトウ付き
画寸 縦70.0cm×横28.2cm
軸寸 縦161.0cm×横44.0cm

■額装仕様
額装 特注木製和額、アクリル付き
画寸 縦70.0cm×横28.2cm
額寸 縦87.5cm×横42.3cm
重量 約2.4kg

※ 「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※ ドイツパンの写真はイメージ画像です。

February 13, 2015

東京都美術館「新印象派」展

20150213tobikan.jpg いつもブログ「美術趣味」をご覧いただき、まことにありがとうございます。2月に入り一段と冷え込んでまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 私は先日、上野の東京都美術館で「新印象派-光と色のドラマ」展に行って参りました。19世紀後半の絵画の革新運動「新印象派」にスポットライトを当て、スーラ、シニャックに始まる運動の流れを時代を追って入念に検証し、20世紀フォーヴィズムの画家マティスにまでつなげる、「色彩表現の変化の軌跡」を仔細にたどった実に気宇壮大な展覧会です。

 モネやルノワール、セザンヌに代表されるフランス印象派は、光のきらめきや色の彩度を追求し、きめ細やかな筆触で自然や風景をキャンバスに描き上げました。その様式を新印象派の画家たちは、光や色彩の科学的理論に基づく点描画として更に発展させました。惜しくも早逝したスーラに代わり、理論家のポール・シニャックを運動のキーマンとし、本展覧会はその運動の生成と発展を多彩な展示作品により、あたかもドラマを見るように巧みに描き上げます。鑑賞者の目の中に混ざるように配置された作品の細密な点が、光と色彩のモニュメントを築き上げるがごとく、私には新印象派の歴史が腑に落ちるように伝わってきました。

20150213neo-impressionism.jpg 中でも注目はやはり、新印象派を牽引したジョルジュ・スーラ(1859‐1891)の作《セーヌ川、クールブヴォワにて》でしょうか。揺れる水面と陽光の移ろいをスタティックに描出し、観るものの佇まいを正すような印象的な作品です。スーラは生来寡作であり、31才の若さで亡くなったため、残された作品は少ないのですが、シカゴ美術館が所蔵する門外不出の《グランドジャット島の日曜の午後》(1886年最後の印象派展出品作)をはじめとして、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《アニエールの水浴》、オルセー美術館の《サーカス》など、どれも質の高い作品ばかりであり、近年改めて注目を浴びている画家のひとりです。


 今話題の展覧会に、皆さまもぜひ足をお運び下さい。




【「新印象派-光と色のドラマ」展】
会 場 東京都美術館
会 期 2015年1月24日(土)から3月29日(日)まで(月曜休室)
時 間 9:30~17:30(金曜は20時まで)




 なお、弊社では文中でも触れたスーラの代表作である、《グランドジャット島の日曜の午後》のアートレリーフ™複製画をお取扱いしております。貴方のお部屋のインテリアとして、大切な方への記念品、贈り物としてお勧めいたします。


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ジョルジュ・スーラ 《グランドジャット島の日曜の午後》
販売価格 50,000円+税

<仕様体裁>
技法 アートレリーフ™※
画寸 M15号
額寸 63.5×83.0cm
重量 4.3kg
額縁 特製木製洋額
原画 シカゴ美術館所蔵
発行 共同印刷株式会社

※アートレリーフ™とは
原画を思わせる絵の具の盛り上がりや筆のタッチを忠実に再現し、キャンバスに仕上げた特殊な複製画です。絵の表面の盛り上がりを直に触ってお楽しみいただけます。


February 6, 2015

冬の長瀞で山羊に和む


20150206PNB-1253_entrance.jpg 寒風にいたぶられる1月末、季節外れの長瀞に出かけました。シーズンではないため、花園ICも国道も実にすんなりと通り抜けてきました。冬枯れのほんのり赤味を帯びたグレイトーンの山々は雲間から日の光を部分的に浴びて美しい輝きを見せていました。本来ライン下り、カヌー、ラフティングの名所である皆野町。今はひっそりとし、荒川上流の澄んだ水は季節に関わらず連綿と流れているものの、人のいない河原は静かな水音のみが響き、時が静止したかのような落ち着きを覚えました。

20150206tsugumi_zuanten_works.jpg そんな親鼻橋の河原近くに、「PNB-1253」という洒落た名前のブック・カフェ・ギャラリーがありました。ラフな手作り看板や地味めな建物外装が、際どくアート感を滲み出しています。この日は『〈継組図案店〉デザイン工房・継組tsugumi』と称して、アルミパネル、折り紙、テキスタイルなどのデザインを展示していました。作者はたかはしふみこさんという秩父在住のデザイナーだそうです。自然をモチーフにした連続性のあるデザインは形も色彩も非常に高いセンスを感じます。理屈ではない恣意的好みを配慮した図案の本質を見る気がしました。(2月11日まで開催)

20150206PNB-1253_shop.jpg すっきりしたギャラリースペースの奥の、味わいある店内は、リラックス空間そのもの。ブックコーナーは、オーナーの好みの写真集や詩集、少年文学などが置かれ、珈琲を飲みながら好きな本の頁を捲ることができます。自分の書棚のような親近感を覚えました。全面サッシの外は素朴な野と雑木林の風景。その敷地には飼われている山羊くんがのんびりリラックスしていました。彼の存在がこの場所の雰囲気を象徴するかのようです。空には光を浴びた雲がゆっくり流れていました。

20150206butti_the_goat.jpg このギャラリーでは保坂彩樹という写真家の個展がくり返し開催されているようでした。
モノの存在の不可思議を、さり気ない対象を通じてシンプルに捉え、抑制した色調にフィルム現像・手焼きの温もりが加わる独特の作風です。オーナーに尋ねると案の上、保坂氏はオーナーご本人でした。もともと商業カメラマンとして働いていたが芸術表現としての写真に専念すべく2008年に自然豊かなこの地で、このカフェギャラリーを立ち上げ、撮影活動の傍らカフェという人を集める場を営み、作品発表の場にしているとのことでした。写真に用途を持たせて利用したくないという意向の言葉が印象的でした。

 企業カレンダー制作に携わる筆者としては気になり、最後にもし企業カレンダーに作品を起用させてほしいとオファーが来たらどうするか尋ねると、それはそれで嬉しいことなので、企画内容を検討し、納得できればお引き受けしたいということでほっとしました。

 帰りは近くにある「埼玉県立自然の博物館」に寄り、閉館前の短時間にあわただしく鑑賞しましたが、ここはここで意外に面白く、よりじっくり見たいと思いました。



■PNB-1253
住  所 埼玉県秩父郡皆野町大字下田野1253-1
電  話 0494-62-6323
営業時間 11時~19時(冬季は18時30分まで)
定 休 日 水曜日・第一木曜日


プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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