December 25, 2015

年の瀬の風物詩~上野アメ横


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。今年も残すところわずかとなってきました。皆様は年越しに向けての準備はいかがでしょうか。東京の年の瀬の風物詩と言えば、「アメ横」を思い浮かべる方は多いでしょう。何気に当社前のバス停から直通で、上野公園行きのバスに乗ればあっという間の所にあります。と言う訳で、私は年末の雰囲気を味わいにアメ横へ行って参りました。

 「アメ横」は戦後の闇市から始まった、長さ400mの商店街です。名称の由来として、当時から様々な物品が売られ、特に飴を売り捌く店が200軒以上あった。またアメリカ進駐軍の放出物資を売る店も多かったことから「アメヤ横丁」と呼ばれ、さらに「アメ横」と略称されることが多くなったと言われているそうです。


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 さて当日は入り口付近ではさほど混雑しておらず、拍子抜けしたのも束の間。奥に進むにつれて混雑具合が増し、生鮮売り場の並ぶたたき売りの声が飛び交う辺りは、かなり混雑していました。魚屋さんの威勢の良いダミ声を聞くと、アメ横にいることを実感します。そして今年は「爆買い」が流行語になるなど外国人観光客の買い物の様子がニュースになっていましたが、アメ横でも外国人の方々がたくさん買い物をしている姿が目につきました。また最近は中国韓国系のお店が増えて、よりアジア色が強くなったような気もします。


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 買い物に夢中になっていると見落としがちですが、商店街の一角に「魔利支天 徳大寺」という 江戸時代から続いている歴史あるお寺があります。 活気ある商店街にいるとは思えないほど静かな場所です。ここのお寺は厄を除いて、運を開く守護神だそうです。買い物の合間のひと時、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。年末最後のお買い物はアメ横へ。活気ある雰囲気を楽しみに訪れてみて下さい。

 それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。

December 18, 2015

【新作】 小倉遊亀《爛漫(らんまん)》のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。12月も半ばに入りそろそろ年末・年越しの季節になってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。外気がポカポカとして10月や11月の様な陽気で冬らしくない日が続きますが、それでも朝晩は冷え込むこの季節、体調を崩しがちになるかと思います。どうぞ皆様、体をご自愛くださいませ。


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 弊社界隈に隣接する小石川植物園内は、この暖かい陽気のせいか色づいた草花が12月でも紅葉を満喫する事ができます。正門から鮮やかな黄色い葉が眩しいイチョウの木。並木道を抜けると紅く艶やかな葉を茂らせたメグスリノキの木が目に留まります。園内は紅葉を楽しんで散策している方も多く、散り積もった落ち葉を踏みながら楽しそうに歩いている親子もいて心和みます。

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20151218komiti.jpg 【小石川植物園のご案内】

正式名称 東京大学大学院理学系研究科付属植物園
     ※国指定名勝及び史跡
所在地  東京都文京区白山3丁目7番1号
電 話  03-3814-0138
FAX  03-3814-0139
入園料  大人(高校生以上)400円
小人(中学生、小学生)130円
開園期間 1月4日~12月28日
休園日  月曜(月曜が祝日の場合はその翌日
月曜から連休の場合は最後の祝日の翌日が休園日)
開園時間 午前9時~午後4時30分(但し入園は午後4時まで)
アクセス ・都営地下鉄三田線 白山駅下車 A1出口 徒歩約10分
     ・東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅下車 出入口1 徒歩約15分
     ・都営バス(上60)大塚駅~上野公園線 白山2丁目下車 徒歩約3分



 さて弊社ではこの度、小倉遊亀《爛漫(らんまん)》の彩美版®を販売開始いたします。この作品は、小倉遊亀の母校の奈良女子大学の講堂の緞帳原画として描かれたました。奈良女子大学の五階から見た若草山の山並みを背景に満開に咲き誇る巨木の桜が描かれ、左の上手に東大寺、右下手に興福寺の五重塔が見え、春の奈良の情景が伺えます。
画面いっぱいに咲きほこる桜は力強く、桜の華やかさと共に凛とした美しさと清さに溢れ画家の思いが込められています。その原画の持つ微妙なニュアンスや画家の筆遣いといった絵の鼓動を当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。是非お手元でお楽しみください。

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彩美版®
小倉遊亀 《 爛漫 》

販売価格 200,000円+税
限定250部発行


<仕様体裁>
原 画 国立大学法人 奈良女子大学(京都国立近代美術館寄託)
監 修 有限会社 鉄樹
解 説 柳原正樹(京都国立近代美術館館長)
限 定 250部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 版画用紙(かきた)
額 縁 特注木製シルバー仕上げ、アクリル付き
証 明 著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印
画 寸 天地28.4×左右68.0㎝(15号大)
額 寸 天地48.6×左右88.2㎝
重 量 4.3㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


December 11, 2015

墨東の過去・現在・未来-永井荷風と藤牧義夫の視線


 「墨東」と呼ばれる隅田川の東側の地域、すなわち東京スカイツリーが聳える向島や本所・深川には江戸時代以来の運河がいく筋も流れ、そのこには大正末から昭和の初めにかけての震災復興事業で架けられたモダニズム様式による鋼鉄の橋が数多く残っています。

20151211sumidaandskytree.JPG 近未来的な超高層建築の代表とでも言うべき聳え立つ東京スカイツリーを背景として、下町が醸す江戸の残り香と鋼鉄の橋が映すモダン都市東京の残影が重なり合うこの地は、過去・現在・未来が溶け合った独特の風情を漂わせています。多くの芸術家がこの地に魅せられ、作品のモチーフとしました。

 例えば、東京小石川に生まれ育った「墨東奇譚」や「すみだ川」などの小説で知られる作家永井荷風(1879~1959)は、作品を通じて、失われゆく江戸の名残の欠片をひとつひとつ慈しむように拾い集めました。この地をモチーフにした随筆、「深川の散歩」、「元八まん」等では、新しい鋼鉄の橋が次々と架けられ、コンクリートの道路が作られるなど急速に江戸の風情を失いながらモダン都市へと変貌を遂げる東京を描きとどめました。当時五十代半ばであった荷風は、過去・現在・未来を重ね合わせ、その幻視を作品に描き留めた、過去へ向かう時の旅人だったのでしょう。

 一方、昭和初期の画壇に彗星のごとく現れ忽然と消えた天才的版画家、藤牧義夫(1911~1935失踪)もこの地に魅せられた芸術家の一人です。群馬県館林に生まれ育った藤牧は、十六歳で上京しデザイン会社に勤務する傍ら、表現主義的作風の版画作品で画壇に鮮烈な印象を与えました。1935年、弱冠二十四歳で失踪した彼の画業は四十年余り後、画廊「かんらん舎」の大谷芳久氏により再発掘されるまでほぼ忘れ去られていました。活動期間が極めて短いこともあり現存作品はわずかです。

20151211shirahige_bridge.JPG 私がその中で特に注目している作品が「絵巻隅田川」です。奇しくもこの作品は、荷風が随筆「深川の散歩」や「元八まん」を執筆したのと同じ昭和9年(1934)に描かれました。細い墨線による「白描」と呼ばれる技法を用い、白鬚橋から相生橋にかけての隅田川両岸の景色(注)を細部に至るまで克明に描写していますが、一見して見たままをただ写したように見えながら、映画の撮影技法にヒントを得たと思われる驚くべき奇想が隠されています。二十三歳の若き天才画家が胸に秘めた、情熱の火照りを今なお宿すこの絵巻は、一瞬にして私の魂を鷲掴みにしてしまいました。

20151211kiyosu_bridge.JPG 絵巻の冒頭に彼はこう記しています。

 「未来すみだ川 橋の発達によりて
 川の面は何十年後遂に覆はれ昔日のおもかげを
 偲ふ事不可能となるにや、余写生中
 この予感あり、幸いにいまだ橋少なし
 精出して写生を勉むべしとす
 昭和九年十月下旬考  義夫」


 隅田川両岸の景色が新たに架けられたモダンな橋梁により変貌を遂げたように、何十年後の未来は現在の景色を偲ぶことができないほど変化するであろうという予感を抱きつつ、写生に励んだという、制作中の藤牧の心境が書かれていますが、この絵巻を描くに至ったきっかけとなったのは、江戸時代の版画家、歌川豊春と葛飾北斎の作品であったことが指摘されています。

 藤牧もまた過去・現在・未来を重ね合わせた幻視を「絵巻隅田川」という作品に描き留めた時の旅人として、未来へ旅立ったのでしょうか。



(注)白鬚橋から三囲神社までを描いた完成作二巻と浜町公園から相生橋までを描いた試作とも言うべき一巻とに分かれ、前者は東京都現代美術館、後者は館林市立資料館に所蔵されている。


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December 4, 2015

日本の商業デザインのパイオニア「杉浦非水・翠子展」のご紹介~白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館より~


 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。紅白歌合戦の出場歌手も発表され、いよいよ年末の気配が感じられてきました。その会場であるNHKホールをはじめ、渋谷には様々なスポットが数多く点在しています。今回のブログでは、渋谷の街の通史やゆかりの文学者に関する貴重な資料を展示している博物館、『白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館』をご紹介いたします。

20151204shibuya_museum.jpg 『白根記念 渋谷区郷土博物館・文芸館』は、昭和45年、区立中央図書館内に設置された「郷土資料室」が前身です。その後、昭和49年に故白根全忠氏から区に寄贈された宅地と邸宅をもとに、区に関する資料の保管・展示の場として利用に供されてきた「白根記念郷土文化館」を全面改築したもので、郷土の歴史と文化を学び、新たな"渋谷らしさ"の創造を目指す施設として平成17年に生まれ変わりました。

 地上2階、地下2階の館内では、渋谷区に関係する歴史・民俗・考古学・文学などがテーマ毎に構成されています。年2~3回の特別展を開催するほか、収蔵資料を検索できる情報コーナーや戦前の住宅再現などのほか、本物の江戸時代の道具や縄文土器に直接触れたり、実際に年度の上に縄文模様を付ける体験も出来ます。

20151204sugiura_flier.jpg 現在は特別展「杉浦非水・翠子展」を開催中。日本の商業デザインの先駆者で、三越やカルピス、地下鉄開通ポスターなどの広告で知られる杉浦非水と、その妻で歌人の翠子は、戦前から戦後にかけ、それぞれの分野で先駆的な活躍をしました。展示では日本の近代の歩みとともに、二人の作品の数々を見ることができます。開催期間は、2016年1月11日(月・祝)まで。

 いつの時代も行き交う人で賑わう渋谷の街並み。現在は渋谷ヒカリエの開業を機に再開発も本格化しています。そこには様々な人による様々な功績があるという歴史背景を知ることで、より一層、渋谷への魅力が深まることでしょう。





【白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館】

住 所 〒150-0011 東京都渋谷区東四丁目9-1
入館料  一般:100円(80円)/小中学生:50円(40円)
    ※(  )内は10名以上の団体料金
    ※60歳以上の人、障害のある人と付き添いの人は無料
会 館 午前11時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 月曜日(休日の場合はその直後の平日)・年末年始
電 話 03‐3486‐2791
交 通 渋谷駅から
    都バス「日赤医療センター行き(学03)」(東口54番) 国学院大学前下車2分
    ハチ公バス「恵比寿・代官山循環」郷土博物館・文学館下車
公式HP http://www.city.shibuya.tokyo.jp/edu/koza/12kyodo/kyodoindex.html

November 27, 2015

映画祭の季節 ―第2回広島国際映画祭―


20151127hiroshima_movie_fes.JPG 日ごとに寒気加わる時節となりました。今年も残すところあとひと月です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 10月には、山形(山形国際ドキュメンタリー映画祭)、京都(京都国際映画祭)そして東京(東京国際映画祭)で国際色豊かな映画祭が執り行われました。現在、東京ではアジア映画を中心に特集が組まれた≪東京フィルメックス≫が有楽町で行われております。

 そこで今回は、昨年よりスタートし今年は更に充実した特集プログラムが組まれた≪第2回広島国際映画祭≫をご紹介いたします。

20151127hiroshima_movie_fes2.JPG 復興と希望の象徴である街、広島を舞台に世界一の映画祭を目指すと高らかにに宣言する≪広島国際映画祭≫。 第1回の昨年は広島県出身の映画監督・長谷川和彦にスポットを当て本格映画祭へのスタートを切り注目を集めました。

 バージョンアップした本年は、国外の映画祭で話題となっている作品の日本プレミアから、いま勢いのある日本の若手監督たちの特集上映、シネフィルの殿堂シネマテーク・フランセーズとの初の協賛企画に、質の高い作品を集めた短編映画のコンペティションなど注目のプログラムが目白押し。他にも広島出身の人気アーティストPerfumeのドキュメンタリー作品や、広島に因んだ作品の上映など関連ゲストも交え、新しい発見と出会いのある賑やかな映画祭となりました。

 中でも、ドキュメンタリーとフィクションの間を往還する不思議なテイストのポルトガル映画、ミゲル・ゴメス監督作品『アラビアン・ナイト』全三部作(日本プレミア)と、「今後20年間上映されることはない」(主催者言)という大変貴重な上映に立ち合うことができた、究極のプライヴェート・フィルム、フイリップ・ガレル監督作品『水晶の揺籠』(国内初上映)、人気俳優の染谷将太主演、古代魚ポリプテルス・エンドリケリーが実に印象的な濱口竜介監督作品『不気味なものの肌に触れる』(短編2013年制作)の三作が、私にとって特筆すべき収穫でした。

20151127hiroshima_movie_fes3.JPG 私自身広島を訪れるのも何十年振りかのことでしたので、映画祭を楽しむ傍ら、限られた時間ではありますが活気ある広島の市内を探索し、過去と現在が共存する広島の街のさまざまな表情を新たに発見することが出来ました。それは先人たちが生きた証、今を生き抜くため力、人と人との絆・・・。

 結びに、これからの期待も込めて≪広島国際映画祭≫には、地方都市開催の国際映画祭として優れて評価の高い≪山形国際ドキュメンタリー映画祭≫にも負けない、強い個性と革新的な魅力、ポジティブな力を国内外に発信していってもらいたいと思います。

※写真:上から、①②映画祭会場風景 ③平和通りのイルミネーション

≪第2回広島国際映画祭映画祭≫
会期:11月20日(金)~23日(月)
会場:NTTクレドホール、広島市映像文化ライブラリー他
次回映画祭(第3回)開催は平成28年を予定。

≪第16回東京フィルメックス≫
会期:11月21日(土)~12月4日(金)
会場:11月21日(土)~29日(日)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇
   11月28日(土)~12月4日(金)有楽町スバル座(「特集上映ツァイ・ミンリャン」)
詳しくは http://www.filmex.net

    


November 20, 2015

展覧会図録について思う


 皆さんは展覧会に行くと図録を購入されますか?私は気に入った展覧会の図録はだいたい購入するようにしています。この場合、展覧会を見た興奮と勢いで「購入してしまう」と言う方が正しいかもしれません。装丁も、それぞれに凝っていたり、素敵なものが多いので、買ってしまう、というのもあります。

20151120books.jpg たった今、展覧会で目にした素晴らしい作品の数々を、いつでも、何度でも見返すことが出来る!という満足感と共に、分厚〜い図録を揚々と携えて帰ってくるのですが、熱が冷めるのは早いもので、帰って眺めるのはほんの数回で、ましてや解説を含めて隅々まで読み尽くしたものなど一体いくつあったか...いや、無いのではなかろうかと思うのです。私に購入された図録達にとっては悲しい運命です。実家に帰れば、これまでに買い集めた図録が、もはや本棚の中でインテリアの一部と化して、もう何年も開かれることなく寂しげに並んでいます。

 ですが最近、私の中での図録の位置付けが少しだけ変わってきました。この仕事に携わるようになってから、作品調査をする上で貴重な資料となることが、何よりの理由ではありますが、見返すたびに新しい発見があり、また読み物としても面白い本だなぁと思うのです。(何を今さら、と思う方、すみません...)

20151120rinpa.jpg ちなみに最近読んで面白かったのは、京都国立博物館で開催中の「琳派 京を彩る」展の図録です。琳派400年の今年、京都で大いに盛り上がっているこの展覧会に訪問したので、先の例に漏れず厚さ2センチはある図録を購入して帰りました。

 巻頭の河野元昭先生のお話、「琳派私的旅行」は、国宝級の作品を多数収録する雅で重厚感ある図録のイメージとは裏腹に、誠に失礼ながら巻頭にもかかわらずかなりラフな旅行記になっており、図録をみているというよりもちょっとしたエッセイを読んだような楽しさがありました。ともすれば堅苦しくなりがちな本の内容に向かう心を、ゆるく解きほぐしてくれるような効果があって、「琳派」というテーマと自分を少し近づけてくれたように思われました。

 そんなこんなで、最近の私にとって図録は、一過性のものではなく何度でも見返して楽しい、作品や作家と自分を近づけてくれる、そんな存在になってきました。先日実家に帰った際に、久しぶりに過去の図録を開いてみました。展覧会を見たときのことや、自分があの頃何に興味があり、どんな作品が好きだったか、そんなことを少し思い出したり、新たな魅力ある作品を発見したりして、ああ、やっぱり買ってよかったなぁ、と思ったのでした。

 皆さんは購入した図録、どうされていますか?私と同じように本棚に眠っているのであれば、時々は見返してみると、あの美術館にまた行きたいな、またあの人の作品を見てみたいな、と思うものがきっと見つかるかもしれません。



琳派誕生400年記念
特別展覧会「琳派 京を彩る」

会期:平成27年10月10日(土)~11月23日(月・祝)
場所:京都国立博物館


November 13, 2015

タイムスリップ-大正浪漫


20151113TanakaHouse1.jpg 秋の気配を徐々に心身に感じる11月初旬、川口市にある「旧 田中家住宅」を訪れました。ここは以前来たことがあり、そのとき強い印象を受け、是非再度見てみたい場所でした。一言でいえば大正時代の和洋折衷による邸宅で、国の有形文化財に登録されています。これほど見ごたえのある古い時代の文化財に気軽に入り込めるのは大きな魅力だと思います。

 田中家は麦麹味噌の醸造業と木材商で財を築き、四代目田中徳兵衛によってこの邸宅が建てられました。大正13年(1923)に完成した木造煉瓦造3階の洋館、昭和9年(1934)に増築した和館の他、茶室、池泉回遊式庭園などで構成されています。塔のようにそびえる洋館の外観は独特の様相で、その存在感を示しています。重みのある茶褐色のレンガに緑青の青味とアーチのついた白色系の窓枠が映える色彩、よく見ると重厚なシンボルが施された意匠など、荘厳で重厚な美しさです。

20151113TanakaHouse2.jpg 内部はまた秀逸でした。全部については語れませんが、いくつか挙げます。洋館1階の玄関は大きな神棚のスペースがあり目を惹きます。優雅な応接室の隣に来客用玄関があり、そこには美しいステンドグラスが設置されています。2階は階段の上に書斎や段差のある蔵があり、和館の2階にもつながっているようで、趣ある和室が隣接し、迷路のような幻想感。眺望を重視し、3階に大広間があります。いずれも年代物の美しい調度品に彩られています。アールデコ風の照明も見逃せないポイントです。目を惹いたのは、階段のスペースにある、部屋と部屋をつなぐバルコニーのような踊り場。残念ながら非公開場所につながっておりそこには立てませんが、何に使ったのか不思議な造りに感じました。

20151113TanakaHouse3.jpg 1階に降りて和館に行くと、日本間は全37畳で、やはり贅をつくしたことがうかがえる本格的な数奇屋造。障子の桟のラインもきれいですが、思わず見入ったのは、桂月山人と記された松林桂月の絵を掘った桐の欄間や、額装されているいくつかの桂月の山や植物の水墨画作品です。本物?と感嘆させられました。邸宅を出て、中心に池をもつ庭園を回ってみると、よく整備されて落ち着きのある庭で、庭そのものだけでなく、ここから見た邸宅の外観も美しい光景です。離れの茶室は戦後作られた比較的新しい建物で、和館の日本間とともに現在も茶会や句会などに利用されています。

20151113TanakaHouse4.jpg 時代を反映した意匠を施した建築物には限りない魅力を感じます。建物という空間の中に入り込むと、その時代にタイムスリップしたようにも感じられ、その時代の人たちの生活や視線を想い、深い感慨を覚えます。この旧田中家はその醍醐味をたっぷり味わわせてくれる場所でした。



国登録有形文化財
旧 田中家住宅 (川口市立文化センター分館)

所在 埼玉県川口市末広1-7-2   
問い合わせ 文化財センター TEL 048-222-1061
公開時間 9時30分~16時30分
休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合は、その直後の平日)
    祝日の翌日(その日が休日または月曜日の場合は、直後の平日)
    年末年始(12月29日~1月3日)
入場料 一般 個人200円 団体1人160円
    小・中学生 個人50円 団体1人40円

November 6, 2015

ジョゼフ・コーネルの部屋を訪れた事

 
 コーネルの箱が好きである。


 ジョゼフ・コーネルは、1903年にニューヨークの裕福な家庭に生まれた。しかし父を亡くすと、家族を養うために学業を辞め織物会社で働かなければならなくなった。そして彼は家の地下室をアトリエにして箱を作り始めた。

 彼の箱は蚤の市ででも買って来た様な古びた外装で、中にはコルク玉、女優のブロマイド、図鑑から切り抜かれた動物たち、割れたグラス、地図、貝殻などが並べられている。彼の箱は言うなればガラクタのいっぱい詰まった、あるいは、それすらあまり入っていない箱である。彼の作品を目にして2秒で立ち去る人もいるが、私はそれをずっと見ていたい。彼の箱の前に立つと、既になくなってしまったチョコレートの箱の匂いを嗅ぐような、甘い寂寥感を感じる。私は中でもホテルシリーズの様なモチーフが少ないものが好きである。箱(=部屋)の中にある、かすかな手がかりから隠れた物語を探すのである。空っぽのホテルの部屋で数時間前に起こった事件を想像し、ずっと昔に起こったホテルの歴史に想いを馳せてみる。

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© OSAMU INOUE, 2015
自宅の風呂場をコーネル風にしてみた...



 千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で現在開催中の「絵の住処(すみか)--作品が暮らす11の部屋--」(2016年1月11日まで)で、ジョゼフ・コーネルの作品が見られるというので訪れる事にした。今回は立体、平面含め16点もの作品が、展示されている。「ジョセフ・コーネルの部屋」と題された一室には彼の作品だけが展示されている。その中の一つに《無題(ピアノ)》があった。箱の内側に楽譜が貼ってあり、3段に仕切られた棚には楽譜を貼付けたマッチ箱の様なものが置いてある。そして甘く切ないオルゴールの音色がエンドレスで聞こえて来る。元はモーツアルトの「ピアノ・ソナタ ハ長調(K.545)」が奏でられたそうだが、音楽に全く造詣がない私には、それかどうかわからない。しかし国内にこれだけの数のコーネルのコレクションを持っているとは、実にすばらしく、ありがたい事である。コーネルの箱をまだご覧になられた事がない方は、是非この機会に彼の部屋を訪れていただきたい。ただ彼の箱の世界に閉じ込められて、出られなくならない様にご注意いただきたい。

 ちなみにコーネルについての書物で、私のお気に入りは以下。「コーネルの箱」(チャールズ・シミック著、柴田元幸訳、株式会社文藝春秋発行)は、コーネルの箱の写真とシミックの幻想的な詩とが織りなす、まさに迷宮的世界で逸品。洋書の「Joseph Cornell : Navigating the Imagination」(Lynda Roscoe Hartigan著)は彼の作品がたっぷりと掲載されている。

 さて彼の部屋に長居をしすぎたため、少々コーネル疲れを起こした。隣接するレストラン「ベルヴェデーレ」で昼食を取る事にする。ここでは千葉の地のものを取り入れた料理をいただける。美術館のレストランに相応しく、前菜の盛り合わせの皿は画家のパレットの様にカラフルで、出て来る品々が皆目で見て美しく、そして美味しい。窓からは緑に囲まれた池の景色が楽しめる。ただし休日のランチは混雑するので、早めに入った方が良さそう。

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© OSAMU INOUE, 2015
レストランの窓から、樹々に囲まれる池を眺める



 食後に池の畔で一休みする事にする。池には白鳥が居る。白鳥というものは翼を広げて立ち上がる(元から二本足で立っているが)とかなり大きい。鳴き声も騒がしく威圧的とまで言える。一羽がこちらに向かって迫って来る。白鳥に追われ引き上げる事にした。


 尚、DIC川村記念美術館と言えば、マーク・ロスコの部屋(心臓の中の様に赤い)やフランク・ステラの部屋(体育館の様に広い)も、とてもすばらしいです。



【DIC川村記念美術館のご案内】

所在 千葉県佐倉市坂戸631番地
電話 0120-498-130(フリーダイヤル)
開館 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館 月曜日、但し祝日の場合は開館し翌平日休館
   年末年始、展示替期間
料金 その時の展示内容により変わります。
   詳細は美術館へお問い合わせください。
交通 ◆JR佐倉駅より
   南口の「DIC川村記念美術館バス停」より無料送迎バスあり(乗車約20分)
   ◆京成成佐倉駅より
   南口の「シロタカメラ」前より無料送迎バスあり(乗車約30分)

October 30, 2015

こみちの先に~山口蓬春記念館


20151030Alley.JPG いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。爽やかな秋晴れの日、葉山の方へ足を運びました。海沿いの道を進み、御用邸の手前一色海岸付近までくると、意識することもなく海側に立派な建物「神奈川県立近代美術館 葉山館」が見えてきます。

 しかし、今回の目的地はそちらではありません。その反対側、山側の電柱を意識しなければ分からないくらい控えめに、「山口蓬春記念館」の案内があります。今回の目的地です。しかし、ぱっと見る限りそれらしい建屋は見えません。すると「蓬春こみち」の看板が目に入り、車も入れない所を案内のまま道なりに進みます。開けた場所に「山口蓬春記念館」の入り口が見えてきます。一歩入った瞬間から静かな雰囲気、そしてよく手入れのされているお庭の先に立派な日本邸宅が現れます。

20151030HoshunYamaguchi_Memorial_Hall2.JPG 記念館は先生が昭和46年77歳で亡くなるまで、23年間を過ごしたご自宅が改装されています。受付を済ませると記念館の案内とともに、なんとお菓子を貰いました。これは後でのお楽しみです。玄関で靴を下駄箱へ納め、スリッパに履き替えて入場します。建屋としては大変立派なのですが、美術館の感覚で入ると少しこじんまりしています。しかしそれが良く、まるで本当にご自宅にお邪魔しているような感覚に陥ります。

20151030HoshunYamaguchi_Memorial_Hall1.JPG 展示スペースは、小さな展示室が3室ほど。そして、後は建屋そのものの見学です。各部屋に大きな窓ガラスがあり、お庭を眺めることができます。画室には画材がそのままおいてあり、あたかも今もそこで制作が行われているような印象を受けます。

 別館には一度スリッパを脱ぎ、外履きに履き替えて向かいます。2階に喫茶スペースがあり、コーヒーやお茶を無料で楽しめます。入館時に貰ったお菓子をいただき、窓の外に見える葉山の海岸を眺めると落ち着きます。大変居心地がよく、いつまでも留まっていたいと思える至福のひとときでした。




【山口蓬春記念館のご案内】

所在 神奈川県三浦郡葉山町一色2320
電話 046-875-6094
開館 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館 毎週月曜日(祝日・休日の場合は開館し翌日休館)
   展示替え期間、館内整備日、年末年始
料金 一般600円、高校生以下無料(団体割引等もあります)
   年間入館券1,800円
交通 ◆JR「逗子駅」より
   京浜急行バス3番乗り場
   「海岸回り葉山行(逗12)」または
   「海岸回り福祉文化会館行(逗11)」乗車(約18分)、
   「三ヶ丘・神奈川県立近代美術館前下車」下車 徒歩2分

   ◆京急「新逗子駅」より
   南口2番乗り場
   「海岸回り葉山行(逗12)」または
   「海岸回り福祉文化会館行(逗11)」乗車(約18分)、
   「三ヶ丘・神奈川県立近代美術館前下車」下車 徒歩2分
   ※土日、休祝日は大変混み合いますのでご注意ください。

※より詳しい情報につきましては、山口蓬春記念館へお尋ねください。


October 23, 2015

密やかに咲く


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。朝晩の冷え込みと富士山の初冠雪の便りを聞くと、冬の到来も間もなくであることを意識いたします。体調を崩しやすい季節でもあり、皆様どうぞご自愛くださいませ。



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 このところ秋晴れの爽やかな天候が続いていますが、散策の途中に立ち寄ったお寺の境内で、密やかに咲く山茶花(さざんか)が目に留まりました。瑞々しい青い葉の間から清楚に咲く花に凛とした空気が漂っていました。寒くなると花木に触れる機会が少なくなりがちではありますが、季節ならではの楽しみ方がありますね。

 さて今回は、当社彩美版®のラインナップのなかから小倉遊亀の《山茶花》をご紹介いたします。静謐な画調の中から瑞々しい感性と凛とした精神性が感じられる逸品です。


小倉遊亀 《山茶花》
彩美版®、軸装・額装
販売価格(各) 180,000円+税


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●額装仕様


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●軸装仕様


<仕様・体裁>
監修 鉄樹
解説 細野正信(美術史家)
原画 滋賀県立近代美術館所蔵
技法 彩美版®、シルクスクリーン
装丁 軸装・額装
限定 300部発行

<軸 装>
軸装 三段表装、柾目桐箱付
画寸 天地47㎝×左右53㎝
軸寸 天地143㎝×左右73㎝

<額 装>
額縁 木製金泥箔仕上げ、アクリル付
画寸 天地47㎝×左右53㎝
額寸 天地63㎝×左右70㎝
重量 約3.2kg




【今日の谷根千】

地下鉄「千駄木駅」近くにある森鴎外記念館の情報です。
現在、以下の特別展が開催されています。


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特別展 「ドクトル・リンタロウ―医学者としての鴎外」

文京区立 森鴎外記念館
所在 東京都文京区千駄木1-23-4
電話 03-3824-5511

会期 2015年10月3日(土)~12月6日(日)
休館 10月27日(火)、11月24日(火)
時間 10:00~18:00(入館は17時30分まで)
※11月6・7・8日(金土日)は20時まで開館(入館は19時30分まで)
料金 一般500円(20名以上の団体は400円/人)
   中学生以下は無料


October 16, 2015

紅葉の季節を迎える小石川後楽園


20151016entrance.jpg いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。弊社の所在地である文京区小石川付近には、東京ドーム、ラクーア、小石川植物園など様々な施設や観光名所があります。その中でも今回は、都内屈指の美しい紅葉名所として知られる「小石川後楽園」を"一足早く"ご紹介いたします。

 小石川後楽園は江戸時代初期に水戸徳川家の江戸上屋敷内につくられた築山泉水回遊式(池を中心にした回廊型の造り)の日本庭園(大名庭園)であり、国の特別史跡及び特別名勝に指定されている都立公園です。
 寛永6年(1629)初代藩主頼房が庭の造営に着手し、二代光圀に引き継がれました。園名は中国・北宋時代の文人、范仲淹(989~1052)が著した『岳陽楼記』中の一節「天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(先憂後楽)」に因んで光圀が命名したそうです。

20151016kourakuen_park.jpg 7万平方メートル以上の広大な園内には、梅、松、桜、ツツジ、花菖蒲、稲、ススキなど数多くの植物が植えられ、四季を通じて情緒溢れる景色が広がっています。今の季節は写真の通り緑豊かな木々に囲まれている様子ですが、11月に入るとイロハモミジやハゼ、ケヤキ、イチョウなどが紅葉し、通天橋や紅葉林などの紅葉が緻密に計算された園内に所狭しと趣深く色づきます。特に、京都・嵐山を再現した大堰川付近は、多くの木々が色づく絶景ポイントとなります。

20151018maccha_tea.jpg 歩き疲れたら、園内にあるお食事処『涵徳亭美都屋(かんとくていみとや)』へ。ランチのお弁当だけでなく、甘味やお茶、お酒もあるので、天下の庭園を眺めながらのんびりと過ごすこともできます。間もなく紅葉の季節。この名園で美しく長閑な時間をお過ごし頂ければ幸いです。



※「小石川~」と冠したのは、岡山の「後楽園」と区別する為です。隣接する野球場はその名にちなみ『後楽園球場(現:東京ドーム)』と名づけられました。



【都立小石川後楽園】

所在地 東京都文京区後楽1-6-6
電 話 03-3811-3015
入 園 9:00~16:30(閉園17:00)
休 園 年末年始(12月29日~翌年1月1日)
入園料 一般:300円、65歳以上:150円
    小学生・都内中学生は無料。
    その他、団体割引有。
交 通 後楽園駅(丸ノ内線・南北線)より徒歩8分
    飯田橋駅(JR、大江戸線・東西線・有楽町線・南北線)より徒歩8分


October 9, 2015

秋を探して-田園を巡る旅


 早や10月、季節が深まってきましたね。当社周辺の銀杏並木もほんのりと色づいてまいりました。今年は10月8日が二十四節気の「寒露」にあたり、晩秋の始まりの日です。夏の喧騒のなごりは消えて、ついこの間までの暑さがうそのように朝晩少し肌寒さを覚えるようになりました。移ろい行く季節に柄にもなく、ふと感傷的気分が心を去来したりします。

20151009OOTANBA_chestnut.jpg 秋は実りの季節、豊かな自然の恵みが嬉しくて、食いしん坊揃いの我が家では今、柿や梨、みかん、栗など沢山の秋の果実が食卓を彩っています。写真は「大丹波」という、一粒が普通の三倍ほどもある大きな栗です。
 9月末の休日に、この「大丹波」を求めて、いつものように自転車で千葉県の印旛地方へ出かけてきました。あいにく前日までは雨で、当日もどんよりとした曇り空でしたので、久しぶりの谷津道はところどころ泥濘んでいました。帰宅してから自転車にこびりついた泥を拭い落とすのが大変でしたが、澄んだ田園の空気を思いっきり肺の奥底まで吸い込みながら、気持ちよく走ることができました。

20101009autumn_countryside.jpg 印旛へ行くにあたり、気がかりなことがひとつありました。今年9月10日から11日にかけて、関東や東北地方を襲った豪雨の被害です。
 利根川の下流域、印旛沼から霞ヶ浦にかけては「香取の海」と呼ばれた、古の広大な内海のなごりです。そのため土地が低くかつては大雨のたびに印旛沼が溢れて洪水を引き起こしていました。
 今回の豪雨の際は、印旛沼周辺では大規模な洪水は起きませんでしたが、付近の稲田は冠水したところもあったようで、収穫直前の黄金色に実った稲穂が、無残にもすべて倒れ伏す様子が確認されました。

20151009Shinkawa_river.jpg この日は家を出た時刻が遅く、買い物を終えてから直ぐに帰らねばなりませんでしたので、翌週末に改めて、爽やかに晴れた空のもと、印旛から利根川まで往復約100kmの道を走ってみました。
 田んぼの傍らを流れる新川はもとの穏やかな容貌を取戻し、美しい秋空を映しつつゆったりと流れていました。土手に沿って植えられた河津桜の並木は既に大方葉を落とし、春の華やかな川辺と同じ場所とは信じられないくらい、寒々とした景色に変わっていましたが、群れ飛ぶ赤とんぼや土手を跳ねるトノサマバッタなどの虫たちが、無数に息づく小さな命の存在を実感させてくれました。

20151009Persimmon.jpg 空はすっきりと晴れ渡り、美しく繊細な絹雲がかかっていました。秋空の青さは夏の青とは明らかに異なるほんのりと白を混ぜたような柔らかな青です。そこに純白の絹糸の束を浮かべたかのような、しみじみと心に沁み入る秋空の風情は、私がこの季節を愛する所以のひとつです。
 農家の庭先で見つけた小さな秋。たわわに実る柿の実の艶やかな橙色が青空に照り映えていました。思わず自転車を止めて見入ってしまいました。

 田園の美しさは、先祖代々その土地に根ざして暮らす人たちの日々の営みが自然とともに創り上げてきたものです。季節や日々の天候の変化、植物の成長などによって毎日異なる様相を見せるその景色は、例え毎週通ったとしても味わい尽くすことは出来ません。

20151009Inbanuma_lake.jpg 美しい景色に見惚れてゆっくり走りすぎたようです。利根川の畔に到着した頃には既に午後3時を回り、陽は大分西に傾いていました。印旛沼から流れ出た長門川が利根川に注ぐ河口堰の傍らで遅い昼食を摂った後、少しペースを速めて長門川沿いの道を遡り上印旛沼に出ました。湖畔では薄に良く似た葦の穂が、夕方の日の光を受けて銀色に輝いていました。

20151009sunset.JPG 当初は甚兵衛大橋の袂を抜け、印旛捷水路沿いの自転車道を使い佐倉城近くの下印旛沼へ出ようと考えていたのですが、予定を切り上げ家路を急ぎました。
 田んぼの真ん中を貫く小さな野川に沿った細道を急ぎ走るうちについに日が落ちてしまいました。周囲に人口の明かりは一切設置されておらず、唯一の灯りは自転車の頼りない小さなライトのみ、数メートル先の路面も全く見えずいささか心細い思いをしました。
 ようやく家に辿り着いたころには、とっぷりと暮れていました。それでも久しぶりの田園の旅は、私の心を暖かく満たしてくれました。


October 2, 2015

東京都美術館で「モネ展」開催中


 いつもブログ「美術趣味」をご覧いただき、まことにありがとうございます。10月に入りやっと秋らしくなってまいりました。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。私は先日、上野の東京都美術館で「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」に行って参りました。

 ルノワールと人気を二分する印象派の巨人、クロード・モネ(1840-1926)。パリのマルモッタン・モネ美術館には画家が最期まで手元に置いた貴重な作品の数々が所蔵されています。十代で描いた風刺絵-地元で大変な人気を得てモネは画家として立つ自信を得た-、画家の没後に発見された家族の肖像画、モネが集めた同時代の画家たちの作品-ルノワールが鉛筆で描いたリヒャルト・ワーグナーの肖像はワグネリアン必見!-等々、モネの人生や人物像を知る上で欠かせない作品ばかりです。モネの歴史的コレクションで、貴方はますますモネの世界に惹きつけられることでしょう。

 中でも注目は何と言っても《印象、日の出》です。印象派の由来となった著名な作品ですが、東京で鑑賞できるのは21年振りとのこと。わたしは昼間の喧騒を避け、夜間の特別展示でじっくりと作品を鑑賞いたしましたが、想像していたより小振りな作品にもかかわらず、名画の放つオーラと統一感、細部の光と色彩の豊かさに思わず息を飲み、その場で足が釘付けになりました。尚、この作品は会期中ひと月しか展示されませんので、《印象、日の出》を目的に訪れる方はくれぐれもご注意下さい(展示は10月18日まで)。同20日からは、これまた滅多に館外には出ないという《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》が特別展示されます。

 他にもモネが生涯愛したジヴェルニーの庭園を描いた一連の作品も展示されており、《睡蓮》や《しだれ柳》、《(日本風の)太鼓橋》や《バラの道や庭》等々、マルモッタンの貴重なコレクションでモネの豊かな創造の世界を堪能することができます。わたしは特にモネ最晩年の作品に、コンテンポラリー絵画にも通じる、モチーフを描くというよりは見るという行為そのものを描出するような、写実を離れ印象/抽象の世界をより強く志向する姿勢を感じ、深い感銘を覚えました。

 芸術の秋にふさわしい、見応えあるモネの展覧会に皆さまもぜひ足をお運び下さい。


【展覧会情報】

マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで


会場 東京都美術館
会期 2015年12月13日(日)まで
   ※休室日=月曜日(10/21・11/2・11/23を除く)、
    10/13(火)、11/24(火)
時間 9:30~17:30 (金曜、10/31-11/2は20時まで)
※ただし「印象、日の出」展示期間は10/18(日)までです。
 期間中の土・日・休日は21時まで特別開館します。


 なお、弊社では文中でも触れたモネの代表作《印象、日の出》の複製画を大小2つのサイズでお取扱いしております。好評発売中の『睡蓮、水のエチュード-雲』ともども、貴方様のお部屋のインテリアとして、また大切な方への記念品や贈り物としてお勧めいたします。




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モネ《印象、日の出》
※上の画像は10号サイズ版です。


モネ 《印象、日の出》
①F3号  販売価格 25,000円+税
②F10号 販売価格 40,000円+税


<仕様体裁>
技法 アートレリーフTM
画寸 ①F3号/②F10号
額寸 ①36.0×41.5cm/②62.5×70.0㎝
重量 ①1.2kg/②3.6kg
額縁 特製木製洋額
原画 マルモッタン美術館所蔵
発行 共同印刷株式会社





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モネ《睡蓮、水のエチュードー雲》
※画像をクリックするとより大きな画像が別画面で開きます。
Photo © RMN-Grand Palais (musēe de l`Orangerie) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNP artcom



モネ 《睡蓮、水のエチュード-雲》
販売価格 128,000円+税


<仕様体裁>
技法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
画寸 28.3×91㎝(30号大)
額寸 38.2×100.8cm
重量 3.3kg
額縁 特製木製デコレーション金箔額
原画 オランジュリー美術館所蔵
発行 共同印刷株式会社


September 25, 2015

読書の秋


 空高く、秋を感じる季節となってまいりました。シルバーウィークは連日晴天に恵まれ、お出かけ日和でしたね。次回このような大型連休が訪れるのは11年後だそうです。

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 さて、私は特に予定のない連休でしたので、久しぶりに集中して幾冊かの本を読みました。今日はその中の一冊、山口晃(やまぐちあきら)著「ヘンな日本美術史」をご紹介したいと思います。山口晃氏といえば、現在と過去がミックスされたような都市鳥瞰図が代表作の現代アーティストですが、結論から言うとこの方の絵画解説がとても面白いのです。

 タイトルの「ヘンな日本美術史」は、「変な(=ふしぎな)日本美術・史」というような意味合いだそうです。現代人が見ると何でこんな風に描いてあるのだろう?、どうやったらこんな風に描けたのだろうか?という疑問に答えるように、《鳥獣戯画》や雪舟、《洛中洛外図》、河鍋暁斎などの作品を古い順に取り上げ、独自の目線による解釈を踏まえて解りやすく紐解いています。

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 山口さんの解説を読んでいると、一見何でもない絵や、価値を見落としてしまいそうな作品がとても魅力に見えてきました。作品に関連して登場する過去の人達だけでなく、現代画家のモノの捉え方も垣間見た感じがしてとても面白かったです。美術史本とはいえ、気軽に読める内容なので、秋の夜長の一冊にいかがですか?

山口晃著「ヘンな日本美術史」
ISBN:978-4396614379

出版社:祥伝社
発売日:2012年10月31日
判 型:四六判ソフト(256ページ)
定 価:1,800円+税

September 18, 2015

Nostalgia for 深谷


20150918fukaya_station.jpg 関東にも凄まじい水害をもたらした台風を中心に、雨が降り続いた週でしたが、ようやく太陽が蘇った休日、高崎線に乗って深谷を訪れました。深谷と言えばレンガの街。深谷駅は東京駅に良く似た赤レンガで覆われ、中心市街地にも古いレンガ造りの建物が残っています。深谷の日本煉瓦製造会社で造られたレンガは東京駅や司法省(現法務省)、日本銀行(旧館)など日本を代表する建物に使用されていたとのことでした。

20150918nanatsuume_yokocho.jpg 深谷の街は休日ということもあってか、非常に静かでのどかです。レトロな骨董屋もあれば若者向けの洒落たコミュニティ・スペースも目にします。旧中山道沿いに古いレンガの煙突が見えてきます。「七ツ梅」という、酒造の煙突で、ここが本日訪れたかった場所です。七ツ梅は江戸時代を代表する銘酒のひとつで、元禄7年(1694年)創業し、以来三百年の歴史を持つ県内1、2を競う老舗蔵元でしたが、2004年廃業、現在は一般社団法人まち遺し深谷が、この施設の保存・運営・管理を行っています。

 敷地内の母屋、店蔵、精米蔵、釜屋の建物があらたに様々な店舗やホールとして活用されています。「とうふ工房」(手作りとうふ)、「深谷宿本舗」(手作りBOXマーケット)、「カフェ七ツ梅結い房」(コーヒー、カレー)「よろずの郷」(木工所)、「鬼義」(鬼瓦工房)などなど個性あるお店が集まっています。店舗はいつも全部開いているわけではなく、この日もいくつか閉まっていました。

20150918fukaya_cinema.jpg そんな中、七ツ梅の中核にあるのが「深谷シネマ」で、風情いっぱいの街の映画館です。この酒造跡に最初にできたのがこの深谷シネマだそうです。上映作品に穏やかな叙情を感じるのは気のせいでしょうか。今回は入りませんでしたが、いずれ是非映画を鑑賞したいと思います。



20150918sugata_syoten1.jpg そして「須方書店」という古書店の店内を物色しました。ギターのBGMが流れ、正面奥に、酒桶の蓋に見える巨大な丸い板が壁を覆っています。興味深い古本もいくつかあり、レコードも置いていました。手に取るのも気後れする和装の古書もあれば、書名は読めないものの装丁のデザインが目を惹く明治時代の古書も置いていました。売る側も買う側も本に接するのを楽しむ空間と感じました。様々な本が置かれる中で、本とは無関係に机上にディスプレイされたオブジェをアートとみるかどうか気になる内装でした。

20150918sugata_shoten2.jpg 古い民家や蔵をあらたに活用する試みはしばしば見られ、私自身とても惹きつけられます。特にこの七ツ梅横丁敷地の建物は極めて古く、歴史的・文化的に興味深い様相で、味わいに溢れていますが、老朽感がシュールすれすれの印象を受ける側面もあります。深谷に息づくノスタルジーの美学を象徴するかの様な濃い空間を体感しました。

September 11, 2015

東山魁夷の美を追求する


 名前を知らない人はいないぐらい、東山魁夷画伯は日本を代表する著名な画家です。日本芸術院会員、文化勲章受章者であり、皇居新宮殿大壁画《朝焼けの潮》や奈良唐招提寺の壁画制作、また美術の教科書に作品《道》が掲載されていた事を記憶している方もいらっしゃるのではないでしょうか。深い精神性を秘めたその風景画は、今なお人々の心を引きつけてやまない国民的な人気画家です。

 この度、良きご縁に恵まれ東山魁夷画伯の新作品を「東山魁夷 マスターピース コレクションTM」として世に送り出す事となりました。その作品の名は《静映(せいえい)》。今年の春、北陸新幹線開通の記念として長野駅の東西自由通路に設置された「壁画 静映」の事を思い浮かべる方々も多いと存じます。信州を訪れた方を見守る縦2m×横10mの巨大な壁画の元になった作品は、長野県信濃美術館 東山魁夷館にある《静映》です。信州をこよなく愛した東山魁夷は、斑尾高原にある希望湖(のぞみこ)を取材し、それを元に《静映》を完成させました。作品は夏の朝の静謐な空気に包まれる森の木々と、鏡の様な湖面が描かれており、東山ブルーと云われた独特の美しい青の色彩の世界が存分に表されています。

 今回、この美しい風景画を表現するにあたり、アクリルガラスに直接本紙(絵柄)を接着させるという技法で作品の持つ美しさを引き出しています。森の木々の重なりや奥行き感、湖面の透明感やブルーの色合いなどが、すばらしく表現されています。また、アクリルガラスはUVカット仕様の高価なものを用い、紫外線や空気からの本紙の劣化を保護してくれています。額装も特注木製額に本紙が浮き出した様に見える、今までにない様な特別な仕様です。日本間からマンションの洋間まで広くマッチするシンプルで高級感ある額装で、サイズも見応えのある大きさです。その完成度は、著作権者のお墨付きをいただきました。正に美しさの極致に達したのではと自負しております。今までの複製画表現とは違った、新鮮な作品をお楽しみください。


東山魁夷 マスターピー ス コレクションTM
東山魁夷 《静映》

販売価格 500,000円+税


<仕様体裁>
監 修 東山すみ
原 画 長野県信濃美術館 東山魁夷館 所蔵
限 定 300部
額 縁 特注木製額シルバー仕上げ、ハンドメイド浮き出し加工
画寸法 天地40.6cm×左右81.4cm
額寸法 天地58.6cm×左右99.4cm×厚み3.5cm
重 量 6.0kg



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■作品本体が浮き出るデザイン額装は、今までにない臨場感を感じていただけます。




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■ 額の裏に貼られる奥付には限定番号が入り、著作権者の承認印が押されます。  
また、当社が開発したセキュリティーシールも奥付に貼られ、シールをスマートフォンなどのカメラでフラッシュを用いて撮影すると、画面上に特定の文字が浮き出て見える事で真贋が判断できます。


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■監修の証として、画面左下部に「ATELIER KAII HIGASHIYAMA」のマークが入ります。


September 4, 2015

海風薫る~横須賀美術館へ


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。最近はだいぶ涼しくなってきましたが先月の暑さも残るある日、私は横須賀美術館へ行って参りました。

20150904yokosuka1.JPG 車で向かうと三浦半島を国道16号線で南へ下り、途中から海沿いのコースを走ります。すると、美術館数キロ手前の馬堀海岸沿いを真っ直ぐ伸びる道路脇壁面に、多くの絵が描かれているのが目に入ってきます。「うみかぜ画廊」と呼ばれ地域の学生たちの作品が展示されています。約700mに渡り画廊は続き、「海や港と横須賀」をイメージした作品は、横須賀市立総合高校の美術部の生徒、卒業生のみなさんが制作したものです。運転しながらですと、気になってしまいますので駐車して、散歩がてら楽しむのが良いでしょう。

20150904yokosuka2.JPG そこからさらに南、観音崎方面へ進み山間を抜けた場所へでると、右側に広い芝生の広場とその奥に水色を基調とした洒落たデザインの建物が現れます。正面の海と背後の山に挟まれた自然豊かな場所に横須賀美術館は建てられています。自然に囲まれた場所になじむように建てられた建造物は自然の一部であるかのように違和感なく風景に溶け込んでいます。

20150904yokosuka3.JPG 目の前一面に広がる海がなんとも開放的な雰囲気で、吹き抜けの展示ギャラリーは自然光を取り込むために鉄の内壁に穴が開けられおり、また塩害を防ぐためにガラスで包まれています。これにより、外観がガラスに覆われた特徴的な構造となっています。そしてコチラの美術館は、なんと屋上にも出ることができます。東京湾を見渡せば大きなタンカーが絶えず行き来しており、対岸に房総半島を望み、空気が澄んでいる時は東京スカイツリーまで見ることができるようです。
無料で使用できる望遠鏡も設置されています。

 横須賀市の美術品収集が始められたのは、1985年のことです。その後、1996年に朝井閑右衛門の作品が一括して市に寄贈され、そのことがきっかけで、美術館建設が具体化することとなりました。さらに1998年には、谷内六郎夫人・達子氏から週刊新潮表紙絵が多数寄贈されました。1999年には、美術館基本計画策定委員会によって美術作品の収集対象が、近現代の絵画、版画、彫刻とされ、以下の基準によって収集を進めました。

・横須賀・三浦半島にゆかりのある(出身、居住、在住等)作家の作品
・横須賀・三浦半島を題材とした作品
・「海」を描いた作品
・日本の近現代美術を概観できる作品

 その後、市制施行100周年記念事業の一環として、2007年4月28日、横須賀美術館が開館しました。絵画、彫刻を中心に、約5千点の日本の近現代美術の作品を所蔵しています。

 評判のよいレストランも併設されているので食事を楽しんだり、芝の広場に寝転んだり、周囲の散策も良いでしょう。少し歩けば観音崎灯台や走水といった名所もあります。海風に吹かれながら、のんびりリラックスできる美術館だと思いますので、リゾート気分を満喫しに足を運んでみてはいかがでしょうか。



【横須賀美術館について】

所在 神奈川県横須賀市鴨居4-1
電話 046-845-1211
開館 10:00-18:00
休館 毎月第1月曜日(祝日の場合は開館)、12月29日~1月3日
料金 ()は20名以上の団体
   ・常設展
     一般
      310円(250円)
     高校生・大学生・65歳以上の方
      210円(160円)
     中学生以下は無料
   ・企画展 展覧会により異なりますので美術館へお問い合わせください。
     中学生以下は無料
アクセス
   ・JR横須賀線「横須賀駅」下車、「観音崎」行きバス乗車(35分)、
     「観音崎京急ホテル・横須賀美術館前」停留所で下車、徒歩2分
   ・京浜急行「浦賀駅」下車、「観音崎」行きバス乗車(15分)、
     「観音崎」停留所下車、徒歩5分


※詳細な情報につきましては美術館へお問い合わせください。


August 28, 2015

【新作】 上村松園 《初秋》 のご案内


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。暦では「処暑」を迎え、暑さもすこし和らぎ始め、秋の気配を感じられる季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 夕暮れ時に蜩(ひぐらし)の鳴き声が聞こえ始めると、夏の終わりの知らせのを告げられたかのように耳へ響きます。

 さて本日ご紹介する作品は、生誕140周年記念として制作いたしました上村松園《初秋(しょしゅう)》の彩美版®です。秋草の露を気にしてか、着物の袖をひるがえした女性の立ち姿。しなやかな腕から指先にかけての優雅な動きに柔らかな表情、明るく美しい衣装の着物に萩の花。細部にいたるまで凛とした清廉な趣が漂い、理想の美人画を追究し続けた松園ならではの画格が堪能できます。是非お手元でお楽しみ下さい。



彩美版®、限定200部
上村松園 《初秋》 軸装・額装
販売価格(各)120,000円+税


<仕様体裁>
原画 古川美術館(名古屋)所蔵
監修 上村 淳之(日本画家・日本芸術院会員)
解説 古川美術館 学芸課
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り
用紙 特殊絹本
限定 200部
証明 監修者承認印・限定番号入り証書を貼付
発行 共同印刷株式会社


【監修 上村淳之(うえむらあつし)】

1933年上村松篁の子として京都に生まれる。
松園を祖母に親子三代続いての画業に進む。
現在、日本芸術院会員。京都市立芸術大学名誉教授。
上村家三代の作品を展示する松伯美術館の館長も務める。
2013年には文化功労者として顕彰された。



【古川美術館のご紹介】

 古川美術館は、初代館長古川為三郎が長年にわたって収集し大切にしてきた美術品を、「私蔵することなく広く皆様に楽しんでいただきたい」という想いからその寄付を受け、平成3年11月に開館しました。
 所蔵品は2,800点にのぼり、美人画、花鳥画などの近代日本画を中心として、油彩画、陶磁器、工芸品、また西洋中世の彩飾写本など、多岐にわたります。現在は所蔵品を中心とした企画展示を行うとともに、美術講演会やワークショップなど、幅広い活動をしています。
 また、分館として初代館長が愛した数寄屋建築の居宅を、平成7年より公開、様々な企画を開催しています。

名古屋市千種区池下町2丁目50番地
ホームページ:http://www.furukawa-museum.or.jp/
お問い合わせ:052-763-1991


※古川美術館についてはこちらの過去記事もご参照ください。
なお記事中でご紹介した企画展は、既に終了しております。開催中及び今後開催の展覧会につきましては美術館のホームページにてご確認くだるようお願い申し上げます。


夏の出張、西から北へ美術館めぐり(2015年7月24日)
古川美術館vol.1 「大観・玉堂・龍子 三巨匠展」(2007年11月28日)
古川美術館vol.2 「茶の湯 インテリアデザイナー内田繁の世界」(2007年11月30日)
古川美術館vol.3 "おもてなしの心"(2007年12月3日)


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■額装仕様
額装 特注木製額金泥仕上げ、しぐれ袖織りマット、アクリル付き
画寸 縦43.5cm×横53.0cm
額寸 縦63.0cm×横72.5cm
重量 約4.5kg



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shoen_shoshu_kiribox.jpg■軸装仕様
箱書 上村松園(シルクスクリーン印刷)
表装 三段表装
材料 天地:利休茶色無地
   中廻:浅葱鼠色地流水文緞子
   風帯・一文字:白茶色地唐花唐草文金襴
   軸先:新牙
   箱:柾目桐箱、タトウ付き
画寸 縦43.5cm×横53.0cm 
軸寸 縦139.0cm×横72.2cm



August 21, 2015

中世歴史博物館「神奈川県立金沢文庫」のご紹介


20150821Kanazawa_Bunko_museum.JPG

 いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。まだまだ残暑厳しい日々が続いております。熱中症など、皆さまお身体ご自愛ください。

 さて、今回ご紹介させて頂くのは、京浜急行の金沢文庫駅から徒歩12分、浄土式庭園が復元されている国指定史跡・称名寺境内からトンネルでつながる素敵な歴史博物館「神奈川県立金沢文庫」です。「金沢文庫」(かなざわぶんこ、古くは「かねさわぶんこ」)は、鎌倉時代中期に幕府の重鎮として活躍した北条実時が設けた武家の文庫で、所在地は神奈川県横浜市金沢区金沢町。金沢流北条氏が領し、のちに館や菩提寺である称名寺を建立するなど、この金沢の地を本拠としていたことが名称の由来です。<

 明治30年(1897年)、伊藤博文らによって称名寺大宝院跡に再建されるも関東大震災でいちどは失われましたが、昭和5年(1930年)に国の図書館令に基づき神奈川県の運営する最初の県立図書館として復興しました。称名寺から移管された古い書物や仏像・絵画・工芸品をはじめとして、鎌倉・横浜に関する郷土資料や浮世絵まで多数収集しております。平成2年に新館が完成し、歴史博物館として積極的に展覧会を開催しています。

h27_07_exhibition_s.jpg 現在は企画展「東の正倉院 金沢文庫」が開催中。鎌倉時代の豊かな文物を伝える金沢文庫は、しばしば奈良の正倉院にも喩えられており、本展示では、仏像、工芸品、古書、古文書などを通して、金沢文庫と金沢北条氏の菩提寺である称名寺の草創の物語が紹介されています。
(2015年9月27日(日)まで)

 「海の公園」や「横浜八景島シーパラダイス」「金沢動物園」など、レジャー施設の多い横浜市金沢区ですが、その地域のルーツにあたる神奈川県立金沢文庫にもお寄りいただき、歴史探訪のひとときをお過ごしになってはいかがでしょうか。



【神奈川県立金沢文庫】

住 所 神奈川県横浜市金沢区金沢町142
電 話 045-701-9069
開 館 9:00~16:30(入館は16:00まで)
休 館 毎週月曜日(9月20日は除く)、9月24日(木)
入館料 20歳以上250円、20歳未満・学生150円、65歳以上・高校生100円
    中学生以下・障害者の方は無料
アクセス 京急線「金沢文庫駅」下車徒歩12分
     シーサイドライン「海の公園南口駅」下車徒歩10分
展覧会 開催中:企画展「東の正倉院 金沢文庫」~9月27日(日)まで開催
    次 回:特別展「仏教説話の世界」2015年10月2日(金)~11月15日(日)
    ※詳細は以下の公式ホームページをご参照下さい。 
公式HP http://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm


August 7, 2015

若者よ、夢に向かって走れ!


 先日関西方面への出張の帰路、少し寄り道して京都嵯峨野の車折神社(くるまざきじんじゃ)に参拝してまいりました。

 車折神社は画聖・富岡鉄斎が一時宮司を務めていたところで、車軒文庫に多数の鉄斎作品が伝わっています。以前私たちはこちらのお許しをいただき、鉄斎の《宝船》という作品を彩美版にさせていただきました。その時以来、八年振りの再訪です。

20150807Geinou_Jinja.JPG 今回は、車折神社境内にあり芸能関係者から厚い崇敬を集める芸能神社に参拝し、念願叶って俳優となった若い友人の初舞台の成功と、役者としての成長を祈願することでした。友人は中学の頃から演劇の道を志し、プロの役者になる夢に向かってがんばってきました。今年あるプロの劇団のオーディションに合格し、精進の甲斐あってこの秋ついに初舞台を踏むことになりました。

 今はまだ、夢へと続くであろう道の入口に立ったばかりの彼ですが、この数か月で周囲が驚くほど目覚ましい成長を遂げました。プロの世界は厳しく、劇団の一員となれば必ず役がもらえるわけではありません。本番の舞台に立つには、稽古を通じて実力を認められ、信頼されなければなりません。顕著な実績を持つ素晴らしい先輩方との出会いが、彼を大きく成長させたのでしょう。

 普段はのんびり屋の彼のどこに、こんなに強い意志の力が秘められていたのだろうと正直驚いていますが、連日の厳しい稽古で肉体的には極限近くにまで追い込まれながら、精神的にはかつてないほど充実しているようです。活き活きと輝く表情にそれがよく表れています。夢に向かって必死に走る彼の未来が、大きく開けることを願って止みません。

 演劇に限らず、文化芸術の世界で日夜身を削る努力を重ね、夢を掴もうともがいている沢山の若者たちがいます。彼らこそが、我が国のこれからの文化芸術を担っていく存在となるはずです。私たちは事業を通じ、こうした若者たちの支援につながる活動を継続して行っていきたいと考えております。




【車折神社のご紹介】

所在地 京都市右京区嵯峨朝日町23
電 話 075-861-0039
ご祭神 清原頼業公
    天宇受売命(芸能神社)
最寄駅 嵐電「車折神社駅」


July 31, 2015

品川の原美術館で「サイ・トゥオンブリー」展を見る


 いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。夏も真っ盛り、連日の30度超えで、私の周りでは体調を崩す方が大勢いらっしゃいます。皆さまも体調管理には十分お気をつけ下さい。

20150731CyTwombly_Ex.jpg さて私は先日、アメリカ現代絵画の巨匠サイ・トゥオンブリーの展覧会を東京品川の原美術館にて鑑賞してまいりました。いつもは品川駅より第一京浜をてくてく歩いていくのですが、その日はちょっと気分を変えて最寄りの京急北品川駅より向かいました。国道を渡り、ゆるやかな坂道を上り始めるとそこはもう閑静な高級住宅街。ゆったりした街並みは自然環境にも配慮が行き届き、歩いているだけでも気持ちが豊かに高揚します。駅からも10分程度のアクセスですので、徒歩で訪問の際は、一度このルートを通ってみてはいかがでしょうか。

20150731hara_museum.jpg 原美術館は昭和初期のモダニズムハウスを改装し、1979年に私立の現代美術館の草分けとして開館。御殿山の一角の高級住宅街に位置するロケーションが、今も贅沢な気品を漂わせます。40年近くにも亘り、国内外のコンテンポラリーアートを地道に紹介してきたそのスタンスは国内外で高く評価されております。

 今回の目的は「サイ・トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」展-20世紀の抽象絵画を牽引した米国ヴァージニア州出身のアーティスト、サイ・トゥオンブリー(Cy Twombly, 1928-2011)の日本初の企画展です。「描画された詩」とも評される絵画作品70点を一堂に揃え、画家の半世紀にわたる作風の変遷を回顧します。2001年ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞受賞後、キャリアピークを迎えた2003年、ロシア・エルミタージュ美術館をスタートし、欧米各国を巡回した伝説のレトロスペクティブが画家の没後、新たに企画再構成されました。

 キュレーターの方達の本展への熱意が伝わってくるようで、見応えは十分です。描線の戯れが印象的な初期作品から、イタリアに拠点を持つことで作風が独自の発展を遂げ、鮮やかな色彩を獲得するに至った後期作品まで、華やかさや激しさを禁欲的に表層にとどめる画家の強固なスタイルに深い感銘を覚えました。2011年に惜しくも移住の地であるローマに没した画家への哀悼が、一転して刺激的な「祝祭の場」へと変容してしまう、アートの喚起する偉大な力を本展でもまざまざと実感いたしました。

 他にも館内には、奈良美智のガジェット作品や宮島達男の電光アート、ジャン・ピエール=レイノーのクリーン・ルーム等のミュージアム・コレクションが常設され、どれも美術館の静謐な空間に悠然と融けこんでおり心が安らぎます。

 以上、ご紹介の「サイ・トゥオンブリー」展の会期も残すところあとひと月。真夏の暑い盛りではありますが、クールで一見シンプル、だがとても奥が深い...そんな現代アートの展覧会に皆さまもぜひ足をお運び下さい。



【展覧会情報】

「サイ・トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」

会場 原美術館
   東京都品川区北品川4-7-25
会期 8月30日(日)まで。
   月曜休館(祝日を除く)
開館 11:00~17:00(水曜は20時まで)


July 24, 2015

夏の出張、西から北へ美術館めぐり


 皆様こんにちは。東京もついに梅雨明けとなり、いよいよ夏本番となって参りました。私の先週は出張続きで、名古屋と北海道へ、それぞれ新作の打ち合わせに行って参りました。


20150724isaburou_memorial_museum.JPG 週の前半は名古屋へ。

 訪問先の古川美術館さんは名古屋市内にあり、実業家であった古川為三郎氏のコレクションの数々を見ることができる美術館です。現在は夏をテーマにした企画展が開催されており、この日猛暑の戸外とはうらはらに、涼しい館内で画家達が切り取った様々な「夏」をゆったりと鑑賞しました。作品に付いている丁寧な解説を読みながら絵を見ていると、明治から昭和頃の夏の匂いをも感じられるような気がして、とても素敵な展覧会でした。



201150724TeaSet.jpg 仕事を終えてから、直ぐ近くにある別館の為三郎記念館でお茶とお菓子を頂戴しました。
 為三郎氏のご自宅であった数寄屋造りの建物の内部を拝見することができ、お庭に沿って作られたお席では喫茶もできます。殆どのお部屋に季節のお花が丁寧に飾られ、暑い中でその凛とした感じがとても美しく、印象的でした。夏だけという大きな氷の入ったお抹茶に、ホッと一息、涼を頂いて帰りました。


 週の後半は北海道の富良野へ。

20150724gotousumio_artmuseum.JPG 関西に台風が直撃する中、それを避けるように飛行機は順調に私たちを羽田から旭川空港へ運んでくれました。こちらは湿気がなく大変爽やかな気候で、レンタカーで一路、上富良野の後藤純男美術館さんへ。

 着いて早々、団体バスで到着した観光客の方々と一緒に促されるまま館内へ。後藤純男画伯の迫力ある大画面の風景画に囲まれながら、館長自らが「日本画とはどのようなものか」「後藤純男画伯の作品について」ご説明くださいます。そのお話が大変魅力的でついつい引き込まれてしまい、早く絵を見たい!という気持ちになってゆきます。ほんの少しのお話でも生の声で説明を聞くだけで、こんなにも興味をそそられ、観る側の姿勢が変わるものかと感心してしまいました。

 また、後藤画伯の素晴らしい作品はもちろん、館内では周囲の雄大な景色を見ながら地元の食材を使ったお食事ができたり、一度チケットを購入すれば出入りが自由だったりと、来訪者が美術館を楽しむための仕掛けが色々となされていて、そのホスピタリティからか館内は多くのお客様でにぎわっていました。

20150724kamifurano1.JPG 一仕事終えて近くにあるラベンダー畑で有名な富田ファームを訪れてみました。爽やかな晴れ間の中、丁度見ごろのラベンダーと色とりどりのお花が美しく咲いて、とても絵になる景色でした。今だけ、というラベンダーの切り花をお土産に買って帰り、自宅でドライフラワーにしているのですが、北海道の爽やかな香りがほんのりお部屋に広がりムシムシとした東京の空気を洗ってくれます。


 そんなこんなで、体力は要りましたが実りの多い一週間でした。どちらも大変素敵な美術館ですので、お近くにお越しのことがあれば、立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。それぞれの美術館に所蔵されている作品は、目下、総力挙げて製作中です。秋頃からの新作でご覧いただけるものもございますので、どうぞご期待ください!



July 17, 2015

緑の参道、穏やかな日


20150717hikawa_jinja.jpg 梅雨真っ只中の7月、2週続けて日曜日に大宮公園を訪れました。なぜ2回来たのかは後ほどお話しします。大宮公園といえば氷川神社。2000年以上の歴史をもち、大いなる宮居として、大宮の地名の由来になった関東一円の信仰を集める日本有数の古社です。本日は参拝が目的ではないのですが、あらためて神社へ続く参道を踏みしめました。氷川参道は旧中山道から南北に2kmのび、道の両側にケヤキ並木が続く美しい参道です。厚い曇り空に覆われた日でしたが、緑が爽やかで雄大な景観を印象付けてくれました。

 境内に入らず、参道右から大宮公園に入り少し歩くと小型動物園があります。ツキノワグマやブチハイエナ、種々のサル、鳥類などがいました。ケナガクモザルのアクロバティックな動きは見ていて飽きないし、対照的に造り物と見まごうようなヤクシマヤギの静止した姿も心和みます。ここにはカピバラもいて、眺めているとその落ち着きはらった所作や周囲に動じない穏やかな表情に、世俗を超えた悟りの姿を垣間見た気がしました。しかし本日は動物園で癒されるのが目的ではなく、程なくここを後にしました。

20150717GalleryElPoeta.jpg 大宮公園入り口まで戻ると、すぐ向いに、ギャラリー「エル・ポエタ」があります。こちらが本日の目的地でした。小ぶりな印象の外観ながら、扉を開けるとスペインの田舎風漆喰壁と煉瓦が使われた重厚感ある内装となっています。35年を超える老舗画廊で、詩人を意味する名に相応しく、洒落たコンテンポラリーアートや水彩を中心に展示会を開催しています。

20150717SatokoOzawa_Works.jpg この日は、小沢郷子さんという作家の個展開催中でした。いずれの作品も赤という色彩を使用して形作った抽象画作品です。色面というテーマから展開される様々な表現の作品は静かな「気」を内在させ、抽象画でありながら自然の一部を切り取った具象画のようにも感じられます。技法としては、オイルパステル、水彩、アクリルなどの画材を併用したミクストメディア。個展はこの日7月5日が最終日でした。翌週からはまた別作家の個展が開催されるとのことで、その作品も是非観たいと思い、ギャラリーのオーナーに翌週も伺うことを約束しました。

20150717DaisukeKoyama_Works.jpg 翌週の日曜は梅雨が明けていないにも関わらず、打って変わって猛烈な日照り。汗をぬぐいながら再びエル・ポエタを訪れると、コヤマ大輔さんという作家の水彩画作品による個展初日でした。東京藝術大学日本画科出身のコヤマ氏は確かな技術に裏打ちされた非常に完成度の高い水彩画を描いています。海外の著名な水彩画作家を連想させる味わいある表現にしばし見入ってしまいました。ご本人はまだ40歳に満たない若さなのですが。今後が期待される作家ですし、さいたま市の浦和出身・在住とのことで親近感を感じました。

 この日はすぐ前にあるNACK5スタジアムで大宮アルディージャの試合の日らしく、外へ出るとオレンジ色の人だらけ。浦和在住の私は目立たぬよう穏やかに通り抜けて帰途につきました。



■Gallery エル・ポエタ

所 在  さいたま市大宮区高鼻町2-285-8
電 話  048-644-9877
営業時間 11時~18時
定休日  不定休

※コヤマ大輔さんの個展は7月20日(月・祝)まで開催。

July 10, 2015

恵比寿の長い坂と前田青邨展


 久方ぶりに恵比寿駅に降りた。ビールの貨物駅として開業したこの駅の周辺には美味しいビールを飲ませてくれる店も多い。今日はこの駅の近くにある山種美術館で、前田青邨(せいそん)の生誕130周年を記念した展覧会を開催していると聞き、訪れてみることにした。そして叶うなら帰りにビールで喉を潤そうと、この地の利を最大限に活用する計画で臨んだ。

 駒沢通りに出て青山方面に向かうとすぐに長い坂に出る。果てが見えないような坂であるが、この頂にまだ見ぬ山種美術館がそびえているはずなので、汗をかきかき上って行く。この坂の辺りは住所でいえばオシャレの代名詞でもある広尾。坂の両側にも小洒落たレストランや、雑貨店がある。途中、巨大なダビデ像が立っているビルの前を通り過ぎ、ようやく坂の頂を制覇して山種美術館にたどり着く。

 展覧会名に「生誕130周年記念 前田青邨と日本美術院 −大観・古径・御舟−」※1とある。まずは展示会場に入る前に、エントランスにある「Cafe 椿」で一休みする事に。ここでは今回の展覧会のオリジナル和菓子が楽しめる。私は前田青邨筆《蓮台寺の松蔭》にちなんだ「こころざし」という練り菓子と抹茶のセットをたのんだ。「こころざし」は松蔭が読んでいる書物を模した形になっており、シナモンの香りと上品な甘みが抹茶の爽やかな渋味に合う。他にも速水御舟筆《炎舞》をイメージした「ほの穂」や、横山大観筆《作右衛門の家》を題材にした「青葉」など、色鮮やかで宝石のように美しい和菓子があって目移りする。

20150710nerigasi.jpg
「Cafe 椿」の美しい練り菓子


 一息ついたのでそろそろ作品鑑賞に移る事にする。この度の展覧会はタイトルに日本美術院とあるように前田青邨だけではなく、横山大観、速水御舟、平山郁夫など日本美術院で活躍した日本画の巨匠達の貴重な作品が一同に見られる。青邨の大作も間近で見られ、その筆使いや金の色使いなど、つぶさに観察でき大変勉強になる。なお、公益財団法人日本美術院が主催運営する院展は、今年の秋で再興第100回という大きな節目を迎える。本展覧会は現代日本画の巨匠の作品を見られる貴重な展覧会である※2。

 美術館からの帰り道、ソフトクリームの看板が目立つ雰囲気の良さそうなカフェがあったので入ってみる。元気の良い女性3人が切り盛りしていたこの店の中の壁は全て本棚になっており、そこには大量の写真集がきれいに収まっている。オーダーをすれば自由に閲覧できるようだ。後で知ったのだが、ここは「写真集食堂めぐたま」という変わった名前のお店で、壁の写真集は写真評論家の飯沢耕太郎氏の蔵書5,000冊だそうである。ちなみに私の隣のお客には、お店の人が「ねこまんま」をしきりにお勧めしていたようである。「ねこまんま」といえば、ご飯に鰹節をのせて醤油をたらしたあれだと思うのだが...。

 広尾、恵比寿といえばオシャレなお店が軒を連ねる所といったイメージをいだいていたが、この界隈は自家製のぬか漬けを売っている八百屋さんや、昔ながらのガチャガチャが置いてある雑貨店などもまだ現役でがんばっている。庶民的で昭和な商店も所々に顔を出す不思議な場所である。帰りに駅前でも魚屋さんが威勢よく、今風のカフェのマスターと魚の調理の仕方を話していた。良い感じに暮れかかって来たので、私も喉を潤しに行くことにした。

20150710gachagacha.jpg
ガチャガチャのある雑貨屋(ガチャガチャは私が子どもの頃に呼んでいた名前で、一般名称はカプセルトイ)


※1 「生誕130周年記念 前田青邨と日本美術院 −大観・古径・御舟−」展は山種美術館で2015年8月23日まで開催しているとの事です。
※2 再興第100回院展は9月1日(火)に東京都美術館から始まり各地を巡ります。また当社はこの図録の制作・製造を請け負っております。






【関連商品のご紹介】

今年、生誕130周年を迎える日本画の巨匠、前田青邨。
当社でもこの記念すべき年に新作高級複製画「牡丹」を制作いたしました。
富貴の象徴でもある牡丹が、色鮮やかな五彩花文壺に生けられた名作です。
華やかで気品ある本作品を皆様のご家庭にも是非どうぞ。



彩美版®
前田青邨 《牡丹》 軸装・額装
本体価格 (各)190,000円+税

<仕様体裁>
監修: 小山 硬(日本画家、日本美術院同人)
解説: 川口直宜(美術評論家、前・泉屋博古館分館長)
限定: 200部
技法: 彩美版®、シルクスクリーン手刷り、本金泥使用

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


seison_botan_S600x350pix.jpg

【軸装】
表装: 三段表装、柾目桐箱・タトウ付き
箱書: 小山 硬(シルクスクリーン刷り)
画寸: 天地41.1cm×左右53.0cm
額寸: 天地136.5cm×左右72.1cm




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【額装】
額縁: 特注木製額金泥仕上げ、金モール織マット、アクリル付き
画寸: 天地41.1cm×左右53.0cm
額寸: 天地59.2cm×左右71.0cm
重量: 3.3kg

July 3, 2015

鎌倉の名所、竹の寺・報國寺


20150703houkokuji_sanmon.JPG いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

 今年も半年があっという間に過ぎ、7月に入りました。梅雨の合間を縫って、先日私は鎌倉の報國寺に参拝して参りました。観光地を格付けするミシュラン・グリーンガイドで三ツ星を獲得し、近年海外からの旅行客も増えている人気のお寺です。

 鎌倉駅から鶴岡八幡宮の前を通り過ぎて、さらに金沢街道をてくてく歩くこと30分。アクセスはあまり良くないのですが、それでも足を伸ばす方が多いようです。ちなみに鎌倉のお寺で三ツ星を獲得しているのは報國寺と東慶寺の二寺のみです。

 報國寺は足利、上杉両氏の菩提寺として栄えました。開山は五山文学を代表する天岸慧広(仏乗禅師)です。仏乗禅寺は、中国より招聘された円覚寺の開山・無学祖元に師事し、のちに中国へ渡って修行した高僧です。開山自筆と伝えられる「東帰集」や、自ら使用した「天岸」、「慧広」の木印は国の重要文化財で、鎌倉国宝館に保管されています。孟宗竹の竹林が有名で、「竹の寺」とも言われています。

20150703tikurin.JPG お寺はわりとこじんまりしており、門をくぐり少し進むと「竹の庭」入口があります。入るとすぐに竹林が現れ、そこはもう別世界です。目の前一面に緑の世界が広がり、まっすぐ空に向かって伸びる竹は日光を遮り、空気がひんやりと涼しい感じがします。

 竹はよく見ると一本一本太くて大変立派です。風が吹けば竹がざわめき、木々の合間を木漏れ日が揺れ幻想的です。そして竹を分ける一本道を進んで行くと、奥の方に建屋が見えてきます。庭には「休耕庵」という茶席が設けられており、お茶を頂くことができます。ここで美しい竹林をぼんやりと眺めているだけで、心が和み癒されます。なんとも贅沢な時間です。

 鎌倉のお寺の中でも独特な雰囲気を醸し出す竹の寺・報國寺。是非訪れて、その空気感を肌で感じてみて下さい。心も体もリフレッシュされること間違いなしです。




【報國寺のご案内】

山 号  功臣山
宗 派  臨済宗建長寺派
創 建  建武元年(1334年)
所 在  鎌倉市浄明寺2-7-4
電 話  0467-22-0762
拝観時間 9:00~16:00
拝観料  200円
アクセス JR「鎌倉駅」東口より
・タクシーで約7分
・バスで約12分※
 ※京浜急行バス(5番のりば)
 鎌23系統「鎌倉霊園正面大刀洗」行き
 鎌24系統「金沢八景駅」行き
 鎌36系統「ハイランド循環」行き
 のいずれかに乗車のこと
・徒歩で約30分


June 26, 2015

新作・モネ《睡蓮、水のエチュード-雲》のご案内


20150626ajisai.jpg いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。関東圏内は梅雨入りしましたが、時折ザーっと降る夏の夕立のような雨が降りあまり梅雨らしくない空模様がつづいています。それでも路地や庭先等に咲く菖蒲や紫陽花、芍薬に目に留めては雨が似合う花が咲く季節なんだなと感じ、心和みます。
 写真は先日「あじさいまつり」が開かれていた、文京区白山にある白山神社境内の紫陽花です。







20150626suiren2.jpg いつもの谷根千界隈からすこし足を運んで上野恩賜公園へ向かって散策途中、公園の南西側にある不忍池にたどり着きました。三分された池は、北は上野動物園の水上動物園、西はボート池、南は蓮の池となっています。蓮の池は青々と池の水面を茂る蓮の葉が目に眩しく、ワイルドに!群生している葉の隙間から花のつぼみが見る事ができました。花はこれから7月中旬~8月上旬にかけて見頃を迎えるそうです。湿った空気と暑さの中での散策でしたが、時折吹く風や木陰に入るとヒンヤリ気持ちよく、遠くの空の雲の様子に夏の気配感じながら公園を後にしました。

20150626suiren1.jpg さて弊社ではこの度、モネ畢生の大作《睡蓮、水のエチュード-雲》の彩美版®を発売します。原画は印象派を代表する画家クロード・モネの集大成、オランジュリー美術館所蔵の《睡蓮》連作大装飾壁画8作品のひとつです。モネ《睡蓮》連作大装飾画は第一次世界大戦の終結を記念し、フランス国家に寄贈されたという歴史的な作品であり、オランジュリー美術館は《睡蓮》連作大装飾画のために創設された「印象派の殿堂」です。

 《睡蓮、水のエチュード-雲》は、睡蓮と朝焼けの水面に映える雲の情景が、微妙なニュアンスに富む青、緑、紫、白、赤などが入り交る、モネならではの彩りの世界で描かれた作品です。本作品は第一室に飾られた「雲」の全画面より作品のハイライト部を、フランス国立美術館連合・グランパレ(RMN‐GP)の画像協力を得て、当社が誇る彩美版の技法にて再現いたしました。気品あるデコレーション金箔額(国産ハンドメイド仕上げ)に収め、200部限定でご用意しております。モネが愛したジヴェルニーの風景を、是非お手元でお楽しみください。



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Photo ⓒ RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) /
Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom



彩美版®
クロード・モネ 《 睡蓮、水のエチュード-雲 》
Claude Monet
Les Nymphéas, Étudu d'eau:Les Nuages
販売価格 128,000円+税
限定200部発行



<仕様体裁>
原 画 オランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie)所蔵
監 修 千足 伸行(成城大学名誉教授/広島県立美術館長)
限 定 200部
技 法 彩美版®、シルクスクリーン手摺り
用 紙 キャンバス
額 縁 木製デコレーション金箔額(国産ハンドメイド)、アクリル付き
画 寸 天地28.3×左右91㎝(30号)
額 寸 天地38.2×左右100.8㎝
重 量 3.3㎏
発 行 共同印刷株式会社

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。


June 19, 2015

鎌倉の小町通りから。「鎌倉市鏑木清方記念美術館」


20150619kaburaki_artmuseum_entrance.jpg いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。梅雨入りした今日この頃、鎌倉界隈では紫陽花が大変見頃の季節がやってまいりました。私は先日、常日頃より当部の商品企画に際してお世話になっている美術館、「鎌倉市鏑木清方記念美術館」へ行って参りました。鎌倉の小町通りから、ほんのすこし奥へ入った処にひっそりと趣きのある美術館。あらためて皆さまへご紹介いたします。

 「鎌倉市鏑木清方記念美術館」は、近代日本画の巨匠、鏑木清方(かぶらききよかた)画伯※のご遺族から鎌倉市へ「鎌倉市にその画業と創作の場を後世に伝えて欲しい」という趣旨のもと多くの美術作品や資料が寄贈され、画伯終焉の地である鎌倉雪ノ下の旧跡地をそのまま改装して平成10年4月に開館しました。

20150619masking_tape.JPG また、館内では『紫陽花マスキングテープ』や『ねこ・あじさい(陶ボタン)』など素敵なお土産の品々が並んでいたり、子ども参加プログラム『天然岩絵具で描いてみよう』を開催するなど、「来館者へほっこりした時間を過ごして頂きたい。」という美術館の想いが優しく出迎えてくれます。 現在は特別展『美の伝承-清方と弟子たち-』が開催中(5月23日~6月28日)。今から100年前の大正4年、鏑木清方と門人たちによって組織された「郷土会」を紹介するこの展示会は、「巣立った後もふるさと(清方)を忘れまい」という弟子たちの温かな雰囲気が伝わってくる素敵な展示会となっています。

20150619neko_ajisai.jpg 館内の丁寧にお手入れされた中庭には可愛らしい紫陽花が咲いています。鏑木清方はとくに紫陽花を好み、「紫陽花舎(あじさいのや)」という雅号も使っていたそうです。鎌倉に来た際は、古都鎌倉の風情溢れるこの美術館に、ぜひ足を運んでみてください。

※鏑木清方は明治11年生まれ。昭和29年に文化勲章を受章した年よりこの鎌倉に画室を設け、昭和47年に亡くなるまでの間を過ごされました。享年93。



20150619kaburaki_artmuseum_maingate.jpg【鎌倉市鏑木清方記念美術館】
住所  〒248-0005 鎌倉市雪ノ下1-5-25
電話  0467-23-6405
開館  9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館  月曜日(ただし祝日は開館)
入館料 一般200円~300円
    小・中学生100~150円
    ※時期によって異なります。
アクセス 鎌倉駅東口から徒歩7分(小町通りを鶴岡八幡宮方面へ)
公式HP http://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/


【関連商品のご紹介】

彩美版®
鏑木清方 《 朝涼(あさすず) 》
販売価格 180,000円+税



 鏑木清方は、大正12年当時帝展審査員として画壇に重きをなしていましたが、東京・本郷龍岡町の自宅で関東大震災に遭遇しました。この《朝涼》は翌々年(大正14年)、震災後初めて開催された第6回帝展に発表され、清方の画業の転機となる重要な作品といわれています。

 金沢八景の別荘でひと夏を過ごしたある日の早朝の空に、残月が淡くかかるのを見つけ、長女をモデルとして描いたものです。清らかな女性のすらりとした立ち姿、たおやかな手つき、背景に蓮の花を配す造形は、安らかに心を落ち着かせる風情を漂わせます。


朝涼


<仕様体裁>

原画 鎌倉市鏑木清方記念美術館 所蔵
限定 100部
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り
用紙 特製絹本
装丁 三段表装
材料 天地 白茶無地
   中廻薄茶綿ムラ経
   一文字・風帯 牙地唐花唐草文金襴
   軸先 朱塗頭切
   箱  柾目桐箱、タトウ入り
画寸 天地100.0×左右38.5cm
軸寸 天地169.0×左右57.0cm

June 12, 2015

日曜の午後、東京湾を望む


20150612BeachPark1.jpeg ここは最近お気に入りの東京湾に臨む小さな公園です。近未来的な海の風景がパノラマチックに広がり、来るたびにきっと夜景が綺麗だろうなと思うのですが、未だ夜に訪れたことはありません。たまにランナーが駆け抜けるのを除けば、ほとんど訪れる人がいない隠れ家的スポットです。



20150612BeacPark4.jpeg 海を望むベンチに座ると真正面が羽田空港です。直線距離にして12、3kmあるでしょうか、大気の薄いベールを透して、独特の形をした管制塔の姿が滲むようにぼんやりと眺められます。公園上空には羽田へ降りる航空機の着陸ルートがあり、大型ジェット旅客機が徐々に高度を下げながら、行儀良くほぼ等間隔の連なりで次々と目の前を通りすぎていきます。



20150612BeachPark2.jpeg 羽田のやや右側には平成24年(2012)に開通し東京湾の新名所として知られる東京ゲートブリッジが見え、さらに右へと首を廻らせば、都内の高層ビル群と葛西臨海公園が間近に望めます。海上には大型の運搬船や漁船、タグボートなどに混じって、時折夢の島マリーナを拠点とするヨットの姿も見えます。



20150612BeacPark3.jpeg さて、この風景を眺めなら聴くならどんな音楽が合うでしょうか?好みは人それぞれですが、今までの私なら無条件でジャズだと思っていました。例えばハービー・ハンコックの名盤「処女航海」なんかぴったりだと思いませんか?ところが最近、ある現代美術の映像作品に出会ってから、クラシック音楽もいいじゃないかと思えるようになってきました。



 ジャズが合うと決めつけて他は一顧だにしなかったかつての自分は、いわば食わず嫌いだったと反省しています。決めつけずに色々と試してみたほうが楽しみが広がるようですね。所詮は趣味の問題なのですから。

 ちなみに、私の眼を開いてくれた作品、ミヤギフトシ《オーシャン・ビュー・リゾート》は、6月28日まで東京都現代美術館で開催中の「他人の時間」展で観ることができます。沖縄の離島の風景にベートーヴェン《弦楽四重奏曲第15番イ短調 第三楽章》の旋律が見事に調和しています。他にも、香港の映画スター、トニー・レオン(梁朝偉)が出演した複数の映画の名シーンをコラージュして全く別の映像作品に仕立て上げたホー・ツーニェン《名前のない人》や、明治期に米国人地質・鉱山学者が北海道夕張川で行った地質資源調査の研究をテーマに創り上げられた深い余韻の残るサウンド・インスタレーション、mamoru《THE WAY I HEAR,B.S.LYMAN 第五章 協相のためのポリフォニー》など五感を刺激する素晴らしい作品が多数出品されています。

 「現代美術」はちょっとハードルが高いかなと思った食わず嫌いな貴方にも、是非チャレンジしていただければ幸いです。

※各画像はクリックすると拡大できます。



【他人の時間|TIME OF OTHERS】

会場:
  東京都現代美術館
  東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
電話:
  03-5777-8600(ハローダイヤル)
会期:
  6月28日(日)まで
開館時間:
  10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:
  月曜日


※詳細は東京都現代美術館のホームページ等でご確認ください。

June 5, 2015

奇想の美術館でバネット・ニューマンを見る


 いつもブログ「美術趣味」をご覧いただき、まことにありがとうございます。6月に入り、夏真っ盛りの陽気となりましたが、西の方からは徐々に梅雨の足音も近付いてきました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

20150605mihomuseum_entrance.JPG さて私は先日、予てより念願のMIHO MUSEUM(ミホミュージアム)で「バネット・ニューマン-十字架の道行き-」展を鑑賞してまいりました。MIHO MUSEUMは滋賀県琵琶湖の南、湖南アルプスの山中に位置する雄大なスケールと景観を誇る美術館です。私はその立地から知る人ぞ知るの秘境美術館をイメージして行ったのですが、JR石山駅からバスで50分の辺鄙な山地にありながらも、来場者は数多く、あまつさえ外国人観光客の観光コースとなっていることに(!)驚きを感じました。

20150605mihomuseum_entrance2.jpg 美術館の広大な敷地は、入口のレセプション棟からトンネルを抜け、半地下の南北に広がる美術館にまで続きます。美術館の設計はルーヴル・ピラミッドで有名なI.M.ペイ。シャープで幾何学的なデザインの作風から「幾何学の魔術師」の異名を持つアメリカを代表する建築家です。写真の幾何学模様のガラス屋根に建築家ペイの個性が表れております。
 美術館を訪れて改めて分かったことは、優れた景観や展示内容はもちろん、特にホスピタリティに優れた美術館であるということでした。休憩時利用のレストランやティールームの応対とメニューは卓越しており、私が買い求めたパンや菓子でも、農薬や化学肥料を一切使わない天然素材の食材とのこと。一口噛めば粉の違いがはっきりと分かる、滋味あふれる、本物の味わいの美味しさでした。

20150605mihomuseum3.JPG 興奮のあまり?話しが些か脱線いたしましたが、今回の鑑賞の目的はバネット・ニューマン(1905‐70)です。ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコらとともにアメリカ抽象表現主義を牽引したニューマンは、《アンナの光》という代表作が近年まで日本の美術館に所蔵されていたこともあり、日本の現代美術愛好家に親しまれております。ニューマンの作風は線と色彩の配列のみで、崇高なイメージを創造するというもの。一見シンプルな構図の作品の表層からも、困難なテーマに挑み続けた作家の生涯が決して平坦なものではなかったことがうかがわれます。私が考えるニューマン作品の鑑賞の要件は、独り絵の前に佇み、作品を見詰め、問い掛け、その作品と共振すること。それだけ。そうすることではじめて作家の精神・作品の核心に近づくことが出来るものと信じております。

20150605mihomuseum4.JPG 今回来日の作品は、ワシントン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する全14点の連作《十字架の道行き》。「十字架の道行き」とは、本来キリストの受難を図像化した宗教画の伝統的な主題のひとつですが、ニューマンは独自の作風で8年の歳月を掛けて連作を描き続けました。作品は時代・国籍・人種・宗教を超越し、優れた芸術のみが持ちうる崇高な精神性や、至上の聖性を顕現するに至りました。「レマ・サバクタニ(神よ、なぜ私をお見捨てになったのですか)」の副題に隠された、作品に秘められた根源的な問い掛けからも、本連作が20世紀抽象絵画の到達点と呼ばれるに相応しい、マスターピースであるということが言えましょう。

 同時開催の『曽我蕭白「富士三保図屏風」と日本美術の愉悦』では表題の《富士三保図》がとにかく圧巻です。代表作《群仙図屏風》と趣向は違いますが、六曲一双の屏風に描かれたダイナミックなスケールの富士の眺望は、奇想の画家と謳われる曽我蕭白の壮大なイマジネーションを充分に堪能させるものでありました。

 今回は限られた時間でしたので、ミュージアム・コレクションの日本美術や世界各地の古代美術品をじっくり鑑賞する余裕はなかったのですが、美術館収蔵の名品の数々はどれも美術館の静謐な空間と調和して、泰然とした輝きを放っておりました。

 ご紹介の「バネット・ニューマン」展の会期も今月7日(日)までと残すところあと僅かですが、展示替え休館をはさみ、7月4日(土)からはこれまた注目の「生誕300年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」展が東京のサントリー美術館よりムーブオーバーいたします。夏の暑い盛り、雄大な山々の健やかな自然に囲まれた美術館に、皆さまもぜひ足をお運び下さい。



【展覧会情報】

「バネット・ニューマン-十字架の道行き-/曽我蕭白「富士三保図屏風」と日本美術の愉悦」展

会  場 MIHO MUSEUM(ミホミュージアム)
     滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
会  期 6月7日(日)まで、8日より展示替え休館。
     ※7月4日(土)より「若冲と蕪村」展開催-会期8月30日(日)まで
休  館 月曜(祝日を除く)
開館時間 10:00~17:00


May 29, 2015

日本一高いビル―大阪・あべのハルカス探訪記


 十数年ぶりに出張で大阪に行く機会ができ、せっかくなので高いところから街を眺めてみようと、昨年オープンした日本一の超高層ビル、あべのハルカスの展望台へ行ってみました。

20150529harukasu_Observatory.jpg 16階から高速エレベーターに乗りガラス張りの天井を眺めていると、あっという間に60階の展望台に到着。高所恐怖症の私には地上300メートル、四方が一面ガラス張りの世界はどうにも足がすくむ思いでしたが,周囲に高い建物もなく遠方まで見通すことができるので、とても気持ちの良いところでした。途中、足元がガラス張りになっているところをへっぴり腰で近寄ってみたりしながら、眼下の景色を満喫しました。

20150529harukasu_Observatory2.jpg その後、16階の「あべのハルカス美術館」で、企画展「昔も今も、こんぴらさん。」をやっていたのでこちらも覗いてみました。長きにわたり庶民から厚い信仰をあつめる讃岐の「こんぴらさん」で知られる金刀比羅宮。ここに所蔵される貴重な絵画や彫刻、民俗資料などを紹介しています。私はこんぴらさんに行ったことはありませんが、入ってすぐに展示されていた「象頭山社頭並大祭行列図屏風」(伝狩野清信筆)には、江戸時代の人たちがこんぴらさんを参拝する様子が描かれており、そこからとても楽しそうな様子が伺われて一緒に旅をしているような感覚を味わいました。

20150529konpirasan.jpg また、円山応挙の障壁画「遊虎図」は、ひとつひとつを見ると少し可愛げのある、丸く太った猫のようなトラが描かれているのですが、東面、北に2面、西面に各4面ずつある襖の展示は、とてもボリュームがあり見応えがありました。テーマからして、入場者はご年配の方々が多いのかと思いきや、若い人も結構いたのが意外でした。入口に可愛い犬のフィギュアが置いてあったりと、若い人でもちょっと寄ってみようかな、という気にさせる仕掛けもされていたように思います。



May 22, 2015

野外のアート散策


 ゴールデンウィークも過ぎ去り、急に暖かく(いや、暑く)なってまいりました。皆様体調管理に気をつけてお過ごしいただきたいと思います。天気の良い日は気持ものびのびとし、戸外に出かける機会も多くなってきます。私自身も、休日ふらりと出かけ、今回は野外で鑑賞できるパブリックアート=彫刻に視点を置いて観て回りました。

20150522saitama_oozoranisumu.jpg 自宅から程近くにあるさいたま新都心は、話題のコクーンシティで賑わいを見せています。新都心駅西側のぺデストリアンデッキは、ランドアクシスタワー、合同庁舎を経て、日本郵政庁舎まで1.2キロほど続きますが、休日は賑わいから外れひっそりとしています。その歩道や広場のところどころにさり気なく立体造形作品が顔を見せています。2000年に完成したこの新都心を特徴づけるデッキの近未来的様相に合わせ計画的に設置されたアートらしく、多様な作品が点在していますが、特に作家と小学生たちのコラボレーションによるというオブジェ作品群が心に響きました。

20150522saitama_hosinisumu.jpg 小さくて愛らしく素朴性を持つ様々な夢の動物が並んでいたり、たくさんの子どもたちの作品を外から貼り付けて球体に形作った作品など、その場所と違和感のない立体が、目と心を愉しませる役割を果たしています。よく注意をしないと気付かないものも多く、こんなところにこんな彫刻発見!という散策の醍醐味を味わえます。発見できていないものもまだまだあるだろうと思いつつ本日はここを後にしました。



20150522kasukabe_jeans_summer.jpg 少し足をのばして、彫刻のある街づくりを標榜する春日部市を訪れてみました。目に付いたのは春日部駅東側の古利根公園橋にある数々の人体彫刻。佐藤忠良、舟越保武など著名な彫刻家を含む格調高い作品群が配置されています。その他駅前通りにも色々な彫刻が見られ、図書館や文化会館、市役所等にも設置されています。彫刻を身近に感じられる、美しく個性的な街づくりで人々に文化的なゆとりやうるおいをもたらそうという春日部市の事業により、1990年代に20体以上が設置されたようです。

20150522kasukabe_tabibitokokage.jpg 叙情性を感じたのはまちなみ公園にある池田宗弘作「旅人・樹陰」という古い自転車を前にたたずむ人の彫刻で、実際に緑豊かな木の下に設置されています。また、2人の離れた少女たちが見えない糸でつながった糸電話で話をしている廣嶋照道作「あのね」(公園橋通り)も懐かしさと深遠な意味を感じました。まだまだ見るべき作品があるはずとは思いながら、帰路につきました。

 野外彫刻は都市計画とも密接に関わるもので、時代・街の景観や目指す効果により設置される彫刻作品の傾向・内容は大きく変わります。さいたま新都心と、春日部駅周辺は明らかに景観が異なり、目指すイメージ、もたらせるものに差異があると思われます。文化的香りが異なる2つの街にとって、それぞれに適合した異なるパブリックアートは、街の重要なファクターとして生命を宿し息づいていました。


May 15, 2015

北陸で巡る2つの個性的な美術館、 及び食と温泉も堪能した事。


 北陸新幹線が今年の3月に開業して富山、金沢が時間的に近くなった。高かったハードルがぐっと下がったのを機に、気になっていた2つの美術館を訪れる事にした。石川県金沢市にある「金沢21世紀美術館」と、富山県下新川郡入善町にある「下山(にざやま)芸術の森 発電所美術館」である。

 東京駅からAM7:20発の北陸新幹線「かがやき」に乗ると、約2時間半後のAM9:54には金沢駅に着いた。この列車は途中の長野駅を出ると、停車するのは富山駅と金沢駅だけである。糸魚川を過ぎて富山県に入って行くと左手の車窓からは立山連峰が白く残雪をかぶって見えて来るので、修学旅行の学生のように心が浮き立って来る。まずは前田利家が治めた加賀百万石の城下町を金沢駅から南東方向へ続く広い道を歩き始める。

 大きな交差点にぶつかり道を渡ると活気のある「近江町市場」に出る。人気スポットとなったこの市場の店々の間を通ると、岩牡蠣、紅ずわい蟹などの海の幸、竹の子などの山の幸が所狭しと並んでいる。店先で食材を調理して提供している店もある。美味しそうな匂いに後ろ髪を引かれつつも先を急ぐ。金沢城址を整備して作られた広くてきれいな「金沢城公園」の中を通り抜けて「兼六園」の案内所前に出る。泣く子も黙る超メジャースポットの「兼六園」には寄らず「金沢城公園」と「兼六園」に挟まれた道を更に進むとそこに「金沢21世紀美術館」があった。

 「金沢21世紀美術館」はヴェネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞ほか数多くの賞を受賞している今話題の妹島和世と西沢立衛のユニット=SANAAが設計した建物である。上空からこの建物を見ると円盤の中に四角や丸の箱が詰め込まれたような独特の構造になっている。展示会場に入る前にまずは腹ごしらえをすることにする。ここにはおしゃれなレストランがあるのだが、お昼時に混雑する事は必至なので早めに昼食を済ませる(近江町市場での我慢はこのためである)。この美術館のレストランは白を基調としたモダンな空間で、建物の曲線に沿った大きな窓から外光が入って来るのでとても明るく、緑の多い外の景色も楽しめる。ゆったりとした席でブリオシュのポタージュグラタンセットとうオシャレなランチをいただいた。前の席では一人お婆さんが、心なし所在なげにジュースを飲んでいた。

20150515pool.jpg 食事が済んだので、まずは入場料を支払って、これを見るために来たという作品に向かう。
 レアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》。美術館のほぼ中央の中庭にある約縦3m×横4mのこの小さなプールの底は空気のある部屋になっており、観客は地下の通路を通ってそこから水面を見上げることが出来る。プールサイドから作品を鑑賞する者は、水の層を通して、下から見上げている観客を見る事になる。揺らめく水面を通して見るその世界は原理的には単純であるにも関わらす、光や色彩、そして作品の中に取り込まれる観客の動きという要素が複雑に絡み合い、いつまで見ていても飽きることがない。プールの底に差し込む光の波紋も奇跡の様に美しい。

 また美術館をぐるりと囲む庭に設置されているオラファー・エリアソンの《カラー・アクティヴィティ・ハウス》は、3色のガラスの曲面を渦巻き状の家の様にした作品である。観客は作品の中に入り込む事で作品の一部になり、それを外から見ている別の観客が鑑賞する(中の観客も外の観客を鑑賞する)。これらの作品に共通しているのは、鑑賞者が作品に干渉する事で相互作用が起こり、作品が常に流動的な変化をして行く。絵画を一方的に鑑賞する展覧会とは違った双方向の鑑賞スタイルである。

 今ご紹介した作品の他にも恒久展示作品と呼ばれているアートが幾つかある。天井が四角くくり貫かれて、そこから見える空(ペタリと空の写真がはってあるようにも見える)を鑑賞するジェームズ・タレルの《ブルー・プラネット・スカイ》。非常に個人的な作品鑑賞の展示形態をしているピピロッティ・リストの《あなたは自分を再生する》。この作品は個室トイレの中にあり(よって基本的には一人しか鑑賞できない)、洋式便器の前にある円盤状のクリスタルに映し出される映像(血液、汗、排泄物など)を奇妙な音楽と共に鑑賞するというまさに神秘体験。恒久展示作品はいずれも、「どう見えるか、どう理解するか」を見る人に問いかけて来るが、それは頭でっかちなコンセプトアートではなく、目で感じて、心が楽しめるアートである。

 この美術館には入場料のいらない交流ゾーンと呼ばれているスペースがあり、建物の中をドーナツ状に包んでいる。市民が公園感覚で訪れては立ち去って行く、人々に開かれた参加交流型の美術館である。また、託児室やキッズスタジオ(子どもが主体となって作品を制作する空間)などもあり、誰もが訪れ易く出来ており、新しい美術館の可能性を提案している。(※恒久展示作品の一部は無料の交流ゾーンから見ることも出来る。また企画展の内容などにより恒久作品の見られるものが変わってくるので、望みの作品が見られるか事前に確認して訪れた方が間違いない。)

 さて美術館に大変満足したので、今度は街と歴史を堪能したいと思う。金沢城公園から北の方向に百万石通りを進み、浅野川を渡ると国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている「ひがし茶屋街」に出る。昔ながらの古い家々には「木虫籠(きむすこ)」と呼ばれている出格子がついており、タイムスリップでもしたように街並を散策出来る。また、川を渡り返して河口方向に入った所には、同じく重要伝統的建造物群保存地区の「主計町茶屋街(かずえまちちゃやがい)」がある。こちらも川沿いに昔ながらの茶屋が並ぶ風情ある通りである。明治の中頃には多いににぎわったとされ、隣町に住んでいた泉鏡花の作品にもこの辺一帯の事が書かれているそうである。そう聞くと、古い街並の路地の奥にはなにやら妖気めいた気配を感じる。

 歴史ある城下町を散策していたら、宵闇が迫り涼しい風が吹いて来る。続いてはやはり食を堪能しない訳にはいかない。新鮮な海の幸を食べさせてくれるお店を教えてもらい入る。この店はオーダーしたものを自分の前にあるコンロで焼いて食すスタイルらしい。メニューを見ると「ガス海老」、「ゲンゲ干物」、「金時草(きんじそう)のおひたし」といったあまり聞き慣れない品がある。「ガス海老、ゲンゲとはどのようなものか?」と店の主人に聞くと、「ガス海老はガス海老だ、ゲンゲは不細工な深海魚だ。」との返事。ともかく北陸ならではのもののようなのでを食してみようと、岩牡蠣とそれら3つを注文する。

 ゲンゲは正しく不細工な魚で、これが干物にしてあるからミステリードキュメントに出てくるような小さい人魚のミイラみたいである。味はししゃもに近い感じか...。ガス海老は甘みがあり、かりっと塩焼きにして殻まで食べた。ガス海老は鮮度が落ちるのが早いために東京近辺にはあまり出回っていないようである。金時草は加賀野菜と呼ばれているものの一つで、見た目のぬめりっぽさから想像できないシャキシャキとした歯ごたえがあった。地元の美味しいものと石川県加賀市にある橋本酒造の十代目という酒をちびりちびりとやりながら、金沢の夜は更けて行った。

 次の日は富山湾を見ながら第2の美術館「下山(にざやま)芸術の森 発電所美術館」を目指した。まずは能登半島の付け根の辺りにある高岡へ行き、そこから富山湾内の西側の氷見へ移動する。高岡では「高岡御車山祭(たかおかみくるまやままつり)」という祭りの日の昼前に着いたので、街の通りで祭りの準備が進められていた。

 豊臣秀吉が時の天皇を聚楽第に迎える際に使用した御所車にルーツを発するという歴史のある祭りである。私が偶然見た山車も黒塗りに螺鈿細工がきらびやかに光る格式のあるものであった。石川、能登は江戸時代より美術工芸を奨励した事もあり、その技術がふんだんに生かされているのであろう。さらに氷見では名物「氷見うどん」と「ホタルイカの沖漬け」をいただいた。氷見うどんは普通のうどんと、にゅうめんとの中間ぐらいの細いうどんである。これがあっさりとした薄味の汁に入っているので、するすると喉を通って行く。また「ホタルイカの沖漬け」は、イカの旨味がギュッと詰まった濃厚な味で、小さな一匹でご飯がぐいぐい食べられる美味しさであった。

 腹を満たして富山湾を東の方へぐいぐい移動する。富山市の海岸線にある「古志の松原」付近からは、立山連峰が望めて大変風光明媚である。さらに東に移動して滑川を過ぎると湾は北に曲がり始める。その先の魚津の辺りの海岸線は蜃気楼が見える事でも有名である。残念ながら私は見る事が叶わなかったが、確かに沖の方では海と空が一つに解け合ってねっとりとしている様は、現実的ではないような現象が起きるのに相応しい場所である。

20150515NizayamaForestArtMuseum.jpg さらに東に向かい、黒部川を越えて入善に入ると、そこは黒部川が作り出した広大な扇状地が広がっている田園地帯になる。この田園の中に目指す第2の場所、「下山(にざやま)芸術の森 発電所美術館」がある。取り壊される予定だった水力発電所を美術館として再生したという珍しい施設である。施設は展示会場の発電所美術館、レストラン棟、展望塔、アトリエなどいくつかの建物が分散してある。大正時代のレンガ造りの趣を残す発電所美術館は河岸段丘の下側にあり、上から引かれた巨大な導水管が2本、館内に口を開けて残っている。その他にも巨大なタービンをはじめ発電設備が残されており、そちらを見学するだけでも楽しい。水力発電所と美術館の両方が好きな私には一粒で二度美味しい美術館である。

 展示スペースは広く天井の高さも約10mあるので、立体作品の企画展が多いそうであるが、今回は開館20周年記念展という事で過去の企画展開催作家26名の作品が平面、立体交えながら展示されていた。駅から遠いせいか、人が少なくて美術館の建物自体と作品を心行くまで鑑賞できたのも嬉しい。美術館を出て河岸段丘に取り付けられた急峻な階段を上るとレストラン棟、展望塔等がある。大変残念なことにレストラン(お茶だけの様)はまだ開店していなかったが、そこからは扇状地を一望できそうな眺めの良いテラスもあった。気を取り直して展望塔に登る。頂からは目の前に残雪の立山連峰が望める。立山連峰を背景に田園の中に佇むレンガ造りの建物はとても美しかった。

 さて旅の終わりに、近くの日帰り温泉で疲れを流して行く事にする。浴場の大きな窓からは、初夏の日差しが燦々と入って来る。お湯は滑らかで透明感があり、肌にしっくりとなじむ。飲料用の温泉を口に含むと鉄分とナトリウムの味がした。風呂上がりに休憩した食堂からは立山連峰の山々がくっきりと見える。帰りの駅に行く途中、日本三奇橋といわれた愛本橋を渡ってみる。橋の上から上流を見ると山々の雪解け水が豪快に流れて来る。下流を望むと扇状地の田んぼに水の恵みをもたらし、富山湾に注いで行く広々した川の流れがある。新幹線に乗る黒部川宇奈月温泉駅に着き、立山連峰を望む青空のもと、ご当地キャラのジャンボ~ル三世(入善は巨大なスイカが特産)が印刷されたスイカ最中を食しながら東京行きの新幹線の到着を暫し待った。

 東京に帰ってすぐ、本屋で宮本輝が今年4月に出版したばかりの「田園発 港行き自転車」(集英社)という本に出会った。この本に出て来る場所が富山県、入善、愛本橋というように、今回の旅と妙な共通点があった。この本を読んでいただければ、私の駄文で伝わらない、富山湾から入善にかけての雰囲気を感じていただけると思う。



May 8, 2015

世界一大きな加須の「ジャンボこいのぼり」


Carpstreamer1.JPG いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。私はゴールデン・ウィークに「加須市民平和祭」に行ってきました。「加須市」は埼玉県の市町村では唯一、北関東3県である群馬県・栃木県・茨城県と接する市で、鯉のぼりの生産量は全国1位を誇ります。ちなみに読み方は「かぞ」です。


 お目当てはこの平和祭で揚がる、世界一大きい「ジャンボこいのぼり」。なんと全長100メートル、重量330kg!建設用のクレーンで揚げるようですが、想像を超える大きさです。日本一の名産地をアピールしようと始まったのが、このジャンボこいのぼり遊泳だそうです。

Carpstreamer3.JPG 「ジャンボこいのぼり」は昭和63年、地元青年会議所の協力のもとに作られ、毎年5月3日の市民平和祭で、会場の利根川河川敷緑地公園で遊泳が行われます。平成18年5月には、サッカー・ワールドカップ・ドイツ大会の日本代表初戦の地、カイザースラウテルンの大空を雄大に泳ぎました。現在は平成25年に作られた「ジャンボこいのぼり4世」となります。

 天候に左右されるイベントでしたが、当日は晴天に恵まれ、絶好の鯉のぼり日和となりました。端午の節句に相応しく、早朝から家族連れを中心に多くの人で賑わい、観客席となる土手はあっという間に埋まっていきました。地元の方の出し物や露店、テレビ・新聞社など報道機関の取材もあり、会場は大変な盛り上がりでした。

Carpstreamer2.jpg そして、いよいよ巨大なクレーンが動き出し、口から伸びたロープが吊り上げられると、大きな歓声があがりました。この口の部分だけで直径10mもあり、人がとても小さく感じられます。口から徐々に空気が入って鯉のぼりの形になり、ゆっくりと風になびきます。



 下に見える鯉のぼりも、実際はかなり大きなサイズです。屋根よりはるか高く、怪獣のごとく泳ぐ「ジャンボこいのぼり」の様は圧巻でした。遊泳時間は30分。風をうけて大変気持ちよさそうでした。


April 24, 2015

こころ健やかに


 いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。春の穏やかな陽気に、草花もより一層芽吹いて新緑の季節を迎えようとしています。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 田畑の準備に春の雨...最近は雨の激しく夏の夕立のようですが、先日の局所的な雷雨(雹も降ってきました)の後、空に虹がかかってとても幻想的でした。さっきまで雷の音で怖がっていた近所の子供たちも、空を見上げては「虹だよ~!」と嬉しそうに声をあげていました。

 さて今回は端午の節句にちなみ、当社彩美版®ラインナップのなかから、日本美術院同人で文化勲章を受章された守屋多々志画伯の《金太郎》をご紹介いたします。右手に大きな鉞、左手で立派な兜を抱え込むようにしている小さな金太郎。その堂々とした態度と、元気でヤンチャ感じがうかがえる上目遣いの瞳。頼もしいような意地らしいような、凛々しい逞しい子供の姿に守屋画伯の温かな思いが伝わってきます。

守屋多々志画伯略歴

1912年 岐阜県大垣市に生れる。
1930年 上京し、同じ岐阜県出身の前田青邨に師事する。
1931年 東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科に入学。
    在学中に特待生となる。(1936年卒業)
1941年 再興第28回院展に《継信忠信》が初入選する。
1954年 総理府留学生としてイタリアに留学。(2年)
1960年 鎌倉円覚寺金堂の天井画《白龍》を完成させる。
1974年 日本美術院同人に推挙される。
1979年 第34回春の院展に《金太郎》を出品。
    高野山金剛峰寺別院の襖絵を3年かけて完成させる。
1981年 カトリック教会東京大司教区の依頼により屏風《ジェロニモ天草四郎》を制作。
    ヴァチカンでヨハネ・パウロ2世に謁見し献呈する。
1984年 在日ヴァチカン大使館にて聖シルベストロ教皇騎士団勲章の伝達を受ける。
1991年 神社本庁の依頼により《平成御大礼絵巻》の制作に着手し翌年完成。
1994年 モロッコの首都ラバトの王宮ギャラリーとパリのルーヴル美術館新館において
    「平成御大礼絵巻海外特別展」が開催される。
1996年 文化功労者の顕彰を受ける。
2001年 大垣市守屋多々志美術館が開館する。
    文化勲章を受章。
2003年 逝去。享年91。




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守屋多々志 《金太郎》
販売価格
(軸・額共通) 90,000円+税

<仕様・体裁>
原画 第34回春の院展出品作品(1979制作)
解説 川瀬邦聡(大垣市守屋多々志美術館学芸員)
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り
用紙 和紙

■軸装仕様
表装 三段表装
材料 天地 利久無地
   中廻 濃茶地横段文緞子
   風帯・一文字 牙地小花唐草文金襴
   軸先 新牙
   箱  柾目桐箱・タトウ付
画寸 天地36.5㎝×左右45.0㎝
軸寸 天地125.5㎝×左右63.0㎝

■額装仕様
額縁 木製金泥仕上げ、アクリル付
画寸 天地35.9㎝×左右44.5㎝
額寸 天地54.1㎝×左右62.8㎝
重量 約3.3kg




■今日の谷根千界

①第46回文京つつじまつり

期間 2015年4月11日(土)~5月6日(休・水)
・つつじ苑開苑:まつり期間中の9時~17時30分
・つつじ苑入苑:寄進料200円
会場 根津神社(03-3822-0753/文京区根津1-28-9)

②特別展 「谷根千"寄り道"文学散歩」

会期 2015年4月24日(金)~7月12日(日)
会場 文京区立森鴎外記念館 
開館 10:00~18:00(最終入館は17時30分)
※6月、7月の毎週金曜日は20時まで開館(最終入館は19時30分)
会期中の休館日:5月26日(火)、6月23日(火)
観覧料 一般500円(20名以上の団体:400円)中学生以下無料


April 17, 2015

艶やかで美しい金沢箔の工芸品「箔一」ご紹介


20150417hakuichi_goldleaf.jpg いつも美術趣味をご覧いただきありがとうございます。桜も散り春本番かと願いたいところですが、冷たい雨が肌寒い今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 私は先日、表参道の裏道散策をいたしました。大通りの賑やかさとは一変し、独特の静けさがある裏通りは、グルメやファッションの穴場が多く、新しい発見をする楽しみがあります。この度は、ひときわ黄金の輝きを放ちつつも、ひっそりと佇む素敵な店舗を発見したのでご紹介いたします。


20150417hakuichi_tumbler.jpg HAKUICHI「箔一」。その名の通り、金箔を施した工芸品を数多く取り扱っている店舗です。私はその美しさに惹かれ、店舗内にお邪魔してお話しを伺いました。

 日本における金箔のシェアが99%という金沢の中でも、唯一の金箔総合メーカーであるこの「箔一」は1975年に創業。当初は「箔屋と呼ばれる箔材料を卸す仕事」に留まっていたようですが、オイルショック後の不況によって材料である箔業界が大ダメージを受けたことをきっかけに「日本の伝統工芸の継続・繁栄のためにできること」として「金沢箔工芸品の独自製造」に着手したそうです。


 現在は更に新たな価値を創造するべく、建築業界(東京スカイツリーや成田国際空港ターミナルの装飾)、化粧品業界(エステ金箔)、食品業界(食用金箔)等々、幅広く展開しています。当部の事業においても、今後何かしら共同作業ができれば幸いと思いました。

 お話しを伺った後、「桜の形をした金箔が浮かぶお茶」をご馳走になり、春の暖かい気分を満喫することが出来ました。豪華絢爛、華やかな金箔工芸品の品々。表参道に来た際はぜひ裏通り散策をして、この美しい店舗に足を運んでみてはいかがでしょうか。


20150417hakuichi_image.jpg


HAKUICHI「箔一」
 住 所 〒107‐0062 東京都港区南青山5‐7‐21 芥川青山ビル1階
 公式HP http://www.hakuichi.co.jp/


April 10, 2015

江戸の花見と上野の桜


20150410kaneiji.JPG 昔から桜の名所として知られる上野恩賜公園とその周辺は、明治維新を迎えるまでは全域が東叡山寛永寺の境内でした。公園の平面プランは寛永寺であった当時とあまり大きく変わっていません。京成上野駅のある側に正面口(総門)となる黒門があり、噴水広場のあたりには寺の中心となる根本中堂がありました。さらに奥となる東京国立博物館がある場所には本坊があり、上野動物園や東京都美術館、東京芸術大学、西洋美術館、科学博物館などがある公園周辺には多くの子院が立ち並んでいました。戊辰の役の戦火でほとんどの堂宇が焼け落ちましたが、清水観音堂(重要文化財、1631年建立)は奇跡的に当時のまま残されています。

20150410kiyomizudou.JPG 寛永寺は江戸城の鬼門を守護するために、天海(1536?~1643)が二代将軍徳川秀忠よりこの地を与えられ寛永二年(1625)に本坊を建立したのが始まりです。天海は奈良・吉野の桜をこよなく愛し、わざわざ吉野山から桜を取り寄せて植樹したと伝えられています。

その後、儒学者・林羅山(1583~1657)が三代家光より上野忍岡の一画を与えられ、私塾や文庫、孔子廟を建てました。羅山は孔子廟の垣根に沢山の桜樹を植えるとともに私塾を「桜峰塾」と名づけました。「桜ヶ峰」と呼ばれたその場所は、今「西郷隆盛像」があるあたりで、江戸時代には山内でもひときわ桜樹が多い場所として知られました。

 こうして上野の山一帯は江戸第一の桜の名勝と言われるようになり、多くの花見客で賑わいました。江戸後期の天保年間に刊行された「江戸名所図会」にはその有様が以下の通り記されています。今から180年ほど前の上野の花見の様子ですが、現在と全く変わるところがありませんね。

『抑(そもそも)当山ハ江戸第一の桜花の名勝にして、一山花にあらずと云所なし。いにしへ、台命によりて和州吉野山の地勢を模し植させらるゝか。故に花に速あり遅ありて、山上山下盛をわかてり。弥生の花盛には、都鄙の老若貴となく賤となく、日毎に袖を連てここに群遊し、花のために尺寸の地を争ふて、帷幕を張筵席を設く。詩歌管弦ハ鶯声に和し、錦衣繡裳ハ花影に映し、愛玩賞咏日の暮を志らず。』(「江戸名所図会」巻5 東叡山寛永寺)



 上野の山にも数多く植えられている「ソメイヨシノ(染井吉野)」は、江戸時代にエドヒガン系のサクラとオオシマザクラを掛けあわせて作出されたと言われ、当時は古来有名な吉野山の桜にあやかり「吉野桜」と呼ばれたそうです。人工交配で生れたソメイヨシノは種子では増えず接木で増やすため、すべての個体が同じ遺伝子を持つクローンです。それまで主流だった野生種のヤマザクラと比べて、花が華やで成長も早いことから人気となり全国に広まりました。今では、わたしたちが眼にする桜のほとんどがソメイヨシノであることは皆様もよくご存知のこととと存じます。

20150410_komatsunomiya.JPG 先月の半ば、ソメイヨシノの原木が発見されたとの報道がありましたが、皆様お気づきでしたでしょうか。千葉大学で植物分子遺伝学を研究されている中村郁郎教授のグループが上野恩賜公園の「小松宮親王像」周辺の桜を調査し、ソメイヨシノの原木の可能性が高い木を発見し、三月下旬に玉川大学で開催された日本育種学会春季大会で発表しました。詳細は「上野公園の'ソメイヨシノ'原木候補について」というタイトルで学会ホームページに掲載されておりますので、ご興味を持たれた方はそちらをご覧ください。

20150410syokubutsuen.jpg さてソメイヨシノを作出した植木屋とはどんな人物だったでしょうか。元筑波大学教授・岩崎文雄先生の研究によれば、江戸・駒込染井村(現在の豊島区駒込七丁目付近)に住んだ、伊藤伊兵衛政武(1667~1757)であると考えられるそうです。伊兵衛は八代将軍吉宗(1684~1751)に重用され、将軍家の植木職を務めました。現在小石川植物園の入口近くにあるソメイヨシノの古木は、伊兵衛が植えたものと推定されるそうです。小石川植物園は江戸幕府が設置した小石川薬種園の跡で当社のお向かいにあります。

20150410somei.JPG 吉宗は質素倹約を旨とする享保の改革を押し進めるとともに、飛鳥山や向島の隅田川に桜を植樹し庶民に憩いの場を提供しました。都内にある古くからの桜の名所は、歴代将軍の整備によるところが少なくありませんが、ことに吉宗の果たした役割は大きかったと言えるでしょう。

April 3, 2015

四月―春到来


20150403sakura_matsuri.JPG いつもブログ≪美術趣味≫をご覧いただき、まことにありがとうございます。春本番を迎え、東京ではいよいよ桜も満開となりました。写真は当社の近傍、桜の名所・文京区播磨坂の桜並木です。この時期、普段は人気の少ない播磨坂も≪文京さくらまつり≫と銘打ち、たくさんの人が桜見物にいらっしゃいます。小石川植物園もすぐ目の前にありますし、近隣の素敵なレストランで美味しい食事を楽しめば、春の行楽を満喫できます。最寄駅は丸の内線の茗荷谷駅です。お近くにいらした時は是非足をお運び下さい。



20150403harimazaka.JPG そして一方、東京日本橋では今年も恒例の「第70回 春の院展」が開催されております。敗戦後の昭和20年の第一回展から、本年で70回目の記念イヤーを迎えます。院展(日本美術院展覧会)とは、公益財団法人日本美術院が主催運営する歴史ある公募展です。本年も理事長であられる松尾敏男画伯をはじめとした同人(どうにん)の先生方の作品と、厳しい審査を経て選ばれた300余りの入選作が一同に会する充実した展覧会をご覧いただけます。日本画の大家から若手作家までその最新作が一同に並び、日本画の最新トレンドをうかがい知ることもできます。



20140403haruno_inten.JPG おかげさまで弊社は毎年、院展作品集と絵葉書の制作を承っております。筆者も撮影からお手伝いさせていただき、例年のこの時期は大変充実した至福の時を過ごさせていただいております。

 下記に記しました通りこの展覧会は11月まで日本全国を巡回いたします。日本画壇を常にリードする美術展に皆様もぜひ足をお運び下さい。




【第70回春の院展(東京展)】
会場 日本橋三越本店本館・新館7階ギャラリー
会期 4月6日(月)まで
時間 10:00~19:00 (最終日は17時30分まで)
※以後全国巡回4~11月、名古屋、秋田、仙台、福井、倉敷、
福岡、広島、松江、神戸、さくら(栃木)




 なお、東京の会場では春の院展第70回の特別企画として、第35回以降の図録作品集の表紙絵35点が展示されております。中でも那波多目功一先生の「春日」(第60回春の院展作品集表紙絵)につきましては、弊社にて版画(リトグラフ)のお取り扱いがございます。今を盛りと咲き誇る桜の花が時節に相応しい優美な作品です。ご興味のあるお客さまには、カタログもご用意いたしましたので、どうぞご遠慮なくお申し付け下さい。



版画 那波多目功一 《春日(はるひ)》
販売価格 本体180,000円+税



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<仕様体裁>
版式 リトグラフ(画面に作家のサイン、落款入り)
制作 版画工房フジグラフィックス
限定 100部
用紙 ベランアルシェ紙
色数 18版×18色
画寸 天地24cm×左右28.4cm(3号大)
額寸 天地47.2cm×左右50.8cm
額縁 国産特注木製額金泥仕上げ、アクリル付き
重量 約2.4kg

発行 共同印刷株式会社


March 27, 2015

森のイノセントワールド


20150327g_entrance.jpg 温かさと寒さがせめぎ合う3月。まだまだ寒さが勝るこの日、埼玉県伊奈町の高校で開催された中学生の剣道大会を観戦したあと、高校の近くにあった気になるギャラリーを訪れました。

 「寧(ねい)」という名のカフェギャラリーです。表札のある門の奥はうっそうとした自然味豊かな雑木林で、なかなか建物が現れず小径がなければ森に迷いこんだような印象です。



 お稲荷さんの小さなお堂の先にテラスと土壁の洒落たカフェの建物が現れました。入口がどこか迷いつつ、素朴な木の扉をあけると抽象的な平面作品が飾られているギャラリー空間に出会え、ほっとしました。

20150327gallery_display.jpg この日は日本在住のフランス人女流作家、エザール・ドミニックさんの個展が開催されていました。作品は和紙を墨で滲ませたモノトーンので世界で、木目を版画のように墨で写し取った作品もあります。
題して「ウツス"deplacement"」(3月25日終了済み)。



20150327DominiqueHezard_works.jpg 美しい森のような庭の佇まいが眺められるカフェで、薪をくべた本物の暖炉に温まりながら、キーマカレーセットをいただいたあと、歴史ありそうな隣の母屋で行われているドミニックさんのインスタレーション展を見せていただきました。




 ところどころ畳をはずして重ね、外したところには和紙を置いたり、木目を写した和紙作品が壁に掛けられていたり。整然とした緊張感の中に和の落ち着いた温もりを感じる作品でした。作者と話をしたところ、作家としての思いはあるものの、それを饒舌に説明することなく、鑑賞者それぞれの感じ方をしてもらえたらということです。

20150327cats_hall.jpg そのあと、接客いただいた浜野茂則さんという画家であるオーナーが作成した、猫堂という猫の頭を彷彿させる小さなお堂を鑑賞。中には猫に関わる様々な制作物が置かれ、不思議な世界観を放っています。ドミニックさんとは対照的なイメージで、剝き出しの情熱が伝わってきます。



 このカフェギャラリー全体のたたずまいは、浜野さんの味わいある作品の個性と別世界の展示イベントが不可思議に同居し、無垢な懐かしさに先鋭的で端正な安らぎが重なる幻想空間の趣きです。



■イノセントアートギャラリー&カフェ「寧」

 所 在  埼玉県伊奈町大針635-4
 電 話  048-723-7371
 営業時間 11時~19時
 定休日  木曜日

なお、3月27日(金)より4月8日(水)まで、写真展「タペストリー&キャンバスで表現する!」を開催しています。

March 20, 2015

長野県、善光寺のそばの名所


20150320_kaii_seiei500pix.jpg 先の3月14日、北陸新幹線が開業となった。富山、金沢などが時間的に近くなるので是非とも訪れてみたい。ところで今まで終着駅であった長野駅は中間地点の駅となるのであるが、この度の北陸新幹線開業を契機に長野県の魅力を発信する拠点「信州HUB STATION」となることを目指して改良工事が進められていた。その一環として、東日本旅客鉄道(株)、鉄建建設(株)、(株)ステーションビルMIDORIにより、同駅の東西自由通路の吹き抜け上部に「壁画 静映」が設置された。「壁画 静映」は、長野県信濃美術館が所蔵する東山魁夷作「静映」をもとに制作されたものである。この壁画作品は縦2メートル、横10メートルにもなる大きなもので、当社もこの壁画作品のアクリルパネル制作部分に携わることが出来た。

 「静映」は長野県の斑尾高原に佇む「希望湖(のぞみこ)」を題材としている。木々の緑と空の青、それを映し出す澄んだ水面。それらが東山魁夷作品の特徴でもある美しいブルーの世界で描かれている。長野駅を訪れた際には、是非ご覧いただきたい。東山魁夷の作品は長野県信濃美術館の東山魁夷館に多く所蔵されている。しかもこの美術館は善光寺のすぐそばに建っている。長野に来てこの二つの名所を見逃すのはもったいない。

 まずは善光寺を訪れてみる。「牛に引かれて善光寺参り」の故事で知られている善光寺は千四百年も前に創建されたという。善光寺の御開帳(善光寺前立本尊御開帳)という有名な行事は、数え年で7年に一度行われるそうである。秘仏の御本尊様の身代わりとして全く同じ姿の「前立本尊」様を本堂に遷して、その右の御手に結ばれた善の綱を回向柱(えこうばしら)という柱にも結び、この柱を人々が触れることで仏の慈悲が伝わるという。今年は御開帳の年で、4月5日から5月31日まで行っているとのこと。六百万人以上の人が参拝することもあるという。

 ずっと以前の私ごとになるが、善光寺本堂の地下には真っ暗な回廊があり、そのどこかにある鍵に触れられた人は幸せになるという話を聞いた。その時、私も潜ってみたことがある。それはお戒壇巡りといわれるもので、本堂の地下にある。回廊の中は本当に真っ暗で何も見えない。だが前を行く人が「ここに鍵があるから触れ」と言ってくれた。鍵は「極楽の錠前」と言い、その真上には御本尊様がおられ、錠前を通して結縁を果たし往生の際にお迎えに来ていただける約束が出来るそうである。人に鍵のありかを教えられては、ありがたみも、ご利益も半減と思ったが、人の情けもこれまたご利益。ありがたく人様の力で鍵に触らせていただいた。

 善光寺の参道を歩くのもまた楽しい。広く緩やかな坂になった道沿いには信州ならでは、そばの店が多い。ちなみに長野県とは全く関係なさそうであるが、メロンパンをお勧めしている小さなパン屋があったので、数十年ぶりにメロンパンを買ってみた。帰りの新幹線で間食しようと思う。

 善光寺のそばにある長野県信濃美術館東山魁夷館にも行ってみる。信州の風景を愛した東山魁夷の作品を常設展示しているこの美術館は、落ち着いた雰囲気で、丁度よい大きさである。日本画の他にも、水墨画や版画等もあり、いろいろな東山作品を楽しむことが出来る。私は大作の風景画も好きであるが、絵本になった「コンコルド広場の椅子」の版画が好きである。東山魁夷は「静映」の他にも、蓼科高原御射鹿池(みしゃかいけ)を描いた「緑響く」、乗鞍高原の霧氷を描いた「霧氷の譜」など、いくつも長野を取材した作品がある。描かれた作品とその場所を訪ねてみるのも、おもしろいかもしれない。善光寺の御開帳と、北陸新幹線開業が重なって誠に喜ばしい長野。是非皆様にも訪れていただきたい。

20150320_meron_pan500pix.jpg さていろいろと寄り道をしたため、帰りの新幹線の発車まで時間がなく、ゆっくりと食事をする時間もなくなってしまった。ホームの立ち食いそば屋で野沢菜そばを食べ、これで信州そばを食べたとする。新幹線に乗ってから、先ほど買い求めたメロンパンを食すことにする。が、飲み物なしでメロンパンを食べるのは、あまりにも剣呑である。車内販売のワゴンが来るのを待つことにするが、こういう時に限って車内販売はなかなか来ない...。やっとのことコーヒーを買い準備が整う。(ちなみに私は新幹線ではコーヒーを買うので座席は通路側のC席と決めている。)さて、心置きなくメロンパンを食す。見た目の色は、わりと茶っぽく、ごつごつしていて岩石の様。外はカリッ、中はふんわりしていて確かに美味しかった。後で知ったのだが、このパン屋さんはチェーン店で東京の私の住んでいる街の近くにもお店があった...。 

共同印刷ニュースリリース(2015年3月4日):
《 壁画 静映 》の大型パネルを制作、長野駅に新設の東西自由通路に展示される





ちなみに当社の商品にも東山魁夷の複製作品があるのでご紹介したい。


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東山魁夷 《渓聲(けいせい)》
販売価格 250,000円+税


緑青の樹々の間に白い滝が音もなく落ちる様は、いかにも象徴的な深山の風景を活写した優作。

技法 岩絵具方式
限定 1,000部
額縁 特製ステンレス額、クロス張タトウ付き
証明 著作権者承認印がある証紙を額裏面に貼付
画寸 天地380mm×左右530mm
額寸 天地574mm×左右724mm
重量 約5kg

March 13, 2015

絵になる風景 - 私の富士三景


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。冬晴れの日、富士山のビュースポットを巡ってきました。

20150313_fuji_view_spot1.jpg 一か所目。写真を見てお分かりだと思いますが、「三保の松原」へ。世界遺産にも登録され、寒い中大勢の人で賑わっていました。海岸線の松林の向こうに、富士山の裾野までが視野に入る眺めは、古くは平安時代から景勝地として庶民に愛されてきました。そして、数多くの作家の画題にも取り上げられています。文化勲章作家である川合玉堂画伯が描いた「三保富嶽之図」は弊社商品としてもご用意させていただいております。


20150313_fuji_view_spot2.jpg 二か所目。こちらはライブカメラからの映像をご覧になったことがある方も多いでしょう。富士山と駿河湾の景色は安藤広重の東海道五十三次にも描かれ、東海道由比宿と興津宿の間に位置する「サッタ(薩埵)峠」。古くから旅人が行き交うこの峠は、その急峻な地形から東の箱根峠越え、西の鈴鹿峠越えと並ぶ道中の難所でした。今もなおサッタ峠は、東名高速道路、国道1号、東海道本線が1箇所に集中し、日本の東西交通の要衝となっています。





20150313_fuji_view_spot3.jpg 三か所目。先の二か所から富士山の眺めを存分に楽しんだ後、箱根へ向かう途中に見つけました。国道138号線の神奈川県と静岡県の県境にある「乙女峠」からの眺めです。全くのノーマークでしたが、富士山を間近に感じることができるポイントです。ここからの富士山は、左右がほぼ均等な美しい形で、まるで絵に描いたようです。曲がりくねった道が続く中、木々が途切れる非常に短い間から見ることができます。目印は「ふじみ茶屋」というお茶屋さんがある目の前です。



 富士山のビュースポットは、数えきれないほどたくさんあります。有名どころは抑えつつ、自分だけのお気に入りスポットを見つけるのも楽しいかもしれません。



March 6, 2015

早春を迎えて


いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。
桃の節句を迎え、陽気もようやく春めいて来ました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
それでも春とはまだ名ばかりで寒さがぶり返す時期でもあります。どうか皆様お体をご自愛下さいませ。

20150306oogannon_ume.jpg小石川界隈に近い「梅の大観音」と呼ばれている光源寺(こうげんじ)駒込大観音(こまごめおおがんのん)の境内は、梅の花が咲き誇り見ごろを迎えています。一雨ごとに暖かさも増し草木の芽吹きが感じられる今日この頃です。

さて本日ご紹介する1枚は、生誕130年記念として制作いたしました前田青邨「牡丹」」の複製画です。華やかに咲き誇る牡丹、たらしこみで描かれた葉が冴えわたり朱の模様が美しい五彩花文壺。画伯の眼に感じられたものの、その美しさを私達も感じられるのではないでしょうか。是非お手元でお楽しみ下さい。



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彩美版® 前田青邨 《牡丹》 軸装・額装
販売価格 190,000円+税


<仕様体裁>
監修 小山 硬(日本画家・日本美術院同人)
解説 川口直宜(美術評論家、前泉屋博古館分館長)
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り、本金泥使用
用紙 和紙
限定 200部
証明 著作権者承認印・限定番号入り証書を貼付

■額装仕様
額装 特注木製額金泥仕上げ、金モール織マット、アクリル付き
画寸 縦41.1cm×横53.0cm(10号)
額寸 縦59.2cm×横71.0cm
重量 約3.3kg

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■軸装仕様
箱書 小山 硬(シルクスクリーン印刷)
表装 三段表装
材料 天地:利休茶地木瓜唐草紋緞子
   中廻:薄茶地二重蔓唐花唐草紋緞子
   風帯・一文字:白茶地唐花唐草紋金襴
   軸先:新牙
   箱:柾目桐箱、タトウ付き
画寸 縦41.1cm×横53.0cm(10号) 
軸寸 縦136.5cm×横72.1cm



【監修者プロフィール】
小山 硬(おやまかたし

昭和9年(1934) 熊本県生まれ。
東京藝術大学に学び、卒業後前田青邨に師事する。
昭和36年(1961) 再興第46回院展で《潮(網)》が初入選。
昭和46年(1971) 再興第56回院展出品《天草》及び昭和53年(1978)再興第63回院展出品《洗礼》が日本美術院賞(大観賞)受賞。
昭和54年(1979) 日本美術院同人に推挙。
愛知県立芸術大学教授、日本美術院評議員を務める。
平成25年(2014) 瑞宝中綬章を受章。
現在日本美術院同人、監事。愛知県立芸術大学名誉教授。



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February 27, 2015

東京都庭園美術館リニューアルオープン


20150227_ReneLalique_work.jpg 2011年より約3年間という長期間の改修工事を経て、2014年11月、港区白金台の「東京都庭園美術館」がリニューアルオープンしました。四季折々の自然に囲まれた閑静な美術館。私は昔からのファンで再開を心待ちにしておりました。

 「東京都庭園美術館」本館は、香淳皇后の叔父にあたる朝香宮鳩彦王が皇籍離脱までお過ごしになられた邸宅で「旧朝香宮邸」とも呼ばれています。ヨーロッパの装飾様式であるアール・デコ様式を用いて1933年に建てられました。主な部屋の内装基本設計はフランスの装飾美術家:アンリ・ラパンが担当、また正面玄関にある女性像のガラスレリーフや大客室のシャンデリアなどはフランスの宝飾デザイナー兼ガラス工芸家:ルネ・ラリックの作品です。この優雅な装飾がなされた歴史的建造物は建物そのものが美術品と呼べるほど貴重であり、迎賓館などで使用された後、1983年に都立美術館として一般公開が開始されました。

20150227teien_art_museum.jpg 現在は、開館30周年を記念した展覧会『幻想絶佳:アール・デコと古典主義』を開催中です(4月7日(火)まで開催中)。同展は前述の「アール・デコ(1910年代半ばから1930年代にかけてヨーロッパで流行・発展した装飾様式)」をテーマに、古典主義のアール・デコ作家たちのが生みだした幻想とイマジネーション溢れる世界を、家具・磁器・銀器・ガラス・ドレス・絵画・彫刻などを通じて紹介するものです。また、当時のサロンや博物館で行われた生活空間を再現するようなアンサンブル展示をはじめ、植物からの引用や有機的な曲線の「アール・ヌーボー」に対し、直線と円などを組み合わせた幾何学パターンが特徴の「アール・デコ」との相違点に着目した解説映像など、様式の魅力を多角的な展示から観て感じ取ることができる構成になっています。

20150227teien_art_museum_interior.jpg JR目黒駅から徒歩7分、白金台駅から徒歩6分というアクセスしやすい立地にある「東京都庭園美術館」。現在も庭園エリアは工事を行っておりますが、2015年春には随時公開を予定しているそうです。改修された新館には、カフェ「Café du Palais(カフェ ド パレ)」やミュージアムショップ「Noir(ノワール)」も併設され、庭園風景を一望できます。暖かな春のアート散歩としてお薦め。ぜひ一度足を運んでみてください。



東京都庭園美術館
・ 住所 〒108-0071 東京都港区白金台5丁目21番9号
・ 公式HP http://www.teien-art-museum.ne.jp/

February 20, 2015

日本橋人形町界隈とドイツパンの名店


 先日、家内と日本橋人形町界隈を廻ってきました。日本橋人形町は日本橋の東側に位置し、日本橋川と隅田川に囲まれた一帯です。人形町という町名は人形関連の仕事に携わる人々が多く暮らしていたことに由来します。江戸の初めより歌舞伎や人形芝居の小屋、見世物小屋などが立ち並ぶ歓楽街で多くの人々で賑わいました。演劇の殿堂・明治座や安産祈願で有名な水天宮があります。人形町で特に人気なのが「甘酒横丁」で昔ながらの風情を漂わせるお店が数多く軒を連ねています。行列ができる人気の老舗として有名な卵丼の「玉ひで」やすき焼きの「人形町今半」もこのあたりです。

 私たちが人形町を訪れたのは甘酒横丁の少し先、浜町緑道(りょくどう)沿いにあるドイツパンの名店が目当てでした。そのお店タンネさんは都内でも珍しい南ドイツのパン専門店です。1993年創業といいますから今年で22年となります。江戸の風情を色濃く残す人形町界隈とドイツパンのお店は一見変わった取り合わせのようですが、明治時代を思い起こす洋館風の店構えがしっくりと街に馴染んでいました。

 店内には魅力的なパンやクーヘン(ケーキ)が幾種類も並べられ、どれを買おうかと思わず迷ってしまいました。(カタログの写真を数えたらなんと95種類もありました!)またテーブル席(イートイン)が設けられていてドリンクとソーセージなどのプレートと一緒に購入したパンをその場で食べることができます。私たちは独特の酸味が味わい深いライ麦の黒パンを、これまた絶品のハーブ・ソーセージとともに美味しくいただきました。

 タンネさんはスウェーデンのエクスペリエンス・デザイナー、ジョセフィン・ヴァリエ氏が行うプロジェクト「リビング・アーカイヴ」(人と天然酵母を廻るストーリーや知識を交換、共有するアーカイブ)に参加されています。ヴァリエ氏のプロジェクトは2月1日まで六本木の「21_21デザインサイト」で開催された企画展「活動のデザイン」で紹介されタンネさんの天然酵母も出品されていました。会期中に行われた作家を囲むトークイベントには職人さんもコメンテーターとして参加されたとのことです。私がお店に伺った日には出品された天然酵母でつくったパンも販売されていました。

ドイツパンのお店 タンネ
場所 東京都日本橋浜町2-1-5
電話 03-3667-0426
時間 平日8:00~19:00、土8:45~18:00(日曜、祝日はお休み)




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 さて、間もなくお雛祭りですね。今年は琳派四百年の記念イヤーということで琳派がらみの様々な展覧会、イベントが開催されます。そこで当社ラインナップのなかから江戸琳派の祖、酒井抱一が描いたお雛さまをご紹介いたします。

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彩美版®・酒井抱一 《紙雛図》 軸装/額装
販売価格 各90,000円+税


<仕様体裁>
原画 逸翁美術館 所蔵
技法 彩美版®
本紙 特製絹本
証明 奥付に所蔵美術館の承認印を押捺
発行 共同印刷株式会社

■軸装仕様
表装 三段表装
材料 天地:無地
   中廻:焦茶二重蔓牡丹緞子
   風袋・一文字:新金襴
   軸先:為塗り
   箱:柾目桐箱、タトウ付き
画寸 縦70.0cm×横28.2cm
軸寸 縦161.0cm×横44.0cm

■額装仕様
額装 特注木製和額、アクリル付き
画寸 縦70.0cm×横28.2cm
額寸 縦87.5cm×横42.3cm
重量 約2.4kg

※ 「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※ ドイツパンの写真はイメージ画像です。

February 13, 2015

東京都美術館「新印象派」展

20150213tobikan.jpg いつもブログ「美術趣味」をご覧いただき、まことにありがとうございます。2月に入り一段と冷え込んでまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 私は先日、上野の東京都美術館で「新印象派-光と色のドラマ」展に行って参りました。19世紀後半の絵画の革新運動「新印象派」にスポットライトを当て、スーラ、シニャックに始まる運動の流れを時代を追って入念に検証し、20世紀フォーヴィズムの画家マティスにまでつなげる、「色彩表現の変化の軌跡」を仔細にたどった実に気宇壮大な展覧会です。

 モネやルノワール、セザンヌに代表されるフランス印象派は、光のきらめきや色の彩度を追求し、きめ細やかな筆触で自然や風景をキャンバスに描き上げました。その様式を新印象派の画家たちは、光や色彩の科学的理論に基づく点描画として更に発展させました。惜しくも早逝したスーラに代わり、理論家のポール・シニャックを運動のキーマンとし、本展覧会はその運動の生成と発展を多彩な展示作品により、あたかもドラマを見るように巧みに描き上げます。鑑賞者の目の中に混ざるように配置された作品の細密な点が、光と色彩のモニュメントを築き上げるがごとく、私には新印象派の歴史が腑に落ちるように伝わってきました。

20150213neo-impressionism.jpg 中でも注目はやはり、新印象派を牽引したジョルジュ・スーラ(1859‐1891)の作《セーヌ川、クールブヴォワにて》でしょうか。揺れる水面と陽光の移ろいをスタティックに描出し、観るものの佇まいを正すような印象的な作品です。スーラは生来寡作であり、31才の若さで亡くなったため、残された作品は少ないのですが、シカゴ美術館が所蔵する門外不出の《グランドジャット島の日曜の午後》(1886年最後の印象派展出品作)をはじめとして、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《アニエールの水浴》、オルセー美術館の《サーカス》など、どれも質の高い作品ばかりであり、近年改めて注目を浴びている画家のひとりです。


 今話題の展覧会に、皆さまもぜひ足をお運び下さい。




【「新印象派-光と色のドラマ」展】
会 場 東京都美術館
会 期 2015年1月24日(土)から3月29日(日)まで(月曜休室)
時 間 9:30~17:30(金曜は20時まで)




 なお、弊社では文中でも触れたスーラの代表作である、《グランドジャット島の日曜の午後》のアートレリーフ™複製画をお取扱いしております。貴方のお部屋のインテリアとして、大切な方への記念品、贈り物としてお勧めいたします。


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ジョルジュ・スーラ 《グランドジャット島の日曜の午後》
販売価格 50,000円+税

<仕様体裁>
技法 アートレリーフ™※
画寸 M15号
額寸 63.5×83.0cm
重量 4.3kg
額縁 特製木製洋額
原画 シカゴ美術館所蔵
発行 共同印刷株式会社

※アートレリーフ™とは
原画を思わせる絵の具の盛り上がりや筆のタッチを忠実に再現し、キャンバスに仕上げた特殊な複製画です。絵の表面の盛り上がりを直に触ってお楽しみいただけます。


February 6, 2015

冬の長瀞で山羊に和む


20150206PNB-1253_entrance.jpg 寒風にいたぶられる1月末、季節外れの長瀞に出かけました。シーズンではないため、花園ICも国道も実にすんなりと通り抜けてきました。冬枯れのほんのり赤味を帯びたグレイトーンの山々は雲間から日の光を部分的に浴びて美しい輝きを見せていました。本来ライン下り、カヌー、ラフティングの名所である皆野町。今はひっそりとし、荒川上流の澄んだ水は季節に関わらず連綿と流れているものの、人のいない河原は静かな水音のみが響き、時が静止したかのような落ち着きを覚えました。

20150206tsugumi_zuanten_works.jpg そんな親鼻橋の河原近くに、「PNB-1253」という洒落た名前のブック・カフェ・ギャラリーがありました。ラフな手作り看板や地味めな建物外装が、際どくアート感を滲み出しています。この日は『〈継組図案店〉デザイン工房・継組tsugumi』と称して、アルミパネル、折り紙、テキスタイルなどのデザインを展示していました。作者はたかはしふみこさんという秩父在住のデザイナーだそうです。自然をモチーフにした連続性のあるデザインは形も色彩も非常に高いセンスを感じます。理屈ではない恣意的好みを配慮した図案の本質を見る気がしました。(2月11日まで開催)

20150206PNB-1253_shop.jpg すっきりしたギャラリースペースの奥の、味わいある店内は、リラックス空間そのもの。ブックコーナーは、オーナーの好みの写真集や詩集、少年文学などが置かれ、珈琲を飲みながら好きな本の頁を捲ることができます。自分の書棚のような親近感を覚えました。全面サッシの外は素朴な野と雑木林の風景。その敷地には飼われている山羊くんがのんびりリラックスしていました。彼の存在がこの場所の雰囲気を象徴するかのようです。空には光を浴びた雲がゆっくり流れていました。

20150206butti_the_goat.jpg このギャラリーでは保坂彩樹という写真家の個展がくり返し開催されているようでした。
モノの存在の不可思議を、さり気ない対象を通じてシンプルに捉え、抑制した色調にフィルム現像・手焼きの温もりが加わる独特の作風です。オーナーに尋ねると案の上、保坂氏はオーナーご本人でした。もともと商業カメラマンとして働いていたが芸術表現としての写真に専念すべく2008年に自然豊かなこの地で、このカフェギャラリーを立ち上げ、撮影活動の傍らカフェという人を集める場を営み、作品発表の場にしているとのことでした。写真に用途を持たせて利用したくないという意向の言葉が印象的でした。

 企業カレンダー制作に携わる筆者としては気になり、最後にもし企業カレンダーに作品を起用させてほしいとオファーが来たらどうするか尋ねると、それはそれで嬉しいことなので、企画内容を検討し、納得できればお引き受けしたいということでほっとしました。

 帰りは近くにある「埼玉県立自然の博物館」に寄り、閉館前の短時間にあわただしく鑑賞しましたが、ここはここで意外に面白く、よりじっくり見たいと思いました。



■PNB-1253
住  所 埼玉県秩父郡皆野町大字下田野1253-1
電  話 0494-62-6323
営業時間 11時~19時(冬季は18時30分まで)
定 休 日 水曜日・第一木曜日


January 30, 2015

新年、大阪、新世界紀行。


 年明け早々に大阪へ行って来た。
 新大阪から御堂筋線に乗って「なんば」方面を目指す。電車の中には何やら笹の枝に鯛や小判、米俵の飾りが付いたものを手にしている人が多く乗っている。サラリーマンの集団であったり、ご夫婦であったり。何かと思いながら駅で降りて道に出ると、笹飾りを持った人がぞろぞろ歩いている。さては縁日か祭りかと、野次馬根性で人の流れの方向に一緒に付いて行くことにした。人々は屋台でにぎわう道を抜け、今宮戎(いまみやえびす)神社という所に入って行く。境内は活気で満ちており、「商売繁盛で笹もってこい♪〜」という節回しの付いた掛け声が鳴り響いている。盛り上がったコンサート会場のようだ。

20150130ebisu.jpg 私が訪れた日は1月9日で、たまたま十日戎(とおかえびす)の宵宮祭にあたったのであった。参拝者は古くなった笹飾り(福笹というものらしい)を神社に納め、新しい福笹に小宝(鯛や小判などの縁起物の飾り)を有償で付けてもらい、今年の商売繁盛を願う。私はこの風習の事を知らなかったのだが、関西ではかなりメジャーなイベントのようである。行事を知らなかった私であるが、なぜか「商売繁盛で笹もってこい♪〜」の節だけは記憶の奥にあった。

 関西の人は恵比寿神を親しみを込めて「えべっさん」と呼んでいる。これはこの地域の人の相手に対する親しみの心や、柔らかさといった気質に関係しているのかもしれない。まずは、このブログをお読みいただいている諸兄諸姉が今年一年、商売繁盛になりますようにお祈りいたします。

20150130tsuutenkaku.jpg さて「えべっさん」を後に、新世界界隈に向かう。昭和な雰囲気が今なお残っているこの街には、レトロな映画館がまだあったりする。新世界のランドマークといえば「通天閣」。声に出したときに「ツー、テン、カク」と滑舌の良い響きが独特である。将棋棋士の阪田三吉(正しくは吉の上が土です)も「サカ・タ・サン・キチ」と、やはり響きが良い。通天閣の下には阪田三吉の偉業をたたえた王将碑がある。

 通天閣は、命名した儒学者の藤沢南岳が込めた意味のように「天に通じる高い建物」といった外観。通天閣を設計したのは内藤多仲(ないとうたちゅう)という方で、東京タワーの設計もしている。塔の高さは地上100m、現在の通天閣は2代目で1956年(昭和31年)に完成した。初代通天閣は1912年(明治45年)に完成。上部の塔はエッフェル塔、下部は凱旋門とう形をしていたとのこと。残された写真を見るととてもエキゾチックな外観で、古典SF映画のジョルジュ・メリエス的世界が体現されている。さらに当時はルナパークという遊園地とロープウェイで結ばれていたというから、正しくレトロフューチャーなSFの世界か。是非とも個性的な初代の通天閣を見てみたかった。

 ところで新世界の近くには大阪市立美術館がある。せっかくなので開催中の「中国の彫刻」展(2月8日まで開催中)を見に行くことにした。この美術館は天王寺動物園のすぐ隣にある。もと住友家の本宅があった所に建てられたこの美術館は、シンメトリーで直線的なデザインの外観がすばらしい。さらに、ホールに吊るされているシャンデリアがまた美しい。大きなホールは、正面に大理石の階段があり、高い天井には巨大なシャンデリアが2基、暖かいオレンジの輝きを放っている。ホールを見るだけでも一見の価値がある。

 「中国の彫刻」展に展示されているのは南北朝時代の北魏から明時代までの仏教、道教の石造など。正直かなり地味かなと期待せずに入ったのだが、思った以上の収穫であった。その時代の地方色豊かな表現がされた石造たちは、個性的で奔放。ある意味不出来なものもあるが、かえってそこから素朴で偽りのない信仰心を感じる。そして技術がなく技巧に走っていないが故の自由さがほとばしっていて感動した。解説にも「バランスの悪い所もあるが、おおらかで暖かみのある地方性豊かな愛すべき仏像」というような内容が書いてあり、学芸員の方の展示物に対する愛情を感じることが出来た。

 地域色が豊かな事が、文化、芸術、生活、心の豊かさにつながっているのだと、今回個性的な街、大阪で強く感じた。


January 23, 2015

新商品・小倉遊亀《観自在》発売のお知らせ


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。

 さて今年は日本画家・小倉遊亀画伯の生誕120周年にあたります。当社はこれを記念し、小倉画伯の《観自在(かんじざい)》の彩美版®を発売いたしました。
 画業の究極の境地を、軽やかに浮遊する観世音菩薩の姿に託した《観自在》は昭和43年(1969年)の再興第53回院展に出品され、小倉芸術のひとつの頂点を示すものとして広く知られた名作です。現在は画伯の故郷大津市にある、滋賀県立近代美術館に所蔵されています。


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彩美版®・小倉遊亀 《観自在》
販売価格230,000円+税



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<仕様体裁>
原画 滋賀県立近代美術館所蔵
監修 有限会社 鉄樹
解説 高梨純次(公益財団法人秀明文化財団参事)
技法 彩美版®、シルクスクリーン手刷り、本金泥及び岩絵具(白緑)使用
用紙 和紙
限定 200部(軸装、額装の合計)
証明 著作権者承認印を画面左下と奥付に押捺、当社開発セキュリティーシールを奥付に貼付※

※「彩美版®」は共同印刷株式会社の登録商標です。
※「セキュリティーシール」の詳細につきましては以下をご覧ください。
2014年10月31日ニュースリリース:http://www.kyodoprinting.co.jp/release/2014/20141031-1517.html




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<軸装仕様>
表装 三段表装
   天地:白茶無地
   中廻:薄利久地大牡丹唐草文緞子
   風帯・一文字:白茶地霞雲金襴
   軸先:新牙
   箱:柾目桐箱、タトウ付き
   箱書 小倉遊亀画伯揮毫の文字をシルクスクリーンで再現
画寸 天地73.0cm×左右45.0cm
軸寸 天地161.5cm×左右64.5cm


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<額装仕様>
額縁 別注木製額金泥仕上げ、アクリル付き
   マット:薄利久大牡丹唐草文緞子(軸装「中廻」と共通)
画寸 天地73.0×左右45.0cm
額寸 天地89.5cm×左右61.5cm
重量 4.4kg





【余談】

 昨今、鉄道に関するニュースを耳にすることが多くなっています。全国各地で鉄道に関するイベントが開催され、博物館もオープンしています。東京駅開業100周年を記念した「suica」騒動は皆様のご記憶にも新しいと思います。本稿執筆中に「suica」追加販売分の詳細について発表がされていましたが、なんにせよ本当に欲しい人が入手できるようになり、良かったと思います。

 昨年はリニアモーターカーが2027年品川―名古屋間全線開業を目指して、着工されました。JR東海で試乗チケットを抽選販売したところ、倍率は100倍を超えたとか。面白いところでは、静岡県の大井川鉄道で機関車トーマスが線路を走り、注目を集めました。こちらも乗車チケットはあっという間に売り切れだったようです。

 いろいろな鉄道関連のニュースで頭にすりこまれていたのか、気が付けば私も立て続けに「横浜原鉄道模型博物館」、「大宮鉄道博物館」へ訪問していました。大人も子どもも楽しめる場所になっていますので、ご家族で来られている方が多かったです。

 そして今年は3月14日にいよいよ北陸新幹線開通、また春頃には京都に鉄道博物館が開業します。鉄道に関するイベントは、老若男女問わず関心が高いと思います。都市と都市が鉄道でつながって、人やモノの流れが活発になり景気が上向けば良いですね。なにより鉄道ファンの方々にとっては、当分忙しい日が続きそうです。


January 16, 2015

日々穏やかに


20150116camellia_red.jpg いつもブログ『美術趣味』をご覧頂きましてありがとうございます。

まだまだ寒さが厳しい日が続きますが、陽だまりの中を歩くと寒さも和らぎ大分暖かく感じられるよううな陽気になってきました。皆様いかがお過ごしでしょうか。暦は「小寒」これから「大寒」と寒さが体にしみますが、水仙の花などの草木を目にすると少しだけ春の気配を感じます。

20150116camellia_white.jpg ついこの間は山茶花が見ごろでしたが、椿も冬からよく目にするようになりました。艶やかな赤色、気品ある白色の花が青く澄み渡った冬空によく映えます。よく似ている山茶花は椿の近縁種だそうです。両者は区別がしにくいのですが、簡単な見分け方があります。花が平開(大きく)開いて咲いて花びらが個々に散るのが山茶花。花が平開せずお椀のような形で咲き、花が散る時は萼(がく)と雌しべだけ木に残して花が丸ごと落ちるのが椿です。花の咲いている様子からもなんの花か解るものですが、木々の下の様子を見てどんな花か推測して判明して気づく事がとても楽しく感じます。

 身近に木々や花を愛で楽しむひと時を。



【小石川植物園のご案内】

正式名称 東京大学大学院理学系研究科付属植物園
     ※国指定名勝及び史跡
所在地  東京都文京区白山3丁目7番1号
電 話  03-3814-0138
FAX  03-3814-0139
入園料  大人(高校生以上)400円/小人(中学生、小学生)130円
開園期間 1月4日~12月28日
休園日  月曜(月曜が祝日の場合はその翌日、月曜から連休の場合は最後の祝日の翌日が休園日)
開園時間 午前9時~午後4時30分(但し入園は午後4時まで)
アクセス ・都営地下鉄三田線 白山駅下車 A1出口 徒歩約10分
     ・東京メトロ丸ノ内線 茗荷谷駅下車 出入口1 徒歩約15分
     ・都営バス(上60)大塚駅~上野公園線 白山2丁目下車 徒歩約3分

January 9, 2015

初詣


 皆さま、新年明けましておめでとうございます。
 この年末年始は全国的に強い寒気に見舞われ、ことに日本海側では強風と大雪の荒れた天候となりました。帰省したのもつかのま、雪掻きに追われ元朝参りどころではなかった方も多かったようですね。

20150109_ootori_torii.jpg 私はと言えばこの正月、東京・台東区の鷲(おおとり)神社に参拝して参りました。鷲神社は開運、殖産、商売繁盛に御神徳の高い神様として崇められ「おとりさま」の名で親しまれています。十一月の酉の日に行われる例祭「酉の市」も有名です。

 皆様にとって今年が良い年でありますように、心よりお祈り申し上げます。
 引き続き本年も「美術趣味」に変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。




20150109_ootori_jinja.jpg【鷲(おおとり)神社】
所在地  東京都台東区千束三丁目18番7号
アクセス 東京メトロ日比谷線「入谷駅」または「三ノ輪駅」より徒歩10分

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

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