December 26, 2014

巨大壁画・秋田の行事


 いつもブログ「美術趣味」をご覧頂きましてありがとうございます。
 いよいよ年の瀬も近づき、年内最後の更新です。

 さて、先日巨大壁画・藤田嗣治作「秋田の行事」が飾られている秋田県立美術館へ行って参りました。
 「たった一枚の絵を観に行く。旅に出る理由は簡単でいいと思います。」
たしかそんなフレーズで、数年前JR大人の休日倶楽部キャッチコピーで紹介され、女優の吉永小百合さんが一枚の絵画を観るために旅へ出るというものです。まさにその場所でしか観られない絵画の圧倒的な迫力を感じるために、思いきって観に行く。そんな姿を描いた広告でした。

20141226akita_museum_of_art.JPG 所蔵の秋田県立美術館は、藤田嗣治作品を中心とする秋田の資産家・平野政吉コレクションと、現代の芸術表現の場としての県立ギャラリーを持ち、秋田の文化を伝え、訪れる方々に芸術の感動と、芸術と共にいきることの喜びを届けることを目的に開設されました。現在の建屋は2012年にリニューアルオープンした新美術館で、世界的建築家の安藤忠雄氏設計のもと、コンクリート打ちっぱなしの斬新なデザインとなっています。カフェスペース眼前に広がる池から旧美術館も望むことができる造りになっています。

 藤田嗣治はフランスで最も有名な日本人画家と言われ、平野政吉の依頼によって描き上げたのが、制作当時、世界最大を誇った巨大壁画「秋田の行事」です。大きさはなんと縦3.65メートル、横20.5メートルの巨大な作品です。こんな大きな作品を藤田はなんとたったの15日で描き上げてしまったとのことです。秋田の自然、風俗、祭り、産業、歴史・・・時代の空気、人々の息遣いまで描き切った大作ですが、日本人であればどこか懐かしい感じさえします。

 そして、来年(2015年)秋には藤田を題材にした日本フランス合作映画「FOUJITA」(小栗康平監督・主演オダギリジョー)が公開予定となっており、なにかと話題になりそうな年です。

 それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。

December 19, 2014

生誕200年を記念し東京・丸の内で開催中の「ミレー展」


 いつもブログ「美術趣味」をご覧いただき、まことにありがとうございます。
今年も残すところ後わずかとなりました。皆さまも気忙しい日々をお過ごしのことと思います。

20141219mitsubishi_museum2.jpg 私は先日、東京丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「ミレー展」へ行って参りました。自然・農民・労働をモチーフに、厳格で力強い写実的な描写を取り入れながら登場人物に崇高な愛情を注いだ、フランスの国民画家ジャン=フランソワ・ミレーの傑作群をまとめて見る貴重な展覧会でありました。

 会場の三菱一号館美術館は丸の内界隈でもひと際目を引く、瀟洒な赤煉瓦作りの美術館として有名です。この秋、10月に開幕した「ミレー展」は、つい先日私が訪れた時も老若男女を問わず大盛況でした。

20141219ex_millet_display.jpg 日本では明治期より洋行帰りの画家たちを通じてミレーの知名度が広まり、一般庶民にまで浸透し、現在のミレー人気に至りました。一方、アメリカのボストンでは早くも19世紀の半ばからミレーの人気が高まり、市民愛好家たちが競って質の高いミレー作品を所蔵したとのことです。後年それらの作品が、ボストン美術館のコレクションの中核となり、今回の展覧会でもミレー作品だけで25点が出品されました。

 自然を深く愛したミレー(1814‐1875)はフランス、ノルマンディー地方の農村生まれ。若くして画家を志しましたが、世に認められずしばらく不遇を託ちます。1849年、35歳の年にパリ近郊のバルビゾン村に居を構え、農民たちの田園生活を描くことに傾注、ミレー芸術が大きく開花するにつれ世間の評価も高まり、後年にはフランス画壇の傑出した存在となりました。

 本展覧会の目玉は「ボストン美術館三大ミレー」を謳う《種をまく人》、《羊飼いの娘》、《刈り入れ人たちの休息》3作品の公開です。特に《種まく人》(「を」を取った方が画題にインパクト有り!)は、表現の激しさと荒らしさ、暗い色調の画面、背景と人物とのコントラストが主役の農民を英雄的に浮き立たせ、リアリズムを超えた記念碑的/神話的なアウラを放ち、鑑賞者に深い感銘を与えます。この素晴らしい展覧会に、皆様もぜひ足をお運び下さい。



【ボストン美術館 ミレー展 ― 傑作の数々と画家の真実】

 会 場  三菱一号館美術館
      東京都千代田区丸の内2−6−2
      電話 03-5777-8600

 会 期  2014年10月17日(金)から2015年1月12日(月)まで
 休 館  月曜(祝日を除く)、年末年始12月29日(月)から1月1日(木・祝)まで
      ※「ミレー展」好評により12月27日(土)、28日(日)は特別開館
 開館時間 10:00~18:00 ※金曜は20時まで
 入場料(当日券) 一般1,600円、高校・大学生1,000円、小・中学生500円




millet_Des_glaneuses400pix.jpg

 当社ではミレーのもうひとつの代表作である《落穂拾い》の複製画をお取扱い致しております。お部屋のインテリアはもちろん、貴方の大切な方への記念品や贈り物としてお進めいたします。

ジャン=フランソワ・ミレー 《落穂拾い》
販売価格 30,000円+税


<仕様体裁>
原 画  仏・オルセー美術館所蔵
技 法  アートレリーフTM
画 寸  F5号
額 寸  44.0×52.0cm
重 量  2.1kg
額 縁  特製木製額、アクリル付き
発 行  共同印刷株式会社

アートレリーフTMについて
油絵のマチエール(画肌)を再現することを目的として当社が独自に開発した特殊な樹脂加工技術です。
パレットナイフを使った大胆な表現による絵の具の盛り上がりや画筆の繊細なタッチなど、油絵独特の画面の質感を立体的に再現することができます。仕上げに木枠に張ったキャンバスを用い、あたかも実際に油絵の具でキャンバスに描いたかのうような質感を再現しています。
当社のアートレリーフTM複製画は小・中・高等学校の教材や美術館の展示用レプリカ等にも用いられています。

December 12, 2014

漫画と盆栽の町


 さいたま市北区盆栽町にある大宮盆栽村は、その昔、東京の文京区団子坂付近に住んでいた多くの盆栽職人が関東大震災を契機にこの土地に移り住み、たくさんの盆栽園を有する自治共同体となったのが始まりで、現在も世界的な盆栽の聖地と言われています。今季一番の急激な寒波が訪れたその日、その盆栽村に近接する2つの公立美術館を訪れました。

 閑静な住宅街は石畳と木目のマップ標識で統一され綺麗に整理された印象です。庭の敷地にいくつもの盆栽鉢が見える盆栽園も目にします。住宅の1つの様にさり気なく溶け込む「さいたま市立漫画会館」に到着。一部工事中でしたが、普通に観覧できました。入場は無料です。

20141212manga_museum.jpg この美術館は1966年に創設された日本初の漫画に関する公立美術館です。近代風刺漫画の先駆者で、日本初の職業漫画家といわれる北沢楽天の晩年の住居跡に建てられました。楽天は英字新聞社で西洋漫画の手法を学び、当時評価が低かった風刺画を、近代漫画として確立させました。その活躍ぶりは語り尽くせぬもので、明治から昭和にわたり、新聞や雑誌で、政治・社会の世相を巧みに捉えた風刺漫画や、ユーモラスなコマ漫画などを描き、後継の多くの漫画家に影響を与えました。ここには楽天の晩年の作品や愛用品が常設され、画室もそのまま保存されています。生前からあった日本庭園も鑑賞でき、穏やかな晩秋の風情を楽しめました。

20141212manga_museum_garden.jpg この日は企画展として、「さいたま市民漫画展2014」の展示会初日でした(2015年2月15日まで開催)。この漫画展は小学生から一般まで、国内外・プロアマを問わず作品を募集し、審査するコンテストです。毎年開催され来年30回目を迎える、全国で最も長く続いている漫画応募展です。11月に先行して同じ展示会を別の公共施設で開催済みということもあり、あまり鑑賞者は来ていませんでした。実は恥ずかしながら今回初入賞した筆者の作品も展示されています。今回の募集テーマは「しあわせ」でしたが、展示された小学生の素直な「しあわせ」観は、あらためてほのぼのとした気分にさせてくれました。

20141212oomiya_bonsai_museum.jpg ここから北へ数分歩くと「さいたま市大宮盆栽美術館」があります。こちらの建物も付近の住宅と違和感ない容姿で佇んでいます。盆栽文化を広く人々に親しんでいただくことを目指して、2010年に開館しました。盆栽というと、高齢者の渋い趣味という印象をもっていましたが、ここに展示されている作品は、そういうイメージよりも作品としての秀逸さに目を奪われます。

 展示室は、盆栽に関する知識を記載した解説パネルと季節に合わせて選定された盆栽がブース毎に展示されています。たくさんの美しく赤い実のなった作品が印象的でした。

 続いて「座敷飾り」として3種類の異なるスタイル(真・草・行)の床の間の見本が設営され、各部屋の特徴に合わせて、盆栽と掛軸が展示されています。掛軸と盆栽は密接に関わりあると感じました。

20141212bonsai_museum_garden.jpg 最後に戸外の盆栽庭園を鑑賞。常に40~50点の名品が見られます。ただひたすら寒かったので、スピーディーに見て廻り、建物内に戻りました。残念ながらこの日は展示替え期間で企画展示の開催はありませんでした。

 盆栽は人が自然に働きかけ、一緒に作り上げていく生きた芸術作品。優れた作品にはそこへ到達し維持するために想像を超えた根気がいるのではと敬服します。



■さいたま市立漫画会館

 さいたま市北区盆栽町150番地   
 TEL 048-633-1541
 開館時間 9:00~16:30
 休館日  月、祝日の翌日 年末年始

 
■さいたま市大宮盆栽美術館

 さいたま市北区土呂町2-24-3
 TEL 048-780-2091
 開館時間 11月~2月=9:00~16:00  3月~10月=9:00~16:30
 休館日  木曜(祝日の場合は開館) 年末年始 臨時休館あり
 観覧料  300円(20名以上の団体料金200円)


December 5, 2014

開業100年記念「東京駅」と、銀座をぶらぶらした事


 今月、2014年12月で東京駅が開業して100年を迎えるそうである。2012年には、開業当時の姿が再建されて話題となった。東京駅の丸の内駅舎は、1914年(大正3年)に完成した建物であり、その設計は、日本銀行本店(旧館)など数々の重要文化財となる建物の設計を手がけた辰野金吾によるものである。

 東京駅開業100年記念を迎えるにあたり、東京ステーションギャラリーでは、プレイベント的な「探検!発見!東京駅」という展覧会をやっているというので見に行く事にした(こちらは11月30日で終了)。東京ステーションギャラリーは東京駅丸の内駅舎の中にある美術館である。改修前は丸の内側の中央辺りに入り口があったのだが、行ってみるとシャッターが下りている。不覚にも今日は休みかと落胆し、ブログは別のテーマを探さなければと重い足で切符を買って帰ろうとしたら、ギャラリーの入り口が丸の内北口改札前に移っていたのを発見。気を取り直して入場券を券売機で購入し、まずエレベーターで3階まで上がる。

20141205Stainedglass.jpg 今回の展覧会では、2012年のイベントで行われたプロジェクションマッピング(建物など立体物に映像を投影する技術)が、1/20の大きさの丸の内駅舎の模型に映し出されるのが見られた。また復原前と後の駅舎の断面模型なども展示されていて、東京駅につて楽しく学べる事が出来た。ギャラリーの内装は、建設当時の構造用レンガ壁がむき出しになっており、歴史と趣がある。またフロアを下に移動するための八角形の回り階段の天井には、旧ギャラリーのアールデコ調のハイカラなシャンデリアがつり下げられている。美術館2階にあるミュージアムショップに入る手前には、北口ドームの八角形の回廊があり、この回廊から1階のホールを見渡すと、なんだか優越感を覚える。東京ステーションギャラリーは、美術館の建築自体が楽しめる所でもあった。なお、東京ステーションギャラリーでは12月13日〜2015年3月1日の期間、東京駅開業百年記念「東京駅100年の記憶」が開催されるとの事。

 さて東京駅を八重洲側から出て、銀座方面へ向かう事にする。山手線の高架線に沿って有楽町に向かって歩く。この高架線の下にはいろいろなお店が入っており非常に楽しい。しかしギャラリーで立ちっぱなしだったのでちょっと一休みしたい。銀座2丁目に古くからやっている十一房珈琲店がある。店先の焙煎機で焙煎した豆で珈琲を提供してくれる純喫茶で、また焙煎した豆も売っている。店内は落ち着いた雰囲気で、真空管アンプから流れるジャズの音色に、ほっとする場所である。ガスレンジの青い炎でコトコトと沸かされたお湯で、ゆっくりと丁寧にネルドリップで入れてくれた珈琲は美味しい。チェーン店のコーヒーショプが増えて、純粋な喫茶店が減って行く中、貴重なお店になった。ぜひとも喫茶店文化を残して行ってほしいと切に願う。さて家で飲むため、キリマンジャロのフレンチローストを買って出る。

 中央通りに出て、新橋方面に向かう事にする。この通りは正しく銀座の中心的な通り。ブランドショップや松屋、三越、和光などのデパートが並ぶ。和光の凝ったショウウィンドウを眺め、歩行者天国になった大通りの真中をさらに進む。松坂屋があった場所は再開発中で、ぽっかりと大きな空間が出来ている。銀座でこのスペースの空間があるという事が、何かシュールな感じさえする。

20141205Souvenir.jpg ほとんど新橋に近い銀座8丁目に、臙脂色のおしゃれなビルが建っている。資生堂パーラー本店が入っている建物である。このビルの地下には資生堂ギャラリーというスペースがあり、いろいろな企画の展覧会を行っている。今回は写真家アラーキーで親しまれている「荒木経惟」の「往生写集」展が開かれていた(12月25日まで開催)。展示会場には、強烈な色彩の写真が展示されている。ソフトビニール製らしい足の生えた深海魚に食われる人形の頭、どくどくしいまでに鮮やかな花、花、花、と、それに飲み込まれて行く人形達など。エロスとタナトスに満ち溢れた世界が展開している。地下の迷宮から地上に戻ると、そこは大人のお菓子の国。1階の資生堂パーラーショップにてお土産を探す。資生堂パーラーは1902年に誕生との事なので、100年以上の歴史がある。お気に入りのチーズケーキを購入する事にした。このチーズケーキは、一口サイズぐらいのブロックに、チーズがごろっと入ったような、チーズの美味しさがそのまま楽しめるシンプルで深い味わいのモノ。今日は東京、銀座の歴史と文化を楽しんだ一日であった。



 今回訪れた東京駅に関連して、当社商品にも鉄道画家の富田利吉郎作「東京駅」のリトグラフがあるのでご紹介します。赤煉瓦の趣を詳細なタッチで描いたこの作品は、駅舎の屋根が、戦災復興をした当時の三角屋根になっている。戦後の昭和生まれの世代(私も...)にはなじみのある、だが今は見られなくなった懐かしい姿である。この記念の機会に是非ご覧ください。なお、富田利吉郎の作品には、かわいらしい木造駅舎の原宿駅もあります。

【冨田利吉郎 略年譜】
大正8年 山形県新庄市に生まれる。
双台社研究所でデッサンを学んだ後日本画家・福田豊四郎に師事。
昭和31年 新制作協会日本画部(現在の創画会)に初出品。
昭和40年 日本橋丸善にて初の個展開催。
昭和44~47年 新宿ステーションビル、ギャラリー・アルカンシェルにて「蒸気機関車のある風景」展開催(通算4回)。
昭和49~56年 ギャラリー・アルカンシェルにて「停車場のある風景」展を開催(通算8回)。
平成3年 オリジナル・リトグラフ《東京駅》、《原宿駅》を制作
平成7年 3月逝去。享年76。
著書に、画集「蒸気機関車のある風景」(ノーベル書房)、画集「停車場のある風景」(講談社)など。


tomita_tokyo_st400pix.jpg


tomita_harajuku_st400pix.jpg


オリジナル・リトグラフ
富田利吉郎 《東京駅》、《原宿駅》
販売価格 各95,000円+税


<仕様体裁>
作者 富田利吉郎
限定 各180部
技法 オリジナル・リトグラフ(作者自身が描版)
版数 各14版・14色
用紙 ヴェラン・アルシュ
額縁 木製金箔仕上げ(国産、ハンドメイド)
画寸 41×47cm
額寸 60.5×66.5cm 
重量 約2.2kg
発行 共同印刷株式会社

プロフィール

共同印刷株式会社SP&ソリューションセンター アート&カルチャー部では、日本画を中心とした複製画や版画の制作、販売をてがけています。制作の裏側や、美術に関係したエッセーを続々とアップしていきます。尚、このサイトの著作権は共同印刷株式会社又は依頼した執筆者に帰属します。

<   September 2017   >
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
 
 
 
ページの先頭に戻る