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July 4, 2014

歴史のとけ込む不思議な街と、レトロフューチャーなタワーについて

 琵琶湖は日本一大きな湖であるという。その大きな湖の北東に長浜という街がある。旅の行程の都合で初めて訪れたが、とても魅力的な街であった。

まだ日が傾く前から宿でさっと一風呂浴びて、街の散策に出かける事にした。湖畔から街の中心に向かって歩いてゆくと、電車の線路脇におしゃれな洋館が見える。現存する日本最古の鉄道駅舎(旧長浜駅舎)だそうで、今は資料館になっている。建物には、優しいクリーム色の壁面にレンガ飾りが付いた窓が並んでいる。瓦葺の屋根にもレンガ造りの煙突が突き出ている。色も、形もとてもかわいらしい。自分の街にこのような駅舎があったら自慢である。

 さらに歩みを進めると、古い町並みが碁盤の目のように続いている。家々の壁が年季の入った黒い板塀で出来ている所がある。船板塀というらしい。

 街の繁華街までやってくると、何やら歴史を感じる、威厳のある建物がある。黒壁ガラス館というガラス細工を展示・販売している所らしい。明治時代に建てられた第百三十銀行長浜支店の建物を保存、使用しているとの事。店内には、指先程の小さい昆虫のガラス細工から、かなり値の張りそうな豪華なグラス類まで取り揃えており、とても楽しめる。今では訪れる方も増え、芸術性も高い長浜のガラス工芸も、関係者の方のご努力によってここまで創られて来たというから大変感心する。そこに住む方々の力で地域産業がアートとしても花咲いた貴重な成果である。この辺り一帯はおしゃれなガラス工芸のショップや、昔ながらの町のお店、歴史を感じる寺院などが渾然一体となり、ノスタルジーを誘う街並になっている。nagahama_Tower.jpg

 しかし長浜での出会いの中でも印象深いのが、長浜タワーである。そのレトロフューチャーな趣と、センスは秀逸である。建物は昭和の小振りなデパート風で、ギザギザ屋根のブルーのラインがアクセントとして効いている。そしてこの建物の一番の特徴ともいえるのがタワー(鉄塔)である。大きな電波塔のようなものが建物のてっぺんに付いており、そこには長浜タワーと看板文字が掛かっている。まさに昭和の夢と希望、哀愁を誘う記念碑的建造物である。



 黄昏の川沿いを歩いていくと、橋のたもとにビアガーデンがあった。長濱浪漫ビールという地ビールを飲ませてくれるお店だそうである。

Roman_beer.jpg 夕飯をここで済ませていく事にする。店内は広々として、落ち着いた雰囲気である。築100年以上の米蔵を改装して造られたそうで、店内にはビールの金属製の樽が並んでいる。ここでは日本地ビール協会金賞を受賞したエールや、ピルスナーなど4種類の地ビールが楽しめる。料理も地元の食材を使ったものを取り揃えており、夕食代わりに頼んだ近江牛のまぜご飯も美味しかった。
このまぜご飯の中に、何か赤くてやわらかい見慣れないものが入っている。かわいい店員さんに聞いてみると名物「赤こんにゃく」との事。こんにゃくといえば、灰色系で地味な色と思い込んでいた頭には、新鮮な驚きであった。

 ここの店員さんもそうだが、長浜で働いている若い人達は、とても元気がある。自分が働いている街と仕事に自信があるように感じる。

 宵の街をさわやかな風に吹かれながら宿に戻る。部屋の窓からは宵闇の湖畔にお城が見える。昭和に再興されたそうだが、秀吉が居城として初めて築いた長浜城である。秀吉の遺産を見ながら思う。この街は、戦国から明治、昭和とそれぞれの時代が今に生き続け、自然にとけ込んでいる。今日は、すばらしい長浜ワールドを堪能させてもらった。


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