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May 16, 2014

由緒正しい銭湯とコンテンポラリーアートの関係及び、団子坂の飴細工の事。


 銭湯のギャラリーがあると聞いたので、行ってみようと思った。

 そこでゴールデンウィークのある晴れた日に、東京の台東区、谷中に出かけた。ギャラリーの名前はSCAI THE BATHHOUSE(スカイ ザ バスハウス)と言う。まさしくバスハウス(=公衆浴場)そのものの外見であるが、中を改装してコンテンポラリーアート(現代美術)を展示しているギャラリーであった。

bath_house.jpgSCAI THE BATHHOUSE(スカイ ザ バスハウス)の入り口は、まさしく銭湯そのまま

 暖簾をくぐり、入り口を入ると小さな箱を重ねたような下駄箱が並んでいる。靴は脱がずにさらに中に進むと、昔は番台から脱衣場のあった辺りまでを貫いて、大きな空間にして作品を展示している。左の展示スペースを見ると一段高くなっており、椅子が置かれ居間のようになっている。その壁面には河原温の「日付絵画」が掲げられていた。制作した日付を書いたその作品は色が黒っぽいものでなく、初めて見る鮮やかな赤いバージョンであった。あのショッキングな「浴室」シリーズを描いた河原温の作品が、もと銭湯で展示してあるというのも、なにか運命めいたものを感じる。銭湯にでも行くような軽い気持ちでふらりとやって来たが、河原温の作品に出会うとは思ってもみなかったので少々驚いた。ここは襟を正して、気を引き締め拝見させていただく事にした。

 さらに次の展示室に進む。そこは天井が高く遥か上の方に窓があり、開放感のある部屋になっていた。明るい光のもといくつかの作品がぽつぽつと展示してある。浴槽があったと思われるあたりには壁があり、事務所になっているので見る事がかなわない。どのように改築しているのか大変興味がそそられる。以前の建物をどの程度生かしているのか。富士山のペンキ絵はかつてあったのか、あったのであれば今も飾っているのであろうかなど興味は尽きない。

 このギャラリーでは国内外の最先鋭のアーティストを紹介しているそうである。古き良き銭湯とコンテンポラリーアートが仲良く同居しているのは、新しい芸術の発信と、古き良き下町が混在する上野界隈にぴったりなように感じた。

 さてギャラリーを出る。まだ日は長いのでもう少し足を伸ばしてみる事にした。谷中霊園を右手に見ながら道は大きく左に曲がり千駄木方面に向かっている。この辺りは寺院が多く風情がある。外国の旅行者も多く、のんびりと門前の石に腰掛けて休んでいたりしている。また若い人が出している新しいお店もあり、おしゃれな自転車屋や、カフェなどもあり飽きが来ない。

 団子坂を登って頂上にたどり着く辺り、森鴎外記念館のちょっと手前に飴細工のお店があった。店内は様々な動物の飴細工が展示してあり、ムンワリとした甘い香りで満たされている。飴細工の動物たちをよく見ると、白いウサギがいろいろなポーズをしているシリーズがある。商品札に「あめぴょん」と書いてある。店員さんが出てきて、このお店の一番人気であると教えてくれる。さらに「あめぴょん」のようにかわいらしい店員さんの説明によれば、メニューの中から選んで注文すれば、目の前で飴細工の実演をしていただけるとの事。メニューには十二支やインコ、鳳凰、クワガタや人魚まである。やはり形が複雑で色数が多いものほど値段が高いようである。どのように作るのか大変興味はあるものの、一人の客(おじさん)のために飴細工を作っていただくのは、見る方も、見られる方もやや気まずいのではないかと思い、ここはご遠慮願ったしだいである。「ハートあめぴょん」を一つ購入してお店を出る。

amepyon.jpg飴細工の白ウサギ、ハートを抱いた「ハートあめぴょん」

 さらに白山方面に向かい道を進める。途中、窓ガラスの内側に沿って水を流している仕掛けの歯科があった。何となく中が見えるのだが、水のせいで室内が歪んで見えてカーテンの役割をしているようである。

 さて、そろそろお腹も空いて来たので遅い昼食を取る事にした。東洋大学を過ぎた辺りにちょうど良い感じのレストランがあった。イタリア料理「シシリア食堂」とある。外観は明るいコバルトブルーで、今日の気持ちよい青空ととても良く合う。残念ながらランチはほとんど売り切れており、トマトソースのスパゲッティのランチ一つだけであった。しばし待って出て来た料理はトマトソースをからめた細めのスパゲッティに、バジルソースが縞模様にかかっている。トマトの鮮やかな赤、バジルの濃いグリーン、お皿の白のコントラスがイタリア国旗の色彩になっており目にも美しい。初夏を感じさせる今日にはぴったりのランチであった。食後のコーヒーを飲み終えてお店を出る。都営地下鉄の白山駅まではすぐである。

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