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April 7, 2008

「東山魁夷展」雑感

企画のツネです。
 
昨日、東京国立近代美術館で開催中の「生誕100年 東山魁夷展」を鑑賞してきました。
(5/18(日)まで。)
 
東山魁夷画伯の代表作や、画業をふりかえる上で欠かせない作品群、またスケッチや下絵が完成作品と並べて展示されていたりと、充実の内容でした。
例えば、代表作の一つ、「たにま」の下図が6点展示されており、画伯のどのような構想、スケッチを経てあの作品を完成させていったのか、うかがえます。
 
ただ一つ残念だったのは、雑誌や絵本に寄稿した絵が見られなかったこと。
東京美術学校(現・東京藝術大学)修了後、東山画伯は挿画家としての仕事をこなしているのです。
 
誰にでもわかりやすく優しい印象の絵の数々は、その後の東山画伯の日本画を予感させるだけでなく、挿画としても一級品です。
この時期の作品が展示されていれば、「残照」以降、東山画伯ならではの平面的で単純化された美しい画面が、どのようにして生まれ、成立していったのかがよりはっきりしたのでは・・・と思います。
 
それはさておき。


この「東山魁夷展」を、開催会場である東京国立近代美術館の常設展と併せて鑑賞すると、よりおもしろくなります。
 
たとえば、東山画伯の代表作「道」と、常設展示されている岸田劉生「道路と土手と塀(切通之写生)」の比較。
 
画面手前から奥(上)に向かって道が続いていく、というおおまかな構図は同じですが、まったく違う作品。
 
片や、道以外の要素を廃した抽象にも近い表現。
他方は、現実の道にあるものを、その題名のとおり(道路と土手と塀)残さず描きながら、およそ現実的でない起伏が道を道でない何かのように見せている。
 
あるいは、重要文化財である川合玉堂「行く春」と、東山画伯が唐招提寺のために描いた障壁画「濤声」「揚州薫風」
横長の画面をいかに活用して絵を描くか、という点を見比べてみましょう。
 
横長の画面を利用して時間の移ろいを描く、という手法は、西洋でも東洋でも、もちろん日本の絵巻物などでも扱われていますが、
今回挙げた作品では、時間の移ろいを表現するというよりは、画面いっぱいを一場面として、季節感や風景の特徴が描き出されています。
 
横長の画面の使い方といっても、玉堂さんと東山画伯では全然違います。
そのあたりを、2つの会場をハシゴして観てみると、おもしろいのでは。
 
 
その他にも、ちょっとした類似点を見つけて比較することで、絵の観方がぐっと広がります。
東京国立近代美術館の1・2階で東山魁夷展を観て、続けて4階・3階で常設展を観る。いかがでしょうか・・・

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