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October 24, 2007

山種美術館 3  「誰もが気楽に入れる美術館」へ

全三回の山種美術館インタビュー、最終回。
館長お気に入りの作品や、愛用のミュージアムグッズ、美術館の目指す方向性について、山崎館長と学芸員の櫛淵さんにお聞きしました。
 
 
―― コレクションのうち、館長が特に思い入れのある作品はありますか?
 
速水御舟 炎舞山崎 速水御舟の「炎舞」です。あの作品は何度見ても飽きません。以前、額のアクリルを外して見たことがあるんですが、背景の色がなんとも言えずきれいで・・・引き込まれるようでした。絹が染めてあるかのように、色が乗ってるんです。
炎と、それに群がる蛾というモチーフ自体も珍しいですね。御舟以前にも以降にも同じ画題はない。そういうものを選んだこと自体が御舟のすごいところだと思います。
私が御舟の奥様に伺ったお話では、軽井沢に家族で滞在中、毎晩たき火をして、そこに群がる蛾を観察したそうです。おもしろいことに、蛾のスケッチはたくさん残っていますが、炎のスケッチは一枚もない。炎は完全に御舟が作り上げたものなんです。観念的というか、実際に写生した炎ではないんですね。そこに写実的なものと装飾的なものが合わさっている。神秘的な絵です。
本当に何回見ても飽きません。閉館後にお客様がお帰りになってからライトを消すと、真っ暗な中に「炎舞」が浮かび上がるようで。そういうものを見られた時は学芸員冥利に尽きるなと・・・(笑)
 
―― さすがに御舟先生の話は盛り上がりますね。(笑)(注:山崎館長は御舟の研究で広く知られています。)他の作家の作品では?
 
山崎 奥村土牛さんの「醍醐」も好きです。綿臙脂(わたえんじ)という、今はなかなかないピンク色の絵具をふんだんに使っていて、すごくきれいな桜の絵です。土牛さんの人柄が出ているような気がします。
 
竹内栖鳳 班猫櫛淵 私は竹内栖鳳の「班猫」が大好きです。初めて見たときは鳥肌が立ちました。猫の目に射貫かれたみたいに、動けなくなってしまって・・・ぞくぞくしましたね。
それから猫の毛が、金で描かれているのですが、これもライトの当て方一つで違って見えました。展示のやり甲斐も大きい、そういうおもしろさもある作品です。

―― では、今度はおすすめのミュージアムグッズを教えてください。
 
山崎 開催中の「川合玉堂展」に合わせて作った三つ折クリアファイルは評判がいいですね。従来のクリアファイルを折りたたんだ形で、レシートなどを入れるのに便利です。他ではあまり見ないサイズと形ですよね。
 
櫛淵 私もクリアファイルはお気に入りです。あるときドイツの親戚にクリアファイルをあげたら、すごく喜んでくれて。友達に配ると言って、何十枚と買ってドイツに帰っていきました。(笑)
あと、一筆箋はよく使いますね。それも季節に合わせて、例えば桜の時期は「醍醐」の一筆箋、とか。御舟のバラのものはいつでも使えて便利です。
 
(ここでインタビューの場所を館内のミュージアムショップに移し、店長の大蔵さんにもご登場いただきました。)
 
―― 本当に色々な種類がそろっていますね。特に人気の商品はどちらでしょうか?
 
大蔵 各種の一筆箋はよく売れています。中でも、最近発売した和紙の一筆箋はよく出ますね。他には5枚セットの葉書や、マグネット、薄いプラスチック製のしおりも人気です。
 
山崎 私、そのしおりは持っていますよ。小学生の息子も喜んで使っています。(笑)目盛りが入っているから定規にも使えて。便利ですよ。
 
山種美術館―― ではまとめとして、美術館の理想像や、目標をお聞かせください。
 
櫛淵 学芸員の仕事は、作品の保存と、皆さんに観ていただくための展示をすること。実は相反する仕事なんですね。展示はある意味劣化を招きやすい。保存とは正反対です。その折り合いをつけつつ、お客様にも満足していただくことが学芸員の使命だと思っています。
 
山崎 私は、美術館は緊張して行くところではなくて、気軽にリラックスしに行く場所なんだという気持ちで来ていただきたいです。少しでも多くの方に作品を見て楽しんでいただいて、人生を豊かにする糧になればと思います。
子ども向けの企画(注:前回のインタビューを参照)だけに限らず、美術を身近に感じられるお手伝いができればと考えています。
 
櫛淵 創設者の山崎種二が、「着流しに下駄で、近所の人が気軽に来れるような美術館を作りたい」と言っていたそうです。
種二は若い頃より下町(注:山種美術館は創設当初、日本橋兜町にありました)の方たちにお世話になったので、その恩返しをしたかったそうなんです。だから、皆さんが気楽に入れる美術館、それが創設者の思いであり、美術館の出発点だったと思います。その思いを私たちも忘れずにいたいです。
 
―― どうもありがとうございました!
 
 
山種美術館
東京都千代田区三番町2番地 三番町KSビル1F
http://www.yamatane-museum.or.jp/

 

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