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October 22, 2007

山種美術館 2  コレクション紹介

山種美術館インタビューの第二回。
今回は、山種コレクションの特徴や展覧会の裏話、子ども向けの企画について聞きました。
 
 
―― 山種コレクションの特徴を教えてください。
 
山崎 コレクションは1,800点余りで、近・現代の日本画を中心に蒐集しています。特に40年前の創立当時は近・現代の日本画だけを収集した美術館はなく、非常に珍しいと言われました。現在でも皆様に評価していただいています。
先日(9月14日)亡くなられた高山辰雄先生が平成3年から当館の理事を務めてくださいまして、あるとき、「山種さんほど近代日本画の蒐集の素晴らしいところはないんだから、作品を大切にしなきゃいかんよ」と仰っていただきました。その言葉を真摯に受け止めて、これからもずっと忘れずにいたいと思っております。
 
―― 「山種美術館」の文字を揮毫されたのは、安田靫彦先生ですよね。(注:美術館の看板の文字。写真参照)
 
山種美術館 揮毫山崎 ええ。あれは私の父(山崎富治さん、前館長)が何度も大磯の安田先生のお宅に伺って、お願いして、やっと書いていただいたものです。
安田先生は良寛さんを見出した事で有名で、良寛さんの書の鑑定などでご自身の制作以外にもお忙しかったと思うんです。なかなか一回では「うん」と言っていただけなくて、父は何回も伺ったらしいです。
あの書は本当に素晴らしいと皆さんに言っていただいています。これからも大切にしていきたいです。

―― 前回の「子どものいる情景展」では小出楢重など洋画が展示されており、非常に驚きました。お客さんの反応はいかがでしたか。
 
山崎 やはり意外だったようです。小出楢重、とってもかわいらしいですよね。すごく評判が良かったです。それから黒田清輝も。「え、こんな作品もあったの」って。昨年の夏の「旅と画家」という展覧会でも、佐伯祐三を出したらお客様に驚かれました。「山種には佐伯祐三もあったんだ」って。
 
―― 来年も、日本画と洋画を一緒に展示する展覧会があるそうですね。
 
山崎 「大正から昭和へ」という展覧会(会期:2008年4/26?6/8)です。大正から昭和にかけては西洋の影響を受けて日本画家たちが変わろうとしていて、洋画家たちもみんなヨーロッパへの留学から帰ってきた時期です。日本画家と洋画家がお互いにすごく影響しあって、そういう意味でこのタイトルにしました。
例えば、速水御舟の日記に安井曽太郎のことが出てくるんですね。『安井さんの絵を観に行った』とか・・・岸田劉生の日記にも、『御舟の展覧会に行った』という記述があります。
今よりも日本画家と洋画家が近かったんですね。
 
―― 劉生は日本画の作品も残していますよね。
 
山崎 これは私が御舟の奥様からうかがったんですけれども、劉生が御舟に日本画を習いたいと言っていたそうなんです。東洋の美に目覚め、本格的に日本画をやりたいと思って、自分で描くだけでは足りないから御舟に習いたい、と。
本気で言っていたみたいですけれども。ただ、劉生が昭和4年に38歳で亡くなったので実現はしませんでした。御舟も昭和10年に40歳で早世しています。
 
―― あの時期の画家は、早世した人が多いですね。
 
山崎 そうですね、残念ですよね。長く生きていたらどう変わっていったのか・・・
この時代の画家には、パワーがあるように感じますね。近代絵画の青春時代、のような感じがします。西洋組も帰ってきて、これから新しく切り拓こうという意欲とかパワーがあった時代なんですね。それで、「大正から昭和へ」っていうネーミングはうまくできたんじゃないかなって思っています。(一同笑)
その時代が、すごく魅力的なんです。
 
「川合玉堂展」展示風景

―― 「子どものいる情景展」は、夏休みの子ども向けの企画でした。今後、例えば子ども向けのワークショップなどは予定されていますか。
 
山崎 これからは、子どもでも入りやすい雰囲気の美術館をつくっていきたいと思っています。夏休みだったおかげか、この展覧会にはお子様連れのお客様が多くみえました。「川合玉堂展」だと、そうはいかないでしょう(笑)。
子どもが馴染みやすい企画は大事で、来年の夏休みにも、動物を描いた作品を集めた「いきもの集合!」という展覧会を準備しています。

やはり動物は親しみ易いのでしょうね。学校の宿題で、生き物の絵を描きなさいとか、美術館に行って何か作るだとか。そういうことの始めの一歩になればと考えています。
今は場所がないのでワークショップなどはできませんが、必ずしもワークショップでなくても、本物の絵を観るだけでも違う。映画を観るように、騒がないで、静かに展覧会場を回ることで、何か心に残るものがあったらいいかなと思います。
 

 
山種美術館
東京都千代田区三番町2番地 三番町KSビル1F
http://www.yamatane-museum.or.jp/
 

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